2016年11月30日水曜日

クルト・ヴァランダーシリーズ 6

クルト・ヴァランダーシリーズ 6 五番目の女 上・下 
        ヘニング・マンケル 訳・柳沢由美子
 詩人で一人暮らしの元自動車販売業者・ホリゲ・エリクソン、花屋の経営者・ユンタ・ルーンフェルト、ルンド大学研究助手・エウフェン・ブロムベリと男性がむごい殺し方で殺されていく。板橋が折れ、竹槍が何本も刺してある壕に落ちる。何日も監禁し弱ってから木に括りつけられ首を絞める。口を締めた袋に入れられ湖に掘り込まれる。
 三人の共通点を探す。エリクソンの家から傭兵の日記が見つかる。調べるが関係ないようだ。三人の共通項は暴力を揮うということだった。
 エリクソンの壕の底から二十七年前に殺したと思われる・女性の骨が見付かった。ルーンフェルトの妻は十年前氷の割れ目に落ちて死んでいた。ブロムベリの妻は夫のDVを証言する。
 イースタ病院に謎の看護婦が現れる。三人目の被害者と関係がある入院患者・カタリナ・タクセルがいた。カタリナの少ない関係者の中から、容疑者・スウェーデン鉄道の車掌・イヴォンヌ・アンデルを割り出した。四人目の犠牲者の殺害を阻止するが、アンデルに逃げられる。エリクソンの家の望楼で捕まえるが、ハンソンの取られたピストルでアン・ブリット・フーグルンドが撃たれる。フーグランドは左腹を撃たれ、生死が危ぶまれたが、三度の手術を受け、回復する。
 アンデルは父親の暴力を見て育った。一年前、母親が旅行先のアルジェリアの修道院で、フランス国籍の尼僧が四人殺されるという事件の巻き添えで亡くなったが、アルジェリア警察当局にいなかったことにされたということを知った。このことが切っ掛けで、アンデルはひどい行為をしたにも拘わらず、捕まらない男達を罰し始めた。調べたリストには四十人の名があった。
 アンデルはヴァランダーだけに話した。母を殺した男を誰が探すのですか。に始まった。告白が終わり、ヴァランダーの手が離れた時、アンデルは自殺した。ヴァランダー宛ての遺書には母を殺した男は誰が探すのですか。と書かれていた。
  
 ヴァランダーは父親とローマに旅した。楽しい一週間だった。ローマから帰って二人散歩し、関係が良くなったと思った。帰国後一週間、ヴァランダーの父死す。
 ヴァランダーはバイパ・リエバと住むための家や飼う犬をさがしている。

2016年11月28日月曜日

禁裏付雅帳〈三〉

禁裏付雅帳〈三〉 崩落 上田秀人
 禁裏付に就任し、一ヶ月、東城鷹矢は今だに何をどうすればいいか分かっていなかった。
 鷹矢は松平越中守定信から、家斉の実父・一橋民部卿治済に大御所の称号を下賜去れるよう朝廷の弱みを握るという密命を受けていた。
 武家伝奏広橋中納言前基は禁裏付は幕府の力と権威をみせつけるためにあるという。京都所司代から着任届けが出されていない。京都所司代戸田因幡守は田沼主殿守の残党だった。
 若年寄・安藤対馬守の命で旗本寄合二千石安藤信濃守の娘・弓江が鷹矢と婚姻することになったと京に来る。鷹矢は江戸に問い合わせする。
 温子が、松波雅楽頭の手配で行き帰りの行列の小者を整えた。用心棒代わりの家来も出来た。
 松平周防守の家臣が鷹矢の命を狙っていた。鷹矢が襲われた時、定信の家臣・霜月織部と津川一旗が現れる。
 

2016年11月27日日曜日

御家人無頼 蹴飛ばし左門 6

御家人無頼 蹴飛ばし左門 6 御首級千両 芝村凉也
 轡田との果たし合いで怪我を負いながら、動き、勝手ばかり言う三日日左門は、医者・道哲に日々の暮らしを送れるようにはしてやるが、以前と同じ進退が出来るところまで戻すのは諦めと言われ、大人しく養生している。
 お神楽一家から亀戸天神の掏摸の話を聞き、掏摸の親分と岡っ引きの関係を暴露し、掏摸を捕まえる。
 旗本二千二百石池端但馬守の若殿が辻斬りをしていた。奉行所からの命令で岡っ引きは手を引いた。左近は若殿につく家来の腕を切り落とし、若殿を斬り、頭を持ち去りる。頭と交換に要求した金額の半金を持ってきた腕を切り落とした若者に金をやり逃がし、髷と鼻を切り落とした頭を屋敷に返す。左門は検死に大枚をはたかねばならないだろうと笑っている。

2016年11月26日土曜日

知らぬが半兵衛手控帖 3

知らぬが半兵衛手控帖 3 半化粧 藤井邦夫
 半化粧 辻斬りの探索をする。辻斬りは部屋住みだった三男が養子に行き、息子が生まれて疎まれてのことだった。部屋住みの頃好き合っていた女・みなを捨てて養子に入っていた。みなを連れ出した平九郎は半兵衛に斬られて死ぬ。その背中にはみなが刺した傷があった。平九郎が辻斬りをした理由が判らない梶原家、半兵衛は評定所に届けた。梶原家は取りつぶされた。
 閻魔堂 閻魔堂で強請、たかりで嫌われ者の御家人・島田清十郎が殴り殺された。お目付けに頼まれ半兵衛が調べる。島田は自分が手込めにした娘が結婚を控えているのを知り、強請った。父親はお金を持っていき石を包んだ袋で殴った。その後、四人できた職人が殴り、誰が殺したか判らない、半兵衛は閻魔堂のたたりで亡くなったと報告する。
 ご落胤 職人太吉の息子・直吉が旗本三千五百石大沢修理に勾引かされた。直吉は大沢の息子だった。双子の弟で殺されるところをすみがもらい受け育てていた。徳千代が亡くなり直吉を勾引かしたのだった。半兵衛は取り戻す。大沢家は養子を貰い、千五百石になった。奥方の乱行のため、用人が奥様を斬り、切腹した。養子も家中取り締まり不行き届きで切腹。大沢家は取りつぶされた。
 風車 病気で力がなくなった絵師・文七が自殺仕様としたが死にきれず、妻が助けた。妻は自分が殺したという。文七の弟弟子が私が殺したと言い出した。妻を助けたいためだった。半兵衛は文七の自殺で終わらした。

