2024年12月30日月曜日

東京で見つける江戸

東京で見つける江戸 香原斗志

 平凡社新書 

2024年12月4日水曜日

町医・栗山庵の弟子目録〈二〉 神隠し

町医・栗山庵の弟子目録〈二〉 神隠し 知野みさき

 石川凛は、敵討ち後、栗山千歳の弟子になる。兄弟子になる佐助は男の子の格好をしているが、女の子であることを凛は知った。浪人剣士・清水柊太郎も知ることになった。佐助は、火事場で両親を亡くし、左腕もなくし千歳に助けられ共に暮しているが、謎が多い。神隠しにあった女児と似ていると武士がきたことと、佐助が、死んだと思っていた女児そっくりな子を見たことから佐助の過去が知れる。
 佐助は信濃から売られてきた。旗本の姫様のお相手に五人の娘が買われた。三か月のお試し期間があったが、その間に順々に四人の娘が死ぬ。そんな中で佐助・さいは、女中の手引きで逃げ、たまたま男の着物を盗みに入った旅館で眠ってしまい火事に遇った。千歳に助けられ、火事で二親を亡くしたことにして千歳と住むようになったのだった。さいたちは、姫様に毒で殺されたと思っているが、狙われている姫の巻き添えだった。
 佐助が姿を消し、勾引かされたと思った三人は、探し出して旗本の屋敷へ行く。佐助は死んだ娘・みちとそっくりな娘と話し、みちだと知る。姫さまが亡くなったことを知り住んでいた屋敷に行く。
 出会した姫様たちと、佐吉と三人とで話し、姫の事情がわかった。姫は父親の本妻から命を狙われ、佐吉たちが一緒に住んでいた姫は亡くなり、話している姫と双子だった。姫も毒で身体が蝕まれていた。本妻は祈祷師の昌子の言う通りにしていることがわかり、女中も本妻の命令で動いていることが判明した。
 姫とお付きの武士・溝口は、家を捨てた。伊賀者の手で伊豆に逃げた。祈祷師の所から二人が帰らないという訴えで祈祷所が調べられた。人の骨が何体も出た。自分の占いが本物に見せかけるために人を殺していた。人買いや、神隠しにも関係していることが分り、死罪になった。
  
 長屋の娘が勾引かされる寸前、凛が未然に防いだり、勾引かされ駕籠で運ばれる女を凛と佐助が見付け、柊太郎が助け出したことがあった。捕まりお仕置きになった。仲間が佐助や柊太郎に恨みを持ち栗山庵を襲った。凛が襲われた時、柊太郎が現れ凛を助ける。慶二が現れ、二人を捕まえた。

 

2024年11月28日木曜日

新・口中医桂助事件帖② ほうれん草異聞

 新・口中医桂助事件帖② ほうれん草異聞 和田はつ子

 金木犀禍
 虫歯削り機が少しは使うことが増えた。
 ウイリアムの紹介で知った福沢諭吉が、長与専斎の願いを聞いて欲しいと手紙を寄越した。医業開業試験の口中科学及び臨床実験の審査員をして欲しいという内容だった。
 金吾が、男に襲われ歯を折った美音を連れてきた。金吾は警邏官をしている。見回りを強化する。ゆみが男に襲われ歯を三本折った。ゆみは大尽佐竹屋の跡取り息子と結婚が決まっていた。白無垢が出来上がっていたが、結婚は破棄された。手掛かりは、金木犀の香りだった。
 桂助は二人に断りの手紙を送った。
 ゆみの自殺行為を受け、何軒も起こっている暴漢事件の究明に乗り出す。金木犀いっぱいの屋敷の警護をしている大熊が死体で見付かった。
 桂助は大警視川路利良から裁判医学官として奉職して欲しいと頼まれる。医者巡査になり、大熊の死の原因を精査することになった。大熊の死は殺人だった。
 暴漢事件の犯人は、佐竹屋の息子だった。最初の事件で喜びを感じてしまい、数を重ねていた。他にも暴き出されたが、裁判になるまでに起こった大火事で店も家族も共に亡くなった。
大熊は調べに入っていて見付かって殺された。金吾は一等巡査、桂助は骸検視顧問二任命された。ゆみは見抜けなかったことにショックを受けた。洋服作りの修業をすることにした。
 
 バニラの花
 桂助の医院に腹を刺された爺さんが来た。金吾が子ども・正太を連れてきた。自分で育てようと思っている。爺さんを刺したのは正太のようだ。父親の敵だと言う。父親はアイスクリーム屋を始めようとして契約が駄目になり死んだという。爺さんは氷で大儲けしている中島氷会社野社長だった。正太の父親の死の真相を調べた。正太の思いが間違っていたことが分かり、正太の持ち物の中にアイスクリンの詳しい作り方があったため、正太は中島屋とアイスクリンの会社を始めることになった。正太は、孤児かと思われたが、光恵寺の月照尼が、母の妹だと分った。寺の庭を借り、大きな温室を造りバニラを栽培することになった。
  
 ほうれん草異聞
 桂助夫婦と、鋼次夫婦は、速水邸のディナーに行った。主は、万之助、息子が宗太郎、妻・公子、若夫婦には娘・和子がいた。万之助は、公子が元公家だから嫁にしたと口にする。書生・東川と公子付きの女中・君江がいた。
 ワインを飲み、宗太郎が倒れた。次の飲みかけた万之助が倒れた。万之助は吐き出したいそうなことにはならなかった。宗太郎は、桂助が胃洗浄をする。気が付かず眠っている。
捜査を開始する。自分が毒を入れたと書き置きし御者の佐吉が井戸に飛び込んだ。書き置きを見た万之助は卒中で倒れ、寝たきりになった。事件は佐吉がしたこととなった。
 桂助は、宗太郎にぶつけた。宗太郎と東川の関係。東川を殺人者にさせないために自分はトリカブトを飲み、万之助には石見銀山を飲ませたこと。佐吉は宗太郎の実夫であること。
 宗太郎と東川は今まで通り屋敷に住み、公子は、和子の友達がいる向島に家を建てて、万之助を看ながら暮すことにした。

 どんぐり巡査
 鋼次の長屋の田村佳代が死んだ。元盗賊の佳代は黒装束で世話になった、元警官の神山の家に忍び込み神山を傷つけ逃げるとき、木から落ちて死んだとされた。
 桂助は、元盗賊に神山が金持ちの盗みの仕方を伝授し、そのことを知った神山を戒めに佳代が来た。佳代を落とし、後自分で傷つけたのだろうと言った。神山が、駆け落ちしようとした娘を殺してしまってから神山は変わってしまっていた。
 川路は、文句があるなら骸検視顧問の職を解くと言った。
 神山は心臓発作で死んだ。
 

2024年11月25日月曜日

料理をつくる人

料理をつくる人 アンソロジー 

 向日葵の少女 西條奈加
 元神楽坂に住んでた夫婦の娘が、蔦を訪ねて来た。母が亡くなった。母が大切にしていた絵を父に渡して欲しいと言う。二十歳の母の絵だった。画家の父が描いたものだが、絵は引き裂かれていた。誰が引き裂いたか分った望と蔦は、娘を隣の部屋に隠し、父親を呼んだ。再婚した父、結婚を反対した祖父が亡くなった時に会いたいという母娘に会わなかった父を恨んで破いた娘。父が会えなかった理由、再婚の理由を陰で聞く。久方ぶりの父と娘の対面になる。

 白い食卓 千早茜
 作家が無理難題を押し付けても、何も言わず食事を作る料理人を雇った。六年が過ぎた。愛情がないとこんな事してくれないと言われた作家は、入籍を言葉にした。彼女は来なくなった。見付けた彼女は、あなたは尊大で贅沢な何より手のかかる愛玩物だったと言った。彼は倒れた。心筋梗塞、血管がどろどろだった。

 メインディッシュを悪魔に 深緑野分
 一流のシェフになってレストランを経営するのがジュリエットの夢だった。老人に声を掛けられシェフになり、人気のレストランオーナーシェフになった。
 クリスマスにお客が一人も来ない。悪魔でもいいから誰か来てと祈るジュリエットの前に一人の客。客の導きで連れて行かれたのはたぶん悪魔の前。ずっと前に現れた老人は悪魔だったのだと思い料理を創る。サタンは満足してくれたが、あの日の爺さんではないよと言われる。老人は、迎えに行った客だった。サタンがあなたにちゃんと素直な料理を出せば罰は免除になると言った。悪魔は、接触した人の記憶を消すと言う。ジュリエットはあの時作ったビーフシュチュウを作る。悪魔は食べに来た。ジュリエットに分る臭いを残して帰った。

 冷蔵庫で待ってる 秋永真琴
 新井沙織は大学に入り、文芸部に入った。三年生の三上部長と付き合うようになる。秋から部員になった小椋詩歌が、沙織の作品の批評をする。クリスマスまでは付き合っていた。連絡が無くなった。文芸部へ行かなくなった。小椋は三月で部を辞めた。三上に会えませんかと送ったが、就活で忙しい。またこちらから連絡すると送られてきた。沙織は外食が食べられなくなった。仕方なく自炊する。内定し、三上から 連絡があった。新井さんを上手く守れなかった。謝りたかったけど連絡する勇気が出なかった。今晩は忙しい?また話したかった。に対して沙織は、「漬け込んでいる豚肉が冷蔵庫で待っているから、今日は帰ります」そうか、それが君の答えなんだね。沙織は嗚咽をこらえ、泣きながら帰った。
 数日後、以前厳しい評価だった高校生の青春物を、性格や生活をもっと書き込んでみようと始めた。これが書き上げられたら外食に行ってみようと思った。

 対岸の恋 織守きょうや
 理貴の実姉・莉子が結婚する。義兄・薫ができ高校生の妹・映奈ができる。三才の時離婚した父母に別れて付いて行き、中学の時、母が亡くなり、父と姉に再会した。高校の時から姉と暮し、家事一般を理貴が担った。薫と映奈は連れ子同志の再婚で、二人は離婚した。二才で妹になった映奈は、薫と離れがたく、薫と住むことを選んだ。薫が許可した。
 理貴と映奈は、結婚式の日、海岸で自殺するつもりで家をでる。薫の車で海岸に行き、映奈がトイレに行っている間に理貴は、車を動かし見えないところで自殺を謀る。映奈が気が付き薬を飲み車に目張りをし、練炭に火をつけた理貴を助けてしまう。
 死に損なった。薬が切れるまで寝て電車で帰ろう。

 夏のキッチン 越谷オサム
 さっき、お昼ご飯を食べたところなのにお腹が空いた。コンビニ行こうかと思うがやはり外に出られなかった。小学6年生の翼は、外に出られなくて学校へも行っていない。
 お腹の空いた翼は、初めて自分でカレーを作る気になった。包丁は使ってはいけない決まりなので、ピーラーを使う。箱の説明を見ながら、手の皮をピーラーで擦りながら野菜を炒める。水を入れる頃から母親が現れアドバイスする。ルーを入れ出来上がり。母親はお姉ちゃんとカレーマスター今は、総料理長に宜しくと自分の仕事部屋ではなく和室に入り、けっこう美人に撮れてると言った。仏壇の写真の中で笑っている。姉と父親が帰ってきた。翼は、コンビニに福神漬を買いに行った。


2024年11月22日金曜日

脳科学捜査官真田夏希㉒

 脳科学捜査官真田夏希㉒ 鳴神響一
 ブリリアント・アイボリー

 茅ヶ崎の海水浴場で若い女性の撲殺死体が発見された。遺体の額には「M」の文字が刻まれていた。真田夏希は犯行声明を出した「波夜人」との対話を試みる。彼は被害者の犯した罪を公表しろ、さもなくば、次の殺人を犯すと言う。犯人との対話の重さに責任を感じるが、事態は悪化し、三人の犠牲者が出る。
 夏希は、上杉から呼び出され、加藤と北原、五条紗里奈と五人の前線本部会議が行なわれた。夏希は織田に言えなかったことを話す。殺された女性が加害者だと言っている事件三件に関わった刑事が犯人ではないか。上杉は、生安部に電話する。大須賀警部補が浮かぶ。夏希は場所を三浦半島と予測する。襲われると思われる女性も特定出来た。
 紗里奈が連れてきたオオムが大須賀が借りたボートを見付ける。
 追いつめた大須賀に夏希は拡声器で対話する。大須賀が死ぬ事を阻止する。ここで死ねば犬死ですよ。裁判で、真実を語る事が出来ると言う説得に納得した大須賀は捕まった。

2024年11月20日水曜日

てさばき 

 てさばき アンソロジー

 艶化粧 梶よう子(とむらい屋颯太)
 死化粧を生業にするちえ、化粧品を売る角屋の娘・民と仲よくなるが、自分が死人に化粧をしている事は言っていない。同心・韮崎が、身元不明の女の遺体があると言う。痣がある女が毒を飲み死ぬ事件が何件も起こっていることを知る。毒・万年青が入った薬袋と同じ物を民が、持っていた事ことを思い出す。民の母親がちえがいなくなったと探しにくる。遺体を確認に行く、民ではなかった。民から文が来た。ちえは角屋に急いで行った。

 月満ちる 坂井希久子
 二十歳の美登里は産婆見習いとして祖母・利久に付いている。店の主に手を出され店を追われ、身籠もった千代が来た。中条流の紹介を頼む親娘に、美登里は、頑張って産みましょうと言って帰す。逆子でお産する紋に、覚悟を促す利久。利久は逆子のお産も成功しているという美登里。千代が自殺する寸前と聞いた利久は、美登里を家に帰す。
 千代は、前の家の中将流の源斎の世話になった。紋のお産の時、源斎が呼ばれた。美登里も行き、手伝う。源斎も利久とお産の手伝いをした。源斎は、自分の母のように思っていた美登里の母親がお産で亡くなった時、何も出来なかった。その時から父親から中条流を習い始めた。みんなが等しくお産が出来るわけではないことを習ったと話す。

 残り香 篠綾子 
 仙薫堂の娘・みつ。主は病気療養中、練り香職人は引き抜きに合い、線香職人の泰介だけが残る。みつは、薬問屋の三男・千之助を婿にと店に入れたが、破談になり帰った。千之助が、香の商いを始めるため、引き抜きをし、伽羅と練り香の秘伝書を狙っている。そんな仙薫堂に梅里なる隠居が現れ、亡き妻の思いでの香の練り香を注文する。みつは最後の仕事と、簡単に書かれたヒントを参考に店のために作業所に入る。でき上がった香が気に入った梅里は、仙薫堂を助ける。泰介の修業が終わる後までの二年は、今まで通り店を続けることにした。

 針の歩み、糸の流れ 山口恵以子
 しまは腕の良い、仕立屋だった。いつも仕事を出してくれるさかえ屋の幸助が、詐欺に引っ掛かり、二百両程の穴を空けたと聞いたしまは、仕立ての早さで賭をして百両調達し、幸助に渡した。幸助は店の娘と婚姻し、店を継ぐと言う。しまは、早縫を認めてくれた巴屋に移る。巴屋の内儀は、しまが納得できれば、認められる者に技術を教えてやってほしいと言った。三年経ち、しまが、技術を教えようかと思い始めた時、事故に遭い、しまは亡くなる。

 うわなり合戦 蝉谷めぐ実
 炭屋の雛は、町名主の家に嫁に入り、婚家の要望で勝という名に変わった。町名主の権之助の元に町民が訪ねてくる。佐那がうわなり打ちの仲人の依頼が勝にくる。佐那の方が部が悪いと思う権之助は心配するが、勝は大丈夫と言う。当日、打ち合った後、一騎打ちに鳴った時、夫・清九郎が飛び込んで来る。勝は、清九郎が、朝顔の肥料のために赤子のうんちが欲しく、そのために赤子を抱えたりょうに目を付けたことを暴露する。先妻側も後妻側も、朝顔の鉢を壊す。やめ!勝の一声で終わった。勝はうわなり打ちの仲人が嫌いではない。女が己の心を晴らす唯一の手段だから。 

 万年橋の仇討ち 藤原緋沙子
 千加は女髪結い師。六年前、父親は、高島藩、勘定組賄い方、薪、炭、野菜魚仕入と支払い金銭の計算と確認が仕事だった。千加、十六才の春、不正によって成敗された。同役の崎山平左衛門に斬り殺された。五日後には母親と江戸に出た。町中で崎山を見た。父親の形見の着物の衿から、父親の遺書、崎山の不正の書類が見付かった。奥様方に紹介する簪打ちの與之助。彼の亡くなった父親は浪人で、與之助が町道場で剣術を習っていることを知った千加は、彼から剣術を習う。千加の友達が高島藩の上屋敷にいることを知った千加は、彼女に書きつけを渡す。崎山の行動を知った千加は、與之助の力を借りて崎山を狙う。與之助は怪我を負ったが、千加は崎山を倒した。番屋へ行った千加の元へ、高島藩の用人が仇討ちと認めた知らせが来た。千加は外科医・玄斎の家に向かって走った。
 

