2015年10月31日土曜日

若さま十兵衛  若さま十兵衛・天下無双の居候2

若さま十兵衛・天下無双の居候 早見俊
 十兵衛・幕府総目付、将軍家兵法指南役・柳生但馬守宗矩の嫡男 柳生十兵衛
 関ヶ原の戦いから29年、寛永六年 1629年 徳川家光
 三年前、家光の勘気を被り蟄居になった。回国修業の後、江戸に戻り、日本橋の湯屋『富士の湯』に居候している。
 家光ではないかと言われる辻斬り退治をしたり、天狗になったように強くなって奥方を見返そうとした婿養子の旗本の事件を解決する。
 下野鹿沼藩・米倉備前守正影が毒殺され、旗本になっていた。犯人は医師戸と思われていたが奥様だったことを十兵衛が暴く。
 贋宮本武蔵が現れる。十兵衛と対決し剣士として死ぬ。

若さま十兵衛・天下無双の居候2 暗殺 早見俊
 柳生但馬守が命を狙われ、勾引かされる。十兵衛は父親を返して欲しければ、老中木崎備前守正行を暗殺するように言われる。
 木崎の息子と御前試合をし、息子を負かしたために、難癖をつけられ隠居に追い込まれた旗本の娘がやったっことだった。父親は切腹しそれで納めようとした但馬守だったが、木崎の用人南方九十郎が現れそれだけでは済まされなかった。娘も自害する。
 鼠と称する泥棒事件、商家の自作自演の泥棒劇を暴く。
 養子に行った弟が、実家の兄を化け猫騒動で狂わし、死に追い詰め自分の息子を旗本の跡継ぎにしようとした事件。
 薬種問屋筑後屋の息子を勾引かし、五百両を奪い、子供を殺された事件が起きた。薬種問屋の組合を作り、肝煎りになるために木崎への賄賂のための五百両だった。木崎は駿河屋から八百両貰い、あと二百両要求する。筑後屋は五百両を要求されたため、老中の土井大炊頭に訴えるといい、殺される。
 江戸湾に海賊船が現れる。十兵衛は木崎に海賊船を退治するために作る、所司代の束ねになって欲しいと頼まれる。所司代には浪人が集められる。十兵衛たち数人が残り、海賊をやっつけた時、駿河屋と南方が現れ、十兵衛を殺そうとする。十兵衛は生き残り、木崎は切腹する。
 

2015年10月30日金曜日

浅草料理捕物帖(一)

浅草料理捕物帖(一) 小杉健治
 浅草の一膳飯屋・樽屋の板前・孝助26才。本名・新太郎、十年前に食あたりで人が死に闕所になった・なみ川の息子だった。なみ川は文蔵が手を貸し闕所になり、そのおかげで文蔵が岡っ引きになったと聞き、江戸に帰り、文蔵の手下になって真相を聞き出そうとしている。父親は牢死。母も死亡。妹・新は親戚に引き取られた。
 越野十郎太26才。なみ川で十年前に伊予諸角家江戸家老・渡良瀬惣右衛門が食あたりで亡くなってから一ヶ月後、十郎太の父が闇討ちに遭いなくなった。惣右衛門がなみ川で亡くなったことは伏せられていた。去年、父の親友が亡くなる時、十郎太の父はなみ川の件で口封じされたと告げられた。真相を突き止めようと浪人になっていた。
 文蔵は十郎太の身元を気にしている。
 辻斬りが起こり、文蔵は犯人を捜している。怪しい男・塚次を十郎太が見付け、孝助が文蔵に知らせる。塚次を見張っていた下っ引きが塚次に殺される。塚次に接触した千代治を調べ、千代治の息子・蓑助が起こした事件と、千代治の長屋で起こった遊び人・安蔵と常次郎が殺された事件を知る。千代治は息子の仇討ちを考えていた。孝助と十郎太は千代治の仇討ちを寸前で止め、蓑助の汚名を晴らすことを約束する。千代治に手を貸していた二人を捕まえた。一人は盗賊改が追っていた盗賊の生き残りと辻斬りの犯人塚次だった。遊び人二人を殺したのは、一人目はおかみさん、死体を川に棄てたのは長屋の男たちだった。二人目は千代治が頼み塚次が殺していた。千代治は安蔵を殺したことにした。孝助は文蔵に知らせた。孝助は文蔵の手下になった。

2015年10月29日木曜日

古着屋総兵衛

古着屋総兵衛 初傳 佐伯泰英
 貞享五年 1688年 勝頼15才と光圀61才の出会い。光圀は大黒屋が隠れ旗本である事を承知のようだ。
 元禄三年 1690年 光圀隠居
 元禄四年 1691年 五代目総兵衛幸綱が亡くなる。勝頼18才が六代目総兵衛を継ぐ。西山荘を訪ねる。
 元禄七年 1694年 11月 綱條のお側用人になっている藤井紋太夫が、綱吉お側用人柳沢保明に接触し過ぎ、老中を招いての能興行の途中、光圀自ら藤井を殺す。小者と思っていた柳沢保明が厄介な相手になっていた。
 元禄十三年 1700年 光圀73才死亡 勝頼は駆け付け、遺書を受け取る。勝頼の母は水戸家の儒者の娘で光圀の養女となって勝頼を生み亡くなったことを知る。
出会ってから光圀との交流は深かった。

火花 

火花 又吉直樹
 僕・徳永・漫才師・スパークス・出会った時20才、相方の山下が結婚するためにコンビを解消し芸人を辞める。十年
 僕の先輩・師匠・あほんだらの神谷才蔵24才・


2015年10月28日水曜日

栄次郎江戸暦14

栄次郎江戸暦14 空蝉の刻 小杉健治
 矢内栄次郎は十万石渋江藩筒井能登守忠久の下屋敷の能舞台で三味線を弾いている時に、忠久が毒を盛られ倒れるのを目撃する。その後、水島忠四郎という能登守にそっくりな旗本の四男に会う。二人は双子だった。能登守は陰の弟がいることを知り、藩政を疎かにし、遊ぶようになり、家臣から藩主交代を計画されるようになっていた。弟は生きる目的もなく怠惰に生きていた。
 忠四郎は兄の身代わりになり毒とわかって飲みほす。栄次郎が助ける。忠四郎は自由になった。能登守は心を入れ換えた。
 呉服商は引退した。留守居役は切腹した。
 

2015年10月27日火曜日

ちょちょら

ちょちょら 畠中恵
 文政六年
 間野新之介は播磨の国、多々良木藩の江戸留守居役を拝命する。新之介の兄は留守居役であったが切腹した。もう一人の留守居役は家族を連れて出奔し、亡くなっていた。
 藩にお金が無く、留守居役が使うお金も無く、お手伝い普請を仰せつかっていた。
 印旛沼の開拓普請があるという情報を掴む。新之介はお手伝い普請を逃れる術が無く、全藩が逃れる術を探そうとする。殆どの藩が抜けた時、老中が全留守居役を集め、印旛沼の工事が無いことを伝えた。
 老中の手を借りて多々良木藩も脱けることが出来た代わりに、間野新之介は老中から他藩へ引き抜かれる。

2015年10月26日月曜日

ゆめつげ

ゆめつげ 畠中恵
 清鏡神社の神官兄弟・川辺弓月22・信行18。弓月は夢告をする。 
白加巳神社の権宮司・佐伯彰彦に青戸屋の息子だと名乗りを挙げた三人の少年の中から本当の息子を見付けることを頼まれる。
 三人の親の内二人が殺される。青戸屋の全財産を奪うために、倒幕派の浪士に拘束される。
 弓月の先の事を見る力でみんな抜け出ることが出来る。三人のうち、青戸屋の子供が分かる。青戸屋・幸右衛門の息子・信太郎と言う時と、ただ、信太郎と言う時では見えるものが違うということ。本当の信太郎が分かるが、青戸屋は三人の面倒をみる。
 浪士たちは捕まる。彰彦は神官を政治の道具にされ自分たちがどうなるか心配なため由緒があり夢告ができる弓月を京都へ連れて行こうとする。
弓月は将来も落ち葉を掃いている神官を視、京都へ行く事を辞め、そのままの生活を続けた。