知らぬが半兵衛手控帖 2

知らぬが半兵衛手控帖 2 投げ文 藤井邦夫
 勾引かし 呉服商「菱野屋」の主・平左衛門が勾引かされ三百両を要求された。菱野屋の内儀と若旦那・平吉はお金を出す気がないらしい。主が亡くなり、手代だった男を婿にしていた。勾引かしは狂言だった。平左衛門の恩人の息子を助けるために必要なお金だった。お金を渡し、居なくなるつもりの平左衛門に半兵衛はお金を取られて平左衛門も帰らないではこちらが困る。平左衛門に店の者が待ってるよと伝える。店は平左衛門で持っているのだ。
 残り火 半兵衛が手札を渡した半次の住んでいる長屋に病気の浪人・柴田平蔵がいた。北町奉行所の養生所廻り同心・神代新吾に頼み、養生所に入る。柴田平蔵は敵持ちだった。討っ手の成島源之丞は身を持ち崩し職人殺しで追われていた。桑名藩は源之丞を江戸から逃がしながら朱引き外で殺す。柴田は源之丞が生きている間に名乗る。半兵衛は桑名藩と掛け合い、職人の家族に見舞金を出す。柴田は病で亡くなり、娘・鈴は養生所で働きながら産婆になろうと思う。
 雨宿り 筆問屋「一風堂」の主が殺された。武家の内儀と一緒にいたという。素人の娘や内儀を斡旋する「蛍や」の板前・作造が、外で待っていた一風堂の主を殺していた。作造を殺人だけで捕まえ、名簿を燃やした。
  投げ文 鬼薊の清造一味がいつも逃げ込んで、消える長屋がある。半兵衛は探索で仲間を割り出した。盗賊一味に雇われている船頭の娘・ふくは新吾の母・菊枝干し物を届ける時、字を習っている。ふくが父親・久助のことを知らせる。子が訴えるのは親不孝とされる。親不孝でもいい、今のうちにお縄にしてもらい命を助けて欲しいと訴える。
押し入った越前屋から逃げた清造をいつもの長屋で捕まえるが、船頭を盾にする。船頭にふくの気持ちを伝える。久助は金を貰って船を漕いだだけだということで通した。
 

2016年11月25日金曜日

御刀番・左京之介〈二〉

御刀番・左京之介〈二〉 来国俊 藤井邦夫
 駿河国汐崎藩の藩主・堀田宗憲のご落胤と名乗る者・和千代15が現れた。久能山東照宮別当代・応快と寺侍頭・黒木兵部が連れてきた。証拠の品・来国俊の小太刀があると言う。左京之介が呼ばれ、和千代を調べ、来国俊が本物か調べるよう言われる。
 応快の後ろに大目付・土屋主水正がいた。堀田家の留守居役・村上仁兵衛も土屋と通じていた。
 宗憲の正室・香の実家・水戸藩から和千代へ討っ手が送られていた。
 国元汐崎から亡くなった和千代の母・まゆの妹・ゆいが江戸に来ていた。京之介はゆいからまゆは和千代を仏門に入れ、汐崎藩の物議の種になってはならぬと言い残した多と聞く。東照宮別当もそのつもりだったが応快と黒木が和千代をお金に替えようとしていると言う。
 水戸藩目付け・望月蔵人たちが寛永寺の東照宮別当寺を襲った。京之介は和千代を別の場所に隠すことにした。別当寺を襲い、京之介が戦っている間に楓と佐吉が和千代を三田の聖林寺に連れてきた。京之介は応快から来国俊も奪った。黒木たち・風魔は水戸家を襲い人数を減らした。
 土屋主水正は水戸藩とも通じていた。水戸家家老・本田修理の命令で村上は宗憲に卒中に見える毒を飲ませた。
 京之介は村上が町駕籠で他出した時に襲い、首を刎ね首を持ち帰った。村上は行方不明になった。呼び出され黒木と対戦する。黒木を倒す。和千代を取り返しにきた応快も倒す。宗憲は引退して五才の千代丸が汐崎藩の当主になった。千代丸の将軍拝謁の日、江戸家老になる予定の村上がいないため、隠居した元家老・梶原頼母を家老に復帰させた。
 これ以上の汐崎藩への手出しは無用と望月蔵人を倒す。千代丸の後見は水戸藩だ。水戸藩の口出しに食い荒らされ、水戸藩に取り込まれる不安がある。
 京之介は和千代を久能山に送る。来国俊を、母と和千代を繋ぐ物として渡す。

御用船捕物帖〈二〉 

御用船捕物帖〈二〉 うたかたの恋 小杉健治
 続木音之進29 22才で船手頭向井将監配下・津南治右衛門の次男が続木家に養子に入った。妻・美鈴17才だった。三年前同心になり、二年前定町廻り同心になった。
 多吉 深川熊井町の漁師の子、音之進がいつでも船が使えるよう自腹で船頭として雇っている。泳ぎ競争の幼な馴染み。多吉が一目惚れした相手が音之進の妻になって現れた美鈴だった。多吉は隠している。文と多吉を結婚させようとする話がある。
 質屋「井村屋」に盗みに入る計画を立てている者がいる。元井村屋の手代・梅次郎、元軽業師・兵太、錠前破り・銀蔵、船頭・善吉の四人。銀蔵が身請け仕様としている遊女に金をせびる男を殺してしまった。銀蔵は捕まり大番屋に入ってしまった。
 鼻緒問屋「沢登屋」の主が殺された。沢登屋の内儀をかわいそうだと思っていた指物師卯助が捕まる。卯助は自分が殺したという。卯助は内儀に嘘を吹き込まれ、主を殺すように仕向けられていた。卯助は一回刺し逃げ、その後内儀の愛人に刺されて亡くなったのだった。卯助と銀蔵は牢の中で話す間柄になっていた。
 大名屋敷に付け火があり、牢に火が回りそうになり解き放ちがあった。みんな帰ってきた。卯助は音之進に、主を殺していないことを知らされた。また、銀蔵が帰ってきてから人が変わったようだと告げる。
 付け火は梅次郎たちだった。銀蔵の腕が必要なため銀蔵に似た男を替わりに牢に送った。男は火付け盗賊改め方に追われている助三だった。梅次郎たちは質屋に入り二千五百両を盗んだ。身請け金だと渡された遊女は、盗んだ金などいらないと断り、順々と捕まっていく。
 鼻緒問屋の主を殺した内儀の愛人は、自分が勝ってにやったことで内儀は知らないことだと言い通した。音之進は内儀にそうすれば店は助かると伝えた。内儀は主の妾の子を養子にし、母親も店に引き取った。
 