2024年11月18日月曜日

定廻り同心新九郎、時を超える③蟷螂の城

定廻り同心新九郎、時を超える③蟷螂の城 山本巧次 

 瀬波新九郎は志津との祝言が後、半年になっていた。志津の父・畿三郎がお役を解かれるかも知れないという。畿三郎が、九曜紋と三つ柏の紋が入った脇差を所持していることを、上に告げた者がいた。九曜紋は石田三成、三つ柏は島左近の紋だった。誰が告げたか。畿三郎は役人が不正をしているようだと調べていた。役人の不正を調べ始めた。作事下奉行と大工の組頭を調べる。
 神田明神の階段で誰かに背中を突かれた。
 気が付いたところは、叢だった。関ヶ原戦いの後だった。湯上谷左馬介が逃げるとしたらどこに逃げるか。考えているところに妙な男が現れる。自分は東の方の者で戦いには加わっていないと説明する。宇喜多家の知り合いの家臣を探していると言った。彼は新免弁之助と名乗った。一緒に行動する事になった。村で落ち武者だと言われ捕らえられた。捕まった先に左馬介がいた。村に東側の足軽が五六人来た。次の日、足軽たちは殺されていた。村の村長に犯人を捕らえてやると申し出る。足跡を辿り、山に逃げた事を確かめた。次の日、離れた家の村人が殺された。笠を被った侍を見たものがいた。侍を見たと言った老婆が殺された。侍は三人組だとわかった。
 徳川の本体三万数千人がこの村は通るということがわかった。秀忠を狙うつもりだと思った。徳川の本体が通り過ぎるまで山狩りをして侍たちの邪魔をする事にした。
 秀忠は三十騎ばかりで先駆けしていた。火薬の匂いがする。左馬介は鉄砲の男めがけ石を投げた。鉄砲の狙いが狂った。先に杉の大木が倒れ道をふさいだ。左馬介は鉄砲の男と組み合ったまま街道に落ちた。弁之助と島左近が戦っていた。新九郎は二人を止めた。島左近は石田三成と島左近の紋が入った脇差をおいて逃げた。 左馬介の秀忠への弁明に脇差を見せた。愛する妻の元に帰りたいという左馬介に秀忠は脇差を下げ渡し、秀忠が経緯をしたため、秀忠の花押を入れた書きつけを貰った。左馬介は秀忠の俺の元の来ぬかと言う誘いに乗った。新免は黒田の指図を受けていると言った。新九郎は諸国を放浪すると言った。

 新九郎は奈津に会うために伏見に向かった。近江八幡で奈津に会った。奈津は泰平の世が来ると新九郎から聞いていたので徳川が勝つと思っていたと言った。新九郎は島左近の話をし、左馬介が、中納言に拾われたことを話す。島左近の脇差とそれを証するお墨付きを貰ったことも伝えた。奈津は、裏切ったことへの褒賞と見なすものもいるから、表に出さぬよう心がけると言った。奈津の難儀に現れるそなたに会えるかもと思って出てきたと話す。ならず者に囲まれた。二人で逃げ、新九郎は引きつけ役をする。逃げた先の階段が崩れ転がり落ちた。

 湯島の木戸番に助けられた。新九郎を突き落とした者を見ていた者がいた。
 脇差のことは分った。お墨付きを見付けよう。上谷の家の蔵を調べ志津が奈津の手鏡を見た。手鏡の裏が外れあのお墨付きが現れた。
 研師が、脇差を見せたことがあるという。相手は疑惑の義兄だった。
 徒目付と作事奉行の前で、新九郎を襲った者を追い込んだ。脇差のお墨付きのお陰で畿三郎は謹慎を解かれた。
 新免弁之助は、宮本武蔵だった。

2024年11月16日土曜日

勘定侍柳生真剣勝負〈八〉 愚王

勘定侍柳生真剣勝負〈八〉 愚王 上田秀人 

 三代将軍家光から左門に届けられた密書。左門は柳生を潰すため、藩士を殺す。ひと足遅れて柳生の郷に入った十兵衛と淡海一夜は、地獄絵図を目の当たりにする。十兵衛は左門を討ち取る。一夜は、柳生宗矩に知らせるために江戸へ帰る。宗冬のために動きが取れない一夜は、老中・堀田加賀守を頼る。

 江戸から大阪に帰ろうとする永和と伊賀の佐夜は、宗冬が放った伊賀者に追いかけられていた。箱根の関所を通り抜けたが、伊賀者を巻くため、佐夜は、関所を利用しようと考えていた。

2024年11月14日木曜日

春風捕物帳 

 春風捕物帳 岡本さとる

 きつね 近江屋の手代・清七が土左衛門になってあがった。南町奉行所定町廻り同心・春野風太郎は、清七について調べた。矢場のきつという女に引っ掛かり貢がせて店の金に手を付けた清七は川に身を投げた。だが、清七は滑って川にはまったということになった。きつの話を聞いた近江屋の主は、きつに会った。主も引っ掛かり、きつを妾にした。清七の母親は、飯炊き婆になりきつの世話をする。きつの留守に近江屋の相手をした婆は美しかった。近江屋は婆に乗り換え、きつとの縁を切った。近江屋の前から婆が消えた。近江屋は隠居した。婆の正体は、白比丘尼のお常と言われた女だった。清七の仇討ちだった。

 姉妹 喜六が、浅草寺の裏で蹲った女・いねを保護した。いねは騙され女衒に売られ酷い目にあわされいたところを必死に逃げてきたと言う。自分を逃がしてくれた姉・ふくが心配だと訴える。手掛かりからいねのいた場所を見付けた風太郎と喜六だったが、女たちは場所を移されていた。合言葉を頼りに新しい場所を探し出す。女達を救い出す。女嫌いの喜六だが、家で店を守るいねは気になったが、いねとふくの姉妹で出来る掛け茶屋を任される事になった。

 やさしい男 熊三は優しい男で、一人で子供を育てている酌婦の愚痴を聞き、やさしく慰めていると、女が本気になってしまった。熊三の恋女房・こいが子供を連れて出ていってしまう。熊三はこいは自分と一緒にいない方が良いんではないかと思う。大家が二人を仲直りさせるために相撲大会を企画する。熊三は昔、暴れん坊を投げ飛ばしたと言い伝えられていた。熊三は、牢人に遣られたと大怪我をする。春太郎は、自分で遣った事だと看破する。怪我をして座っている熊三にこいが寄り添い、膝に子どもが乗った。

 生きる 風太郎が使っている密偵・粂八が殺された。女房を持ち植木職人をしているが、元闇路一家の盗賊だった。闇路一家は義賊と呼ばれる盗賊だったが、代替わりした時に人を殺してっとり早く盗みをする集団になった。粂八は春太郎に密告した。粂八も一旦捕まり保釈され密偵になっていた。粂八のことを知る者は本の人握りの者だった。犯人・丹蔵は昔の仲間だった。丹蔵が粂八のことを聞いたという女の所へ行くと女は殺されていた。
 臨時廻り同心・野川の使っていた密偵も殺された。殺された女の異母弟・柳吉を下っ匹に使っていた岡っ引きが浮上。野川の下で働いていた岡っ引き・蓑次郎を疑う。蓑次郎は、柳吉を異母姉から救うために関わっている間に関係を持っててしまった。裏切り者を教える代わりに金銭をもらっていた。百両を残したまま蓑次郎は姿を消した。春太郎は柳吉を諭し、蓑次郎を捕まえる。
 

2024年11月12日火曜日

喫茶おじさん 

 喫茶おじさん 原田ひ香

 松尾純一郎、大好きな喫茶店めぐりをする。
 一月 妻・亜希子は、一人暮らしする大学生の娘の所に行き、ただいま別居生活中。半年になる。
 娘と喫茶店で会い話しの途中で、お父さんて何もわかっていない、と言われて去られてしまう。
 
二月 学生時代の友人・宮沢に再就職の口を頼んでいる。
亜希子とは社内不倫で、妻・登美子に離婚を切出すとわかったと、しょうがないじゃないと離婚した。彼女は今、カジュアルな和食屋をやっていて流行っているらしい。十年以上になる。もともと、彼女の料理の腕はとびきりだった。宮沢の誘われ店に行く。最後に食べたナポリタンがおいしく、この作り方教えてくれない、と言った純一郎に、登美子は、相変わらず何もわかっていない人なんですね。と言われた。喫茶店めぐりをして帰る。
 
三月 純一郎を店長と呼ぶ、池知斗真と会う。五十五才で早期退職し、娘の学費と二千万を残し、喫茶店を始めた。斗真はその時のアルバイト学生だった。喫茶店は半年で撤退した。斗真喫茶店めぐりの楽しさを話すと、店長て何もわかってなかったんですねと言われた。喫茶店めぐりをして帰る。

 四月 会社の同期の友人・松井敏夫の家に行く。千葉県富浦駅。風光明媚な場所だった。早期退職は同じだが、松井は、出世が約束されているようなエリート社員だった。家を買い、千葉市内にアパートも買いそれだけで生活出来るほど家賃が入ってくるという。
うらやましいな。松井は、僕はお前がうらやましいよ。お前は本当に何もわかってないんだなあと言った。東京駅で、喫茶店めぐり。

五月 森田さくらからの呼び出し。喫茶店開業教室で一緒だった彼女がオープンした喫茶店へ行く。他にお客さんがいない時にずーと話しかけてくる人が数人いる。男性と二人きりでその人たちが来ると胃がいたくなる。少しの間でも助けてもらえないかというこだった。就職が決まりそうなんだ、と言うと、松尾さんに仕事を頼む人なんていないと思っていたと言う。松尾さん自分のことわかってないのねと言われた。喫茶店めぐりをする。一週間ほどさくらの店を手伝おうと思った。

六月 喫茶店で亜希子に会う。離婚を切り出された。急に言われてもという純一郎に亜希子は、本当に何もわかってないのねと言った。

七月 さくらの店で数週間たった。ママのパトロンかと聞かれた。パトロンではありません。私は無職ですから。アルバイトをどういう人にするか決めかねているさくらに斗真を紹介した。さくらは、松尾は自分がどんなに恵まれているかわかってない、と言った。
離婚というと、これからは奥さんの面倒見る必要がなく、気楽に生きられる。早期退職して再就職できて、松尾さんが喫茶店経営に失敗したのは失敗できる立場にいたからだよ。
 
八月 斗真と会う。IT企業に就職が決まった。副業も出来るのでアルバイト出来ると言う。
老後が不安と言いながら、本当のところいくら必要かわかってます?そして斗真は、娘の亜里砂と付き合っていると言った。再就職してから喫茶めぐりが出来なかったが、喫茶店めぐりをして帰った。

九月 登美子から連絡が来た。ナポリタンの作り方を教えてくれる。離婚を切出され渡りに船と思った。あなたのせいにしたままで二十年過ぎた。登美子と会うのはこれが最後かも。喫茶店めぐりをした。何か一つ、目当てに店に来てくれるようなメニューがあれば。

十月 以前勤めていた会社の同期会があった。松井も来た。亜希子からの離婚の申し出と亜里砂と斗真の付き合いのことを話す。子供は旅立つんだよ。妻は他人だよ。離婚したいと言われたら止めることは出来ない。松尾は、息子は小学生の頃から引きこもりだと言い出した。社長のお気に入りの女性と付き合い社長に知られ地方に転勤になった。息子は苛められ不登校になった。激務で家庭を疎かにした。気持ちが家庭に向いていないことは子供たちに伝わった。家族と一緒の時間を作ったが、息子の引きこもりは続いた。妻・孝子は表面上は許してくれているが、時々言葉の端々にあなたのせいだ、と出る。嫌われたかな。がっかりだろう。終わってから喫茶店めぐり。松井を誘えばよかった。
 本当は喫茶店をやりたいんだなあ。

十一月 斗真が京都へ旅行に行く。亜里砂と一緒かとヤキモキし連絡をするが、返事はない。京都まで行った。大学の友達と来ているという。信じていない人にこれ以上話しても無駄と言われた。気が付いた。大人の意思を持った一人の人間なんだ。「そうか・・・。気をつけて帰ってこいよ」席をたった純一郎に亜里砂は、「お父さんが心配するようなことはないから」と言った。次の日、喫茶店めぐりをして帰った。

十二月 久しぶりに入った喫茶店で、今年いっぱいで閉めると言われた。珈琲の入れ方を教えると言う。亜希子に離婚届を渡した。財産分与は家を売って半分にしようと言う。
好きなように生きよう。喫茶店めぐりをする。宮沢に紹介してもらった会社を辞めることを伝える。

エピローグ アパートの一階が店舗用になっている。キッチンとバス、トイレが付いているだけの部屋。部屋の中にテーブルと椅子だけ数個置いて開店した。壁に「濃いコーヒー」と張り紙した。今日はあんこを煮た。練り羊羮にするつもり。
家を売った代金と退職金と預金と学費を残して妻と分けた。
店を見た亜希子は本気なんだねと言った。松井は寝袋を担いで来た。息子がこんなふうに自立してくれたらうれしいと言った。
自分の食費位は賄えるようになった。今はこれでいい。

2024年11月9日土曜日

定廻り同心新九郎、時を越える②岩鼠の城

定廻り同心新九郎、時を越える②岩鼠の城 山本巧次 

で 瀬波新九郎は、常磐津の師匠・凉が殺された事件にとりかかった。不忍池で溺れている子供を助けようとして池に落ちた。気が付けば伏見におり、僧に助けられていた。小袖を着、髷を直して貰い伝手を頼って、奈津姫に会う。時は、関白・秀次の家族が処刑された。
 奈津姫は、父親が関白の謀反ねの関わりについて詮議中のため離縁され寺に預けられていた。奈津姫は、父上が関白の謀反に関わっていたと石田治部に告げた太閤の御側衆の一人、田渕道謙が殺され、殺した疑いで湯上谷左馬介が捕まっていることを話す。左馬介の疑いを晴らしてほしいと言う。翌日、石田治部が奈津に問責する場にいた。父親の話しから殺人の話になった。左馬介は、遺体の横に立っているところを捕まったようだ。新九郎が十五日の間に真の下手人を見付けることになった。石田三成のお墨付きを貰った。
 牢にいる左馬介に会い、田渕の家にも行く。同じ時に田渕家を訪れていた、御側衆の者、宇喜多家の家臣、何人もに話しを聞く。田渕家の奉公人にも聞く。四日目の朝、奉公人・多江が殺された。多江は新九郎に合うつもりだったようだ。新九郎に会う前に会いに行った商人も殺された。新九郎は忍びに狙われた。島左近に助けられた。
 石田治部の屋敷で、犯人を発表する。証拠はないが、播磨の鶴岡家の土地が欲しかった。田渕は彼のことを良いように思っていなかった。湯上谷を嗾け田渕を斬らせようとした。最後に田渕が脇差で殺されたことをしゃべった。姫路近くに三千石の尾野忠兵衛だった。
 左馬介は解き放たれた。新九郎は、三成に五百石で召し抱えたいと言われた。新九郎は、未熟なので世の中を見て修業したいと言った。新九郎は左馬介に奈津殿をほっておくのかと言った。
 どうやって江戸に帰ろうと考えている時、島左近が現れる。左近は、徳川の間者と思っている。左近に斬りかかられ逃げた。川に落ちた。江戸に帰った。子供は助かっていた。

 常磐津の師匠殺しの犯人は、犯人だと思われていた者ではなく、噂になっていない者を噂になっていると言った男が犯人だった。二百年前の事件と同じようだった。
 新九郎と志津の祝言まで二か月になった。この前見た古文書に、今回の事件のことが書かれていた。

2024年11月4日月曜日

しゃばけシリーズ  なぞとき

しゃばけシリーズ  なぞとき 畠中恵

 何故佐助が怪我をしたか。長崎屋の手代と坂下屋の娘が恋仲になった。坂下屋の店が左前になり娘を金持ちのところに奉公に出し得た金で店を立て直そうとした。娘が長崎屋に逃げたので追ってきた父親が、桶を投げた。桶が小鬼に当たり元興寺に噛みつき、がごぜの爪で佐助が引っかかれた。手代は娘と江戸を離れた。

 何故 料理屋の娘・照の縁談が潰れたか。照の次兄が千住の宿屋へ養子に行く事になった。次兄が、実家から遠い、知ったものが居ないと愚痴を言う。照は次兄の頬を殴り、女はみんなそうだ。でも誰も何も言わない、と言った。照の縁談相手の母親が、男の頬を殴るような娘を嫁に出来ないと考えたようだ。内々のことを何故知ったのか。照の友達から伝わったようだ。また、相手は何回も縁談を断っていた。

 通町に賊が入ったどうやって入ったか。黒と白の二匹の犬が離れに来た。鍵が大好きな犬で、鳴家がおもちゃにしている長崎屋の古い鍵にご執心。黒い犬が長崎屋に留まった。白い犬、犬の飼い主を探す。通町の大きな油問屋の犬だった。犬の世話をしている竹藏が鍵を持ってくるように躾けしていた。一太郎行った時、竹藏たちは逃げていた。

 一太郎の枕辺に女が現れる。仁吉の結界を破れるのは何故。天ぷらが歩き出す。寛朝もやってくる。武家の間で流行っている夢見に付いて相談に来た。武勲が書く本から悪夢がでてきていることが分った。寛朝が払う。

 長崎屋の番頭二人と手代が辞める事になった。籐兵衛は、三人の相談役に一郎太を指名した。番頭は、袋物屋をしようと嫁にするつもりの十五才若い女を連れていた。彼女は、若い大工と見合いした。もう一人は、辺鄙なところで小さい店などいやだという。手代は、茶店を買うつもりで故郷にお金を送ると、店を買い、兄にやらせるといってきた。兄は金が無くなり借金を申し込んでくる。籐兵衛は、もういないと兄を追い返す。
 一太郎は、番頭の店で手代を働かせ、もう一人の番頭を、誰かと組んで大家株を持たせようとした。

2024年11月1日金曜日

北の御番所反骨日録〈十一〉 霧の中

 北の御番所反骨日録〈十一〉 霧の中 芝村凉也

 裄沢が、頭を殴られてから二日目、北町の来合轟次郎の元に裄沢の行方不明が知らされる。奉行所の同心等が調べるが、全く手掛かりがなかった。非番月の後、十日足らずの間待つ事になった。

 裄沢の目が覚めた。南品川の漁師町の州崎の飲み屋の縫の所にいた。倒れていたところ杢助に運び込まれた。裄沢はまだ頭が痛く、記憶をなくしていた。
 杢助というのは元芝居小屋の親方で一座の何人かで盗賊団だった。裄沢に目を付けらればらばらに逃げていた。ばらばら逃げた中の三人が、裄沢が潰した海賊団の船で逃げていた。彼らを探すと海賊に殺されていたことが分った。海賊のことを調べるために海賊船の賄い夫になっていた。杢助は、裄沢に知らせ三人の仇を討つつもりで裄沢を拉致していた。裄沢が記憶を失っていることで狂ってしまった。
 日が経ち、何も覚えていない裄沢だったが、やはり裄沢らしくなる。杢助は、全てを裄沢に告げる。裄沢は、海賊が新しく作った太物の店のことを御番所に手紙で知らせる。奉行所は店の者を捕まえた。海賊船はまたもや逃げていた。裄沢は海賊の親方の助っ人に来合並の剣客がいることを知り捕まえに行っても怪我人が出ること必定と考えた。
 杢助に毒物を渡し、杢助の考えた通り仇を討つ事を承諾する。
 御番所に帰った裄沢は、杢助のことは話さなかった。お奉行も不自然さを感じていたが追求はなかった。
 裄沢は縫のところに行った。縫も元は一座の座員だったが、早くに抜けていた。杢助に頼まれて助けていた。縫は、何となく杢助がしたことを知っていた。その後、海坊主と言う海賊の噂が聞こえなくなった。