2015年10月25日日曜日

しゃばけシリーズ

しゃばけシリーズ ねこのばば 畠中恵
 茶巾たまご 傾きかけた海苔問屋大むら屋の主人は長女のお秋を一太郎の兄・松之助と見合いをさせ持参金付きの養子にしようと計画する。お秋は殺される。大むら屋の主人夫婦は去年流行り病で亡くなっていた。お秋姉妹のおじ夫婦がやってきて主人になっていた。お秋は海苔料理百選を考えていた。殺しの犯人は番頭だった。
 花かんざし 一太郎は迷子の五才位の於りんを家に連れてくる。於りんは鳴家が見えるようだ。於りんの家は材木問屋だった。おじは正三郎、正三郎の許嫁は厚化粧のお雛さんだった。於りんの乳母が殺されていた。於りんの母親は正気では無くなっていた。母親は川に飛び込み助けられたが、それが元で亡くなった。
 ねこのばば 一太郎は猫又から、猫又になりかけている猫が広徳寺の寛朝に預けられたので助けて欲しいと頼まれる。一太郎は広徳寺で殺された僧の死体を見付ける。寺のお金を流用していた僧がお金を隠した部屋に猫がとじ込められていた。お金が必要になった若い僧たちは、お金を出してくれない僧を殺していた。一太郎は猫のいる部屋にお金がある事を見抜き見張り、僧たちを捕まえる。
 産土 佐吉が長崎屋に来るまでにあった話し。木偶人形が、お金と交換して人間の命を奪い人間になっていく妖から、若旦那を守れなかった話し。
 たまやたまや 三春屋の栄吉の妹・お春ちゃんに縁談がくる。若旦那・一太郎は複雑な心境だ。相手の献残屋の若旦那・庄蔵を調べに行く。庄蔵と一太郎は侍に捕まり、土蔵に閉じこめられる。一太郎は庄蔵のことが良く分かった。仁吉たちに助けられた後、お春ちゃんは、一太郎から貰って無くした煙管を見付けてくれたら結婚するという。煙管(あげた事のない煙管)を一太郎は庄蔵にお春ちゃんに渡してと託す。お春はお嫁に行った。
侍が探していたのは庄蔵の持っている煙草入れに付いている根付けの中の米粒ほどの細工物の雛飾りだった。お春はお嫁に行った。

2015年10月24日土曜日

風の市兵衛15

風の市兵衛15 夕影 辻堂魁
 唐木市兵衛は旗本から不祥の末息子・辰助が一月寺で普化宗に入宗、葛飾の蒲寺で廻行修業中だったが、今年の夏病気で死んだという噂が聞こえた。家族で行ける者が無く、代わりに本当のところを調べてきて欲しいと頼まれる。
 辰助は、住持の命で人殺しの手引きをしたことを悩み、寺社奉行に訴えでるため寺から逃げ出し殺されていた。
 市兵衛は葛飾でやくざの縄張り争いに巻き込まれる。為替手形相場で儲けを狙っている質屋の隠居、陣屋の役人波岡、やくざの十手持ちの文蔵、無法な普化宗蒲寺の看主・巡景は葛飾を仕切っている吉三郎が邪魔で殺していた。吉三郎の三人の娘を助ける。唐の殺し屋にされた娘・青も傷の手当てを受けていた。返弥陀丿介は青を心配して来た。
文蔵と三姉妹の戦いは三姉妹に軍配が挙がり、文蔵は吉三郎と金次郎の殺害で捕まった。旗本の訴えで寺社奉行が動き巡景も捕らえられた。波岡と質屋の隠居は賂を送り手心を加えたということで捕まった。
 弥陀丿介は青に求婚し、片岡信正の報告したが、青はその場から逃げた。弥陀丿介は二度と自分の元に青が戻らぬ事が分かった。
 

2015年10月23日金曜日

しゃばけ外伝

しゃばけ外伝 えどさがし 畠中恵
 五百年の判じ絵 佐吉が長崎屋に務めるようになった理由。佐吉が徳川の世になって東海道を旅している時、判じ絵を見付けた。五百年前のお礼がしたい、京橋に来て、佐吉へと言うような事が書かれていた。妖狐に誘導され長崎屋のおぎんに対面する。五百年前、仁吉の具合が悪くなりおぎん様が困っている時に佐吉が助けた。その時おぎんが佐吉と名付けた。今、お礼に佐吉に安定した住み場所を提供しようと言った。弘法大師が亡くなってからいなかった大事な相手を持てる。相棒も持てるだろうということだった。
 太郎君、東へ 徳川の時代になり、利根川の流れを変えようとした者がいた。坂東太郎は怒る。こすっからいことはするな。堂々と正面から挑め、と言う禰々子。荒川の蘇鉄河童を使って、杭を抜いたり普請場を荒らしたりする太郎を禰々子が追いかけた。利根川から会いの川に行くと思った太郎は大いに無理ををして太日川に向きを変えた。石や土石が動き、堤があらわれ川の流れが変わった。
 たちまちづき 広徳寺の寛朝の所に口入れ屋・大滝屋の主人安右衛門がいる。おかみさんは強くなれとやかましい。安右衛門が怪我をしている間におかみさんが口入れ屋の仕事をし、失敗する。親戚がやってきて、おとなしい安右衛門を辞めさせ自分の姪を大滝屋の女将に据えようとする。安右衛門は困りごとを大名や長崎屋を使い、事無きに納めてしまう。親戚には要らぬことだとはっきりいい、おかみさんは安右衛門を見直して帰って行く。乗っ取ろうとした番頭が二人を殺めようとするのを、寛朝は見抜く。
 親分のおかみさん 清七親分のおかみさんは寝込むことが多かったが、捨て子が舞い込み育てて強くなった。捨て子を拾った店に、夜、子供を迎えに人が来る。それが盗賊になる事件が多発していた。長崎屋にも捨て子があったことをきき、清七が行くと、盗賊は捕まっていた。長崎屋の捨て子は豆腐屋の子になった。
 えどさがし 明治20年長崎商会と名を変えた長崎屋では、鳴家や妖が若旦那を探していた。100年近くたってそろそろ会えるんではないかと探していた。それらしい新聞広告をみて仁吉が新聞社に行くと殺人事件が起こる。怪我ですんだが、妖の警官は生きていることは伏せておくことにした。命を狙われた新聞社の社員は、昔盗品を見付け、自分たちのものにしていた。未だ使ってはいけないことにしていた。一人、お金が必要になり矢立を持ち出した。その矢立が新聞広告を出し、盗品の蔵に仁吉が来るように仕向けていた。そこにいたのは屏風のぞきだった。