2016年11月24日木曜日

長谷川平蔵人足寄場 平之助事件帖1

長谷川平蔵人足寄場 平之助事件帖 憧憬(あこがれ) 千野隆司
 阿比留平之助25は父が亡くなり、北町奉行所の非常取締として四年務め、初めて出来た人足寄場定掛与力として赴任した。平之助は一年前に妻を亡くした。生まれて間もない平太郎は母・いくと妹・明乃17が育てている。
平之助は人足寄場を作った長谷川平蔵の甥だった。母が平蔵の妹だった。平蔵は五十才。お腹に凝りが出来、痛みを堪えて仕事をしていた。
 母親が危篤だと聞いた人足が逃げ出した。平之助は捕まえたが人足は死罪になった。母親は亡くなった。自分は何か出来なかったかと悩む。
 盗賊に船頭として雇われた癸助が人足寄場に送られてくる。盗賊との繋がりを調べるために目を離せない。癸助は誰とも交わらない。平之助は癸助の妹を調べる。妹の周りで盗賊たちが蠢いていた。人足寄場に繋ぎの者が送られてき、逃げる用意がされる。決行の時、船に乗り込む癸助を止めると、癸助は殺されそうになる。癸助は逃げずに済んだ。盗賊の仲間は捕まえたが頭の鬼洗いの鉦七は逃がしてしまった。癸助の妹は人足寄場に渡る船着場の前にある一膳飯屋おくにで働くことになった。

神様の御用人

神様の御用人 浅葉なつ
 萩原良彦24は亡くなった祖父の後を継いで神様の御用人になった。社会人野球をしていたが、膝を痛めて野球が出来なくなって会社を辞めた。今はアルバイトをしている。友達の藤波孝太郎は神社の跡取り息子なため、今は良彦の家の近くの大主神社で奉職している。宜之言書(のりとごとのしょ)に現れる神様の所に行き、御用を訊き、用足しをする。
 狐と抹茶パフェ 何が何だか判らないで行った先が方位神のところ。方位神は狐だった。昔は神祭りと言う行為により、人から感謝の心を奉納され神の力は補われていた。そして人は神から恩恵を受けていた。神と人はお互いを生かしめる。そんな関係だった。という。方位神の御用は日本人の子が再び神祭りに目覚め、神に畏怖と敬いを持つようにすることだったが、そんな難しいことは出来ない。パフェを食べたいだろうと言う事になってパフェを食べに行った。こんなことでは済まないという方位神・黄金は良彦のベットで寝ている間に良彦によって右前足の肉球で朱印を捺されてしまった。
 名言スランプ 奈良の葛城の一言主大神の所へ行く。御用のやり直しを要望する黄金は良彦に付き添って、神の話をする。一言主大神は中学生格好で、ゲームをする引きこもりになっていた。小さい時から見守っていた少女が失恋で泣きながらやってきたのに何も言ってやることが出来なくて、がっかりして、引きこもりになっていた。良彦は、あんたはそこにいるだけで、充分優しいんだ。だから彼女はここへ泣きに来た。それでいいんだと諭す。神様とインターネットを繋いでゲームをしている。
 竜神の恋 滋賀県の瀬田川の大神龍王から呼び出される。ボート練習をしていた大学生・結城に身体を踏まれおこっていた。瀬田川でボート練習をしないようにして欲しい。大王竜神は踏まれて昔の橋姫として出会った俵藤太秀郷を思い出してしまったことに怒っていた。天候が変わり結城のボートが荒れる川に残された時、竜王は竜神と化し結城を助けた。大神霊龍王は愛しい人の子孫を見守るのも永きを生きる神の特権と思うようになった。大神霊龍王の名を華という。
 ゆく年くる年 忙しくて黄金は良彦のところにいない。斜め向かいのお婆さんが亡くなり。若い夫婦と一人息子・岡田友弘の家族になった。根引松を飾る良彦の家に自治会長と思しき男性が来る。向かいの家んい根引松が無いことを言いながら帰った。良彦は孝太郎の手伝いをする。家族そろって新年を迎えたいと神様に願う友弘に福引きで貰った卓上ミニ門松セットを送る。家に帰ると友弘の両親が待っていた。夜、黄金と餅を焼いていると、昼間の自治会長らしき人が来る。大年神・歳徳神、新年に福をもたらす年神だった。
宜之言書の大年神の名は黒く墨が入り、門松と根引松を象った朱印が捺されていた。御用は岡田家に依代を飾らせ、福の神として岡田家に寄ることだったようだ。
 
こんな自分でも誰かの役に立つことがあるなら、祖父の『続き』を引き受けてもいいか。と思った。

2016年11月23日水曜日

法医昆虫学捜査官

法医昆虫学捜査官 147ヘルツの警鐘 川瀬七緒
 岩楯祐也警部補40才 
 岩楯の相棒・鰐川宗吾31才 本日づけでペアを組むことになった。メモ魔ノートにびっしり記録する。岩楯は一日の終わりにノートを見るのが日課になった。写真も残す。飴を常食する。
 火事後から焼死体が出た。乙部みちる・心理カウンセラー32才独身。損傷が激しく死亡日時が判らない。解剖すると球体に固まったウジが出た。
 法医昆虫学者・赤堀涼子准教授が捜査に協力することになった。赤堀は何故球体になっているか。何故焼け残っているか説明する。
 本来ならウジの成長で死亡日時が判るのだが、ウジの中に異様に早く成長しているものがあるため、彼女は成長之違いの理由を見付けようとする。
 岩楯たちはみちるの仕事関係・カウンセラーをしていた病院、以前勤めていた病院、学校で聞き込む。みちるは保険金めあての詐欺師に目を付けられていることが判明する。詐欺師も彼女を殺そうとしていたがひと足先に殺されていた。
 赤堀は、火災現場で蜂の子を食べた後の頭を見付ける。蜂の子の頭からコカインが出た。大きく育ったウジからもコカインが出た。コカインが含まれた蜂の子を食べたみちるの食道や胃を食べたウジが大きく成長していたと判断する。養蜂場の関係から奥多摩のしあわせ農場を調べに行き、コカイン栽培の温室を見付け、古井戸に落とされる。
 岩楯等はカウンセリングをしていた学校の先生の線からしあわせ農場に辿り着く。足に印をつけたハエを見て行方不明の赤堀がこのあたりにいることに気付く。銃まで出してくる農園の土地の所有者や代表を見て、逮捕した。赤堀は助けられる。
 中学校でカウンセリングしていた元中学生は家出して農園で働いていた。元先生が農園の代表で、農園で作った蜂の子を売り出す前に見本を持ってみちるのところに来た。お金のためにやっているコカインの栽培の話をしたために、反対し警察に連絡するというみちるを殺してしまった。犯行を隠すために犯人が放火犯だと思われるように駅北の放火を駅南で何回かやり、本格的に油を蒔き、みちるの部屋に放火していた。