2024年10月27日日曜日

定廻り同心新九郎、時を超える①鷹の城

 定廻り同心新九郎、時を超える①鷹の城 山本巧次

 瀬波新九郎は崖から転落し、戦国安土桃山時代にタイムスリップした。
 天正六年、羽柴秀吉が東播磨の青野城を囲んでいた。目の前で死んだ、安国寺恵瓊の文を持った密使になり青野城に入る。青野城で起こった殺人事件を解決し、犯人と思われていた湯上谷佐馬介を助けた。新九郎は、青野城鶴岡家の奈津姫に抜け道を教わり脱出する。青野城では、家臣も殿様も二心を持った者ばかりだった。崖を滑ったと思ったら江戸時代に帰った。

 父親・新右衛門から新九郎の曽祖母が、実家が上谷といい、播磨の出だと聞く。
 上谷家の隠居・畿兵衛より、先祖の話しを聞く。
 先祖は、湯上谷、鶴岡家と共に織田方に付く。豊臣の臣下となるが、秀吉の不興を買い、鶴岡家は改易となる。鶴岡家の姫・奈津は豊臣の家臣と婚姻したが、秀次に関わり鶴岡が改易となり離縁された。湯上谷は、奈津姫と婚姻し、宇喜多家に仕官した。
 関ヶ原後、徳川の旗本になった。湯上谷の名を変え上谷になった。
 佐馬介は家康と同じ年に亡くなり。奈津は家光が将軍になった年に亡くなったことが分った。
 
 畿兵衛の姪・志津と出会う。彼女は、奈津姫と瓜二つだった。
 
 

2024年10月22日火曜日

アーセナルにおいでよ

 アーセナルにおいでよ あさのあつこ

 川相千香は、初恋の相手・芳竹甲斐君から連絡くれませんかとスマホに連絡が来た。甲斐君が学校に来なくなってから五年たっていた。中学一年の冬、引っ越した。
 大学は推薦で決まっていた。友人は、山脇菜々美、社交的で、苦労なく誰とでも付き合える。千香となら本の話しとか思いっきりできる。貴重で大切な存在。本オタクということで宜しくと告げる。
 甲斐君と会った。甲斐が起業する会社・アーセナルを一緒にしないかと言う事だった。
 最優秀論文賞「学校図書館の活用法 新たな空間として考える」 県立f高校 川相千香
文部省のホームページに掲載された論文を読んで、端的に具体的に書かれていることに感動しての誘いだった。
 甲斐と一緒にいたのは昔、詐欺罪で捕まった稲作陽太だった。少年だった陽太は少年刑務所だった。かなりな組織で相当な人数が逮捕されたが、トップの何人かは逃げていた。陽太は、あの時捕まってよかった。詐欺師の才能が開花するところだった。と考えている。陽太には、他人を巻き込む力がある。

 自分たちが抱えているそれぞれの悩みや、問題を相談出来て、それぞれに合った方法で解決していく、そういう場所が創れないかと考えている。相談案件に対して、現実的、具体的な方法をアドバイスする。現実と戦う具体的な武器を供与する。

 陽太は完璧な計画書を作る。
 協力者ネットワークを作る。必要な情報に結びつき解決方法が見えてくる可能性が広がる。問題点を出し、結果を出しデータ化する。データを有料で配信する。

 古藤里佳子さん。経理担当

 千香は働くことにした。
 
 ”少子高齢化社会における子どもの未来を探る”シンポジウムに参加しようとした。陽太は昔の詐欺師のトップを見た。調べて連絡し穴をふさぐつもりで。「ヒューマンバンク・カンパニー」に警察が入り捕まったが、スザキは逃げた。電話で南のリゾート地へ行くよ。置き土産残したからと言われた。
 アーセナルのスタッフに詐欺師がいると書かれていた。イベントへの参加が白紙になった。
 真実は武器になる。アーセナルに出会って生きる道を見付けた元詐欺師。更生の物語を書いた。自分の過去、犯した罪の内容、両親の懸命な弁済とそれへの想い、甲斐との出会い、「アーセナル」を立ち上げた理由、これからの望み、今のアーセナルの状況、千香が簡単な校正をした。
 イメージが詐欺師の働く胡散臭い会社から、若者が生きる場として起業した未来志向の起業に変わった。

 千香は大学を卒業した。

2024年10月19日土曜日

春待ち同心〈二〉 破談 

春待ち同心〈二〉 破談 小杉健治

 定町廻り同心・伊原伊十郎のもとに、縁談相手の百合から婚約破棄のような話しが伝わる。百合を一目みてから、美貌の虜となり、一途に思い続けていたのに・・・。
 百合と時をおかずして出会った妖艶な音曲の師匠・ふじ。伊十郎は憎からず接していたが、ふじが、江戸を騒がす怪盗「ほたる火」 なのではないかと疑いをもつようになった。探索を兼ねて逢瀬を重ねていた。下心はないはずだが。何故、百合が、ふじのことを知っているのか。下働きの光が百合と関係があると思っていたが、はずれた。では誰が・・・。
 ふじと会って別れた後、黒装束のほたる火を見た。会っていた時刻に盗まれた商家があった。ふじはほたる火ではなかった。
 もう一人、元軽業師の女・りつを探したが、彼女も軽業をできるような体型で無くなっていた。ほたる火は誰か。

 三年前、伊十郎が堅気になるよう送り出した泰吉が箱根で殺され、女房が母親のところに来ていた。泰吉の元の仲間・虎吉が殺される。ひげ面の男が目撃され、伊十郎は、探し出す。泰吉は、小田原で、川の改修工事を取り仕切る「大政組」と作事奉行の石垣修復工事の不正に絡む密談を聞いてしまい、殺されると思い逃走資金を盗んで逃げた。箱根で死体を見付け、持ち物を自分の物と交換して、自分が死んだことにした。
 母に逢いに帰るとひさが、母のところにいた。ひさは泰吉が死んだことを母親に知らせにきたが、言えなくて女房だといい母親と一緒に住んでいた。組長から見張るように言われていたが、組長の妾にはなりたくなかった。母親の面倒を看ることになった。
 泰吉は大政組に追われていた。虎吉を殺したのも大政組の者だった。捕まった。
 泰吉は伊十郎と奉行所に行き、何もかも話す。小田原藩にも伝わった。
 泰吉が持ち帰った遺品から殺された男が分った。佐平次調べていた事件の男だった。亭主が旅立った後、間夫が追いかけ殺したことを白状した。

 百合が伊十郎の屋敷に来た。破談はなしになった。百合にふじのことを聞くが、知らないと言われた。百合が帰る時、桶が風で飛ばされて転がってきた。伊十郎が、はだしのまま飛び出し間に合わないと思った時、桶は、百合の背後を転がっていた。百合が身体を移動させた。百合の身の軽さに驚き、武芸にんも秀でているかもしれない。

2024年10月17日木曜日

辻番奮闘記六 離任

 辻番奮闘記六 離任 上田秀人

 平戸藩士斎弦丿丞は、江戸の辻番として将軍家光への襲撃を阻止するなどの功を挙げ出世。だが、同僚の反感を買い国許へ帰された。長崎の警護にあたり島原乱後に増えた牢人らを取り締まる辻番となる。
 江戸では家光と老中・松平伊豆守が、目障りな大老・土井大炊頭の排除を画策し始めていた。伊豆守は、平戸藩主が起こした密貿易事件に目を付け、有能な弦丿丞を使おうと平戸藩主に頼む。
 長崎奉行・馬場三郎左衛門との関係と、辻番に付いたばかりのことで弦丿丞は困るが、二度の督促で弦丿丞は、長崎を出立した。
 江戸から国許に戻ったと妻・津根と生まれたばかりの子供にも一目しか会えず江戸行きの船に乗せられた。

2024年10月8日火曜日

ランタン灯る窓辺で 

 ランタン灯る窓辺で 吉永南央
 アパートメント・ストーリーズ アンジャーネ改題

 北関東のとある町にある、外国人向けアパート「ランタン楼」。昔からトラブルが絶えないアパートの歴史に怯えつつ、入院した祖母の代わりに大家稼業をこなしていく瑞輝27才。
 住人の問題と対峙し、彼らの窮状を解決しようと奮闘する。

 四分の一 瑞輝が初めて話しをしたのは上の部屋のフォンだった。死の淵にある人を見守るのは想像以上にしんどいようだ。フォンが掛けてくれる何気ない言葉に救われていた。フォンの所にタインと名乗る男が来た。鈍い音がした後、夜明け前、豪雨の中、キャスター付きの大型トランクを引いて出かける。瑞輝はトランクを後部座席にいれるのを手伝った。旅行に行くの?午後フォンは帰宅した。瑞輝はタインの帰った時間を知らない。トランクの中は何だったんだろう。隣の家賃の滞納が多いナリが、家賃と書かれた封筒で家賃を支払った。フォンが口止めのために払ったと考えた。フォンは瑞輝を避けていた。瑞輝はトランクの中にタインが押込まれていたとまで考えた。が、タインがやってきた。
 瑞輝がフォンだと思っていたのは、姉のクワンだった。大家に無断で同居人を置くと即刻退去という契約があった。だから隣人に内緒と家賃を渡した。
 瑞輝の祖母・梅は中国人だった。フォンは、アオタイと言わずチャイナシャツと言うと言った。梅はお盆過ぎに亡くなった。ランタン楼が売れるまで瑞輝が大家をやる事になった。
 八月末、引っ越した。真下の爺さんが文句を言いにやってきた。

 ジロ 瑞輝の父親・松本冬吾からメールが届いた。二十年ぶりの音信だった。四才の時離婚した父と母は、連絡を取り合っていた。彼はパプア・ニューギニアの海底にある鉱床を採掘しているらしい。母は、父のことを移動するアフリカゾウ、自分を家にいる猫、それぞれが気に入った暮らしをする事にしたと離婚理由を説明した。母は助産士をしている。
 マルシオ・日系三世のブラジル人。近くの農園で働いている。八年前に帰ってきて農園を継いだ瀬戸農園に務めて二年、ランタン荘に暮して五か月。
 農園の直売所で一万円が紛失した。近くに黒のワゴンが止まっていた。瀬戸があったと一万円を出した。真下さんは、瀬戸さんも大変だと言った。マルシオは、夜、ワゴンに乗り込んだ。朝、瀬戸農園に殺虫剤が撒かれた。液体がかかった野菜や土は取り除かれた。黒のワゴンが止まっていた。近所で事務所荒らしがあった。マルシオが伝言を残していなくなった。仲間と行く。ジロのシチューを作っていた。
 黒のバンのブラジル人は、マルシオの昔の仲間と思っていた。瀬戸が、パウロは、元々瀬戸の仲間だったと言う。パウロは瀬戸を必要とした。マルシオは、機械や電気に詳しい自分をアピールして採用された。
 マルシオは、瀬戸農園と瀬戸さんを守るために行ったのかとも思った。
マルシオは知った。普通の生活が、どんなに我慢を強いられるか。
 二十年ぶりに相応しい挨拶と近況報告を冬吾に送った。

 海亀ハイグイ ウォンシューイン黄淑英 広東省からきた留学生。国立大で経営学を学ぶ。八月に実家が倒産、八万円の仕送りが止まった。授業料を払い家賃が払えないと言う。キャパクラでアルバイトしている。三十六万円貰えるところ六万しか貰っていない。
 中学時代の同級生・都築徹がランタン荘に来る。都築は同棲相手が妊娠し結婚を迫られ逃げている。二人は話し、彼女は別れて実家に帰ることになった。都築は、彼女は僕といると今より苦労すると言う。瑞輝は、後に、彼女の実家が資産家だと知る。
 淑英のアルバイト先の社長を調べ、言い訳の実を調べる。直接対処し、アルバイト代が払われた。淑英はキャパクラのアルバイトを続け、ただ同然で手に入れたドレスをリフォームし、人にレンタルし収入を得始めた。
 
 バルザフ 建設が中止されているマンションで、写真展が行なわれた。四日後、建設会社が撤去した。首謀者は、ジーラ。ジーラは今も亡くなったディアナの写真をペンダントに入れている。ジーラは言う。悪いのは私、いつも逃げた。ディアナから、家族から、夫から。
夫に話せた。夫が日本に来る事になった。

 テリンノム 空き部屋を倉庫代わりに貸した。入れられた荷物・メンズブティックの商品。運び込まれた時にいた店員がスペアキーを借りに来た。翌日商品は無くなっていた。
瑞輝は操作開始、殺された女性、麻薬の運び屋、最後には、八割の洋服を回収。親に拒否された金も回収。
 空き室と思われていた部屋には、空の段ボールが積まれていた。祖母の思惑は?

 住人祭 近所の久保井さんが玄関を入ったところで遺体で見付かった。ランタン荘を訪ねてきたソウジロウさんに疑いがかかった。ソウジロウには、ナオヤという兄がいた。ナオヤがランタン荘の住人だった。十年前に突然行方不明になった。ソウジロウは兄を探しに来て出来る限り日本にきて探していた。
 瑞輝は、久保井家と隣家の庭が見える昔の堀跡に行き、植物によって二軒の関係を知った。折口は久保井から毎月十万円を貰う関係だった。瑞輝は折口に疑惑をぶつける。本当のことを話して誰が喜ぶかしらという折口に、瑞輝はランタン荘の住民の濡れ衣は晴らせる。折口は転んだ久保井が起き上がろうとして転び、頭を打って亡くなった瞬間を見ていた。娘・香穗さんに、知られたくなかっただろうと思ったと話した。
 瑞輝は、折口との昔話がヒントになり、ナオヤの居所を掴んだ。二軒の庭を見た昔の堀跡の暗渠。骨を見付けた。ソウジロウが帰った。
 ランタン荘の前にベンチを置く事によって住民との仲が改善された。

 エキストラ ランタン荘が映画に使われた。大家として瑞輝も出演する。
 中国人がランタン荘を買い、中国人アパートにする話しが持ち上がり本決まりになりそうだった。瑞輝は落胆しながら買う予定の中国人を調べる。手広く仕事をしているが、あまりいい話しは聞こえて来ない。契約にも訪れない。不動産屋にお金も振り込まれない。ランタン荘を買う話しは聞こえている。そんな時、瑞穂の命が狙われる。捕まえるとランタン荘を買う予定の男と間違えられていた。命を狙った男は、置いてあったお金を取って中国へ帰った。ランタン荘を買う予定の話しをなくなった。瑞輝がランタン荘を叔父たちから買うことになった。
 瑞輝の出た映画の上映が始まった。母親と見る予定のところに父親もきた。
 
 
 

2024年10月6日日曜日

風の市兵衛 弐  うつ蝉 

風の市兵衛 弐  うつ蝉 辻堂魁

 三月、唐木市兵衛が、川越藩から助け江戸に連れてきた娘・村山早菜が、三千石の旗本・岩倉家に輿入れした。岩倉家は小姓番頭であり、嫡子高和も中奥番衆に就いていた。
 岩倉家には大枚の借財があり、高和にも、いろんな噂があった。高和には元町芸者の側女がい、四才になる息子が存在する。金貸し七右衛門に遊興費を借り賭場通いをしている。七右衛門は三日んいあけず屋敷に出入りしていた。
 婚礼から半月経ち早菜は、岩倉家のことを知った。高和は早菜の住む離れに来たことがない。早菜の後ろ立て・両替商の近江屋の財力を充てにした婚礼だったと思った早菜は、付き女中の静と岩倉家を出て近江屋に戻った。
 
 北町同心・渋井は、大阪堂島の米仲買商の泰三郎が殺された事件を調べていた。七左衛門に会いに行くと言って出たことで七左衛門に訪ねるが、人違いだったと言われた。

 四月、市兵衛は元村山家家人・富山小左衛門と七左衛門と高和のことを調べていることが気に入らない七左衛門と岩倉家用人・鎌谷は、二人を殺害しようとする。別々に呼び出された二人は、岩倉家の別邸に連れて行かれ、富山は殺される。高和、鎌谷、七左衛門、助っ人二人がいた。
 高和と鎌谷、七左衛門は逃げた。
 七左衛門は二十年前の大阪時代の七左衛門を知っている泰三郎の甥が江戸に来た事で七左衛門の昔が知れ渋井に捕まった。
 秋、打ち首になった。
 鎌谷は当主の命で、切腹したことにされ殺された。鎌谷がかってにしたこととされた。調べは打ち切られた。
 
 五月、借財が嵩んだ岩倉家は、台所預りとなった。直後、則常は小姓組番頭を解かれた。高和も出仕に及ばずとなった。
 六月、家禄千五百石となり、亀戸へ屋敷替えとなり、無役の小普請になった。つたの息子は高和の子ではなく、七左衛門の息子と判明した。つたは女中となり子供も一緒に長屋に住んだ。
 早菜は、富山の遺骨を郷里・武州松山に納めに行った。市兵衛は見送りに行く。

 

2024年10月4日金曜日

貸し物屋お庸謎解き帖⑤ 夏至の日の客

貸し物屋お庸謎解き帖⑤ 夏至の日の客 平谷美樹 
 貸し物屋湊屋両国出店の主は庸。松之助は湊屋本店から手伝いに来ている手代。綾太郎たち陰間を生業にしている仲間が、両国出店の追いかけ屋として交代で手伝う。

