2016年7月27日水曜日

御家人無頼 蹴飛ばし左門 5

御家人無頼 蹴飛ばし左門 5 落下両断 芝村凉也
 三日日左門の借財を肩代わりしたいと札差天秤屋がくる。
元、青砥現、綿貫清十郎の知人旗本寄合席二千七百石島田内記と久々に出会う。相談を持ちかけられるが、詳しく聞けずに帰って行く。島田が足抜けした遊女と自壊したと聞いた清十郎は調べた。三日日に相談する。
 島田は三百石の四男だった。二千七百石の養子になり義母の姪と結婚したが、家族、家来とは会話もなかった。気を許せるのは吉原の中矩屋の振袖新造の露草だけだった。身請けするつもりで半金渡した。天秤屋は島田のことを承知で露草を百両で身請けする。島田は中矩屋の若い衆に誘われ露草を足抜けさせる。追われ居所が知られた二人は相対死する。天秤屋は中矩屋に乗り込み、倍返しを要求する。吉原の田中屋に中矩屋はすぐに乗っ取れると連絡する。島田家はもみ消しに掛かる。必要な金額を天秤屋から借りようとするが、天秤屋は他の店を何件か紹介する。島田家は潰された。借入金の下げ渡しを扱う勘定奉行は天秤屋と繋がりが無い者になった。島田家から返ってくる金額が解らなくなった。
 三日日は 赤鞘組の轡田兵庫に天秤屋に先に手をつけているようだからはやくしろという。
 天秤屋は轡田から二千両要求されていた。今、繋がっているところと赤鞘組とどちらにもお金を出す気になった。両方を利用するつもりだ。
 轡田は百両持って三日日の所に来る。天秤屋には手を出すなという。左門は断わる。
 左門は遁八と天秤屋の外蔵に忍込み、書き付け紙の束や大福帳を積み上げ書類箪笥の引き出しを開けぱなしにする。鍵も掛け直し帰った。夜中、天秤屋の土蔵の中から火が出た。火消しは火が躍り出ることを畏れ蔵の中から煙が出なくなるまで蔵の戸を開けさせなかった。貸付証文や売り掛け証文が灰になり回収は難しくなった。両天秤に掛けたことでどちらからも助けてもらえない。
 轡田から果たし状が届く。左門がいくら考えても負ける予想しかできない相手だ。右腰を斬られたが、左手で脇差しを逆手に抜き上げていた。

0 件のコメント:

コメントを投稿