風かおる

風かおる 葉室麟
 佐久良菜摘23黒田藩郡方五十石 渡辺半兵衛の三女、3才の時、竹内佐十郎の養女になる。13才の時、佐十郎が女敵打ちに出るため、実家に戻る。16才(七年前)鍼灸医・蘭方医・佐久良亮に嫁す。亮より医療の手ほどきを受け診療する。一年前、亮は長崎に勉強にいく。
 渡辺誠之助 18才 菜摘の弟。菜摘の家の居候
 稲葉千沙16才 医師稲葉照庵の娘
 女敵打ちから帰って来た佐十郎は、昔の友・嘉村吉衛の妻・多佳が暮らす待月庵で寝込んでいた。女敵打ちの相手・松江に会い、女敵打ち・二人の駆け落ちが何者かに仕組まれていたことが分かり、果たし合いをしようと帰って来ていた。
 昔、多佳と佐十郎は結婚するつもりの二人だった。が、兄により多佳は嘉村と結婚した。佐十郎と嘉村が長崎聞役に着いた時、佐十郎は嫉妬のため、嘉村に辛くあたる。他藩の同役も苛めに加わる。他藩の侍のために嘉村は梅毒に罹ってしまう。嘉村や友達は佐十郎のしたことと思い、佐十郎に女敵打ちに出ないとならないように仕組んだ。友達は出世争いから落とすことも考えていた。嘉村はその後、長崎で亡くなる。友達たちは出世していた。そこへ佐十郎が帰って来た。
 菜摘は元義父だった佐十郎の果たし合いを止めるため真相を探り、相手を見付けようとする。真相に近づいた横目が殺された。凡の真相を突き止めた亮が長崎より帰る。自分を嵌めた者を討とうとする佐十郎に、多佳は全てを話し、嘉村の代わりに、佐十郎を刺し、その場を離れる。死に際を看取ることは出来ない。佐十郎が死んでから、菜摘たちに真相を話し、佐十郎の横で自死する。
 千沙に家老に繋がる藩医の息子との縁談が来る。断わるために長崎の亮の所へ行くという。菜摘も一緒に、誠之助も医師になる勉強をしようと決めてしまう。


2015年10月22日木曜日

剣客旗本奮闘記7

剣客旗本奮闘記7 霞を斬る 鳥羽亮
 御納戸衆が殺された。青井市之介は叔父御目付・大草主計に頼まれ御徒目付・糸川俊太郎と共に調べる。御納戸組頭と御納戸頭が出世のため幕府御用達の商人にお金を要求し、出さなければ御用達を替えるという。替える商人からもお金を取っていた。組頭のやり方に反対した御納戸衆が殺されたようだ。呉服商には、御用達を降りろという要求から長男を勾引かされ、店の乗っ取りを要求されるようになっていた。市之介たちは子供を保護し、子供を勾引かしていた商人の三男を、町方同心に引き渡し、調べ挙げたことを御目付けに報告する。
 いつもなら、出世のために賄賂を贈る相手にまで手が届かないが、今回は御側衆・吉沢伊勢守紀久が病気と言って休みを取った。もしかして隠居かも。何かが変わるかも。

2015年10月21日水曜日

鬼役16

鬼役16 一命 坂岡真
 子守り侍 矢背蔵人之介は直太郎という少年に出会う。直太郎は尾張先代藩主の子供だった。伊勢崎新が直太郎を育て守っていた。尾張藩は藩主も代わっていた。誰も知らないはずなのに命を狙われるようになる。裏切られ敵対する者に知られ、伊勢崎は殺される。蔵人之介は裏切った長手助左衛門を討つが、預けられた手紙には田安家への養子に入ることが記されていた。直太郎は田安家に入った。
 鷹の羽 辻斬りの犯人として捕まった船形満は、蔵人之介が跡継ぎにしようとしている卯三郎が兄とも慕う人だった。弟の仇討ちをしようとしていた。松浦家留守居役の鉄砲密輸を調べていた長崎奉行の隠密、密輸を知った船形満の兄、見てしまった商家の主、夜鷹が辻斬りとして殺されていた。松浦家留守居役、韮沢検校、町奉行所吟味方与力、小普請奉行が結託して入れ子捜査をしていた。卯三郎は鬼役を次ぐものとして船形の仇を討つ積もりで、留守居役を斬った。
 藻塩草 望月宗次郎が身請けされた夕霧が不幸だと聞いて帰って来た。夕霧がどこにいるか調べているうちに夕霧の妹分の狭霧が毒殺される。狭霧は贋書きをさせられていた。拒んだために殺されたようだ。同じ仲間に宗次郎が家慶から落胤である証拠にもらった、定家の小倉色紙を狙われる。大奥の敷島までもが現れる。夕霧の居所を調べていた幇間も殺された。吉原の楼主、面番所の同心、小文字屋の灘文が仲間だった。夕霧を東慶寺に訪ねる。夕霧は剃髪していた。宗次郎の母親が三年前まで東慶寺にいたことを伝える。名前は英月。

2015年10月20日火曜日

しゃばけシリーズ10

しゃばけシリーズ10 やなりいなり 畠中恵
 七之助の縁談が整った。相手は千里だった。かなめの許嫁は亡くならずに済み、婚礼を挙げる。
 こいしくて 橋姫が結界を解いてしまった。そのために通町近辺にいろんな神様が集まった。橋姫様がどうしてそんなことをしたのか。恋しい神様と出会うため。恋しい神様とは誰だろう。時花神だ。時花神は姫を救うために姫に会わず橋を渡って遠くへ去った。
 やなりいなり 長崎屋の離れに幽霊が現れる。身元が分からないが、亡くなった噺家を探すがいないようだ。死にかけた噺家を探す。堀にはまり気がつかない噺家が見付かった。猪吉は師匠の娘さん・小よしの身体の調子が悪いので、自分のありったけを質に入れお金を作って長崎屋の薬を買うつもりだった。長崎屋の近所ではしごを持った変な人たちを見た。その人たちに堀に掘り込まれたという。三日後、長崎屋に押し入った盗賊は待っていた妖や一太郎に捕まる。仁吉は小よしに会い病状を診て薬を渡す。猪吉は身体に戻り目を覚ました。
 からかみなり 籐兵衛は大きな雷が鳴った日、雷獣に出会う。籐兵衛は迷子だと思い、家に連れて帰る。家はバシバシ電気が走る。ぐるぐる回し遠心力で遠くへ放り投げる。雲が包み込み連れて行った。
 長崎屋のたまご 逢魔時雲から青い玉と百魅が落ちてくる。たまごから九十九魅が生まれ、迎えにきた一魅と五十魅と九十八魅と九十九魅と百味は帰って行く。
 あましょう 五一は親友の新六の妹と結婚するはずだったが、五一は破談にして房州に行ってしまう。妹の結婚相手が決まったが、花嫁道具のお金がない。新六は持参金付きの相手と結婚することにし、その持参金を妹の結婚資金にすることにした。五一が現れ、自分の所為で新六が好きでもない人と結婚することに我慢出来ない。自分が集めていた硯等を渡すからそれを売って結婚資金にし、持参金目当ての結婚を止めるようにいう。でも新六は相手のあばたなど気にしていなかった。本当は持参金などいらないと思っていた。持参金目当ての結婚ではなかった。五一は病気で死にそうなのだ。生き霊だった。

2015年10月19日月曜日

わるじい秘剣帖1 わるじい秘剣帖2

わるじい秘剣帖1 じいじだよ 風野真知雄
 愛坂桃太郎58才 千五百石の旗本、目付だった。隠居して三年。妻・千賀60才。息子・仁吾
 仁吾の子・桃子と出会う。母親は芸者・珠子。珠子は仁吾に手切れ金50両を要求していた。
 桃子を一目見て可愛いと思い、珠子が仕事をしている間、料亭で桃子のお守りをしながら待っている。家に帰るのが面倒になり珠子と同じ長屋に住むようになる。珠子や桃子の身辺に禍が起こらないように、長屋の人を観察する。元同僚・朝比奈留三郎と一緒にいろいろ調べる。
 強請っている者を見付け長屋に住めないようにして長屋を出た後に住み着いた。
 珠子が出ている料亭で盗みに入ろうとしていた盗賊を捕まえた。
 近くに屋台が置きっぱなしになっているのを調べて、銀座の窓から銀の持ち出しを見付け捕まえる。南町奉行筒井和泉守が現れる。南町奉行所も張り込んでいた。《鬼殺しの桃太郎》を知っていた。同じ長屋の棒手振りの伝次郎は奉行直属の密偵だった。