 花の宴 大工の頭領の修業中の庸の弟・幸太郎が、師匠が元気がないと言ってきた。七十七才、矍鑠としていた仁座右衛門だった。庸は走入廻り、仁座右衛門の庭に桜を植え、舞台を拵え、芸者を呼びんだ。仁座右衛門の名を出すとみんなが集まった。仁座右衛門は、綾太郎が気に入り一晩過ごすと元気を取り戻した。

 炬燵の中 按摩の宗沢が、炬燵を返す時期だが、猫が住着きもう少し貸して欲しいと言ってきた。何か変だと思った庸は宗沢宅へ行く。宗沢が猫と言ったのは生首だった。東方寺の瑞雲にお払いを頼む。宗沢が二か月前、小塚原を通ったことを知った庸は、八丁堀の同心・熊野にお仕置きになった者を聞く。鬼火の駒八がいた。瑞雲に話し調伏を頼む。鬼火の駒八は首を晒されている時、宗沢が通った。宗沢が足を洗い元気にしていることに良かったと思って付いて来てしまった。その後をたくさんの亡霊が付いてきてしまったのだった。宗沢は、足を洗うことを認めてくれてありがとうございましたという。駒八は成仏した。元、盗賊一味だったとしゃべった宗沢は、自首すると言ったが、同心・熊野は、奉行が、ずっと前に足を洗っているからいいと言われたと言い、いろんなことが耳に入ったら教えろ、いろんなことを頼むかもしれないと言った。

 夏至の日の客 柴田洪順・学者見習が、一年前の夏至の日、ギヤマンの杯を借りに来た。何に使うかとかいろいろ聞いた庸に、もう良いと言ってでて行った洪順をつけた。他所で借り、少しして返したことを見届けた。庸は調べ考えた。洪順が火付けをしようとしていることは分った。洪順は、師匠の内藤玄丈を殺そうとしていると思った。洪順が長崎へ行った。庸は熊野にも洪順が火付けを考えていることを言うが、起こっていないことを奉行にまで言われないと言われた。それから一年経った。内藤玄丈の屋敷の火事を起こす装置を外した。見付けた洪順を呼び出し、装置を外したことを話す。玄丈の所に帰るのを止めるように言う。洪順の訳した物を玄丈の名で出版する玄丈を許せなかった。行き場所のない洪順に長屋を貸した。

 揚屋町の貸し物 吉原の出店に赤ちゃんを三人貸して欲しいと遊女が来た。本店にどうしようか相談に行くと庸に相談しろと言われた。相談された庸は、名乗った雪解が本人か調べる。違っていた。見付けた女と話しをして、庸はもう捨てるような人形を三体持って行く。病身の彼女は、魂が抜けて出歩くようになったと言う。心残りがあったから赤ん坊を借りに来たんだろうと聞く庸に、元雪解は、三人の赤ちゃんを堕胎したと語った。庸は三体の人形を出し、お焚上げされるのを待つだけの身だから最後まで慰める役目を貰って喜んでいる。可愛がっておくれと言う。
 三人の子供を連れた女が、庸にお辞儀する。翌日そめが亡くなったと知らせがあった。
 
 宿替え始末 常連の長助が、宿変えをするので大八車を貸して欲しいとやって来る。去年の夏頃から、夜中に音がしたり、幽霊が出るようになり家族がここに住めないと言い出した。長助は入谷の百姓で、家族と小作人で畑をしている。話しを聞いた庸は、加持祈祷をし、それで駄目なら家を建て直すという話しにした。大工は弟に頼むという。待っていた本家の七右衛門に話す。
 引っ越しが終わり、明日加持祈祷をするという夜、庸と松之助、綾太郎、勘三郎は長助の家で待機する。四人の男がやってきて穴を掘り始める。庸たちが現れる。七右衛門がいた。先祖の日記でこの土間に何かがあった時に土地の人々を助ける物を埋めてあることを知り、長助一家が邪魔になった。埋めてあったのは大量の胡桃だった。庸は長助に何もかも話すという七右衛門を置いて帰る。こんな事だろうと思った庸は加持祈祷を頼んでいなかった。
 翌日、長助に聞いた。胡桃を七右衛門の蔵で預かり飢饉の時に、近隣に配るという約束をした。土間の土を元通りにすることとした。長助は元に引っ越した。

2024年10月2日水曜日

江戸に花咲く

江戸に花咲く アンソロジー

祭りぎらい 西條奈加 
 公事宿「狸穴屋」絵乃。篠笛作りの師匠が祭り嫌い。娘婿が篠笛作りの上手で、祭りの笛吹が上手。娘と娘婿は、好き合っているのに、師匠は離縁させるという。廻りの皆で、師匠を祭りに引っ張り出す。師匠の母親は祭りの日にいなくなったという噂。もう昔のことは・・・

天下祭 諸田玲子
 平山行蔵、兵法、体術、武骨で小さな老人。奇矯ともいえる極端な粗衣粗食の暮しぶり。祭など・・・。そんな行蔵のところに若い娘・さんが、孫だと言って現れる。覚えのない行蔵だが・・・。母親が亡くなる間際、行蔵の名を言ったと言う。唯一の友、お庭番・古坂参左衛門の娘・いちが、お庭番から逃げた。古坂から娘を止めて欲しいと頼まれたが止められなかった。相手の男は、遺体で見付かったが、いちは逃げ果せたのだろう。さんは奇麗な着物を来て祭で踊る。行蔵はまだ間に合うかと祭を観に走る。
 
関羽の頭頂 三本雅彦
 柳瀬円十郎は、「運び屋」他人に奪われてはならない事情がある荷物を運ぶ。中身を見ぬ事。相手を探らぬ事。刻と所を違えぬこと。神田祭、関羽の山車の登頂。田安御門至近で、開いた扇を立てること。侍たちに狙われる。彼らは、何を何故扇子を立てるかしゃべる。お前たちが話さなければ、誰が立てたか分らないからお咎めはないよと言い置いて倒す。顔の化粧が取れる。花笠で顔を隠して扇子を立てる。祭の絵にその場が描かれた。円さんに似ていないから大丈夫。

往来絵巻 高瀬乃一
 神田祭佐柄木町御雇祭絵巻ができ上がった。良い出来でみんな大喜び。だが、囃子方が十人のはずが九人しか描かれていない。その場に居合わせた女貸本屋せんは、絵を描いた人を紹介して欲しくて絵の人数が違っていることを調べる。一人笛吹きが祭の日に亡くなっていた。隠されていた。祭の後と言う事になっているが祭より先かも、事故死と言われているが、殺しかも。全部祭で隠された。せんは絵師を紹介された。十三、四の幕臣だった。絵を頼んだが殺された。将来店を持ったら描いてくれるという。江戸一番の絵師になっておくと言った。後の安東広重。

氏子冥利 宮部みゆき
 三島屋の富次郎は、神田明神で老人を助けた。負ぶって三島屋に連れて行く。百物語を聞く。錠前師だった。十三才の時、姉を手込めにした男を叩き殺してしまった。やってきた親分は、家の有り金を全部持っていき、空き巣と鉢合わせした定六は殺されたことになった。姉は身投げした。自分は錠前屋に奉公に出た。ずっと自分は罪人だと思って暮してきた。
血の匂いのする着物を見付けた。着物から女が「すみちょう、たすけて、うこん色、さかさふじ、お願い、たすけて」と言う。探した。そして見付けた。地下の牢屋敷に姉弟がいた。岩末じいさんは二人を助け出した。火が出て気が付いたら外にいた。炭蝶の次男が、十年間閉じこめた女と子供だった。女は死んでいた。
 岩末は、親方を継いだ息子が亡くなり、親方を亡くした若い職人とその女房を助けるために帰ってきていた。
 

2024年9月30日月曜日

武士はつらいよ② 蔵元の娘

武士はつらいよ② 蔵元の娘 稲葉稔

 夏目要之助 徒目付下士、家禄三百石。藩主・藤田伊勢守氏鉄

 藩主の墓参の行列に付いた。町中で「要さん、要さん」と幼馴染の清に声を掛けられた。
清の実家は造り酒屋で、「星泉」が評判で江戸にも出し、二年前に家を建替え大きくなっていた。藩のご用足しにもなっている。要之助は、城下で声を掛けてはならないと言いに行った。
清は奇麗な娘になっていた。

 清から相談を受ける。江戸に下ろしている酒問屋から、別の問屋にも下ろしているようだから、もう取引をしないと言われていた。清水屋は、常磐屋にしか下ろしていない。どう証明すればいいのか分らなかった。
 要之助は、同じ幼馴染の源吉と、清兵衛に相談する。川荷置き場に出入り出来る者から順に、同じ町の造り酒屋の、樽作る者、樽の材料となるものあたる。一軒の造り酒屋に、清水屋と焼き印を捺す樽屋があった。
 同じような樽に自分の作った酒を入れて江戸の組合に入っていない店に卸していた。清水屋は常磐屋に証拠を付けて番頭を送る。今年も同じように卸すことになった。

 清は手代・幸吉と一緒になって店を継ぐことを決めた。

 

2024年9月28日土曜日

助太刀稼業〈一〉 さらば故里よ

 助太刀稼業〈一〉 さらば故里よ 佐伯泰英

 文政三年1820年 十月十二日

 豊後毛利家の徒士並・神石嘉一郎23才。身に覚えのない罪を着せられ脱藩を余儀なくされる。大阪に向かう船には「そなたが頼りだ」と毛利家の三男・助八郎が待ち構えていた。家宝の刀を持ち出した若様と旅をする羽目になる。

 金も宛てもない旅が始まる。大阪で、助八郎の持っている刀と、助八郎の口で、二天一流三宅道場で道場破りをすることになったが、嘉一郎は、七人衆と稽古した。嘉一郎は三宅道場に居候して門弟衆に指導を始めた。助八郎はいなくなった。佐伯藩の上役・下野枝陸が来る。下野枝は、元の役に戻すので自分を手伝えという。助八郎から刀を取り返すという。助八郎は京都へ行った。
 下野枝と三十石船に乗った。途中、浪人三人が強盗と化した。老商人を助けた嘉一郎は、弁当を貰い、老人の船宿「たかせ川」の使用人の部屋で一夜を過ごす。老人・梅鴛は禁裏一刀流荒賀道場を紹介する。隠居は、助太刀稼業を紹介する。
 大名・吉川家に金を貸す伊勢谷の主・重蔵と吉川家に掛け取りに行く。番頭・有馬兵衛と発ち合い勝ちを収めた。三百二十五両を受け取った。四十両を渡すという重蔵の言葉を断り、助太刀稼業の名と重蔵の三朱と数十文入った巾着を貰って、旅だった。
 武者修行に四十両は邪魔だった。
 瀬田あたりの伊賀一刀流山波結城道場で稽古した。
 山城結城、妻・和乃。藍16才と小太郎10才の四人家族だった。
 膳所藩の藩士の臨時師範をして一月、山波家そ実家と思い必ず帰ると旅立った。

 二ヶ月後、大井川で足止めされていた。どのような剣術家を目指すのかまだ考えていた。
寸又峡に仙人のような武芸者がいると聞いて大井川を遡った。岩屋にいた。仙人は酒を飲んだ。十数日、嘉一郎は独り稽古した。仙人はただ見ていた。見られることで稽古は充実した。仙人が小枝で滝の水を嘉一郎に振りかけた。旅に出よ。と言われ旅に出た。
 文政四年 1821年 晩春

2024年9月26日木曜日

京都寺町三条のホームズ・21

京都寺町三条のホームズ・21 望月麻衣 
〜メランコリックな異邦人〜

 九月から「蔵」でジウ・イーリンが1か月アルバイトをすることになった。
十月からイーリンは、京都の大学院の修士課程に通う。

 イーリンは、葵に興味を持ってきたようだ。清貴と一緒に働け、円生とも会える。父親・ジウ・ジーフェイは、イーリンに、高宮宗親と親しくなり彼が「珍しい宝石」を持っているか調べて欲しいと頼んだ。

 イーリンは、歌舞伎役者・市片松之助が持ち込んだ根付けが元で、高宮と根付けの会で親しくなる。清貴に「珍しい宝石」のことを相談する。小松も調べる。
 ジウ家の家族に関係深い話しになった。

 イーリンが、生まれることにより、ジーフェイの妻は自殺したと聞かされ、ジーフェイの姉妹夫婦、イーリンの腹違いの兄弟姉妹から苛めを受けて育ち、幼少期から孤独に育った。イーリンの味方はばーやだけという環境だった。自分の所為で妻が亡くなったという引け目を感じて生きてきた。
 清貴が、ジーフェイが、高宮の息子に「珍しい宝石」を手に入れることを頼み、その宝石が、持ち主が自殺すると言われる呪いのブラック・ダイヤモンドだったことで妻・クーチンが自殺したと言われているいう事実を掴む。
 ジーフェイには宝石を頼んだ覚えがない。離婚寸前の妻に、宝石を贈る気はなかった。ジーフェンには、クーチンが、「信じられない、そこまで私を憎んでいたの。お望み通り今から死んでやる。」と言った意味がわからなかった。
清貴は、自分に送られる宝石が、持ち主が自殺するという宝石だと知った言葉だろうという。
 クーチンは、一人で出て行きボートに乗ったと言われているが、義兄はいなくなっていたことを珠蘭は知っていた。クーチンが自殺ということも疑問になった。
 パソコンの電話で繋がっていたジーフェンとイーリンの異母兄・シュエン。シュエンは、今までのことをイーリンに謝った。
 イーリンは、ばあやが、本当の祖母だと知った。イーリンを置いてお金を持って逃げたと言われていた母親も、ジーフェンが面倒みていることも教えられた。

 イーリンのバイト期間が終わった。イーリンは、葵と清貴を父と母のようの思った。
イーリンの言葉を聞いた円生はハッとした。
 清貴は、葵を皆をたらし込むと表現する。

 清貴は九月から一年間、税理士事務所に通う予定。


2024年9月24日火曜日

拵屋 銀次郎半畳記 ④ 汝 戟とせば〈二、三〉

拵屋 銀次郎半畳記 四 汝 戟とせば〈二、三〉 門田泰明

〈二〉
 傷を負った銀次郎は、医師溜で養生していた。黒書院直属監察官大目付は解職され無職の状態だった。着替えの衣装には葵の紋が入り、銀次郎の大小刀にも葵の紋が入れられていた。本丸殿舎内でも大小を帯びて構わないということだった。上様・家継に会いに行くが老中に止められた。銀次郎は隠宅に帰る。
 隠宅は、杖三とコトが世話をしてくれ、浦と滝が黒鍬から派遣され防備していた。隣家の嫁・萩が出入りしていた。
 よりかたと名乗る侍が来る。銀次郎が萩を送って行った時、よりかたが一人になった時、四人の浪人風がよりかたを襲った。浦と滝がよりかたを守る。銀次郎が帰った時、四人は逃げた。よりかたが襲われたようだ。よりかたを帰し、銀次郎はよりかたの素性を調べさせる。
 黒鍬の頭領黒兵を守る者が十人いるらしい。
 銀次郎の拵屋の跡は何も残っていない。銀次郎の剣術修業の場・人間修業の場である無外流大道場・笹岡道場も無くなっていた。
 銀次郎は黒鍬黒兵に引かれていた。現れた黒兵には影武者が三人いると言う。妻にするはずだった艶の墓で黒兵と会う約束をした。
 夜、よりかたが訪れた。真っ赤な装束の刺客に襲われた。よりかたは、萩を側室にしたいと相談して帰った。よりかたは徳川吉宗だった。

 黒兵に会った銀次郎は、結ばれた。屋敷に帰り朝を迎えると、黒兵は消えていた。叔父・筆頭目付和泉長門守兼行・黒鍬支配を訪れる。黒兵は御役御免を願いを出していた。
 城中で家継に見舞いし、黒鍬・滝と話す。滝はご自身で京に行ってほしいと言った。

 隠宅に柳生御盾班組頭の警護で、月光院と新井白石が来た。上様名代で、従四位下・備前守、本丸参謀長の職、六千石に給する。有事の際、将軍直属軍の指揮統括、江戸市中の刑事機関の統括、二条城拠点の京の全機関の統括を申し渡された。


〈三〉 
 二人がいる隠宅が赤装束十五人に襲われた。柳生の御盾班に守られた。
 吉宗が訪れ、将軍の内示が出たことを伝えた。銀次郎に内示は決定だと思えと言われた。言葉では、尾張が第一位と言いながら、将軍になった時の職を考えていた。新井白石と間部詮房に×を付け、桜伊銀次郎に◎を付けたり×を付けたりしていた。
 銀次郎が萩を連れて来た。銀次郎は江戸を出るにあたり、吉宗に幕翁となれば、自分の身の丈にあった隠密情報機関を拵えなさい。幕府を縁の下で支える大奥を確立されよ。と忠告する。妹とも思う萩の亡き亭主と儲けた幼子が三人いる。四人を慈愛で見守ってほしい。と言い置いた。吉宗は、内示通りにコトが進めば、三年間は助けて欲しいと頼んだ。
 吉宗の馬・吹雪を借り受け京に発つ。上様に別れを告げ、天栄院への手紙を託す。
 途中で、奈良の御破裂山神聖な霊山で三百を超える山伏の激しい武闘訓練が行なわれていると噂されたが、集落は解体され小さな寺のみが残っているだけになっていた。と報告を受けた。
 保土ケ谷で、滝が、黒兵を天之御方様と呼んだ。気の毒だから救って欲しいと、多分御所内にいるであろうと言われた。
 三島で、叔父の走部が、上様が亡くなったことを伝えた。
 京に入り夜の山中で百姓女に会った。町中に入り、盗賊団に襲われる後藤金座を助けた。後に来た同心に縄を掛けられる寸前、やってきた町奉行に放免される。戻って百姓女の家に宿を願う。朝京都所司代・水野忠之が朱印状を持ってやってきた。新将軍直々の朱印状。従三位・左近衛権中将・本丸参謀総長、九千八百石。二条城代という役職だった。
 吉宗は、銀次郎の手紙を受け取った天栄院に背中を押され将軍の座に着いた。
 浦が用意した三条通りに沿った「呉服商五井」に宿を求めた。浦に吉宗への伝言を頼む。旧政府のご老中はそのまま継続して用いること。絶対手放してはならない。強く言っていたと伝えるように。
 五井の前は紀州藩京屋敷だった。筆頭留守居役・禅籐吾郎右衛門は、商家から金を借り返す気もなく、女に金貸しをさせ、惨い取り立てをしていた。禅籐に直接五日の内に返すことを言うと、命を狙いに来た。

