2016年11月16日水曜日

哀歌の雨 

哀歌の雨 競作時代アンソロジー(哀)
 待宵びと 今井絵美子
堀平右衛門 妻・紀伊、栗山利安の三女、平右衛門は播磨に生まれ黒田長政の家臣・黒田二十四騎の一人。長政の遺言で、黒田長興が秋月藩主と認められるよう尽力し家老になった。周りに疎まれ、脱藩し、76才で小田原藩稲葉正勝に召し抱えられる。正勝が亡くなり正則になると周りに疎まれ、手打ちになる。
 栗山大膳利章 紀伊の兄。黒田長政に仕え、黒田藩家老、長政から家康の感状を預かる。忠之と側近倉橋十太夫の軍備の増強が目に余るようになった時、大膳は公儀に忠之の謀反を訴える。忠之の反逆の企ては無かったとされた。治世不行き届きに付き、領地召し上げ感状のため旧領をそのまま与えるという沙汰になる。大膳は盛岡に配流になった。
 風流捕物帖″きつね″ 岡本さとる
 商家の手代が女・きつに入れ揚げ、店のお金十両に手を付け川に飛び込み自死した。商家の主はきつに文句を言いに行ったが、きつを妾にするはめになった。南町奉行所定町廻り同心・春野風太郎はきつの裁きを礼次に任せた。きつの家に下女・常を入れた。主はきつを捨て、常を妾にした。常はいなくなった。常は手代の母親だった。
 かえるが飛んだ 藤原緋沙子
 富田屋利兵衛は元は武士、二十五年前に御徒目付の次男・永四郎が養子になった。息子・清之助が十才の時から夫婦関係がない。千代は夫に忘れられない人がいることに気付く。二十三になった清之介は父も母もばらばらで家庭の温かみを感じないという。
美郷とへの未練を断ち切ったつもりだった。美郷は旗本三百石西尾蔵之介に嫁いだ。美郷を争い、仲間四人に打ち据えられた相手だった。蔵之介は長崎奉行配下となり単身長崎に行き、遊女に溺れ心中騒ぎを起こす。江戸に戻る途中で亡くなった。家は断絶、美郷は実家に帰っていた。
千代が倒れ、手足が不自由になった。清之助に嫁をもらい店を任せ、向島で二人で暮らす。女中と我が儘な感情の起伏の激しい妻の相手をする。
永四郎は美郷に会った。美郷と永四郎は一度切りの関係を持つ。もう会うこともないと美郷は再婚のため甲府に行く。利兵衛も看護を続けながら千代と上手くいっていたいた時があったと記憶をたぐる。穏やかになった。

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