わるじい秘剣帖2 ねんねしな 風野真知雄
 孫が可愛くてしかたのない愛坂桃太郎は桃子をおんぶしてどこでも出かける。人目など気にしない。
 薬種問屋の主殺しの犯人を調べ挙げ、伝次郎に伝える。内儀と番頭が捕まった後、南町奉行からお礼・二両を貰う。顧問という形で協力することになった。
 料亭の雛人形の顔が変だ。姫人形の顔がどんどん悲しそうになって行く。桃太郎は若夫婦の秘密を探り出した。婿養子の主の子でない長男のところへ、婿養子の外で出来た隠し子である娘が嫁に入った。女将はかなしい。料亭の本店から独立したがっている。主夫婦に本店の大旦那が人形を送っていたのだった。おまえたちの考えてることは知っている、とね。三井清左衛門に頼まれていたので伝えると、お礼が十両だった。
 長屋の浪人三木鷲五郎は姫路藩の江戸家老だった。藩から追い出されていた。門から入れない。もう一人の家老が銀山を堀出そうとするのを、三木は止めた。考えの違いだった。桃太郎が調べると、三年も過ぎ、形成が変わってきているからと門から入るのを手伝う。入ってしまえば江戸家老のまま、銀山経営も失敗しているので返り咲いた。
 三井の育てていた二十鉢の盆栽が一晩消えた。桃太郎が探ると、錺職人の親方の横暴が明らかになった。無慈悲な親方から年季が明けた三人の職人が独立する資金にするために自由に出来ない簪を盆栽の鉢に隠していた。外に持ち出したのだ。
 長屋に越後屋の手代が二人で住んでいる。二人の手代の持ち場の反物が切られていた。三井清左衛門に頼まれ調べると、娘がやっていた。娘は男にやらされていた。だが男の正体が分からない。三井・越後屋の信頼を落とすための嫌がらせだろう。
 他にどんな嫌がらせがあった?聞いてしまった桃太郎。

草刈り 中途半端

2015年10月18日日曜日

しゃばけシリーズ9

しゃばけシリーズ9 ゆんでめて 畠中恵  
 弓手(ゆんで・左手)
 長崎屋の若旦那・一太郎の兄がお咲と結婚し小間物屋・青玉屋を開いた。お咲に子が出来てお祝いに行く途中、生目神かなと思った者の後を追ったために、帰るのが遅くなり、長崎屋の近所で起こった家事の対処が出来なくて、屏風のぞきを地下蔵に入れられず、離れを潰されてしまった。何人もの職人に屏風を預けるが、直して貰えず、最後の職人が途中で亡くなり、屏風が行方不明になてしまった。四年経った今でも一太郎は屏風を探している。
 一年前には、小乃屋の七之助さんに近江から千里さんというお嫁さんが来ることが決まった。千里さんといっしょにかなめさんが江戸に来、帰りがけに一太郎は「江戸に嫁に来てもいいと思っていますか』と問うた。
 二年前には、狐と狸と七之助と冬吉と栄吉と寛朝さんと大勢で飛鳥山に花見に行った。
 三年前には、大雨になりみんなが上野に非難した時、利根川の禰々子河童・おねが現れ、神社の宝と言い張っていた玉を龍に帰し、雨降りをとめた。
 が、しかし、生目神は四年前に若旦那が追ったはずの生目神かなと思った、市杵嶋比売命を一太郎の前から消した。新しい日が始まった。屏風のぞきは元気にいる。まだ松之助(お咲の子)も生まれていない。
 七之助の結婚はどうなった? 一太郎はかなめを知らない?

2015年10月17日土曜日

しゃばけシリーズ8

しゃばけシリーズ8 ころころろ 畠中恵
 長崎屋の若旦那・一太郎の目が見えなくなった。
 十二年前、一太郎が12才の時、奇麗だなと思ったお沙衣の母親の目が悪く、生目社を再建するべく、七宝を集めたことがあった。その時に見た生目神をこの度も見た後、目が見えなくなった。みんなで生目神を探す。
 仁吉は妖が見える万次という少年を寛朝がいる広徳寺に連れて行った。母とはぐれて成仏出来ず母を探して人形に代わってしまった女の子を鳴家の持っていた一文銭で三途の川まで案内した。
 佐吉は生目神に会えるかも知れないと思い妖が付いた箱枕で寝て夢の世界に入った。自分を置き去りにした男を食い、鬼になった女がいた。佐吉は女・おたきを助けられたと思う。
 生目神を生け捕った広徳寺で問答を始めた。一太郎は生目神が人間不信の様な気がした。周りの反対を押し切って神と結婚した女が神が少し留守をした間にいなくなっていた。女はどうしたと思うか。という質問に一太郎は菩提寺の過去帳を見ればいい。と答える。神様の時間と人間界の時間が違ったのだろう。一太郎の目は見えるようになった。

2015年10月16日金曜日

燦6

燦6 花の刃 あさのあつこ
 闇神波の騒動を公儀に悟られぬよう処理するために一ヶ月以上経った。闇神波と通じていたのは大殿・常寿だった。鷹・九鬼姫の仇討ちだった。圭寿が自分の子ではないのではないかと疑っていた。
圭寿は山内兵庫之助から話しを聞き、山内に瑞和に家督を譲り隠居する心積もりしておくようにいう。瑞和に江戸表を総べる心と実を伝える。死んで償えることなどない。まだまだ、しなければならないことがある。と言い置く。
 お吉と孤児たちが、ごろつき紛いの遊び人に襲われ、怪我をした。燦はみんなを探し、静門院の屋敷に預けた。静門院・於ようはお吉を侍女にし、子供たちの面倒をみる。お吉は怨みに振り回されて生きるのは愚かだという。お吉は伊月と圭寿の身分を知った。
 圭寿の正室が決まる。大井藩十万石高頭重明次女・輝子8才だった。正室が居なければ国許に帰れない。洪水で大変な国許に早く帰りたいために出立十日前の婚儀に決まった。国をたて治さなければならない。薬草の栽培も考えている。
 薄ケ原鷹丸が書いた「神波碧空伝」の挿し絵ができ上がった。
 圭寿たちは国に帰って来た。
 燦は山中の住み処に帰るが、篠音も興次も居ない。そして、毒が塗られた飛礫に襲われる。