2024年9月20日金曜日

安倍晴明 あやかし鬼譚 

安倍晴明 あやかし鬼譚 六道慧 

 陰陽師・安倍晴明、84才。晴明は自分が「光の君」と呼ばれる夢を見た。その夢を見るたびに現実の晴明は、若返る。力は衰える。
 内裏の北面・不開の門が開き死人が続出。中宮彰子のまわりでも帝の寵愛をめぐり後宮の女たちの争いが巻き起こる。紫式部の執筆中の源氏物語と奇妙な符号を示していた。

 元子が操られ、一条帝を惑わす。元子の兄・藤原重家を操り道長の命を狙う。宮廷陰陽師の地位を狙う弥勒法師が、操る幻軍団は晴明を狙う。
 追い込まれた晴明、氷に閉ざされた道長。紫式部に「語違え」を描いて貰い燃やす。葵の上を物語に戻す。道長の凍りついた肉体が、元に戻る。紫式部に光源氏の誕生を描いて貰う。物語と密接な関係を保っていた夢幻世界の均衡が崩れた。道兼の幻が消える。重家の友人・源成信が現れた。自刃を止めた。

 晴明は翌年、85才で死亡。

2024年9月18日水曜日

上絵師 律の似面絵帖⑩ 照らす鬼灯 

 上絵師 律の似面絵帖⑩ 照らす鬼灯 知野みさき

 所変われば 
 七朗という見習いの奉公人が入った。
 律は涼太と、疎遠になっている叔母の弔問に、王子に一泊し滝野川村に出かけた。
追い剥ぎから、母娘を助けた余助と出会う。余助の言葉を似面絵にし、番屋へ届ける。後日追い剥ぎは捕まる。
 着物の意匠に地獄絵を頼まれた律だったが、地獄絵は描けない、書きたくないと断る。律は自分の怖い思い出に繋がる鬼灯を描く事にした。買い手がなくても良い、描く事にした。

 春告鳥
 巴屋の貴彦が奉公人にと健生を連れてきた。巴屋は、十七年前、火事があり涼太の祖父・青陽堂の先代の宇兵衛は、当時七才の貴彦を助け亡くなっていた。盗賊が窃盗と火付けで捕まった。健生は追分宿の旅籠の次男だった。四年前、旅籠の火事で、父親と長男・正生が、亡くなった。正生は健生を助けようとして亡くなったため、母から健生が亡くなれば良かったと言われた。貴彦は健生を引き取った。貴彦は、出家しようとしている。巴屋に馴染めず青陽堂で奉公させてほしいと言ってきた。
 往来の喧嘩に巻き込まれ亡くなった娘の供養の着物に、鴬・経読鳥の絵を描いた。

 薮入りにて 弐 
 竜吉は地獄絵に、九相図を描いた。
 律は薮入りで帰った慶太と夕、綾乃と直太郎と一緒に護国寺へ行く。慶太は、母を殺した辻斬りが、父も殺し、犯人の小林吉之助は捕まり、旗本ゆえに「病死」になっていることを知らない。慶太が犯人を憎み続けていることを知る。広瀬との約束で誰にも真相を話していない。
 火盗改の小倉に付いている太郎が、似面絵に描いた伝八を追っているのを涼太は見付けた。太郎は伝八と親しげに話しをしていた。律は太郎を疑うが、小倉は私は太郎を信じると言う。

 照らす鬼灯
 余助は元侍で、二十年前、辻斬りを殺したことがあった。辻斬りとして殺された・秀一郎は、余助・義之介と同じ年で同じ道場だった。秀一郎は武家に仕官していた。義之介は浪人だった。秀一郎は先生のお気に入りだった。義之介は辻斬りを捕まえ仕官したいと願い、探していた。辻斬りの現場にあった義之介は腕の立つ辻斬りを斬った。本当は義之介が辻斬りではと言われ江戸を出て上方に行った。律は、辻斬りにあった男に会い話しを聞いた。秀一郎が辻斬りなのは間違いなかった。
 余助は、盗人のことを探り、奉行所に知らせていた。
 貴彦が出家する前に、律と健生は貴彦に会いに行く。律の具合が悪くなり巴屋に泊まった。その夜、巴屋に賊が入り、太郎が刺され、行灯が倒れ火が出る。健生と律が、皆に知らせ、健生は布団を持って行灯に被さる。余助が現れ二人は助け出される。小倉が現れ賊は捕まる。太郎が追っていた伝八だった。健生は、火事から救い出されたが、兄を見殺しにしたと余助を睨む。
 伝八は、前に巴屋に入った賊だった。火付けはしていないが、息子は窃盗と火付けの罪を着せられたと恨んでいた。
 火事になったのは貴彦が行灯を倒したためだった。貴彦はずっと忘れていたが、四年前思い出した。そのために出家すると考えたのだった。信濃に出家に行く貴彦が、健生の母に正生と健生を描いた似面絵と健生の手紙を託した。
 余助は広瀬の御用の助けをすることになった。
 鬼灯の着物は、元々地獄絵を頼んだ人の手に渡った。主人が頼んだが、病で寝つき割り符を見付けた妻が現れた。妻は散々振り回されたから、今際の際であざ笑ってやるつもりだったが、鬼灯の着物を見て、いろいろ思い出し、切なくて。死装束にするが、迎え火や送り火におかみさんが着ることにした。

 律は涼太に授かったようだと告げた。
 

2024年9月16日月曜日

情け深川恋女房⑤ 札差の死

情け深川恋女房⑤ 札差の死 小杉健治

 小間物屋 「足柄屋」の与四郎と俳句の会で付き合いのあった札差の間口屋五郎次が、ふぐの毒で亡くなった。岡っ引きの新太郎は、疑念を抱き探索を開始する。店を継いだ五郎次の息子・心平太の周囲には娘の稲への厳し過ぎる躾けや、女房の雉の兄・密蔵との争いなど問題が起きていた。
 与四郎の店の小僧・太助は、最近、商売にも剣術にもあまり力を入れていない。また、女房・小里の具合も良くない。そんなところに密蔵の息子・密三郎を預かることになる。
 新太郎が付いている同心・今泉は、ドン尻屋一家を潰そうとしていた。賭場を開き借金の取り立てに容赦なく、殺人も厭わないどんどん力を大きくしていく一家だった。事件で捕まえても、賂で事件をもみ消す。頭の又四郎を捕まえないとどうにもできないと思っていた。
 五郎次のフグ事件、その後の間口屋への付け火、どちらもドン尻屋一家の頼みで起こったことだと掴んだ新太郎は、太助を引き込み囮を仕込みドン尻屋の二十六人を捕まえる。
 又四郎を逃がしたと残念がる新太郎に、先代頭の息子・金馬は、又四郎は三年前に死んでいると教える。又四郎しかドン尻屋を纏められなかった。みんなに死が知れ渡ればドン尻屋はばらばらになった。
 与四郎は三年前のことを思い出した。料理屋の二階の窓で見た又四郎、料理屋から出てきた心平太。その手は血で汚れていた。心平太の顔を見て父親殺しの相と言った易者。与四郎は心平太に疑問をぶつける。又四郎を殺したこと、心平太は、又四郎の息子だと。与四郎は銀煙管を心平太に渡した。新太郎には言っていないと別れた。
 間口屋の番頭・喜助が与四郎に告げた。ドン尻屋の先代・金兵衛の妾と又四郎の間に出来た息子を、五郎次が育てた。番頭喜助が任された。三年前、二人が話していたことを心平太が聞き、又四郎を殺した。又四郎の死は隠された。喜助が自訴するつもりだったと言う。心配した与四郎は、喜助に死なないで、なんの意味もないと言った。
 喜助は近所の寺で出家した。
 

2024年9月11日水曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎66 忘れえぬ

 風烈廻り与力・青柳剣一郎66 忘れえぬ 小杉健治
 
 剣一郎は、旗本・坪井貞道の悪い噂を耳にした。小間物屋の美しい内儀に言い寄り何かを画策している。不審を抱いた剣一郎は身辺を探る。老中から横槍が入る。
 十五年前のそば屋の夫婦殺しの話しが耳に入る。犯人とされた侍は、旗本の若党で自死していた。が本当の犯人はその旗本の次男だといわれていた。次男が坪井家に養子になっていた。
 坪井家では、女中が手打ちにあっていた。女中の許嫁と十五年前のそば屋の弟、自死した若侍の弟が、恨みを抱き仇討ちを企んでいるようだった。
 坪井家に老中が招かれる。何かが起こると考えた剣一郎は、隠密同心・作田新兵衛を坪井家に見届けるよう頼む。
 何かが起きた。新兵衛が報告する。そば屋になって入り込んだ三人は、用人・矢崎平左衛門に隣の控室に呼ばれた。矢崎は、坪井に、十五年前の事件と女中への手討ちの罪を問いただし、坪井家にあなたのような当主は不要だと言い、貞道を斬りつけた。近衆の高槻に若君を頼み討たれた。異変を知った老中は、病死と届けるように言い帰った。
 坪井家にも矢崎家にも長男がいる。

2024年9月9日月曜日

脳科学捜査官真田夏希㉑

脳科学捜査官真田夏希㉑ 鳴神響一 
 〜ジャステス・エボニー 〜
 
 横須賀市内で大学教授の息子が、誘拐された。夏希は用意するが連絡はない。
 現場でアリシアと小川に会う。
 防犯カメラ、Nシステムで誘拐した車を追う。
 夏希は、被害者宅から犯人の隠れ家を探すために待機場所を移動する。
 身代金受け渡し時間が近づく。
 携帯基地局、アリシアの鼻のお陰で少年の監禁されている倉庫を見付ける。
 少年を助け出し、犯人の男を捕まえている最中、アリシアが吠え出す。
 アリシアは爆弾探知犬だった。小川は、急いで外に出るように言う。
 倉庫は爆発する。犯人は、ナイフを自分の胸に刺した。
 犯人は、病院に運ばれた。
 少年は、夏希が見たところ異常がないので、駆け付けた両親に明日病院へ行くように言った。アリシアが、少年の両親に吠える。
 夏希は、少年の両親に、明日にでも犯人に事情聴取を行なうと言う。
 夏希は織田に、犯人の病室の張り込みを頼んだ。
 朝、織田から夏希に連絡が入る。依田美穂・少年の新しい母親を逮捕したと。

 誘拐は美穂の計画だった。犯人・本条を殺す目的だった。受け渡し時間には、本条と少年を倉庫ごと爆発させるつもりだった。現場をカメラで見ていた美穂は、警察が倉庫に踏み込んだので爆発させた。本条は美穂の気持ちが分り自殺しようとした。
 

2024年9月7日土曜日

武士の流儀〈十〉

武士の流儀〈十〉 稲葉稔 

 用心棒 太物問屋の主の後添えに脅迫状が届く。北町吟味方与力・大杉勘之助に頼まれ清兵衛は用心棒をすることになる。
 犯人は番頭だった。主は誰にも言わず番頭を辞めさせて納めた。

 兄弟 安江は、紙問屋の奉公人・松と知り合う。親に勘当され妹の松に金をせびりにくる兄がいると言う。兄・伊兵衛は、金貸しから金を借り松を渡さなければならないところまで追い込まれたという。安江は、清兵衛に相談する。松の実家は大工の頭領だが、長男の伊兵衛は、職人の見習いに出ても長続きしない。商売を始めてもすぐにだめにる。両親には勘当され、
妹の兼にもずいぶん無心し、見放され、頼れるのは松しかいなかった。清兵衛は、親・吉蔵に話し、金貸しのところに行った。八両の借りが十五両になっていた。九両で話を付け、吉蔵が払った。清兵衛は、吉蔵に伊兵衛を頼むと頭を下げた。

 ほだされて 高橋勝之丞は、国許から参勤交代で江戸に来て心が踊った。中屋敷に住み、気楽だった。駒に出会い駒の虜になった。三十俵四人扶持なのに百石取りと言ってしまった。駒にお金を使うため、高橋は、通りすがりの町人に恐喝を働いた。
 清兵衛は 岡っ引きの東吉に手代や女中から六両を脅し取った事件を調べてほしいと頼まれた。東吉は清兵衛が元与力ということを知らない。清兵衛は調べ始めた。女の家に出入りする勤番侍に目を付ける。侍が弱そうな手代をを脅す現場に現れ捕まえる。話を聞き、女の正体を話、もうしない事を約束させる。脅し取った店で、脅し取った金額の倍の金額の物を買うことを約束させる。
 東吉には、やっぱり難しい手に負えないと話した。

 家出娘  秀の家は南品川の旅館兼仕出屋で両親と兄と姉が手伝っている。秀は疎外感を味わい家を出る。安とりょうという娘たちと出会い行動を共にする。二人は空家に寝泊まりし、盗みをしているようだった。清兵衛は、安くしておくと安に声を掛けられ三人を知る。清兵衛は三人を調べる。りょうが安のお金を盗んだ。二人の言い争いに近所の人が気付き三人は逃げる。秀は逸れた。清兵衛と会った。清兵衛は、秀の話を聞き、家族は忙しいから秀をかまえなかったのだと思った。秀と話、南品川に一緒に行く。二人の話はしないことを約束させ、自分が味方になることを言い聞かせ両親の元に連れて行った。秀が家を出て一か月が経っていた。
 家族は秀が帰ってきたことを喜んだ。清兵衛は、安江という女が何も聞かないで寝泊まりさせていたと話した。秀はありがとうと言った。

2024年9月5日木曜日

京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先〈2〉

 京都梅咲菖蒲の嫁ぎ先〈2〉 望月麻衣
 〜百鬼夜行と鵺の声〜

 新斎王の就任を目前に控えた京都で、百鬼夜行の目撃談が相次ぐ、不穏な噂が流れる。藤馬率いる四天王が討伐に赴く。立夏は自ら囮を買って出る。百鬼夜行を連れ出し現れるだろう鵺を退治するつもりだったが、、結界が崩れ、逃げる鵺を、立夏が声を頼りに放った矢が擦った。新斎王・蓉子が連れ去られる。
 神子・犬居家で行われる新年の宴で、立夏と菖蒲は筝と三味線を演奏し、再び鵺を呼ぶ。
演奏中、菖蒲は蓉子と話が出来、居場所も分った。
 鵺が現れた時、力が欲しい者が鵺を狙うが矢は当たらない。菖蒲は射る気になれない。蓉子を屋敷に連れてきて監禁していた神子に連れだされた蓉子は、私の仕事と鵺を開放するつもりで矢を射る。鵺は矢に当たり落ちた。春鷹は、自分が矢を当てるつもりでここまで用意したのにと呟く。
 結界を解き、百鬼夜行を放し、鵺を開放したのは春鷹だった。元々、先が見える春鷹だったが、今は、見えなくなった。鵺に矢を射った者は力が増と言われていた。春鷹は、力を蘇らせたかった。
 蓉子は春鷹を裁いた。審神者と神子の資格を剥奪、実家で謹慎を言い渡される。蓉子は、自分の力が無くなった原因は、自分を偽って生活していたからだと考えた。春鷹にも、自分を偽って生活しているから力が無くなったのだろうと言い、兄からの手紙を渡す。人はやり直せます。と蓉子は言った。

 蓉子は、菖蒲に、斎王になりたくない理由を聞く。菖蒲は、はっきり立夏と結婚するのが遅くなると答えた。菖蒲は、出版社に勤めることと立夏と結婚することが望だから。

2024年8月31日土曜日

旗本出世双六〈一〉 振り出し

旗本出世双六〈一〉 振り出し 上田秀人 

 書院番の新参がいじめに耐えかね三名の古参を斬り殺す刃傷事件が起きた。二百二十五石の小旗本で無益の北条志真佑は、番士を一新し再編された組・西丸書院番二番組に抜擢され、妹・幸や叔父・相模八左衛門と共に喜んだ。書院番の仕事は、外出時の将軍の警護。志真佑は西ノ丸の書院番なので家慶の外出時の警護。

 家斉の代参で、家慶が有徳院の忌日の供養に参加のため寛永寺に行く。志真佑は組頭のすぐ後ろに付くように言われた。敵に誘われても討って出ず、盾出なければならないと言われる。

 行列に浪人が絡んできた。先頭が当て落とされ志真佑は相手をする。一撃は止めた。浪人らは藩を潰された理不尽と潰した徳川への反感と浪人の暮らしのつらさをたらたらと言い放ち、刀を向ける。刀を受けた志真佑は、小普請には未来は見えぬ、我らには直参旗本という誇りがある。この誇りは何人も奪うことは出来ぬ。夢はいくつでも見られる。ひとつのことにとらえられてきたそなたたちと一緒ににするな。天下の泰平を守るのが旗本の役目じゃ。と志真佑は答え返す。守っている間に水戸家の援軍が来た。浪人たちは走りさる。
 志真佑は、家慶と目が合った。家慶は微笑んだ。
 家慶は志真佑に興味を持った。


2024年8月25日日曜日

東京バンドワゴン⑲ キャント・バイ・ミー・ラブ 

 東京バンドワゴン⑲ キャント・バイ・ミー・ラブ 小路幸也

 花陽は大学四年、実習に行くようになる。
 藤島は〈藤島ハウス〉を本宅にした。

 秋 とっちらかってアイドル
 十年前に銭湯がアートギャラリーになった〈アートゥ〉を買うことにした青。音楽、美術等芸術を中心にしたクリエイター・ビレッジを創るつもりだ。名前は「ステージバス」再来年の四月開始。
 芽莉依に、東大クイズマニアックの品川が接近。話しをしている二人を隠し撮りする者を、木島が発見。品川が所属する事務所の社長に頼まれていた。
 研人がアイドルグループ〈カラーナンバー7〉の三人と一緒に仕事をすることになった。本間ハルカが元の詩を書き、研人が曲を創る。所々詩を書き換え曲が出来る間に、二つの事務所が元は同じだったことが分る。何かを仕掛けられていると感じた研人と我南人と木島はアイドルグループが所属する事務所に、〈カラーナンバー7バージョン〉と、元の歌詞を使った
〈TOKYO BANDWAGON〉バージョンで同時に出すことを承諾させた。