2016年11月22日火曜日

日暮左近事件帖4

日暮左近事件帖4 化粧面 藤井邦夫
 吟味人 公事宿巴屋の主人・彦兵衛が背中を斬られ川に落ち一命をとりとめた。娘・りんが勾引かされそうになり、半年ぶりに江戸に帰った日暮左近に助けられた。
 彦兵衛の友人・武蔵国高坂藩勘定組頭松岡左平衛は五日前御役御免になりなくなっていた。高坂藩の留守居役・堀は公事宿大黒屋を使って、藩の公金で堀留川一帯を買い占め岡場所を作ろうとしていた。堀は心臓発作で亡くなり、大黒屋は髪が一夜にして真っ白になり涎を誑して見付かった。
 化粧面 小間物屋の清吉は父親が貸していた土地を売らなければ店を手放さなければならなくなると口入れ屋・政五郎を訴えた。政五郎の命が狙われる。店に火を付けられ襲われる。左近が助けた。政五郎の店に火を付命を狙ったのは清吉だった。清吉は北町奉行所に捕まる。
 流離い 活殺剣 上様御側衆の土屋家・五千石の旗本に陽炎が腰元で入っていることが判った左近は、陽炎の御用を助ける。陽炎は、土田家が預かっている、田安家の当主にしようとしていたる家斉の息子・豊丸4才を守っていた。豊丸の命を狙うのは田安家に頼まれた裏柳生だった。陽炎は秩父忍の後ろ盾が欲しいと思っていた。左近は裏柳生を倒し、家斉の寝所に忍び込み、豊丸を母の下に返すよう諭す。
 

2016年11月21日月曜日

日暮左近事件帖3

日暮左近事件帖3 愛染夢想剣 藤井邦夫
弥七が古証文で父親の借金を取り立てに来る梅次を訴えた。弥七が梅次を殺し、捕まり、北町奉行所吟味与力・青山久蔵から呼び出され、目黒白金村で神無月生まれで裏に観音像を彫った直径二寸の手鏡を持っている女を探すことになった。他に出世ばかり考えている鳥居耀蔵が探しているようだ。水野忠邦と鳥居耀蔵は伊予宇和島藩の取り潰しを狙い、二百年前の家紋付きのキリシタンの証拠を探していた。宇和島藩の元藩士柊右京介が話しを持って鳥居の元に走ったのだった。
 二百年前、宇和島藩のキリシタンの側室を預かった旗本・土屋家は代々キリシタンで側室の子孫を手厚く保護していた。手鏡を持った女を鎌倉の寺で見付けた左近は右京介を殺し、元の持ち主に返した。水野忠邦と鳥居耀蔵が宇和島藩の取り潰しを狙っていたということも教え、注意することを伝える。
 秩父忍のお館様が危篤ということで左近は陽炎と秩父に行った。幻斎は死んだ。
 

日暮左近事件帖2

日暮左近事件帖2 無名殺剣 藤井邦夫
 日暮左近 公事宿巴屋の出入物吟味人だが元は秩父忍の加納大輔だったようだが記憶がない。左近を兄の敵と狙う、秩父忍・陽炎から教えられる。陽炎も詳しく知らない。
 鍛金師・文吉が作った香炉の後金が貰えないと訴えたことで、巴屋は沼津藩水野家・老中水野忠成 家老・土方縫殿介と奥州白河藩隠居・楽翁・松平定信の暗殺に巻き込まれる。
 陽炎は松平家の要請で水野忠成を狙っていた。楽翁を出羽忍が守り、秩父忍の御館様・幻斎は楽翁の影武者をしていた。文吉の香炉は水野の企みで旗本から楽翁への贈り物で毒を仕込まれるように出来ていた。未然に防がれる。
 左近は七十才で病気の楽翁の元に忠成の首を届ける。楽翁は喜び死ぬ。土方縫殿介は忠成の影武者を立て、その後を乗り切る。
 秩父で陽炎と左近は出羽の仏と幻斎の闘いに出会う。陽炎の兄・結城左近は楽翁の命を狙いに行き、出羽の仏の催眠に掛かり、幼馴染みの大介と左近が闘う羽目になった。大介が左近を斬り、斬ったことで大介は記憶を失ったことが判った。左近は出羽の仏と闘い勝った。大介は日暮左近として生きることを選び江戸に帰った。

2016年11月20日日曜日

フランス人は10着しか服を持たない

フランス人は10着しか服を持たない ジェニファー・L・スコット
 パリで学んだ”暮らしの質”を高める秘訣
 人生はだらだらと過ぎてしまう。さまよっているうちに、いつのまにか人生は過ぎ去ってしまう。日常のつまらない雑用をする時でも、自分なりに工夫して楽しくやってみよう。五感を生かし心で感じながら生きて行こう。

2016年11月19日土曜日

鬼役《十九》

鬼役《十九》 予兆 坂岡真
 落首 皐月 家慶が主人設けをした。「隠れ坊主」が行なわれ屏風の陰に井垣玄沢が入った。火鉢や文机が投げ込まれた。井垣玄沢は大怪我を負い全身血まみれで運び出された。矢背家は玄沢の世話になっていた。平川門に家慶を非難する落首が書かれた。矢背蔵人介が書いた者を探している間に井垣玄沢の首が刎ねられた。小姓の藤木が設楽良周に頼まれて落首を書いたと告白状を残し自死した。薬種問屋の熊野屋を幕府御用達にさせるのを阻もうとする玄沢を排除したかったからだろうと書き残した。鳥居耀蔵は無実の玄沢を処刑したことが表沙汰になれば責任を問われるため告白状を揉み消した。蔵人介は良周と熊野屋を殺した。用心棒の印南作兵衛が虎の尾を踏んだなと言い残し死んだ。
 蔵人介は養子・卯三郎の師・斉藤弥九郎と手合わせをする。斉藤弥九郎は月影を披露する。卯三郎は秦光代の刀を十人抜きの祝いに貰う。脇差し「鬼包丁」を蔵人介は貰う。
 捨て犬 水無月 家斉の弓指南をしていたが七年前に逐電した鎮目健志郎と出会った。御下賜の弓を売っているのを見た。井口頼母を殺せば尾張藩に仕官出来ると言う。蔵人介は止めに行くが、頼母は鷲津甚内に鉄砲で仕留められ、蔵人介も狙われる。蔵人介を狙う、根来の鉄砲打ちに甲賀五人之者を束ねる総帥が犬丸大膳であること、蔵人介が五人之者の一人印南作兵衛を殺したために命を狙われるということを教えた。鎮目の仕官話は蔵人介をおびき寄せるためだった。鎮目の妻を人質に蔵人介と鎮目は呼び出される。妻を助け出すが舌をかんで死んでいた。鷲津甚内は鎮目の最後の矢で射殺された。鎮目は野上八太夫に殺される。鎮目の仇を討つため野上八太夫を妾宅で殺す。
 眉間尺 文月 鯨と衝突した清国の戎克が迷い込んだ。水夫たちは船倉に閉じ込めている。商人と密輸の品と思われる阿芙蓉を積んでいた。水夫頭・眉間尺と呼ばれる男が姿を消していた。
蔵人介は盗まれた阿蘭陀商館長からもたらされた「風説書」を取返すよう言われる。元奥右筆を問い糾す。勘定吟味役・井桁茂之、両替商難波屋に渡していたが、二人とも殺される。肥前屋藤吉が水野越前守忠邦に近付くために二人を殺したのだろうという。肥前屋に売りつけようとしたが断わられたという。盗んだ風説書の隠し場所を聞いている時、銛が飛んできて殺される。
 眉間尺は密輸相手の肥前屋藤吉に帰るための船を頼むと殺しを命令され、井桁と難波屋、元奥右筆を殺した。蔵人介を殺しに来た時、蔵人介は助け家に来いといい、命を取らなかった。家にきた眉間尺と水夫を志乃と州崎の網元の協力を得、船に乗せて送り出した。次の日、昨日の船が焼かれたと連絡がはいる。柱に縛られ鮫に囲まれた眉間尺を見付ける。死んだ。藤吉を殺す。藤吉は子龍という五人之者の一人だった。巌流の室田左五郎も倒す。国次が折れ、仕込み刃では小さすぎ、鬼包丁で倒した。犬丸の姿は消えていた。
風説書が帰って来た。尾張付け家老の成瀬正住が、尾張家の次期当主は支藩である美濃高須藩より迎えると言う確約が欲しいと言う条件を出してきた。先代藩主が亡くなった時、高須藩から当主を迎えるつもりだったが、田安家の当主になっていた斉荘に家督を付かせるように言明された。斉荘は家斉の十二男だった。