 
父入院

髭麻呂 

髭麻呂 諸田玲子
 髭麻呂 藤原資麻呂24才 検非違使庁に勤める看督長という下位の官人 顔立ちがおっとりしているため、髭をはやしている。母は宮中に務める女官 兄・公麻呂は近衛府の武官で中納言家に婿入りしている。
 雀丸 髭麻呂の従者 捨て子だった。12才~15才
 梓女 髭麻呂の恋人 祖母と母の三人家族 祖母は調香師、母は音を頼りに装束を作る服飾デザイナー 二人が居るために髭麻呂は婿に入る決断ができない。髭麻呂は二人のお気に入り。
 楓館の怪 楓の御方が殺され宝玉が盗まれた。蹴早丸が殺して盗んだことになった。本当は楓のところに通う式部卿が、他の女の娘が舞姫に選ばれたためお金が入り用で楓に無心をしたが、争いになり転んで頭を打ち亡くなった。宝玉を盗んで行ったということだ。梓女の助言で式部卿が宝玉を売ったと思われる商人のところに行くが蹴早丸が先に奪っていた。髭麻呂は蹴早丸の捕縛を命令される
 女心の怪 梓女が宮中の女官になった。髭麻呂が忍んで行き、部屋を間違う。帰る時女官がその部屋に入るのを見た。部屋の女官・初音が殺された。梓女は初音が殺されるのを阻止するために宮中に入っていた。歌会で「世のなかに絶えて初音のなかりぜば 春の山里のどけからまし」と読み山里を捕まえた。
 月夜の政変 花山天皇が蔵人・藤原道兼と右大臣・兼家の騙しで19才で出家した。髭麻呂は護衛に付いた。騙しを知っていても何も出来ず護衛兵と見ていた。後で護衛兵は蹴早丸だったことが分かる。道兼と満仲の宝玉を縫い付けた石帯を強請りとっていた。
 かけがえのないもの 満仲の孫・安麿10才が殺された。孝王丸と常頼も勾引かされている。蹴早丸の仕業と言われた。検非違使の長・尾張義久が次は我が子・義継という。雀丸が義継の代わりに囮になり、蹴早丸に勾引かされる。蹴早丸のところで大勢の孤児たちと働いていた。二人もいたが帰らないという。安麿は蹴早丸ではないという。髭麻呂は安麿を殺した犯人を追う。
 烏丸小路の女人 正月に孤児たちの所から帰った二人がまた戻ってきた。孤児たちの小屋を打ち壊された。髭麻呂は孤児たち四十人を自分の家に引き取った。安麿の死の理由をさぐっている。安麿の母・三の御方に安麿が情事を覗き見したために殺されたのかも知れないことを知らせた。三の御方は自殺した。
 笙と琴 尾張義久から義則の娘との結婚を強いられる。蹴早丸の御陰で縁談は無くなったが、目の前で琴が盗まれ、笙で昏倒させられた。琴は十八年前に謀反の為太宰府に左遷された源高明の持ち物だった。
 香たがえ 三の御方の情事の相手を見付けるために梓女の祖母の手を借り、宮中で香を清める香たがいをすることになった。密会相手は道兼だった。犯人でもなかった。梓女に言い寄る道兼に髭麻呂は自分の妻だと抜刀する。安麿殺した犯人を捕らえたら婿になるという。
 鬼法師の正体 ある時は義則の家人、ある時は借家の大家、ある時は商人、丹波の蔵は盗品の山だった。髭麻呂は蹴早丸が現れるといい、検非違使を動かし丹波の屋敷を囲う。蔵は空っぽだった。髭麻呂の兄・近衛武官の藤原公麻呂が左大臣・源雅信の命令で丹波を召し捕りに来た。丹波は盗賊・鬼法師。盗品は尾張義則の屋敷に運び込まれた。盗品を押収したことを伝える。丹波は捕まった。
梓女の祖母は孤児たちに丹波の屋敷の見張りを頼み、蹴早丸が丹波の蔵に目をつけたと噂を流した。思った通り丹波は義則の屋敷にお宝を運び込んだ。雀丸が髭麻呂の母に伝え、左大臣の耳に入れた。左大臣は高明の従兄弟だった。安麿は丹波が三の御方と道兼の表衣を盗んだのを見たために殺された。
蹴早丸は高明の屋敷に火をつけるのを見たために勾引かされ遊女屋に売られていた高明の娘・明子を探し出し、隠していた。蹴早丸は高明の家人の息子・佐藤春道だった。春道は高明の娘・明子を連れて若狭へ帰った。
髭麻呂は婿になった。
孤児たちは満仲の領地摂津に住むことになった。
雀丸は髭麻呂の息子・藤原小麻呂になった。
髭麻呂は


2015年10月15日木曜日

とびきり屋見立て帖

とびきり屋見立て帖 千両花嫁 山本兼一
 千両花嫁 御道具・とびきり屋という店を三条木屋町に持った真之介は元居た茶道具商・からふね屋に千両箱を結納金の代わりに置いて、お嬢さん・ゆずを略奪してきた。とびきり屋の番頭、手代、丁稚、女子衆を立ち合いに三三九度の盃を交わした。
千両箱を芹沢鴨等が持ち去ったことを聞き、取り返しに行く。真之介は何も出来ず、ゆずが御座敷で桜茶の桜の出身地当てをして、千両を取り返す。
 金蒔絵の蝶 元芸子の小梨花は室町の千倉に嫁いだ。姑に苛められるが頑張っている。姑は他に言い立てることも無くなり、花嫁道具に文句を着ける。真之介夫婦は道具を見に行く。蒔絵の上等の道具ではあるが落ち着いた千倉にはぴったり来ない。ゆずは道具を売ったからふね屋に行き、自分のために作られた落ち着いた花嫁道具を千倉に運び込む。金蒔絵の道具はからふね屋に行った。
 皿ねぶり 坂本龍馬から買い付けたぼろぼろの鎧謐の中に天正大判が十枚入っていた。真之介は返しに行く。一枚を貰い、坂本と勝海舟を下宿させることになった。夜、勝を狙って侍が押し入った。店の者は、あっちこっちと渡り歩いた者たちだったが、力を合わせて店とゆずを護った。
 平蜘蛛の釜 高杉晋作が平蜘蛛の釜と上書きがある箱を坂本に渡して欲しいと持ってくる。ゆずが真之介に伝える前に、近藤勇に売ってしまう。真之介がとり戻しに行くが、近藤は売ってしまっていた。相手はゆずの許嫁だった茶道の家元の息子だった。ゆずは棗を二つ用意し本物を当てたら嫁に来ましょうという。息子が本物とした棗を偽物だといい、壊してしまう。平蜘蛛の釜の破片が入った箱を返してもらう。棗はどちらも偽物、箱だけが本物だった。
 今宵の虎徹 十三本の虎徹がある。本物は一本だけ。近藤が店に来る。これが本物だと自分で選んで持ち帰る。その虎徹が折れる。近藤が怒鳴り込んできた時、今度は折り紙のついた虎徹を渡す。偽物だった。手代・俊寛が本物の虎徹を当てた。
 猿ケ辻の鬼 武市が坂本に会いに来るが留守だった。武市は姉小路公知を攘夷に引きつけておくための贈り物を探していた。真之介は何か良い物はないかと相談される。武市と一緒に来た薩摩の人が般若の面を買った。ゆずは坂本から姉小路公知に蒸気船に乗せるのに言い贈り物は無いかと相談される。ゆずは真之介に真之介から貰った、源氏物語五十四帖の絵柄の特別小さな貝合わせがいいという。真之介はゆずから貰った遠眼鏡を出す。二人はそれぞれに何も見付からない。人の心を動かすのは人の心しかないという。姉小路公知は軍艦に乗った。開国派になったようだ。公知が殺された。花を供えに行くと般若の面が落ちていた。
 目利きの一万両 真之介は赤ん坊の時、知恩院の三門に捨てられていた。辻が花の守り袋があった。辻が花染めはなかなか無く高級品である。同じ柄の布を見付けた。出所を調べると茶道家元に出入りする表具師だった。真之介は自分の出生をしりたかった。
茶道家元の息子とからふね屋の息子と表具師の息子が、勤王派の巣窟に一緒にいたために壬生の新撰組に捕まっていた。真之助は芹沢と一万両と三人の解き放ちを賭けて勝負する。八人が剣術の試合をして一位、二位を当てる。真之介は勝ったが芹沢は三人を放そうとしない。近藤が三人を帰せという会津候のお達しを持って帰って来た。
家元の床の間の掛け軸の絵の古田織部の着ている小袖の模様が辻が花の真之介の守り袋と同じだった。からふね屋が「捨て子のおまえを包んであった裂や」といった。
からふね屋がとびきり屋に来た。「許すも許さんも、おまえら、もう一緒に住んでるやないか」といった。
もうすぐ祇園さん

