つくもがみ貸します 畠中恵
深川に姉・紅と弟・清次が営む古道具屋兼損料屋「出雲屋」があった。出雲屋の付喪神はしゃべっている。紅と清次は聞いている。紅と清次がしゃべりかけても答えはしない。
利休鼠 佐久間勝三郎がまるで本物の鼠のように走り去った鼠の根付けを探して欲しいと頼まれた。養子先の跡取りの持ち物だった。勝三郎の養子先・蜂須賀家の禄高が四百五十石、兄が跡取りの佐久間家は二百石、部屋住みの弟が裕福で地位も高い家の主になることが嫌で友達に盗ませていた。清次は鼠の根付けを蜂須賀家に返す。蜂須賀早苗には元許嫁がいたが、兄の死によって縁談が壊れた。早苗は元許嫁に未練があるようだが、相手はもう結婚していた。勝三郎に早苗さんにきれいだと言ってあげなさい。と言い、家に振り回されているのはあなただけじゃない、早苗さんと二人で背負って行きなさいと忠告する。
裏葉柳 幽霊が出る料理屋を買った鶴屋は、大久間屋を懲らしめようとしていた。鶴屋は大久間屋に悪い風邪をうつされ家族を亡くしていた。幽霊は大久間屋の子供を妊り追い出された女中だった。開店祝いに日、大久間屋と幽霊と付喪神たちが一部屋に閉じこもった。
秘色 清次が探している飯田屋佐太郎を探している、佐太郎の縁談相手だった加乃の店・住吉屋の番頭と知り合った。清次は住吉屋の蔵で蘇芳を見付けた。加乃が隠していた。番頭・権平に相談相手になってあげるように言う。
似せ紫 琥珀の帯締めの付喪神が紅と清次と佐太郎の関係を話す。佐太郎は紅が好きで日本橋「小玉屋」紅の父親の店に来ていた。佐太郎に縁談があった。佐太郎の母親が櫛一つから大金を用意しろと言い置いて帰る。加乃も来る。佐太郎の嫁は私だ。と。蘇芳の香炉は三つあった。紅と清次は櫛を次々と品物を替えていった。小玉屋が火事になり紅の父親が亡くなった。佐太郎が江戸を出ると言い、帰ってくるから待っててくれないかと言い置く。櫛が変化した蘇芳の兄妹「三曜」を出すが、佐太郎は割ってしまった。今から四年前のことだ。
蘇芳 佐太郎が江戸に帰ったらしい。紅の所へは来ない。三曜の兄妹「七曜」を探していると思った清次は七曜を追って佐太郎を探す。閉じ込められていた佐太郎を見付けた。紅が心配して駆け付け清次と話す。佐太郎の言葉は届かない。佐太郎は大阪に帰った。
0 件のコメント:
コメントを投稿