2016年11月18日金曜日

剣客旗本奮闘記 11

剣客旗本奮闘記 11 くらまし奇剣 鳥羽亮
 商家の子どもが勾引かされ大枚を脅し取られたようだ。言えば殺されると訴える商家はない。訊きに行っても何もないというだけ。そんな事件に旗本御家人がからんでいるようだと言う事で、糸川達が動く。御目付・大草に頼まれ青井市之介も力を貸す。
 千両の持参金を持って婿入りするもの、役付きになるもの順々に見付かる。辻斬りの犯人も仲間になっていた。みんな片づく。四件の商家が被害を受けていた。残されたものは家禄を失う。

2016年11月17日木曜日

秋山久蔵御用控 27

秋山久蔵御用控 27 夕涼み 藤井邦夫
 忠義者 皐月 浪人と旗本の息子の喧嘩の仲裁に入った者が死んだと思われたが、浪人と旗本は仲間で、徒目付組頭をだまし討ちにしていた。徒目付組頭は二千石の旗本の息子の悪業を調べていた。父親は五年前に普請奉行を一年で辞めさせられていた。再びお役に就こうと老中に運動をしていた。捕まった息子は父親に命じられたという。評定所から切腹を命じられ、父親は取り締まり不行き届きで切腹、家名断絶になった。殺された徒目付組頭も中間は旦那様の敵を討とうとした。
 夕涼み 水無月 袋物問屋の主・庄兵衛が孫と夕涼みをしていて、猪牙船の舳先に乗る、勘当した息子・文七を見た。弥平次に文七探しを頼む。文七は十年前、浪人・黒崎の娘・袖と駆け落ちしていた。文七と袖は長五郎が取手の織物問屋の主を殺す現場を見たために追われていた。黒崎が長五郎を殺す所を止め、長五郎は死罪になった。身を持ち崩した文七が立ち直ったのは袖のお陰と知った庄兵衛は、文七の勘当を解き、向島の寮で袖を養生させた。
 厩河岸 文月 厩河岸に政吉の大工道具と草履が揃えられていた。永代橋の橋脚に袢纏がひっかかっていた。遺体は見付からなかった。政吉は死んだと思わせ、許嫁の敵討ちをしていた。油問屋の若旦那の誘いを断わったことで勾引かされ手込めにされたため首を吊った。政吉は若旦那の取り巻き・遊び人と浪人は殺した。若旦那を囮にし政吉を誘き出す。久蔵は死人の政吉が人を殺せないから、妹を連れて江戸をでて行けという。若旦那は死罪、父親は押し込め五十日、店は戸締め百日となった。
 捕物出役 葉月 雲海坊が変化の鶴吉を見た。盗賊の東雲の酉蔵一味だ。探索が始まり鶴吉と一緒にいたりんが見付かる。鶴吉は宗匠姿で大黒屋の番頭に近付き、りんは大黒屋の主人に近付く。鶴吉の家に人が集まる。捕物出役となった。みんな抗った。怪我をし捕縛された。りんは自死した。質屋は故買屋の疑いで調べられた。狙われていたと知り驚いた。

2016年11月16日水曜日

哀歌の雨 

哀歌の雨 競作時代アンソロジー(哀)
 待宵びと 今井絵美子
堀平右衛門 妻・紀伊、栗山利安の三女、平右衛門は播磨に生まれ黒田長政の家臣・黒田二十四騎の一人。長政の遺言で、黒田長興が秋月藩主と認められるよう尽力し家老になった。周りに疎まれ、脱藩し、76才で小田原藩稲葉正勝に召し抱えられる。正勝が亡くなり正則になると周りに疎まれ、手打ちになる。
 栗山大膳利章 紀伊の兄。黒田長政に仕え、黒田藩家老、長政から家康の感状を預かる。忠之と側近倉橋十太夫の軍備の増強が目に余るようになった時、大膳は公儀に忠之の謀反を訴える。忠之の反逆の企ては無かったとされた。治世不行き届きに付き、領地召し上げ感状のため旧領をそのまま与えるという沙汰になる。大膳は盛岡に配流になった。
 風流捕物帖″きつね″ 岡本さとる
 商家の手代が女・きつに入れ揚げ、店のお金十両に手を付け川に飛び込み自死した。商家の主はきつに文句を言いに行ったが、きつを妾にするはめになった。南町奉行所定町廻り同心・春野風太郎はきつの裁きを礼次に任せた。きつの家に下女・常を入れた。主はきつを捨て、常を妾にした。常はいなくなった。常は手代の母親だった。
 かえるが飛んだ 藤原緋沙子
 富田屋利兵衛は元は武士、二十五年前に御徒目付の次男・永四郎が養子になった。息子・清之助が十才の時から夫婦関係がない。千代は夫に忘れられない人がいることに気付く。二十三になった清之介は父も母もばらばらで家庭の温かみを感じないという。
美郷とへの未練を断ち切ったつもりだった。美郷は旗本三百石西尾蔵之介に嫁いだ。美郷を争い、仲間四人に打ち据えられた相手だった。蔵之介は長崎奉行配下となり単身長崎に行き、遊女に溺れ心中騒ぎを起こす。江戸に戻る途中で亡くなった。家は断絶、美郷は実家に帰っていた。
千代が倒れ、手足が不自由になった。清之助に嫁をもらい店を任せ、向島で二人で暮らす。女中と我が儘な感情の起伏の激しい妻の相手をする。
永四郎は美郷に会った。美郷と永四郎は一度切りの関係を持つ。もう会うこともないと美郷は再婚のため甲府に行く。利兵衛も看護を続けながら千代と上手くいっていたいた時があったと記憶をたぐる。穏やかになった。