 冬 愛とは航海する旅 
 クリスマスが終わり、年末。かずみと池沢が三浦から来る。
鈴花とカンナが寝る部屋を決めた。亜美とすずみと芽莉依と池沢。四人ともお嫁さんです。すずみが池沢に我南人との出会いを聞く。池沢の主演映画の主題歌を我南人が創り、池沢が歌う予定だった。卑劣な実力者をぶっ飛ばして池沢を救った。我南人の歌はお蔵入になったと話した。
 花陽が友人の結婚式に出席。
 岡山の茅野の奥さんが亡くなった連絡が入る。一ヶ月前の話し、脳卒中で突然だった。
 ステージバスの建築の話し合いが始まる。
 花陽を心配して大勢が集まる。和、須藤先生、麟太郎、行沢、行沢の妹・杉原奈津香。みんなが集まった原因は、玉地川総合病院の、臨床検査技師が浮気して相手を妊娠させた、という噂だった。和と須藤先生は、麟太郎を疑った。須藤先生は、相手の女性の同級生で妊娠検査をした。妊娠はしていなかった。男性は、麟太郎の同僚で、奈津香の夫だった。奈津香は、相手の女性が実習生と聞いた。兄に相談し、我南人に相談した。そしてみんなが集まる事になった。みんなの誤解は解けた。
 花陽は、結婚することを決めた。医者になるまでは結婚しないと言っていたが、何が起こるかわからないとつくづく思ったから、できる時にする。

 春 未来をあなたへ花束にして
 かんなと鈴花は小学四年生。芽莉依は大学三年生。花陽は、医大の五年生で二十三才。
花陽は、8月15日に結婚式をする事にした。祐円の神社で結婚式をしてHホテルで披露宴をする。
 ステージバスは、ライブ、演劇を行なえる施設、音楽スタジオ。アーティストオフィスの機能を兼ね備える。
 Hホテルのパティシエの一人が、水上兵衛のお姉さんだった。水上は〈TOKYO BANDWAGON〉の専属のカメラマンだ。お世話になっているからとケーキを持って来る。その時、のぞみの父親・春野さんがコックを辞めさせられたことを聞く。陰険な派閥争いだと言う。
 のぞみの母親が、のぞみから渡された通帳を持ってくる。のぞみは研人たちの歌詞を書いたり、歌ったりしているので印税が入っていた。研人は説明する。のぞみは手っ取り早くお金を稼ぐために本間ハルカに相談に行った。研人はのぞみと父母とに話す。ステージバスのアーティストとして登録し、仕事をする。文才が一番、作詞家として活動、ステージバスのポスターのモデル。モデル料が発生する。両親とも話し合い契約したいことを話す。
 我南人は、父親に〈はる〉を勧める。ランチを始めたが人手が足りない。和食を踏まえてランチやモーニングに対応できる人を探している。夜以外は全部任せてもいいと言っている。のぞみの母・絢子も一緒に働くようだ。

 夏 キャント・バイ・ミー・ラブ
 ステージバスの銭湯建築修復作業を4Kカメラで撮影、新築多目的ホールのビル屋上の緑化。改築工事が始まる。
 研人たちは夏のツアー、華と大河も参加。我南人たちも何ヶ所がジョイント。
 女優・折原美世こと佳奈と亜美の弟・修平夫婦に赤ちゃん誕生。名前は幸と付けられた。
 ステージバスにスタジオが出来るので、芽莉依が研人の隣の部屋を使い、芽莉依の部屋に麟太郎が住むことになった。
 浦安に本やレコードを買い取りに行く。その中に、この子の父親は我南人よと録音されたカセットテープがあった。買い取りを頼んだのはそう言っている人の孫だった。祖母も母も亡くなっていた。持ち帰った荷物を置いている時いたのは、元図書館館長・浜崎だった。彼は、その祖母の兄だった。祖母・木下琴。我南人の知らない名前だった。
 録音された声を聞き、我南人は、別の日に、買い取りを頼んだ智香と浜崎と、カラーナンバー7の事務所の創業者・宇条滋平を連れてきた。
 我南人は、智香に古いアルバムを見せ、谷口ミカという凄いボーカリストだったことを伝えた。宇条を祖父だと紹介した。浜崎は智香の大伯父。浜崎はジョージが父親、我南人だったら良かったのにと聞いていた。宇条は、ずっと見守ってきた。言葉を信じ切れなくてそれで、我南人にいろいろちょっかい出していたと言った。
 谷日神社で挙式、ホテルで披露宴。研人たちと我南人たちのジョイントライブ。花陽が手紙を読んだ。写真会場になる。雛壇で家族写真。と言いながら須藤先生もカメラマンの水上も一緒に撮る。最後にかんなが写真を撮る。勘一の隣に他の人には見えないさちが座った。かんなが撮った写真にはさちも映る。紺のアイホンで撮った。

 

2024年8月19日月曜日

鬼役〈三十四〉 帰郷

鬼役〈三十四〉 帰郷 坂岡真

 上方で医の勉強をする鐵太郎から江戸に帰ると連絡があった。 
 江戸城が火災で被害を受け、予算以上費用が嵩み再建された。老中が返り咲き幕府は迷走している。二度目の罷免蟄居があり、阿部伊勢守が老中首座になった。
 矢背蔵人介は「小姓頭取格奥勤見習」となり、影鬼となっている。
 鬼役となった卯三郎にまだ信がおけられていない。
 南町奉行に就任した遠山佐衛門少景元が、名前を連ねた紙を出し、上意だと言う。蔵人介は、間違った上意には従わないと言った。

 まだ鐵太郎が帰らない。門前に置かれた紙に海辺の風景と「市谷お納戸町矢背蔵人介」が書かれていた。蔵人介と串部は、金沢道を南下する。父親とじい様を役人に殺された小童に合った。一か月前、役人は、唐人船を焼き積荷も漁師も家も焼いた。磯松は、海辺の絵の所に案内した。
 海辺の見える御堂に鐵太郎はいたようだ。網元が、役人が半狂乱で村人を撫で切りにし姿を消した。翌日から村火地に症状が出始めた。鐵太郎が現れ、患者の治療を始めた。体力のない老人や子供は亡くなった。生き長らえた快復の兆しが表れ、新たな患者も出なくなった。浦賀奉行が鐵太郎を連れて行った。
 浦賀奉行・久保寺は、斬首にするという。蔵人介が奉行に公金着服の罪で成敗する間に串部は鐵太郎を助け出した。疫病はころりだった。鐵太郎の江戸帰郷の理由は、疱瘡の種痘を広めるためだったが、もう一つ、個人的には、異人の血をひく、医者を目指す女・多喜を探すためだった。
 卯三郎が毒味で倒れた。毒が仕込まれたが、ころりに感染した。御鳥屋に運ばれ、鐵太郎が呼ばれた。
 多喜は息子・仁を探していた。
 出牛峠の銀色の塔を爆破し、徳川幕府の転覆を狙っていたものは失敗におわった。
 大奥の山嵐ひとりになった。
 奥医師筆頭・胡桃沢が、多喜の産んだ子は、紀州徳川斉順だと言った。
 大奥で、子供を見付け、保護し、大奥の食事處で、毒が入っている証明をする。
 
 大阪に帰る鐵太郎を見送る。鐵太郎の横に多喜と、鐵太郎が父上になる仁もいた。
 

2024年8月17日土曜日

おもみいたします② 凍空 と日だまりと

おもみいたします② 凍空 と日だまりと あさのあつこ

 武士・稲村に駕籠に乗せられ連れて行かれたのは旗本・久能家だった。当主・和左之介が、三日後切腹する。手足を動かすと痛く、このままでは作法にのっとった切腹が出来ない。切腹が出来るように動くことが可能にしてほしいという要望だった。梅は死ぬためにもみ治療はしないと言いながら、治療をする。動くようになる。和左之介は、途中で治療を拒む。
 梅は切腹の理由を聞く。女郎宿「かずら屋」の朱波と心中しようとして途中で見付かり目付の耳に入り切腹が決まったという。
 梅は、かずら屋の女将のもみ治療をしながら話を聞く。女将は、女郎から心中話を持ちかけさせ途中で止め、対面をきにする武家から金子を受け取っていた。今までにも何組も、事件を起こしていたが秘密裏に処理されていた。今回は客の中にたまたま徒目付がいた。初めて表にでた。旗本の次男、三男の風紀が乱れていることを気にしていた御上は、見せしめのために和左之介を切腹に決めた。
 和左之介と朱波は、朱波の父親が久能家で働いている時期があったため、幼なじみであった。
 梅は、本人たち、和左之介の姉を説得し、二人を大阪へ逃がす算段をし、逃がした。
 姉・橙子は、梅に過去を話した。使用人として屋敷にきた男が、鼓が巧みで、恋に落ち、密通し二人で逃げることを考えた。男は逃げた。橙子は父親に男を殺すことを頼んだ。橙子は子を産んだ。和左之介だった。橙子は姉として育てた。
 切腹部屋で、稲村が切腹した。
 和左之介を見張り役の二人に、切腹したのは和左之介だと認めさせた。

 橙子が、梅を訪ねてきた。二人が大阪に着いたことを伝えた。稲村の遺書の内容を伝えた。橙子の男・和左之介の父親を殺したのは自分だと。男は逃げた訳ではなかった。橙子が父親に頼む前に、殺されていたのだった。自分の罪を贖える機会を得ることが出来た。梅どのには真底礼を言いたい。
 橙子は後始末を終えた。髪を降ろし仏門に入り、稲村の菩提を弔って生涯を過ごすことにした。梅は橙子の身体を揉んだ。
 

2024年8月14日水曜日

岡っ引き黒駒吉蔵② 馬駆ける

岡っ引き黒駒吉蔵② 馬駆ける 藤原緋沙子 

 雪解け 吉蔵が子供の凧揚げを見ている時知り合った男は、葦簀張りの田楽の店を出している吉蔵が気にしている身重のおはるが、兄と慕う、呉服問屋富田屋の手代直次郎だった。
 鬼のような取り立てをする金貸し・宇兵衛が殺された。直次郎が、三両借りていることが分る。富田屋の主人・鶴太郎が四百両借りていることがわかった。鶴太郎は自分は借りていないという。借りに来たのは直次郎だったと宇兵衛のおかみさんは言う。宇兵衛殺しの現場を見たという益之助が殺された。直次郎の行方が分らなくなった。
 おはるが、子供を産んだ。直次郎が顔を出した。吉蔵が直次郎に話を聞く。吉蔵は自分が二人を殺したと言う。吉蔵は子供のころ先代富田屋に父親の死に際に世話になりそのまま育てて貰った恩があった。先代のためにと鶴太郎に言い含められていた。
 鶴太郎は養子だった。先代と鶴太郎の母親との古い口約束の許嫁だった。鶴太郎は四百両を金遣いの荒い母親のために使っていた。母親を連れて逃げようとするところを吉蔵たちに捕まった。

 馬駆ける 吉蔵を岡っ引きに引き上げてくれた金子十兵衛に、元岡っ引き妻五郎の娘を探して欲しいと頼まれる。妻五郎は病気で先がながくない。生きている間に娘と合わせてやりたいという。妻五郎の娘・まちと一緒になり岡っ引きをしていた弥七も探していた。探し始めて半年程した時、殺された。南町の調べで無宿人に殺されたとされ打ち切りになっている。
 吉蔵は、南町に自殺で片づけられている材木問屋「吉野家」の主人の事件を調べようとしていた。
 まちのことを調べていると、まちは、働いていた料理屋で、吉野家が潰れ仕事が舞い込んだ材木問屋・武蔵屋の未亡人と、頬に痣がある武家との密会現場を見ていたことがわかった。その翌日からまちは行き方知れずになっていた。頬に痣がある武家は、南町の与力・野呂富之助だった。事件を打ち切りにしている同心・雪見馬之助の背後にいる与力だった。
 弥七が殺された時、懐に持っていた銀の簪から、女郎・おたかが浮かんできた。おたかを遊女屋に連れてきた女衒は、雪見が使っている岡っ引き・円蔵だった。
 円蔵を捕まえ、まちの居所を聞き出す。
 武蔵屋のはまに届いた文の返書を持って出た為七を追った。文を読んだ浪人は為七を殺そうとした。吉蔵は浪人を捕まえた。為七は文を読んだ。
 菱田平八郎は雪見に会った。雪見は野呂にお前たちとは関わりがないと言われた。雪見は菱田に、妻に見下り半を書かせてくれと頼んだ。
 野呂は品川に逃げた。品川から馬で逃げた。金子と吉蔵は馬で追いかける。吉蔵は追いつき凧糸を投げ絡ませる。野呂を捕まえた。
 まちは妻五郎の看病をした。妻五郎は亡くなった。まちは落ち着いたら岡っ引きになりたいと言った。遊女屋にいた仲間のことを思うとああいう人たちのためには女の御用聞きが必要じゃないかと思うと言った。
 

  

2024年8月6日火曜日

駐在日記

 駐在日記 小路幸也

 蓑島周平 30才  神奈川県松宮警察署雉子宮駐在所勤務。巡査部長。前任地横浜では刑事だった。。妻となった花に静かな暮らしをさせたくて駐在所勤務を希望した。
 蓑島 花 32才  周平の妻。横浜の大学病院の外科医だったが、ある事件で利き腕の右手に重症を負い、勤務医を辞めた。駐在の妻として生きることを決めた。
 品川清澄 57才  雉子宮神社の神主。若い周平と花の良き理解者。
 品川早稲 22才  清澄の一人娘、神社の跡継ぎ。周平と花の友人になる。
 昭憲 51才    雉子宮唯一の寺〈長瀬寺〉の住職 一人暮らし。
 高田与次郎 72才 雉子宮で〈村長〉を務めているが正式な役職ではない。
 小菅 昭 12才  雉子宮小学校六年生。駐在所に出入りする読書好きの男の子。
 田島美智代 12才 雉子宮小学校六年生。駐在所に出入りする読書好きの女の子。

 プロローグ 昭和50年 4月5日 土曜日 今日からここが、私と周平さんの新しい住居と職場です。で始まる。私は日記を書くことにした。右手の指が細かく動かないが、ゆっくり書くことは出来るので、リハビリにもなるので。
 駐在所は、二階建てで横に長く、下は土間と四畳半程の板敷きの駐在所と、子供に開放された和室に縁側付きの図書室がある。奥に竃や井戸がある土間があり、板敷きの台所、二部屋の八畳間がある。江戸時代の建物です。
 荷物の整理に早稲ちゃんが手伝いに来てくれた。
 
 日曜日の電話は、逃亡者 4月6日 周平がパトロールで出かけた後、バスから下りた男女が、顔面蒼白。食あたりの診断を下した花は、二人を駐在所で休ませる。
 松宮警察からの電話で、強盗事件の犯人が、雉子宮出身なのでそちらに逃亡の恐れがあると連絡が入る。刑事科の先輩に電話する。
 男が雉子宮出身だと話すので、清澄さんに来てもらい確認する。
 周平は、久米康一31才と田村良美に話を聞く。康一は暴力団のような番畔組の沼田の家に押し入り良美を連れて逃げた。沼田が発砲したため、民間人が通報した。沼田は久米が十万円を盗んだと警察に届けた。沼田をよく知っている周平は、松宮警察からの連絡が納得出来なくて裏があると思い先輩に連絡した。康一の話を聞いた周平は、松宮署には、怪しい者は来ていない。久米という家は過去にない。と連絡する。刑事だった時、沼田を逮捕できなかったことが何回もあった。証拠がないからだった。君なら逮捕出来るネタを知っているのではないかと訪ねる。「とっぽい田舎のお巡さんかと思ったら、とんだデカだった。」
 サービスで佐久間さんの家に住めるようになるまで、ここの二階に暮す宿泊代も食費も奢りにするよ。
 佐久間康一君が両親の離婚のため、母方の苗字・久米になって帰って来た。父親も亡くなり五年、空家になっていた家に手を入れて住めるようして住む。
 
 久米康一 29才  周平の赴任初日に雉子宮を訪れた男
 田村良美 28才  康一の婚約者

 木曜日の嵐は、窃盗犯 六月二十五日 水曜日 強風が吹いた夜明け。昭憲さんから泥棒が入ったと連絡があった。樹木が倒れ窓ガラスを割った所から入った賊が、あったと思われる秘仏を盗んで行ったという。周平は、秘仏のこと寺の先代住職のことを聞き廻った周平は、ひとつの結論に達した。
 秘仏は、今日や昨日無くなった物ではないこと。このまま、泥棒が入ったことにすると、泥棒が見付からなければ、少し前に村に来た康一が疑われること。周平は、先代の住職が売り払いお酒に替わってしまったのだろうと考えた。二年後、秘仏公開の年が迫って、秘仏がないことを知った昭憲が苦し紛れの言い訳を考えたのだろうと思った。父親が、酒代にしてしまったとは言えない。
 昭憲と清澄と相談し、窓から入った足跡は動物の物で、香木の香りに誘われ咥えて逃げたということにした。
 久米康一は佐久間康一になり、康一の情報を、周平の横浜の先輩に送り、沼田は逮捕され、しばらくは刑務所から出てこれないらしい。

