北町影同心〈2〉 過去からの密命 沖田正午
音乃と巽丈一郎は北町奉行・榊原忠之の命令を受け、八丁堀を出、霊岸島川口町に住まいを移す。三十俵二人扶持、十手も授かる。音乃には恩賞がつく。
二人は十二年前の、米問屋が襲われ四人が殺され、大工職人が火盗改めに捕まり、獄死した事件を探ることにした。
探っている途中、掏摸が捕まった。掏摸は犯人にされた大工に息子と娘だった。二人はは音乃が十四年前、板谷弥一郎に苛められているところを助けた兄妹でもあった。
音乃は火盗改同心・中岡伝三郎に近づく。同心・寺内が中岡はお役を罷免され出て行ったといい、音乃から話を聞く。寺内は殺された。
十二年前、火盗改の長官だった井山忠治は、中岡が使っていた盗賊・壁破の勘十郎を使って、十川屋から井山の三百両の借用書を盗ませた。勘十郎は米問屋の権利書を盗んでいた。隠し部屋のからくり鍵を作ったのは、犯人にされた大工だった。
勘十郎は「十川屋」の米問屋の権利書を細工し、「千州屋」になり店から上がる収益を全て中岡に持っていかれ、井山の懐に入っていた。それを賄賂に井山は現在、目付になっていた。寺内に知られた中岡は寺内を殺していた。千州屋を捕まえた音乃と丈一郎は井山の所に乗り込み逃げられないようにした。井山は切腹した。井山が誰に賄賂を渡していたか明らかにされなかった。
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