2016年11月15日火曜日

闇医者おゑん秘録帖

闇医者おゑん秘録帖 あさのあつこ
 おゑんの祖父は浜に流れ着いた異国の男だった。医者だった。祖母は祖父を見張る役目・目付方の役人の娘だった。娘・瑞乃を産んだ。父は、祖父の弟子の一人で、上士で御家中組を統率する家の四男だった。ゑんが生まれた。兄三人が他界した父は実家に戻った。祖父はゑんに医術を教えた。疫病の死体が流れ着き、村に蔓延した。疫病の責任を祖父に押し付け、祖父母は首を落とされ晒された。母とゑんと未音と父の屋敷に逃げ、祖父を助けてと頼んだ。祖父を人身御供にした仲間だと解り、母は父を刺した。父が贖いのつもりで用意した道中手形とお金を持って江戸へ出てきた。
 春の夢 若旦那の子どもを妊った春、若旦那が大店の娘と一緒になるのに邪魔になった。子どもをおろすように言われたが、産むつもりになった春を若旦那は階段から突き落とした。必死にゑんの家まで来た春だったが、お腹の子どもは死んでいた。春はゑんの仕事を手伝うことになった。
 空蝉の人 大名の側室のところに連れて来られた。側室の子どもをおろしてくれと言われるが、妊娠していない。夜な夜な鬼がやって来るという側室の話を聞き、鬼の正体をつきとめる。御付き人・山路が曾我部を使ってやらせていた。側室になるはずだった山路なのに、町人上がりの阿澄が側室になり、自分がお付なのが気に入らなかった。
 冬木立ち 母親が結婚が決まった娘が他の男の子どもを宿したから始末して欲しいと娘を連れてやってくる。駕籠で来たため流産していた。娘の容態を気にしながらゑんは春に自分の過去を語る。娘の身体の中に胞衣が残っていたために容体が急変する。赤ん坊が怨んで私の命を取ろうとしている。という娘にゑんは、赤ん坊は怨みも憎みも知らない。赤ん坊を弔うのはあんただけですよ。という。春は闇医者と呼ばれ、人を生かす者になりたいと思う。

2016年11月14日月曜日

秋萩の散る

秋萩の散る 澤田瞳子
天平勝宝754年   阿部仲麻呂は船を変えたために35年振りに帰ろうと
 鑑真来日       したが失敗する。十七年後異郷で死亡
     凱風の島   大使・藤原清河、二十三年後異郷で死亡
            藤原仲麻呂の息子・刷雄(よしお)17一年で帰る。

天平勝宝756年   吉備真備は 阿児奈波(沖縄)に、二十年前に 高橋連
 聖武天皇崩御     牛養が建てたはずの石碑が無いことを訝る。
            吉備真備は太宰府大弐になり南島に行く。
     南海の桃李   石碑を立てれば貴重な石は盗まれる。
            標しを木にすることで朽ちた碑を新しくするために 
            島と島とに行き来ができることを良しとした牛養の考え
            を理解した。

             国立の官吏養成校・大学寮にいる、15才の吉田乙継
757年  夏芒の庭   と答本古志緒は、共に医学を業とする両氏は微妙な関係
 橘奈良麻呂の乱    であった。
            吉田家は帝一家のお気に入り、答本忠節は名医と評判。
            叔父吉田兄人により忠節が陥れられ拷問死した。
            兄人を許せない乙継は首を吊った。
764年 凱風の島
 藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱  六男刷雄隠岐に流される。772年都に帰る。

            石上朝臣宅嗣の元に、伯父の娘・志斐弖の息子・久世
           が訪れる。父は首王(聖武帝)現阿倍天皇(孝謙)の
     梅一枝   異母弟になる。
           宅嗣は母親が石上であると言うてくれるなと言う。
           身を守る事しか考えないで久世を傷つけた自分を反省し、
           久世の優しさは王者の器と思う。

770年         道鏡は下野の下野薬師寺の別当の任じられる。
 孝謙天皇崩御    十六年前に配流された行信がいた。
     秋萩の散る 道鏡は阿倍女帝ほど気の毒な女人を知らない。お守り
           せねばと思っていた。

              

2016年11月13日日曜日

クルト・ヴァランダーシリーズ 5

クルト・ヴァランダーシリーズ 5 目くらましの道 上下 ヘニング・マンケル
 夏の休暇を楽しみに待つヴァランダー警部。1994
ヴァランダーの目の前の菜の花畑で少女が焼身自殺をする。身元捜査が始まる。所持品はペンダントだけ
 隠居生活の元法務大臣が殺される。背中を斧で割られ、頭皮の一部を髪の毛ごと剥ぎ取られていた。ひっくり返したボートの下で見付かった。一人暮らしだった。
 画商が夏至祭のパーティ中に殺された。頭を割れれ、頭皮の一部を毛ごと剥ぎ取られていた。家族は妻と娘、娘は自殺した。同じ犯人だと思われた。二人に共通したことがないか調べられた。
 焼身自殺の少女の身元が判った。ドロレス・マリア・サンタナ。ドミニカ共和国出身
ヘンシングボリからイースタに来た事がわかった。
 ヴァランダーの父親の病名がアルツハイマーだと判った。父が秋にイタリアに行きたいと言う。ヴァランダーは行くつもりだ。
 駅前の工事中の排水管の中から、顔から後頭部まで両断され、塩酸で目をつぶされた、頭髪ごと頭皮を剥ぎ取られた男・盗品売買の死体が見付かった。家族は離婚した妻と警戒心の強い兄弟、旅行中の娘がいた。娘は三年前から精神病院に入っていた。
 四人目の犠牲者はヘンシングボリで起こった。二階の浴室で後頭部を斧で殴られ一階の台所で頭皮を剥がされオーヴンに頭を突っ込み火を付けていた。公認会計士だった。ヴァランダーはヘンシングボリの刑事と共同捜査をする。会計士の隠れ家を見付け踏み込むと外国人の少女が四人が閉じ込められているのが見付かった。殺された会計士の右腕ハンス・ロはゴール逃げた。
 斧で頭を割る、一連の事件の犯人は第三の被害者の14才の息子・フーヴァーだった。姉が精神に異常をきたした理由を書いたノートを見て、復讐し、頭皮を病院の庭に埋めることによって姉の病気が治ると思っていた。
ヴァランダーが姉と会おうとしていることを知り、姉を病院から連れ出す。ヴァランダーを殺そうとヴァランダーの家のクローゼットに隠れている時に、帰って来たヴァランダーとスヴェードがハンス・ロゴールの話をしているのを聞いた。ハンス・ロゴールが姉を最初に強姦した男だった。
 第一の被害者の家に隠れようとしたフーヴァーは、隠れていたロゴールを見付ける。駆け付けたヴァランダーの前にロゴールの死体が残り、フーヴァーが逃げた。雨の中、姉を乗せたモペットで走るフーヴァーは滑り姉は飛ばされ即死した。
次の日、夏休みを一緒に過ごすバイパがコペンハーゲンに着く。結婚を申し込むがノーと言われた。
新しい署長が来た。
ドミニカ共和国から父親が来た。違法だがペンダントを渡した。父親とイタリアに行った。
娘・リンダは将来を模索している。
 
