とびきり屋見立て帖 千両花嫁 山本兼一
千両花嫁 御道具・とびきり屋という店を三条木屋町に持った真之介は元居た茶道具商・からふね屋に千両箱を結納金の代わりに置いて、お嬢さん・ゆずを略奪してきた。とびきり屋の番頭、手代、丁稚、女子衆を立ち合いに三三九度の盃を交わした。
千両箱を芹沢鴨等が持ち去ったことを聞き、取り返しに行く。真之介は何も出来ず、ゆずが御座敷で桜茶の桜の出身地当てをして、千両を取り返す。
金蒔絵の蝶 元芸子の小梨花は室町の千倉に嫁いだ。姑に苛められるが頑張っている。姑は他に言い立てることも無くなり、花嫁道具に文句を着ける。真之介夫婦は道具を見に行く。蒔絵の上等の道具ではあるが落ち着いた千倉にはぴったり来ない。ゆずは道具を売ったからふね屋に行き、自分のために作られた落ち着いた花嫁道具を千倉に運び込む。金蒔絵の道具はからふね屋に行った。
皿ねぶり 坂本龍馬から買い付けたぼろぼろの鎧謐の中に天正大判が十枚入っていた。真之介は返しに行く。一枚を貰い、坂本と勝海舟を下宿させることになった。夜、勝を狙って侍が押し入った。店の者は、あっちこっちと渡り歩いた者たちだったが、力を合わせて店とゆずを護った。
平蜘蛛の釜 高杉晋作が平蜘蛛の釜と上書きがある箱を坂本に渡して欲しいと持ってくる。ゆずが真之介に伝える前に、近藤勇に売ってしまう。真之介がとり戻しに行くが、近藤は売ってしまっていた。相手はゆずの許嫁だった茶道の家元の息子だった。ゆずは棗を二つ用意し本物を当てたら嫁に来ましょうという。息子が本物とした棗を偽物だといい、壊してしまう。平蜘蛛の釜の破片が入った箱を返してもらう。棗はどちらも偽物、箱だけが本物だった。
今宵の虎徹 十三本の虎徹がある。本物は一本だけ。近藤が店に来る。これが本物だと自分で選んで持ち帰る。その虎徹が折れる。近藤が怒鳴り込んできた時、今度は折り紙のついた虎徹を渡す。偽物だった。手代・俊寛が本物の虎徹を当てた。
猿ケ辻の鬼 武市が坂本に会いに来るが留守だった。武市は姉小路公知を攘夷に引きつけておくための贈り物を探していた。真之介は何か良い物はないかと相談される。武市と一緒に来た薩摩の人が般若の面を買った。ゆずは坂本から姉小路公知に蒸気船に乗せるのに言い贈り物は無いかと相談される。ゆずは真之介に真之介から貰った、源氏物語五十四帖の絵柄の特別小さな貝合わせがいいという。真之介はゆずから貰った遠眼鏡を出す。二人はそれぞれに何も見付からない。人の心を動かすのは人の心しかないという。姉小路公知は軍艦に乗った。開国派になったようだ。公知が殺された。花を供えに行くと般若の面が落ちていた。
目利きの一万両 真之介は赤ん坊の時、知恩院の三門に捨てられていた。辻が花の守り袋があった。辻が花染めはなかなか無く高級品である。同じ柄の布を見付けた。出所を調べると茶道家元に出入りする表具師だった。真之介は自分の出生をしりたかった。
茶道家元の息子とからふね屋の息子と表具師の息子が、勤王派の巣窟に一緒にいたために壬生の新撰組に捕まっていた。真之助は芹沢と一万両と三人の解き放ちを賭けて勝負する。八人が剣術の試合をして一位、二位を当てる。真之介は勝ったが芹沢は三人を放そうとしない。近藤が三人を帰せという会津候のお達しを持って帰って来た。
家元の床の間の掛け軸の絵の古田織部の着ている小袖の模様が辻が花の真之介の守り袋と同じだった。からふね屋が「捨て子のおまえを包んであった裂や」といった。
からふね屋がとびきり屋に来た。「許すも許さんも、おまえら、もう一緒に住んでるやないか」といった。
もうすぐ祇園さん
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