禁裏付雅帳〈三〉 崩落 上田秀人
禁裏付に就任し、一ヶ月、東城鷹矢は今だに何をどうすればいいか分かっていなかった。
鷹矢は松平越中守定信から、家斉の実父・一橋民部卿治済に大御所の称号を下賜去れるよう朝廷の弱みを握るという密命を受けていた。
武家伝奏広橋中納言前基は禁裏付は幕府の力と権威をみせつけるためにあるという。京都所司代から着任届けが出されていない。京都所司代戸田因幡守は田沼主殿守の残党だった。
若年寄・安藤対馬守の命で旗本寄合二千石安藤信濃守の娘・弓江が鷹矢と婚姻することになったと京に来る。鷹矢は江戸に問い合わせする。
温子が、松波雅楽頭の手配で行き帰りの行列の小者を整えた。用心棒代わりの家来も出来た。
松平周防守の家臣が鷹矢の命を狙っていた。鷹矢が襲われた時、定信の家臣・霜月織部と津川一旗が現れる。
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