 


2016年11月11日金曜日

妖国の剣士 4

妖国の剣士 4 西都の陰謀 知野みさき
 黒川夏野は国皇安良に会う。夏野を補佐として認めて貰うために伊織は国の第二の都・斎佳で理一位・本庄に夏野を会わせる。本庄は毒殺される。背後に恭一郎の父・大老の失脚を狙う、西原家の企みがあった。西原利勝は鹿島理二位を使い、稲森文四郎と組んで妖魔を使っ手人里を襲い、安良や大老を貶めようとしていた。
 夏野は蒼太と繋がった目から危険を察知し、阻止しようとする。夏野は稲森を倒し(たぶん)伊紗の娘を解き放った。稲森は山幽の森から奪った紫葵玉を弾けさせ洪水を起こした。蒼太は波が防壁にぶつかるのを防ぐために防壁を壊したため待ちい水が流れ込んだ。
 西原は鹿島が稲森を繋がりこんなことになったと申し開きした。
 襲撃の際、次から次へと妖魔を斬り伏せた恭一郎、防壁の上から援護した伊織、防壁倒壊後、三日三晩、他の理術師に指示を出しながら結界を張り直した伊織、理術師、都師、役人も町の人も伊織を褒めた。
 東都・晃瑠に帰ってきた。

2016年11月10日木曜日

妖国の剣士 3

妖国の剣士 3 老術師の罠 知野みさき
 途切れぬ記憶を携えて転生を続ける国王・安良が国を治めて、千八十三年。妖魔に脅かされていた人間が、安良がもたらした理術のおかげで落ち着いて暮らせるようになった。
 大老は政を司る国の重鎮 理一位の者が五人。
 
恭一郎と蒼太が毒入りの饅頭で命を狙われた。聞いた大老・神月人見は息子・一葉15才の跡目披露を行なった。恭一郎は蒼太を連れ、安良に会う。安良は蒼太が妖かしであることが分かったようだ。
 夏野は故郷からの帰り道、伊紗の娘を取り込み不老となった老術師・稲森文四郎に出会う。国王に成り代わろうと妖魔を取り立て村々を襲う稲森に立ち向かうふぁ取り逃がす。

2016年11月9日水曜日

妖国の剣士 2

妖国の剣士 2 妖かしの子 知野みさき 
 黒川夏野17 男装の女剣士 蒼太と目を共有している。理術を習うため樋口伊織の元に行く。剣道五段の侃士
 鷺沢恭一郎32 蒼太を養う天才剣士。山幽の女性を妻にしていたが亡くなる。大老・神月人見の庶子。後妻に疎まれている。
 蒼太 恭一郎と暮らす山幽の少年。妖かしから命を狙われている。十六才だが十才で成長が止まっている。人と暮らすために、伊織のお守りのおかげで少し成長しているように見える。
 樋口伊織 恭一郎の友。理一位の天才理術師
  
理術の才能を見出された夏野は、樋口伊織に弟子入りする。
蒼太は共に生きてきた恭一郎が弟・一葉と再会したことに複雑な思いを抱く。
蒼太は夏野の危機を予知し、夏野の元に急ぐ。妖かし・金翅の子どもを自身の子ども・佐吉として育てている術師・多紀と巡り合う。妖魔の襲撃をきっかけに佐吉は金翅の母のもとに帰って行く。妖かし・山幽の蒼太は恭一郎の子どもとして生きて行く場を手に入れた。
 

2016年11月8日火曜日

御刀番・左京之介 妖刀始末

御刀番・左京之介 妖刀始末 藤井邦夫
 駿河国汐崎藩五万石、納戸方御刀番・左京之介は、藩主・堀田宗憲に呼ばれる。納戸方・多聞新八郎が御刀蔵から蓮華村正を盗んだ。村正を秘蔵していたことを将軍家に知られれば咎めを受ける。村正を取り戻せという命を受けた。
 国許で探ると、新八郎の糸を引くのは、汐見屋敷に住む、藩主宗憲の叔父・堀田憲正だと分かった。憲正の家臣・相良平蔵は裏柳生に繋がっていた。新八郎の剣を持った腕を切り落としたが、裏柳生の忍に刀を持って行かれた。村正を追って江戸へ向かう。
 忍から村正を取り返した。途中命を助けた裏柳生の忍・楓に助けられる。楓は草がいると言う。
 藩主・宗憲には憲正のこと、裏柳生のことを話、村正は始末したと伝える。裏柳生には、柳生家藩邸に隠したと伝える。
 京之介は、江戸に出て、柳生家下屋敷に行った憲正を上意打ちした。
 蓮華村正は三田中寺丁聖林寺に預けていた。聖林寺の住職・浄雲は左文字の作った刀に斬られた者を供養するため僧侶になっていた。
 汐崎藩の草は京之介の友・鳥見方組頭・島村甚内、兄妹だった。

2016年11月7日月曜日

青子の宝石事件簿

青子の宝石事件簿 和田はつ子
 相田宝飾店、二十四才の相田青子(おうこ)の実家だ。初代店主は勝海舟率いる遣米使節団の木村摂津守喜毅に仕え渡米し、摂津守が大統領夫人から贈られた五カラットのダイヤモンドに見せられて維新後は宝石商になった。
 青子は宝石の真贋が判る目を持っている。
 幼馴染みの光が、同級生であり就職先の社長の息子・片山に殴りかかり怪我をさせ警察に捕まった。青子は隣の新太と一緒に店のコンサルタント・小野瀬の助けを借り理由をつきとめる。片山はてあたりしだいに女の子に贋ダイヤの贈り物を光にさせる。中に青子たちと幼馴染みのフィギャアスケートの清水えりかがいた。光は本物を贈る。片山がえりかと会おうとするので阻止するために怪我をさせていた。父親に偽ブラと結婚を餌にナンパしまくる息子のことを話、告訴を取り下げてもらった。えりかにも伝えた。
 祖父が二千五百万円の宝石を買い、仕上げ売るつもりだった人が亡くなった。借金となった。最高級品のパライバの0.5カラットのリングとペンダントセットで百万円を十セット売った。見本に出した青子のパライバのピンキーリングも売れてしまった。
 ブルーホテル東京のカフェに勤めていた時の同僚・みゆきの彼が白血病だと分かった。みゆきは昔伯父に貰ったパライパを持っていた。青子はみゆきの持ち物から探しだし、五千五百万円で売り、みゆきの彼の治療費が出来、青子は五百五十万円の手数料を得、加工料が入った。
 小野瀬の知人・川瀬がオーストラリアからやってきた。豪のブラックオパール王だ。隣の新太の母親が学校の先生をしていた頃の生徒だった。近所に頻発する少女を狙う男を捕まえた。