 金曜日の蛇は、愚か者 八月二十九日 金曜日  晴天が続いているにも関わらず、濁った水が川を流れていた。木の枝とかも一緒にたくさん流れた。どこか道が崩れていると困るのでパトロールをする。そんな時、小学生が、蛇に噛まれた。蛇はアオダイショウで、大事に至らなかったが、小学生たちは、この二日程前から、蛇が多くなったという。
 川の中で、炭焼きの民蔵さんが骨折して見付かった。花が応急処置をして町の診療所に運ぶ。周平は現場検証し、民蔵が落ちた場所を見付けた。低い崖になっているところに隠した穴があった。周平は、民蔵に確かめる。金塊があると思い、誰にも知られず自分の物にしようとしたのだろう。あれは金塊ではなく黄鉄鉱だよ。人が近づかないように蛇を捕まえ蒔いてていたのだろうと話した。捕まるか?と訪ねる民蔵に、誰にも言わない。足が治ってから助けてくれた人を集め鍋でも囲もう。子供たちには、祭りの時に綿飴でも買ってあげればいいよ。
 西川民蔵 47才  雉子宮で唯一の炭焼き職人

 日曜日の釣りは、身元不明。 十月五日 日曜日 良美さんが、川で人が倒れていると駆け込んできた。周平と花が行く。康一と山小屋の富田さんと甥の坂巻君がいる。倒れた人は死んでいた。花が見たところ心臓発作か脳梗塞だろう。周平も事件性は無さそうだと思うが、財布があるが、身分証はない。免許証も無く、身元が分らない。どうやってここに来たのかも判らない。連絡を入れ、遺体を寺に運ぶ。村の人に見てもらうが、誰も知らない人だと言う。警察車両が来て病院へ連れて行った。周平は、康一に坂巻君の動きを見張っていてと頼む。康一は圭吾が参月沼に行ったことを伝えた。参月沼の廻りに、タイヤの跡があったことを言った。沼には入れないから車があるかは確認出来なかったという。
 康一は圭吾を食事に誘う。周平と花も康一の家に行く。周平は圭吾に聞く。あの身元不明者が誰か知っているね。圭吾は知っていた。姉を自殺に追い込んだ男。姉の写真で見た。圭吾の姉の死の話になった。姉は村を出た。東京からの連絡で圭吾が行くと、男と不倫し騙され入水自殺していた。身元不明の死体になっていた。
 今朝、散歩の途中で、川の遺体を発見した。姉の写真の男だった。姉と同じように身元不明にしてやろうと思って身元の判るものを隠した。車も沼に沈めた。
 あの沼の車を引き上げられない。ダイバーも入れない。君の隠した免許証等が草むらから見付かった事にして身元が分ったと連絡を入れる。君が反省して今から正しく生きていくかを見てる。圭吾に、康一は、俺なんか強盗で指名手配されたんだ。という。周平はどうして言うかね。と笑った。
 またひとつ、周平が日報に書かない出来事になってしまった。
 富田哲夫 51才  山小屋の主人。坂巻圭吾の叔父
 坂巻圭吾 26才  山小屋で働く若者。父母が亡くなり、叔父が引き取ってくれた。

 エピローグ 雉子宮駐在所に、三か月の子犬がやってきた。猫のヨネとチビとクロはどういう反応をするか。早稲ちゃんが名前はミルと付けた。

2024年8月3日土曜日

うぽっぽ同心十手綴り⑦ かじけ鳥

うぽっぽ同心十手綴り⑦ かじけ鳥 坂岡真

 穴まどい 長尾勘兵衛たちは、浅草の正燈寺へ紅葉狩りに出かけた。末吉鯉四郎が刺された。五寸釘に毒が付けられ刺された鯉四郎は、ただただ眠っていた。
 鯉四郎が調べていた事を調べる。七日前、 仏壇屋「曼珠屋」の番頭殺し、先棒の駕籠かきが一緒に殺された。殺したのは浪人だった。
 浪人が殺された。殺された駕籠かき所有の煙管を持っていた。五寸釘で殺された。
 十日前、警動があり、鯉四郎は、船宿の亭主・達磨屋籐兵衛を捕まえていた。一人だけ別行動で四谷の大番屋にいた。南町筆頭与力・伴野左近により無罪放免になった。
 勘兵衛は黒覆面に襲われた。残った鶴首男は逃げた。銀次が追い、行き先を突き止めた。大名の下屋敷の賭場。隠居に化け入った勘兵衛が出合ったのは壺振りおはん。おはんが行き着いた先は、口入屋「傘屋」、そこの主は鶴首の重三郎だった。
 勘兵衛は帰り道、おはんが五寸釘で襲って来たため捕まえた。
 鯉四郎の目が開いた。
 十七年前に捕まえ、十六年八丈島にいた丁次郎が、一年四国巡礼をしていたと顔を見せた。丁次郎のために捕まえようとしていたくちなわ一味の頭目重蔵を捕まえられなかった。このところくちなわ一味の犯行が起こっていた。
 丁次郎がくちなわ一味の犯行を予告してきた。蔓珠屋の番頭は錠前破りだった。殺されたため丁次郎が誘われた。重三郎、駕籠屋伝助、籐兵衛、蔓珠屋惣八、あと二人がくちなわ一味。どこを襲うか判れば連絡する。その代わり、娘・おはんを助けてほしいと言った。
 丁次郎から愛宕下天徳寺、明日子の刻。の知らせがあった。伴野左内の呼び出しで手下になれと言われ、本当の押し込み場所を聞いた。龍河山金剛寺。五百両を希望した。奉行所は、知らせを受けた天徳寺へ行く。勘兵衛は一人で金剛寺へ行く。
 押込んできた者から金剛寺の金子を護る。盗賊が金を運び出し始めた。重蔵に狙いをつけ、臑に斬りつける。丁次郎を助けながら追いかける。鯉四郎や銀次が駆け付ける。得物を手にした僧が集まっている。見張り役や重蔵を捕まえていた。伴野が勘兵衛に討ってを送った。その討ってを追ってきた。丁次郎とおはんが合った。
 根岸直々の白州が始まった。伴野は捕まったのは偽者の頭目で、本物は壺振りの娘と共にどこかへ逃げたと言った。根岸は丁次郎が奉行所に来て、くちなわを売った礼が欲しいと言ったと伴野に言った。十手持ちの面汚しと言われた。丁次郎は来ていない。丁次郎とおはんはかまいなしになった。
 おはんが四国巡礼に行くと寄ってきた。丁次郎が島で拵えた珊瑚玉の簪を渡した。二人は旅立った。

 きりぎりす 霜月 綾乃は鯉四郎に嫁いだ。夜、夜鷹姿の女が、先に血痕が付いた銀の簪を持って来た。勘兵衛が静に贈ったものだった。
 夜鷹探しを始めた。静のことを知っているという比丘尼がいるらしい。比丘尼は殺されていた。夜鷹のおけいが、高利貸・地蔵屋から貸付証文を盗み比丘尼の所に逃げ込んだため比丘尼は殺された。おけいは逃げている。遁科屋・逃がし屋・十吉から、おけいとおたね姉妹は、地蔵屋からの借金の請人になったことで切腹した勘定方の旗本の娘だった。十吉が、おけいが借用証文を天神屋に持ち込んだ後地蔵屋に捕まったと、知らせてきた。
 勘兵衛は、天神屋に十手を預け、貸付証文を渡して貰い、地蔵屋を潰すことを約束する。
地蔵屋に行き、おけいと証文を取り換える。おけいと百両が外に出たころ、細かく千切られた証文が紙吹雪となった。鯉四郎が助けに来た。
 おけいをおたねの所に逃がした。

 かじけ鳥 竜閑橋のたもとの迷子石に、静、帰ってこい。と書いた。
 勘兵衛は、静のことで訪ねてきたくみに合うために訪ねて行くと、くみは殺されていた。くみを殺した絵師を殺したということで甚八が追われていた。
 勘兵衛は絵師殺しを調べることになった。甚平はおゆきと出会い、一緒に越後に行く約束をしていた。
 絵師が出入りしていた艶狂堂へ行き、仕掛けに掛かり捕まった。甚平が盗んだ下絵を返せと迫られる。話の内容から、殿が悪徳商人と手を組みあぶな絵を描かせている。この連中がくみを殺し、絵師を殺したのが分った。水牢に入れられた。甚八が死んだ。甚八を上げる時勘兵衛が上がって行き外に出た。
 絵師に成りすました勘兵衛は、呼び出された現場に行き、殿様に合い艶狂堂も商人も捕まえた。甚八の盗んだ下絵も見付けその場に打ち付け目付に連絡する。
 ゆきが、静のことを知っていた。甚平から聞いたと言う。記憶を無くしたご新造。記憶は無くても待っている人が有ることは承知していた。自分の意思ひとつで逢いたいと思う相手に邂逅できる。肝心の決断がつかず迷っている。と
ゆきは甚八を待って寒さで亡くなった。
 
 静が立っていた。泣きたいのを堪え、迷子石の伝言を目にしてたまらなくて。
長い間迷子になっていたな。 
 夢なのか?

2024年8月1日木曜日

定食屋「雑」

定食屋「雑」  原田ひ香 

  会社帰りに週二回か三回、「雑」に寄って、食事して酒を飲むのが楽しみ、自分の楽しみを取らないでと別居した夫。三上沙也加は納得出来ず、離婚届を書いていないが、夫は催促する。沙也加はやり直したいと思っている。「雑」がどんな所か、若い女性でもいるのかと偵察に行く。若い女性はいない。太ったおばちゃん一人で切り盛りしていた。
 結婚後、仕事を辞め派遣会社で働く沙也加は、生活が苦しくなる。ひょんな事から「雑」がパートを募集していることを知り、派遣で行かない日に働くことになった。
 雑色みさえ、前の店主・雑色さんから店を継いで、二代目ぞうさんと呼ばれている。先代が、みさえが出来るように定食屋に替えて行った。コロッケや豚カツを沙也加に教える。みさえは以前、雇った子のこともあって、沙也加に深入りしないようにしている。お客さんに対しても個人的な話はしないようにしている。だから、名前を呼んだことがない。
 唐揚げの揚げ方を教わり、ハムカツの研究をする。
 糠味噌の漬物を漬け、二人でカレーを作る。沙也加と呼ぶようになっていた。
 沙也加は両親に離婚の話をした。父母は、あちらのご両親と話をすると言う。沙也加は父母が何か行動するよりも早く、離婚届を書いて健太郎に取りに来させた。自分で決めたかった。
 九州から卵の営業マンが来た。卵かけご飯の店にすると言う話に、みさえは乗っている。自分の身体に自信が無くなり、卵かけご飯に少しおかずを付けるだけならまだ出来そうだと思った。
 大晦日、恒例みさえは常連さんの御節を作る。沙也加にも。沙也加に誘われ初詣でに行く。
 沙也加は、1Kのアパートに移った。
 コロナの緊急事態宣言が発令され、「雑」はどうしようかね、と話しているうちに脅迫されるようになった。店は休業した。
 みさえは歓迎されないことを承知で実家に帰った。思っていた以上に居る場所がなかった。
 みさえと沙也加は相談し、店の前でお弁当を売り出した。

 エピローグ コロナが下火になった。「雑」は弁当屋になって駅前に移り営業を始めた。コロナの緊急事態宣言が出たり引っ込んだり、定食屋兼お弁当やをやっているみさえは疲れてしまった。沙也加は駅前の空き店舗を見付け、体力的にも精神的にもみさえには難しいと思った沙也加は、ぞうさんの味が残ることが一番だと、厨房を作り替えみさえ一人で店を回せるようにした。いろんな雑事や書類仕事は沙也加がやり、みさえはご飯を作った。「雑」の片づけ、元店長の息子への連絡も沙也加がし、新しい店も昼の客だけに絞った。みさえが生活できればいい。
 沙也加は新宿のIT関連会社に正社員で就職した。仕事後に寄り、店番と帳簿つけをした。
 みさえは、沙也加に会社を辞めここを手伝ってほしいと話した。二人でやれば、帰ってしまう客が少なくなるし、途中でおかずが無くなることもない。お客をもっと増やせる。ゆくゆくは営業を代わってほしいと言われる。
 まだ、きっちり返事をしていないがそうなるだろう。
 
 

2024年7月29日月曜日

徒目付勘兵衛 〈四〉 烈火の剣

徒目付勘兵衛 〈四〉 烈火の剣 鈴木英治

 やっぱり徒目付になった。2004年12月 新装版だった。
 昔に読んでいるかもしれないが、順番に借りることも知らなかったからある本を読んでいたから跳んでいるかもしれない。

 徒目付になり、山内修馬と組む。修馬は殺された徒目付の部屋住みの弟だった。修馬が勘兵衛を連れていったのは、やくざの出入りや、質屋の用心棒だった。質屋では押し込みを捕まえた。
 修馬の恋人は半年前に殺されていた。その前に殺された父親の事件もあった。二人は調べるが、何の手掛かりも掴めていない。

 旗本の家族が、姿を消した。調べて旗本の屋敷で賭場が開かれている事を突き止めた。徒目付たちで取締に行く、抵抗され徒目付が殺され、和田兄弟の弟を捕まえた。兄は捕まった弟を助けに押し入り、勘兵衛に斬られた。弟・竜之進は勘兵衛を兄の敵とつけ狙う。

 父親が切腹した息子・安東知之介・修馬の道場仲間が、父親の切腹の裏にある物を探ってくれと来る。二人は探るが、何もないと報告する。また一人旗本が切腹した。切腹に見せているが、明らかに殺人だった。犯人は知之助。納戸役の収賄、質流れの品物を利用した公金着服を知った安東の父親は、相談した納戸役に、罠を仕掛けられ切腹に追い込まれた。知之助は父親の仇を討った。遠島になった。二人は自分たちが相談された時に、見逃したことを後悔した。

 勘兵衛は、元上司に、娘の事で恨まれていた。上司の娘は、勘兵衛と出会って心に決めていた。勘兵衛は、元々、美音しか眼中に無く、美音と結婚した。上司の娘は、自殺した。上司は和田竜之進を利用して勘兵衛を狙った。最期の仕掛けは、竜之進が勘兵衛を殺したように見せて、自分が勘兵衛を斬る。どうにか勘兵衛は残った。上司の家は取り潰された。

2024年7月27日土曜日

コンビニたそがれ堂⑩ 夜想曲 

コンビニたそがれ堂⑩ 夜想曲 村山早紀

 ノクターン 世界的なピアニスト首藤玲司は、四十年ぶりに故郷に帰ってきた。古い喫茶店を継いだ兄のやっているSNSで店のことプライベートなこと発信するのを見ていた。母が入院したことも知っている。自分のことを家族だと思っていないかも知れないという不安があった。
 母が交通事故で入院した十才ぐらいの時、ピアニストが育てていた首藤玲司が突然の心臓病で亡くなり、自分の子ではないと判ったピアニストが訪ねてきた。台風の日に生まれた赤ちゃんの取り違えがあったと。 僕はピアノが弾きたいですと首藤玲司の生活が始まった。ピアニストになった。
 町を歩いていて辿り着いたのは風早神社の鳥居、コンビニたそがれ堂。カーネーションを抱えるほどの花束を買った。五円を持っていなかったのでピアノを弾いた。トナカイに乗ってカーネーションの花束を抱え病室へ。健ちゃん。母と兄は健ちゃんのピアノの才能がもったいないから心を鬼にして見送ろう。それが家族の愛情だったと言った。
 野外音楽堂のコンサートでみんなのために弾くよ。
 コンサートの後、私の家族です。夜のうちにどうやってお見舞いに来たんだよ。
 トナカイにのってコンビニたそがれ堂で買ったカーネーションの花束だよ。

 夢見るマンボウ 領主の命令で不老不死の仙術を学びに旅に出た若者は、姫様との結婚を夢見て修業した。引き止められても故郷へ帰る。帰った故郷は、姫さまも居なかった。たそがれ堂の常連で、古本屋の主人をしている。たそがれ堂のねここに頼まれた。えりこさんをもう少し生かせてもらえないか。元若者は、命の欠片を渡した。これが最後の欠片。長い時のながれの中、仙術で救って来た。不老不死だった若者は少しずつ老いていった。
 
 空に浮かぶ鯨と帆船 駅前商店街でチェスをする年寄達。サトウ玩具店のサトウさんは治せない物はないというおもちゃの修理屋さん。こないだの続きと挑戦してきた白衣の老いた女性医師。二人は戦後から同じように町を駆け回っていた。
 千年も前かも知れない。二つの惑星が戦争で消え、生き残った宇宙船が辿り着いた。二人は戦争の相手だと分っていた。病院を建て医療に従事する彼女の所に、病人、怪我人を運ぶ。
 たそがれ堂で二人が会った。彗星が地球にぶつかるという。サトウは、自分が彗星めがけぶつかれば起動が変わるかもという。医師の曜子は、自分ばかり英雄にならないでよ。協力すれば死なない方法があるかも。
 ある夜、風早の空に正体不明の影が。山の中から舞い上がった帆船に似た飛行物体。もう一つは、海から浮かび上がった大きな鯨のような物体。
 年が開けた正月、サトウさんと白衣の院長先生は公園でチェスをしていた。

 天使の絵本 何でも買えるというたそがれ堂で、三太郎は絶対に無い本の話をした。三太郎は昭和二十年の冬、生活していた防空壕が秋の台風で水が入り生活出来なくなった。柿の木の根元に廃材で掘っ建て小屋を造り生活していた。大きなお屋敷に空き巣に入り、目が不自由な少女にせがまれて本を読んだ。本は燃えて灰になって居たので、三太郎はじぶんで作った話をした。
 彼女・蕎子さんが病室でのインタビューで、あの本が欲しいと言っているのを聞いた。
 たそがれ堂には、その本があった。
 