2015年10月14日水曜日

まんまことシリーズ4

まんまことシリーズ4 ときぐすり 畠中恵
 朝を覚えず 大名のお抱え医師の弟子が作る薬を飲み、老人や、病気の者がなくなった。何日も寝たままの者が出た。麻之助は薬の量や渡す人を見て、薬を試していると考えた。医師を呼び出し酒やつまみに薬を塗り食べさす。自分も食べる。薬を欲しがる人で試すのは止めてくれという。
 たからづくし 清十郎に縁談が持ち上がる。清十郎は丸三の所に逃げ込む。清十郎に好きな人が出来たが相手は武家娘で決まった人がいた。吉五郎は盗賊を追っている。戸を開けてしまった手代は盗賊を入れてしまったことを悔いて、盗賊の一人を放さなかった。麻之介は盗賊の集合場所と渡された巾着の模様から、場所を特定し盗賊は捕まった。
 きんこんかん おきん、お紺、お寛の三人が、団子屋、汁粉屋、煎餅屋の小さな店を出す。三人が吉五郎に言い寄る。何故か。麻之介は大きな店を出させてもらう条件が吉五郎に美味しいと言わせることだと見抜いた。吉五郎が美味しいと言えば儲かると考えた者がいた。利用されたのだった。男は店を出させた者を妾にするつもりだった。三人の女は妾のことを知り断わる。丸三の助けで三人で一つの店を出した。
 すこたん 仲良しの商家が、店が近くになったことで仲たがいをする。息子たちも一人の娘を好きでもないのに取りあう形になる。麻之介は違う商家の息子と一緒になるように芝居をする。
 ともすぎ 吉五郎の様子がおかしい。今まで友達がいなかった丸三は友達と言ってくれる吉五郎を心配する。吉五郎は知りあいの娘に小太刀を教えていた。娘の結婚相手から、武家の賄賂の仲立ちをしている金貸しを探して欲しいと頼まれる。丸三は探し行方不明になる。丸三の手代が丸三に隠れてやっていたことだった。丸三は自分の蔵に閉じこめられていた。
 ときぐすり 麻之介の猫・ふにを助けてくれたのは捕まった盗賊に拾われ育てられ、飯炊きをしていた少年・滝助だった。袋物を縫う息子を亡くした数吉の手伝いをして隠れて暮らしていた。残った手下が滝助の所へ来た時に捕まえた。滝助と盗賊のやり取りを長屋のみんなが聞き、滝助を助ける。滝助は長屋で暮らす。

2015年10月13日火曜日

髪ゆい猫字屋繁盛記4 髪ゆい猫字屋繁盛記5

髪ゆい猫字屋繁盛記4 望の夜 今井絵美子
 梅雨の月  五月 魚竹は売りに出された隣の魚安を買うことに決めた。跡地を「竹とんぼ」と言う朝と昼の飯屋にすることにした。竹とんぼをお多福のおてるに任せる。
 気の晩 鹿一はおたみと佐吉に後悔するようなことはないようにと言われ、父親の見舞いに行く。一ヶ月後、死を見取り、野辺送りをし、埋葬をして帰って来た。
 草の息 五月、およしが男の子を出産。嘉平と名付ける。おたみの夫・今は亡き、尾神の親分の名前だ。
 望の夜 八月 猫字屋の常連客・亀松の女将・お蓮の過去が分かる。お蓮を落籍してくれた旦那は三年会えないまま亡くなっていた。

髪ゆい猫字屋繁盛記5 赤まんま 今井絵美子
 秋麗 山女 赤まんま 神渡し 九月~
 九月五日 竹とんぼが開店した。
 九月二十日 佐吉とおきぬの祝言だった。おきぬは猫字屋で家事をこなす。
 お蓮は立ち直ったようだ。
 錦絵の絵師・菱川瑞泉は嘉平にお乳を飲ませているおよしの絵を描く。
 木戸番小屋の伊之吉とおすえが育てている兄妹の三番目・お梅4が熱を出し、吐き、八丁堀の道玄のところに運ばれるが、次の日に亡くなる。二週間経っても兄・松太郎7、竹二郎5が元気がない。妹が亡くなった所為だと思っていたが、おすえの元気がないことが原因だった。おゆきが助ける。
 喜三次と交代で手習い塾をする高倉の妻の容態が良くない。喜三次は自身番を離れられないので、前に知り合った衣笠睦之介に頼んだ。高倉の妻が亡くなった。
 喜三次は前に、衣笠睦之介の妻・菫を一ヶ月見ていないと言うことを聞き訪ねていた。菫は旗本に呼ばれ、犬に飛びつかれ預かっていた反物を駄目にしてしまい、お金を返すまで預かりになっていた。喜三次は旗本の屋敷へ行き、旗本の次男が犬を調教し、反物にかぶりつくようにされていたことをあばき、菫を連れ帰っていた。
 自身番の前に子供がおきざりにされた。木戸番小屋の伊之助夫婦に預ける。亡くなったお梅と同じくらいのお寿々と言う女の子だ。手掛かりを探して住んでいたところに行くが母親・お苗は戻っていない。

2015年10月12日月曜日

居眠り磐音江戸双紙1

居眠り磐音江戸双紙1 陽炎の辻 佐伯泰英
 またまた読み始める
 明和九年 1772年 四月 
坂崎磐音27才・河出慎之輔28才・小林琴平27才は江戸から豊後関前へ帰って来た。
磐音は琴平の妹・奈緒と祝言を挙げる予定。慎之輔は琴平の妹・舞と結婚している。
 河出慎之輔28才江戸から豊後関前に帰った日、叔父から妻・舞が不義密通を犯していると聞き、手討ちにする。慎之輔の友・舞の兄・小林琴平は慎之輔と慎之輔の叔父を殺してしまう。磐音は本当の事を妹・伊代から聞き、琴平に告げようとするが、琴平は舞の不義の相手と言われた、山尻頼禎をも殺してしまう。磐音は上意討ちで琴平を倒す。
 九月 磐音は関前に居られず江戸に来た。
長屋の大家・金兵衛に紹介され宮戸川で鰻裂きの仕事を見付けた。用心棒を必要とした両替商・今津屋にも雇われた。今津屋は老中・田沼意次の発案・南鐐二朱銀の流通をさせるのことに頭を痛めていた。磐音は両替商行司・阿波屋を敵に回し、貨幣政策に対する謀反を明らかにし、贋南鐐を表に出すことによって今津屋を助けた。

蘭方医・宇津木信吾3

蘭方医・宇津木信吾3 奸計 小杉健治
 文政十一年 1828年 7月
 岡っ引き欣三親分は12年前の押し込みで手込めにされ自殺したおそでに犯人を捕まえると誓っていた。一人の左腕に三つの並び黒子がある。おそでが言った手掛かりだった。信吾の患者・板吉を疑っていた。板吉の左腕は何かを消すように火傷をしていた。欣三は病気で長く生きられないことが分かっていたので焦っていた。板吉と欣三の下っ引きが殺される。犯人は板吉を居候させている古着屋の主人だった。仲間を捕まえ白状させる。黒子のある者もいた。欣三は亡くなる。
 上島漠泉の娘・香保と結婚すれば出世できるということが嫌で断わっていた縁談だが、香保に奥医師・桂川甫賢の弟との縁談が持ち上がり信吾は婚約解消となった。信吾は香保が好きなことを思い知る。シーボルトが日本地図を持ち出そうとしていたこで、シーボルトにいろんな品物を渡した人物が調べられる。上島漠泉も含まれた。桂川家から縁談は解消された。漠泉は屋敷・財産の没収も覚悟している。信吾は漠泉に香保を託された。
 高野長英が幻宗の施療所に来た。


2015年10月11日日曜日

綺良の桜

綺良の桜 今井絵美子 
 綺良は子供の頃、盛岡藩初代藩主の庶子・彦六郎にお嫁さんになると言った。
 綺良の父親は藩主・利直のお側用人で三百石だった。が藩主が重直になり、三十五石になる。
 藩主のお声がかりで彦六郎は家臣の娘と結婚する。
 綺良は南部鉄器を作る鋳物師と結婚し子供ができるが、半年で亡くす。
 49才の時、殿様になった彦六郎に茶釜を届け、話しをする。正室にできなかった綺良を側室に迎えることは出来なかった。という。
 火事で夫を失うが、鋳物師・縫殿の名跡を継ぐ。