2016年11月6日日曜日

リンカーン・ライムシリーズ9

リンカーン・ライムシリーズ9 バーニング・ワイヤー ジェフリー・ディーヴァー
 送電システムの異常により電力が一つの変電所に集中し爆発的な放電が発生し路線バスを襲い死者一名が出た。事故ではなかった。電力網を操り罠を仕掛け、送電を五十パーセント削減するよう要求する。
 犯人は電力会社アルゴンクインの社員・白血病になったのは電力会社の所為と言う・レイ・ゴールトと思われた。ゴールトは犯人に仕立て上げられていたことが判った。社長・アンディと弟・ランダル・ジェッセンの共同作戦だと思われた。
 リンカーンが一人きりの部屋にリチャード・ローガン、通称ウォッチメーカーが入ってくる。ローガンは殺し屋だ。ローガンがゴールトに成りすましていた。ローガンの依頼されたのはアンディ・ジェッセンに濡れ衣を着せ長い間刑務所に入らなくてはならないようにすることだった。依頼者はグリーン・カルテルのメンバー副社長のボブ・キャヴァノーだった。アンディを業界から追い出し、アルゴンクインの株価を暴落させ、カルテルがバーゲン価格で買うためだった。ローガンはリンカーンを殺す為にニューヨークの仕事を請け負った。リンカーンの服を濡らし、ケーブルをライムに巻き付ける。ランダルがやったように見せる為の証拠の品を置く。リモコンを用意する。タウンハウスの電力は止められていた。誰もいないと思われていたがローガンは捕まった。ローガンはリンカーンの罠に嵌まった。
 ゴールトのアパートの近くでブラスキーは交通事故を起こした。撥ねた男は入院している。意識は戻っていない。彼はフレッド・デルレイの情報屋だった。デルレイは情報屋から連絡がなく金だけとっていなくなったことで彼を調べ始めた。事故で入院していること、ゴールトのアパートにいたのはゴートルでは無いことが判り、犯人を考え出す切っ掛けになった。
 ライムは手術を受け右手を持ち上げ、肘を曲げ、手首をひねって掌を見ることができるようになった。ワイヤーやコンピューターチップを埋め込んだ。

2016年11月4日金曜日

新・古着屋総兵衛 十二

新・古着屋総兵衛 十二 死の舞い 佐伯泰英
春の「古着大市」を控えて、川向こうの新居が出来、大黒屋一番番頭の鳶沢信一郎とおりんの祝言が行なわれ、秋の交易長を信一郎に決めおりんも行くことになった。二人の新居におりんの母、香が住み、女衆の教育をすることになった。
 古着大市を開くことに異議を唱えているのは、長岡藩藩主・老中牧野忠精だった。突然現れた二百年前のガリオン船に似せた新造船が現れる。
 試走航海中に新造船マードレ・デ・デウス号待ち伏せされ大黒丸の右舷が破壊された。
 総兵衛は 祖母から受け継いだ金剛石を売り、新しい船を買うつもりがあった。
 大市を終えた後、影様の九条文女が勾引かされた。

2016年11月3日木曜日

泣きの銀次・参之章

泣きの銀次・参之章 虚ろ船 宇江佐真理
 銀次38才 いち18才で薬種問屋「武蔵屋」へ嫁に行く。
 次は和平といい仲なのに和平が片足がないため、一緒になろうと言い出さない。和平は露舟と名乗り、藩邸の襖絵や屏風絵を書いている。
 銀次が和平に出入り禁止を言ったためか、和平は気味の悪い絵を描き、津軽の屋敷を出、行方不明になった。若い女をつけ回し、怪我をさせたり、殺しまで起きた。和平が犯人だと思われた。和平が見付かった。殺していないと言いながら、和平は首を吊った。
次は芳が昔世話になった尼寺で尼になった。
 和平が亡くなった後、女が殺され犯人が捕まり、和平が人殺しでないことが解った。
 勘兵衛が倒れた。しびれが残っているが役を退くだろう。五十になっていた。
 卯之助が倒れた。武蔵屋が美顔水を作ってくれることになった。店を大きくした。
 

2016年11月2日水曜日

続・泣きの銀次

続・泣きの銀次 晩鐘 宇江佐真理
 銀次28才 長女・いち 次女・次 三女・さん 盛吉3才
 二度の貰い火事で店が本船町の間口二軒の小間物屋になっている。卯之吉の店で作る美顔水を売っている。
 勾引かされた女が殺される事件が何件か起こっていた。銀次は空き家に括られている女を助け、また岡っ引きになる。
 旗本二人が犯人だった。銀次の弟分だった岡っ引き・政吉の飯屋が繁盛し料理屋になっていた。政吉は犯人に頼まれ情報を流していた。銀次を殺すために呼び出しにも手を貸した。政吉は自殺した。
 旗本を捕まえるために、知り合った松浦の隠居の手を借りた。
 犯人を探している最中に津軽藩の絵師の卵の和平と知り合う。助けた勾引かしをされていた女・菊は和平の兄・啓次郎と一緒になった。
卯之助は美顔水に芹の香りを付け、売り出し成功する。

2016年11月1日火曜日

泣きの銀次

泣きの銀次 宇江佐真理 三冊あったので再度読む
 銀次は小伝馬町の小間物屋、美顔水で有名の坂本屋の長男だ。18才の時、妹菊がむごたらしく殺され犯人を捕まえるために、北町奉行所定町廻り同心・表勘兵衛から十手を預かった。坂本屋は弟が継いだ。銀次は死体を見ると泣いた。
 犯人と思われた叶鉄斎を見張っていた銀次の師匠・弥助も殺される。銀次は弥助の娘・芳と一緒になるつもりだった。
 坂本屋が盗賊に狙われ、手代が毒入りの饅頭を持ち帰り、芳が配った。手代が芳には煎餅を持ち帰った。父親、弟夫婦も亡くなり、銀次は岡っ引きをしながら坂本屋の主人になった。番頭の卯之助が店をみてくれていた。
 鉄斎は学者で旗本の保護があったため捕まらなかった。犯人は鉄斎の弟だった。弟は勘兵衛が斬り、鉄斎は自死した。詳しくは女中の老婆が話した。
 芳がいなくなった。四ヶ月後、尼寺にいる芳を見付け、連れ帰る。