出世花 蓮花の契り 完 高田郁
文化三年 1806年三月火事
ふたり静 火事の後行方が判らなくなっていた遊女・てまりが記憶を無くして数珠師の家で暮らしていた。痴呆の母親に嫁と思われ看病していた。母親が亡くなり三味聖・正縁が仏を洗い清めるのを見て、全てを思い出す。遊女であったことを引け目に感じるてまりと歳のことを気にする数珠師・与一郎寄り添って帰って行く。
青葉風 文化四年 1807年 彼岸 火事で焼けた日本橋店が新しくなった桜花堂で、お縁は半年暮らすことになった。桜花堂の女将・お香はお縁の生みの母だが、公にはなっていない。養女にしたかった娘だ。お得意さん・遠州屋が桜花堂の最中を食べて亡くなった。一緒に食べた人たちが、味がおかしかった。という。仙太郎は牢に入れられる。お縁は味がおかしかったのは遠州屋が棗の葉のお茶を飲み、最中を食べたため、甘さを感じなかったことを証明し、仙太郎は帰ることができた。
夢の浮橋 しっくりいっていなかった仙太郎夫婦がお縁がいることで、上手くいかず、お染が実家に帰ってしまった。お腹に赤子がいることを知ったお縁は仙太郎をお染に逢わそうと深川に行く。永代橋が落ちる。定町廻り同心・新藤松乃輔に頼まれ、お縁は遺体の処置をする。仙太郎は深川のお染が心配で見に行きお腹に子供がいることを知り、やり直すことを決めた。お縁は三昧聖として生きて行くことを決める。
蓮花の契り 青泉寺で湯潅をし荼毘に伏すことを禁止され、正真と正念が寺社奉行に連れていかれる。二人が帰って来ても沙汰待ちで門は閉じられていた。正念の実家・富澤藩から跡継ぎになるよう誘いが掛かる。正念の姉あやめの子を抱いたことで心が揺れる。正念とお縁が夫婦になり子を為すことが出来ると誘う。二人で元老中の母親・ふみの湯潅をし、ふみの生涯を思い、二人は男と女として契るのではなく、仏の弟子として共に生きたいと思った。正念は還俗しないことを決めた。青泉寺はお咎めなしとなる。
正縁は桜花堂の寄進で戸塚村に庵をむすぶことになった。
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