2016年7月28日木曜日

アコギなのかリッパなのか

アコギなのかリッパなのか 畠中恵
 佐倉聖21才 父母は離婚し母は亡くなった。伯父に引き取られたがぐれた。高校卒業間近に保護司に大堂に合わされ、勤労学生となった。元国会議員・大堂剛61の経営する関連事務所・アキラの事務員をしている。大堂門下の政治家の問題の処理もする。一年前、12才の拓が一人で聖の元にきた。保護者になった。
 県議会議員・大石梨花が有力後援者・羽生という人の家で飼っている猫の色が変わるという。調べに行かされる。羽生家の未亡人が怪我をして長男と長女と孫が一緒に住むようになったのに、長男はリストラされそうだし、長女は夫の母を看護している姉が倒れたので長女が行ってしまいそうなので、わざと惚けた振りをしていた。だが、未亡人は長男にヘッドハンティングされているオーストラリアの会社に行くよう進めた。また長女にも義母の看護をするように言った。聖は英会話の本をプレゼントしオーストラリアへ行くことを進めた。あなたなら大丈夫という言葉を添えて。家族に言われるよりも他人に言われた方が自分を信頼できる。家政婦も一緒にオーストラリアに行くことになった。
 加納という聖の嫌いな国会議員の選挙地盤へ行くことになった。拓が行きたい私立高校の奨学金のために。加納の後援会の幹部・有田が頭を殴られ警察が乗り出した。後援会が大騒ぎになっている。騒動を収めに行く。
 有田が頭を殴られ倒れていたところに警察署長を呼び出し、聖が床を踏み抜いた所へ誘導し署長が床を踏み抜くようにする。有田も同じように踏み抜き柱で頭を打ったと説明し、事故だったという。警察が手を引いた。そしてみんなの前で事件の説明をする。有田のビニールハウスと馬場の工場が荒らされている。犯人は二人の息子だった。バカ息子をとっちめるために洋館に来たが有田が床を踏み抜いた。二人の親が加納に頼み、加納は息子たちのバイクを壊し、教育的指導を施していた。
 小島議員の秘書・酒井が「月下の青」というリトグラフを持ったまま、宗教団体「加田の会」に入会してしまった。リトグラフを取り返してという任務だった。秘書・真木瞳と一緒に行く。
 聖は、真木が指輪を時によってつける指を変えることで酒井が真木が婚約をしたと思い込み宗教団体に入ったと思った。真木が酒井に説明し教主のところに行っている間に、聖は貴重品置き場でリトグラフを探した。八号のリトグラフは二回りも大きな額縁に入って持ち出せない。見付かってしまった。二度と来ないように言い渡され放り出された。
 小島議員は大堂の奥さん沙夜子議員だった。聖はコピーしたリトグラフと交換していた。
 聖は区議会議員の選挙応援に来た。ぱっとしない商店街の振興のために議員を出したいと言う。選挙の手伝いの竹本は奥さんのダイエットのための甘い物禁止に困っていた。聖はカロリー計算や栄養バランスを整える所を商店街で引き受ければ商店街に来る人が増えるのではないかと提案した。出来合いの品だけでなく野菜や肉素材から量と作り方とカロリーを示すとか。老人食、病人食等、八百屋、肉屋、総菜屋、甘味屋などが協力して商店街の売り物にする。空き店舗でアンテナショップを始めることを提案した。
 商店街振興に現実的な手を打てる候補だと話が広がる。聖は当選確実の感触を得た。
 ある日、拓と父親・佐倉謙が朝食を作ってテーブルに並べていた。聖は逃げた。帰ったら謙と拓は出て行ったようであった。
 インターンシップ参加の学生二人の予定を立てて事務所に連絡するように言われる。二人は聖の世話になるのが気に入らない。少なくとも秘書の人に面倒見て欲しいとのたまう。
 政治家に必要な物は何ですか。と聞く。ずばり言い当てたら秘書として推薦してやると言われたそうだ。紙に書いて金庫にしまったという。夜、多田は金庫を明けに来る。聖は金庫を明けてやる。紙にはやーいと言う口が書いてあった。翌日多田はインターンシップを辞めた。東山を見に行くと忙しそうにしているが加納がいない。お眼鏡にかなわなかったようだ。
 聖はいつもの仕事のように対応した。聖は二人の足跡を摑んだ。拓の母親・きみよが入院している病院で父と会った。父は離婚と家庭崩壊と暴力男だという自己不信のため、誰かと暮らすのが怖くなっていた。海外で連絡を受けた謙は聖に預ける事にした。金も送ったという着いてないのか。どこに送ったのやら。拓に会った。出かける時はちゃんとメモを置いて行け。約束しただろうが。
 きみよの葬儀を終え、謙は日本を出立した。謙はフリーのカメラマンで海外の自然や動植物を撮っている。拓は謙の実子でなかった。でも拓は拓で弟だもん。謙と拓は聖に知られたくなかったのだろう。
 大堂が政治家に必要な物は何かと聞く。聖は気力・体力・時の運ついでに腕力と答える。
 長年大堂の秘書を務めてきた小原が都議会選挙に立候補し、当選した。
 聖はずっと堅い就職先を見付けようと思っていたが、拓が成人するまでオヤジのところにいた方がいいのかなと思い始めた。この仕事場は忙しいが結構面白い時もある。と思った。
 

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