2015年10月10日土曜日

しゃばけシリーズ7

しゃばけシリーズ7 いっちばん 畠中恵
 いっちばん 老舗の大店の次男が掏摸をしているようだ。日限の親分は証拠が無い、別人に渡す方法が解らないで悩んでいた。妖たちが若旦那のプレゼントを探し回っているうちに、取った物を隠している所と、仲立ちをする犬と、匂いを見付けた。
 いっぷく 誰かが鳴家を探しているらしい。近江に本店がある唐物屋・小乃屋と西岡屋と廻船問屋・長崎屋で品比べをすることになった。長崎屋だけ情報を与えられない。小乃屋の息子・七之助が情報を教える。鳴家(やなり)を一匹捕まえて一太郎に会いに来る。言いにくそうに妙な事を言う弟の話しをする。弟は一太郎と一緒に三途の川の手前から帰って来た冬吉だった。鳴家を探していたのは、弟の言うことを信用した七之助だった。品比べで点数を取ったのは西岡屋だったが売れたのは長崎屋で次が小乃屋だった。
 天狗の使い魔 一太郎は信濃山の六鬼坊という天狗に勾引かされた。修験者・八坂坊が亡くなり、友達がいなくなった。八坂坊が連れていた管狐・黄唐の世話をしたいのだが、王子の狐の所から出ない、拒まれる。若旦那と引き換えに黄唐を渡せと迫った。一太郎は黄唐と話し、王子を離れられないことを知った。六鬼坊が黄唐の所に遊びに来ることは構わない。話しをできるように話しを付けた。
 餡子は甘いか 美味しい餡子を作れない三春屋の栄吉は安野屋で修業をしている。後から入った八助が手伝っているのに栄吉は店にも入れてもらえなくなって、菓子を作りたいという気持ちになれなくなっていた。もう辞めようと思った時、蔵から砂糖や粉が無くなっていることに気付いた。八助が盗んでいた。栄吉が好きになっていた番頭の娘・おくみが仲良くなっていた八助の友達彦丸も仲間だった。八助が捕まり、注文の菓子を作るのに栄吉も入れてもらえた。栄吉はやっぱり菓子作りは辞められない。好きだ、と思った。
 ひなのちよがみ 厚化粧をしていたお雛が薄化粧になった。火事で焼けた店はたち直ったが、店のやり繰りは大変だった。お雛は白粉袋に千代紙を使い人気が出る。千代紙を仕入れた店・錦屋志乃屋の次男・秀二郎がお雛に求婚する。お雛の許嫁・正三郎は一太郎に泣きつく。仕入れを番頭がするようにすると、同じような袋を志乃屋が売り出す。正三郎は新しく紙入れを作り、当たりくじを引いた人にプレゼントすることを考えついた。厚化粧の三人の中から、お雛を見付けることが出来なかった秀二郎はお雛への求婚を取り下げた。

2015年10月9日金曜日

樽屋三四郎言上帳

樽屋三四郎言上帳 男っ晴れ 井川香四郎
 町名主「樽屋」の若旦那・三四郎23才は家督を継いで三ヶ月。将軍・吉宗に年賀の挨拶に行き、吉宗と話しをする。
 三四郎は”百眼”という裏の務めのことを知る。三四郎は裏や表は嫌い、大岡越前や吉宗に利用されるのは御免だ。という。
 三四郎は無宿の者を集めて向島に町を作る中で、百眼に支えられていることを知る。

髪ゆい猫字屋繁盛記3

髪ゆい猫字屋繁盛記3 十六年待って 今井絵美子
 初花 商家の家内が主人の弟と不義をし、主人を裏切っていることが辛く自殺する。弟も後追い自殺をする。おたみの髪結いの兄妹弟子・おしんが死ぬ。
 十六年待って 魚竹のおゆきの父親・竹蔵は昔の恋人と再会した。再婚を薦められる。妻・おかねの17回忌の相談に行き、住職からおかねの手紙を渡される。おかねは16年たったら再婚しても良いよ。と言う内容だった。
 春の雷 おきぬは兄・丑松のために辛い思いをする。怪我をした理由は丑松が小女に手を出したからだった。居酒屋でおきぬの昔のことを混ぜ返され、おゆきは表情が無くなる。佐吉はおきぬを嫁にすることを家族に話す。
 おたみはおぎんの形見を花魁・千種太夫に渡す。千種に母・おはなとおぎんとおしんの話をする。おぎんは髪結いの師匠、おはなとおしんはおぎんの娘
 卯の花腐し 猫字屋で働き始めた鹿一の所に女が訪ねてくる。母親と10才の鹿一と妹を置き去りにして父親と一緒に逃げた女だった。父親は妹を連れ出し売っていた。探し出した妹は7年前に亡くなっていた。鹿一は父親を許せない。父親はもう長く生きられないらしい。
 おたみは瑞泉におてると菊之助の話をする。


2015年10月8日木曜日

裏江戸探索帖3

裏江戸探索帖3 刃引きの男 鈴木英治
 朝比奈徳太郎28才は、仕官の話しが潰れた大名・信州小諸一万五千石・牧野家の藩主康時から脇差しを貰う。牧野家留守居役から康時の勾引かしを知らされ、救い出すことを頼まれる。犯人豪之助は農民だった。税を徴収する役人を斬り、牢に入っている間に家族、村人多数が餓死していた。敵討ちのため、国許の家老と商人を洞窟の入り口に蓋をし閉じこめる。殿様を餓死させるつもりだった。徳太郎に見付けられ、豪之助は自死する。康時に礼をと言われ、善政を願う。
 山内修馬は商家の妾・摩伊の用心棒を頼まれる。摩伊は盗賊の元情婦だった。久岡勘兵衛と手を組み、おとりで摩伊が勾引かされ、隠れ家で盗賊を捕まえる計画を立てる。修馬も手を貸す。隠れ家で全てを捕まえる。
 勘兵衛は修馬の徒目付のお役御免には誰かの作為を感じるという。勘兵衛は今も調べているらしい。

2015年10月7日水曜日

百万両の伊達男3

百万両の伊達男3 雪辱の徒花 稲葉稔
 櫻井慎之介は水野越前守忠邦の家来を名乗る武士に水野出羽守忠成を失脚させようと持ちかけられる。ために御用金を狙うことにした。仲間が皆殺しにすることに驚き、仲間が自分とお松を殺そうとしたことに腹を立てる。お松と慎之介は仲間を見付け出し三千両を取り返す。慎之介はお目付けにお金を渡し、礼金を貰うことにする。礼金三両だった。

2015年10月6日火曜日

まんまごとシリーズ3

まんまごとシリーズ3 こいわすれ 畠中恵
 おさかなばなし 置いてけ堀に河童が出るはなし。姉が嫌な縁談を断われず荒れた弟がたまたま置いてけ堀で刀を振り回しお金を手に入れた。お金は返した。川崎の商人が二年前に川崎の置いてけ堀で亡くした子を江戸で探していた。
 お江戸の一番 趣味の会・書道の連と川柳の連、どちらが一番か両国の見世物小屋の人の入りで決めようとした。他の連から嫉まれるほどの人気、双方の頭がお目当ての茶屋の娘は我が物には出来なかった。もともと茶屋の娘狙いだった。
 御身の名は 清十郎の町入用のお金をくすねた番頭の話。お寿ずの幼友達の嫉妬。
 おとこだて 夫の暴力のため離縁して欲しいが持参金を返せないために離縁してもらえない女のために不倫の噂を作り離縁されるようにしようとした、弟の友達。
 鬼神のお告げ 鬼神のお告げの番号の富くじを買い、本当に当たった話し。富くじの不正を暴く。当たった男に孤児院への寄付をすることを約束させ不正をしていた。
 もうすぐ出産を控えていたお寿ずが早産した。女の子は生まれてすぐ亡くなり、半月後寿ずが亡くなった。女の子は咲と名付けられた。
 こいわすれ 麻之助は縁談が潰れて自殺しようとした娘を助けた。娘と相手の男と男が前に付き合っていた女と家族が集められる。男が母親の言いなりなのが分かって、二人の女は納得して別れる。
 いつも寿ずに話しかける麻之助が、寿ずの死後初めて泣いた。

2015年10月5日月曜日

口入れ屋用心棒29

口入れ屋用心棒29 九層倍の怨 鈴木英治

2015年10月4日日曜日

渋沢瑛一の東京事件簿

渋沢瑛一の東京事件簿 偽装強盗 六道慧 
 ご算用日記の昭和版
 昭和三十七年 1962
 渋沢瑛一21 父親が連帯保証人になった三千万円の借金のため大学を諦め、二年間町工場を渡り職人のように転々とし、四月から曙信用金庫に勤める。やくざ絡みの会社への融資を断わり、中小企業特別支援課、別名お困り課に移動。
 母方の生田家に伝わる古文書を見付ける。
父・敏之50鉄工所社長 母・芙美48 兄・崇史26都市銀行の頭取令嬢と結婚し小沢家に婿入り
 友人・同僚・山田光平、恋人?婦人警官中里千春 父親が大きな製紙会社の社長で市議会議員
 信用金庫から今月中に二億円のノルマを課せられる。八百屋の惣菜売りのための改装の為の費用、土地を買いアパートを建てる人、工場の資金繰り、貯金などノルマ達成。
 一億円の仕事、サイコロの一億円になる仕事。

2015年10月3日土曜日

幽恋船 

幽恋船 諸田玲子  
 杉崎兵五郎47才 禄高千七百石の旗本寄合中川御番所勤務
 夜、中川番所前を通る鎌倉からやって来たたけ17とつるを保護する。たけは自分の父母のことを知りたいと言う。
たけは、夜、自分の意識が無いままに行動することがあるという。たけが兵五郎の伯母・鈴尾を殺した容疑がかかる。つるがやったことだった。兵五郎はたけの濡れ衣を晴らすために調べ、身を勾引かされ隠されている所を探し回る。飯田藩はたけが持っているかも知れない昔の悪行の証拠の書き付けをさがしていた。持っていたつるの祖父は、大名を強請ろうとして殺された。たけはつるに変な行動ををとることがあると、おもいこまされていた。たけのぬれ衣をはらし、一緒になる

2015年10月2日金曜日

出世花 

出世花 蓮花の契り  高田郁
 文化三年 1806年三月火事
 ふたり静 火事の後行方が判らなくなっていた遊女・てまりが記憶を無くして数珠師の家で暮らしていた。痴呆の母親に嫁と思われ看病していた。母親が亡くなり三味聖・正縁が仏を洗い清めるのを見て、全てを思い出す。遊女であったことを引け目に感じるてまりと歳のことを気にする数珠師・与一郎寄り添って帰って行く。
 青葉風 文化四年 1807年 彼岸 火事で焼けた日本橋店が新しくなった桜花堂で、お縁は半年暮らすことになった。桜花堂の女将・お香はお縁の生みの母だが、公にはなっていない。養女にしたかった娘だ。お得意さん・遠州屋が桜花堂の最中を食べて亡くなった。一緒に食べた人たちが、味がおかしかった。という。仙太郎は牢に入れられる。お縁は味がおかしかったのは遠州屋が棗の葉のお茶を飲み、最中を食べたため、甘さを感じなかったことを証明し、仙太郎は帰ることができた。
 夢の浮橋 しっくりいっていなかった仙太郎夫婦がお縁がいることで、上手くいかず、お染が実家に帰ってしまった。お腹に赤子がいることを知ったお縁は仙太郎をお染に逢わそうと深川に行く。永代橋が落ちる。定町廻り同心・新藤松乃輔に頼まれ、お縁は遺体の処置をする。仙太郎は深川のお染が心配で見に行きお腹に子供がいることを知り、やり直すことを決めた。お縁は三昧聖として生きて行くことを決める。
 蓮花の契り 青泉寺で湯潅をし荼毘に伏すことを禁止され、正真と正念が寺社奉行に連れていかれる。二人が帰って来ても沙汰待ちで門は閉じられていた。正念の実家・富澤藩から跡継ぎになるよう誘いが掛かる。正念の姉あやめの子を抱いたことで心が揺れる。正念とお縁が夫婦になり子を為すことが出来ると誘う。二人で元老中の母親・ふみの湯潅をし、ふみの生涯を思い、二人は男と女として契るのではなく、仏の弟子として共に生きたいと思った。正念は還俗しないことを決めた。青泉寺はお咎めなしとなる。
 正縁は桜花堂の寄進で戸塚村に庵をむすぶことになった。
 

2015年10月1日木曜日

鬼の大江戸ふしぎ帖

鬼の大江戸ふしぎ帖 鬼が見える 和田はつ子
 鬼が見える 大江戸「町」物語 風 2015年4月26日参照
渡辺源時は妹の勾引かしがあってから鬼が見えるようになった。事件を解決する。
 鬼の声 源時は四天王だが、悪い鬼しか退治しない。鬼と心で話しができる。噺会に行くと席亭の主も、妹・お福の友達も、鼠鬼や兎鬼だった。源時が使う下っ引き・花吉は蚊蜻蛉鬼だった。穂家屋の主が寮で死んでいた。死んだ理由が分からなかった。疑われたのは辛く当たられていた克次だったが、克次は借金を返済してもらい、今は顔を衝立で隠した噺家・希朝になっていた。穂家屋の主は鴬鬼だった。娘を売られ、孫にまで手を出そうとしていることを知った同じ鴬鬼の大番頭に殺されていた。
 源時は祖父の残した書き付けを見る。海老屋の初孫が死んで生まれた時、祖父・八兵衛は死ぬ間際の女から四天王になったら巻き物を渡して欲しいという言葉と共に赤子を託された。八兵衛は源時のために道場に通わせ渡辺綱の末裔を探した。同心だと分かった時、同心株を買い、海老屋の跡取りにするのを諦めた。巻き物には鬼の種類や特性が書かれていた。
 鬼の饗宴 食い逃げをしている権太郎・狼鬼を希朝・時鳥鬼が助けていた。権太郎が怪我をしているのに出会い、稀世に治療を頼む。楽田狼太の知り合いだった。権太郎と美優兄妹が楽田と住むようになる。楽田は盗賊のような狼鬼の宿命が嫌で抑えた生活をしているが、兄妹は自然に生きようと誘う。兄妹は自由に盗賊紛いのことをして生きてきていた。権太郎が殺された。殺したのは仏の安っさんと呼ばれる定町廻り同心・原本安次郎・兎鬼だった。三ヶ月前、医者の勉強に長崎に旅立った弟が権太郎兄妹に殺されていた。原本は美優に噛みつかれ死ぬが遺書が見付かり自死とされる。美優は逃げた。
 鬼が匂う 源時は屏風の向こうの希朝が見えるようになる。
弱い鬼に光米を食べさせて強くし、強い鬼と戦わせるのを見るという遊びを金持ち鬼がしているらしい。時鳥鬼の希朝と狼鬼の楽田が利用される。間際源時が希朝のお腹を押さえ、トカゲを吐き出させ、助ける。源時は鉄砲で撃たれる。稀世の縫合で止血はしたが高熱の状態が続いた。三日目看病する稀世の手の甲から芽が出て花が咲いた。源時の額にかざされた手から密が落ち、源時の熱が引いた。稀世は希少な華鬼だった。