2024年7月23日火曜日

新・秋山久蔵御用控〈十九〉 飾結び

新・秋山久蔵御用控〈十九〉 飾結び  藤井邦夫

 飾結び 秋山久蔵は、口入屋「戎屋」を睨んでいる女を見た。女・佐奈の夫・村岡信一郎は、戎屋の斡旋で旗本に仕官がなった矢先、商人と喧嘩沙汰になり斬り殺し自死していた。信一郎の衿に菊結びの飾り結びが縫い込んであった。
 戎屋の主が殺された。佐奈を見張る。寺の家作に住む、浪人・信一郎の弟・村岡恭次郎の所に行く。
 旗本・榊原主水正と用人・岡田内蔵助は、献残屋香梅堂から千利休の茶碗を借り、返したくなく信一郎に、酔わせ無礼討ちにするよう命じた。そして切腹させた。そのために仕官させたのだった。
 佐奈の呼び出しに応じた岡田は、家臣と共に佐奈を連れ去ろうとした。恭次郎が現れ佐奈を守り逃がすが、背中を斬られる。由松たちが呼ぶ子笛を吹く。
 恭次郎は戎屋を殺したのは自分だと言い亡くなった。
 秋山は、榊原家ですべてを知っていると言い、後のことを委ねるが、岡田に切腹させ終わろうとするため、全てを評定所に届ける。榊原主水正は切腹、家録は四千から二千になった。

 雲海坊 雲海坊と同じ長屋の良吉が呉服屋に奉公に出た。母親は、病弱で養生所に入れた。大工だった父親は怪我をして仕事を辞め、博打と酒にのめり込んでいる。父親は盗賊に脅され、大工だった頃に建てた風華堂の図面を渡した。やってきた盗賊は、役人がいることを知り帰った。盗賊の首領は、使い手の侍だった。
 盗賊・甚八に手伝いを頼まれた良吉は、大声を出した。匕首を持った甚八を見た良平は、良吉を庇い刺された。甚八は捕まった。音無しの権兵衛一味は捕まった。権兵衛は久蔵に斬られた。素性は不明のまま。良平は亡くなった。

 お使い 秋山大助が、向島の弥平次のところに使いに行く。弥平次と大助は、女を勾引かす現場を見る。浪人に邪魔をされ駕籠は遠ざかった。大助は追った。弥平次は、勾引かされたのが大黒堂の内儀だと突き止め、木戸番に幸吉に伝わるよう手紙を託した。勇次たちは、大助を探した。長七は奉行所の神崎に伝えた。秋山に伝わった。
 勾引かし仲間の浪人に斬りつけられ大助は駕籠を見失ったが、由松が付いていた。
 弥平次は大黒堂へ行く。主は去年亡くなり内儀と番頭で店を続けていた。
 駕籠は牛込水道町の潰れた料理屋へ入った。持ち主は佐久町の質屋、住んでいるのは隠居。
 久蔵も現れ踏み込み捕まえた。犯人は、元大黒堂の内儀・とみだった。とみは十年前、金遣い人使いが荒く大黒堂のためにならないと離縁されていた。とみは内儀に大黒堂を譲ると証文を書けと迫っていた。潰れた料理屋の持ち主の質屋の主は、とみの弟だった。いずれは自分の物にするつもりだった。

 籠り者 印半纏を着た職人が、木戸番のおかみさんを人質にして木戸番屋に籠った。天神一家の巳之吉を連れてこいという要求を出した。幸吉たちは、巳之吉を調べる。犯人・文吉のことを調べる。
 文吉が一緒になるはずだった娘・きよ。きよの父親が博打で借金を作り首を括って亡くなった。きよは借金のかたに連れて行かれた。連れて行ったのは巳之吉だった。探し出した巳之吉からきよの行き先を聞き出し、岡場所から奉公に出されるきよを止める。文吉は捕まった。人質にしたおかみさんは、きよの叔母だった。
 旗本の隠居の頼みで、若い娘を手に入れるため如何様で借金を作らせ娘を手放すよう仕向けられていた。巳之吉と松木楼の主は人買いの罪で遠島、旗本の当主に度を越すと評定所に届けると伝えた。隠居は屋敷に戻った。
 文吉は江戸所払いになった。高輪の木戸にきよがいた。二人で旅立った。
 

2024年7月14日日曜日

鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿④ 竹寺の雪

鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿④ 竹寺の雪 鳴神響一 

 ノンフィクション作家の赤尾冬彦が、昭和の銀幕スター・関川洋介記念館で絞殺された。一月経っても進展しない事件を、幼なじみコンビ・吉川元哉と小笠原亜澄も調べることになった。関川家族や共演者等の聞き込みを始める。赤尾は、関川洋介の生誕百年の伝記本を出す予定で調べていた。映画・竹寺の雪を観ている時に殺された。

 関川洋介は、五十年前に病死。娘・女優・関川由布子は入院中。由布子の妹・恵衣子の娘・森岡恵智花21才が、洋介の孫。関川邸の留守番をしている。由布子は家を相続し、恵智花の母は、貧乏画家で、金や有価証券等、動産を相続した。由布子と恵衣子の母親は違う。
 伝記本を出す予定の出版社・鳥井忠志。本郷監督。由布子の病院で、恵智花と俳優・蜂屋貞一に会う。竹寺の雪の映画の後、引退した七条昌子に会う。七条の後輩・宇都宮茉莉子に会う。脚本家・山科勝雄に会う。彼は付き合っていた女優・屋代佐織が関川の後妻になった。山科は宮崎と一緒に、七条の引っ越しを手伝っていた。宮崎は、今も七条の家で働いている。
 
 宮崎は、赤尾の投資詐欺被害に遭い五百万を取られたので憎くて殺したと言った。
 七条は、由布子の母親が自分であることを告白し、赤尾が知ったことで脅迫し宮崎が殺したのだろうと話した。亜澄は、合い鍵のことが納得できなかった。誰か共犯者がいるはず。
 七条は、由布子も晩年を一緒に過ごす人が出来て喜んでいたのに・・・と言った。相手は蜂屋貞一。
 関川家で、犯人が宮崎・七条昌子の運転手だったと伝えた。蜂屋に言う。誰か合い鍵を渡した協力者がいるはず。蜂屋に見せた。由布子が、蜂屋由布子になっている事実を。由布子の八億円の遺産を手に入れるために。由布子の母親が昌子ということになると、遺産が昌子にも行く。それを阻止するために、昌子が母親であることが表に出てはいけないと思った。蜂屋を殺人教唆及び幇助の嫌疑で逮捕された。
 蜂屋は罪を軽くするために相続放棄した。恵智花は、相続財産を関川洋介記念財団の信託財産にして記念館とお屋敷の維持費にするつもりだ。

 元哉は、寿福寺の総門前の石段でくだを巻いた亜澄を介抱するはめになった。タクシーを探す。
 


2024年7月12日金曜日

鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿③ 極楽寺逍遥

 鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿③ 極楽寺逍遥 鳴神響一

 鎌倉大仏付近の丘の上で撲殺体が見付かった。殺されたのは美術館学芸員の鰐淵貴遥だった。神奈川県警捜査一課・吉川元哉と、鎌倉署刑事課強行犯係・小笠原亜澄はコンビを組まされ関係者を訪ね歩く。

 貴遥は、父・鰐淵一遥画伯が持つ「極楽寺逍遥」を研究し、近く専門機関で蛍光X線調査や赤外線写真調査をしたいと思っていた。亜澄は一遥画伯の了承を得、一遥画伯の出費で科学捜査研究所を通じて解析を頼んだ。

 みんなが集まった席で、解析から判ったことを発表する。

 画家・湯原宗二郎が描いた「極楽寺逍遥」の色を上塗りされている部分には、自分が一遥を裏切った。また君も私を裏切った。茉莉子は罪を犯し私は茉莉子に罪を償わせた。そしてわが罪を償うと書かれていた。
 絵のモデルをし宗二郎の愛人だった茉莉子は、宗二郎のDVに耐えられず、一遥の元に逃げた。一遥と暮らしている最中、階段から落ちて亡くなった。宗二郎は自殺した。

 宗二郎の絵がフランスで認められて来た。苦労して美術評論家として仕事ができるようになってきた娘・桂子は、父親が人を殺したという事実を明るみに出したくなかった。解析をすれば明るみに出ることを知っていた桂子は、解析しようとしている貴遥を思わず石でなぐってしまった。と桂子は言った。
 鎌倉美術館の学芸員の貴遥の部下・日野真矢は、宗二郎の娘だった。母は銀座のホステスをしながら真矢を育てた。学芸員になったが、評論家を目指そうとした。妹が華やかで羨ましかった。真矢も書かれていることに心当たりがあり、表に出されることが嫌だった。貴遥は、解析し研究論文を書くことに言及した。桂子と貴遥が会うことを知りつけた。桂子が殴った後、ここで彼が亡くなれば・・・と考え動き出した貴遥をもう二回殴って殺した。石を遠くへ持ち出し捨てた。
 一遥は、絵を鎌倉美術館に寄贈した。一遥の孫、遥人は、祖父の遺産を放棄した。

 事件解決の後、白旗神社の隣の児童公園から、元哉はしっかり酔っ払った亜澄を介抱しながら連れて帰る。

2024年7月10日水曜日

北の御番所 反骨目録〈十〉 ごくつぶし

北の御番所 反骨目録〈十〉 ごくつぶし 芝村凉也

 ごくつぶし 古物商で、売れっこの岩海和尚の書を破いた者がいると捕まったのは旗本の三男だった。旗本は、破いた物の代金を払うと言い、古物商はいらないと言う。三男は何も言わず捕まっている。
 裄沢に調べてくれと頼まれた。頼んだのは旗本だった。殿様は長男で、後添えが産んだ息子を跡取りにしたいがためあらゆる手を使った父と義母から家を守るため無頼を装った三男だった。
 三男・隆次郎は、書画をたしなんだ。岩海の書も練習していた。無頼を装った時の仲間が、隆次郎の留守に部屋に上がり込みそれらの物を持ち去った。その後、岩海に落款を贈った。贈る前に、隆次郎の作に押していた。和尚の落款が認知されたころ売り出した。隆次郎は、友人の所に行ったが、売られた後だった。店で破くことになった。古物商も騙されたことは言えない。
 裄沢が調べ上げた。隆次郎は毒を飲まされ殺された。殺されたことを調べている目付に全て話した。数年後、隆次郎の友人は切腹している。罪状は判らない。

 島帰りの男 行沢が、介入し、奉行所の小者を辞め、増上寺界隈を縄張りにする香具師の元締・以蔵の所に身を寄せる三吉。以蔵にかなり重用されている三吉をよく思わない者がいるらしい。三吉を兄貴分と思っている六の字が裄沢に相談に来る。裄沢に恩を感じている三吉は、裄沢の調べの手伝いをする。六の字はそれを知っていた。
 元の元締が島から帰った。遠島になる時、以蔵は頼まれ香具師の元締になった。次の元締を狙う音二郎が元元締に、三吉の悪口を吹き込んでいるという。何があったというわけではないが、心配でたまらないという。
 裄沢は何も出来ないが、調べることはした。そんな時、露天商の争いから加賀鳶との争いになった。加賀鳶と話し合いをすることになっている。
 裄沢は元元締・達五郎を訪ねる。仲神道を救う手助けをして欲しいと頼む。達五郎と増上寺の高僧との関係、増上寺と前田藩・加賀鳶との関係を話、達五郎なら出来るだろうという。
 加賀鳶との話し合いに三吉と出掛けた以蔵。留守を預かった達五郎。達五郎は加賀鳶が頭をさげて終わったと帰ってきた。音二郎を連れて帰ると言う達五郎に、自分の後を継がせるつもりだから手元に置くと言った。達五郎は三吉に、いい人と巡り会えたようだね。大事にするんだぜと言い残す。三吉は裄沢が動いたことを知る。

 昔の罪 裄沢のところで働く茂助。茂助だけが残り、今は茂助の甥・重次が、食事の用意をする。重次の死んだ友人の息子の事で相談があった。
 兄は食器を扱う小間物屋に、弟・次助は太物問屋に奉公にあがった。次助がお金を落とした。相談された兄・初太は、持っていた金を弟に渡した。注文主が払ったはずと苦情を受け兄弟は奉公先に謝りに行った。二人の店は許したが、許さなかったのは苦情を言ってきた湊屋だった。小間物屋は庇ったが辞めさせないと得心しなかった。初太は店の助けもあって担い売りとして生活出来た。初太は、仕入れ先の店から娘の養子にと話しがきた。親戚が、店の金を盗んだ者を跡取りにするのかといわれていた。
 裄沢に頼まれ貫太が調べた。親戚の後ろに店を潰した湊屋がいた。
 親戚一同が集まった中で、昔の脅しまがいの湊屋の言葉を出しても、貫太の職業を言っても収まりがつかなかった。裄沢が出、どうにか収まった。初太はやはり婿になれないと言った。
 来合美也が懐妊した。
 裄沢が失踪した。
  

2024年7月8日月曜日

ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ

 ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ 三上延
 〜扉子たちと継がれる道〜

 プロローグ 篠川大輔は、よく知らない資産家のガーデンパーティーに招待され来てみると、大輔と一緒に来るはずだった栞子の他に、娘・扉子と友人でありもぐら堂の娘・戸山圭、栞子の母・智恵子もきていた。

 令和編「鵜籠」 樋口恭一郎は、高校の先輩・戸山圭から扉子に渡してと百万以上するかもしれないという夏目漱石の「鶉籠」の初版本を預けられた。扉子は、戸山から逃げているように見える。
 恭一郎は、扉子から祖母、篠原智恵子の屋敷の一番重要な部屋・古書を保管する書斎兼作業所で話を聞く。
 去年の七月、戸山圭から、一冊の本を見せられた。その本の持ち主だという圭ちゃんの大叔父・利平さんに会い、保存していたという土蔵を見に行った。八ミリフィルムとか読書券を見付けた。誰にも秘密のその本が、鎌倉文庫の物と判った時、扉子は利平に会い借りたまま返していないと指摘する。利平は転んで怪我をする。扉子は、横領した本を圭ちゃんに譲るという行為を許せなかった。が、圭ちゃんは、勝ってに利平さんに会い、強い指摘をした扉子を許せなくて。八ミリフィルムを見た。土蔵の中の鎌倉文庫の本の前にいる、圭ちゃんの祖父と利平さんが写っていた。そして圭ちゃんは、扉子にもう私に話しかけないでと言った。
 一年、扉子は圭ちゃんから逃げていた。圭ちゃんが、二人のいる部屋に来る。二人は謝り合った。三人でフィルムの続きを見る。土蔵の扉を開けた若い男性と、撮影しているセーラー服の少女が鏡に写っていた。扉子とそっくりな智恵子だった。1973年11月

 昭和編「道草」 1973年11月、篠川登 20才大学生 土曜日父親不在で店番中。
 常連客の女子高生・三浦智恵子が来ている時に、兼井と名乗る夫婦が来た。将来古本を集めた博物館を建てると言う。死ぬ時に全て燃やすことが夢だと言う。兼井健蔵は、久我山尚大が、鎌倉文庫の持ち主を見付け買わないかと打診された。久我山を信用できない兼井は、ビブリア書店の聖司に持ち主との交渉をしてもらいたかったと言う。会う日を早めてほしいと言ってきた。
 日曜日 昨日の話を聞いた智恵子とヒントから見付けたもぐら堂を訪ねる。前々から利平は、友達から鎌倉文庫を買ったと吹聴していたようだ。久我山の番頭・吉原と話していることで凡は判った。古書店の経営者は利平の弟・清和のようだ。利平は財産を全部失い弟の所に転がり込んだと言う。話を聞いても智恵子は納得しない。また、清和はビブリアさんに相談したいことがあると伝えて欲しいと言う。
 車で出発しようとしている利平に乗せてと頼んで智恵子と登は乗る。智恵子は利平と話し、売れ残っている土蔵に行く。窓が開いている。上手く話に乗せた智恵子は土蔵の中を見た。鎌倉文庫の本があった。利平が驚いている。清和が来た。突然手に入れたのは清和だった。良い買い手という兼井は最終的には本を燃やすと言う人だから、別人に売って欲しい。智恵子は私に任せてと言った。利平は八ミリの撮影を頼んだ。智恵子がカメラ、登は土蔵の扉を開けた。そして登と利平は除外された。後日、聖司も相談に乗ったようだ。本は別の人に買われたようだ。
 三浦智恵子は、久我山の隠し子だと言った。彼女は、取引を紹介した礼にもらった「道草」の初版本を登に預けた。

 平成編「吾輩は猫デアル」 篠川登 49才 
 家庭の事情から大学院をやめた智恵子はビブリア堂で働き始めた。結婚の申し込みをした時、いつか突然いなくなるかもしれない。それでもよければと条件が付いた。登と智恵子は結婚した。栞子と文香が生まれ、十数年の穏やかな日々の後、智恵子は姿を消した。二年前のこと。
 栞子が、オークションサイトで、鎌倉文庫の「道草」と「吾輩は猫デアル」が出ているのを見付ける。鎌倉文庫に興味を持つ。そんなところに兼井健蔵の妻・花子が来る。健蔵が相談があると言う。健蔵は命が短いと話す。1973年の出来事を栞子に話す。
 健蔵は、三十年前に手に入らなかった本が、一冊手に入った。持ち主を探し出して何冊か売って貰えるよう交渉して欲しいと言った。栞子が質問する。本を保管している本館を見る。もぐら堂で質問した栞子は、オークションの出品者も「吾輩は猫デアル」に何が起こり鎌倉文庫の本がどこにあるか全て判ったと言った。
 栞子は兼井花子を訪ねた。お金が欲しい娘が、父親の本を売った。慌てて母親が買った。今回のことはそういうことだった。
 三十年前、智恵子が、鎌倉文庫をまとめて買うように仕向けたのは兼井健蔵の妻だった。古書に興味なさそうに言う花子が、本当は好きなことを見抜いた智恵子は健蔵に内緒で買うことを勧め、今まで内緒にしてきた。
 栞子の助言通り、花子は手に入ったと「吾輩は猫デアル」の中と下を健蔵に見せた。健蔵は花子にそれを読んで、死んでから感想を聞かせてくれと言った。栞子と登は帰った。その後、花子が何を話したか知らない。

 エピローグ このパーティは花子が開いたものだった。生前葬だと言う。
 本館に呼ばれた篠川家と戸山家の者に、夫と私が集めた古書を孫・益代が、整理して並べた。有料の会員制図書館として営業すると話した。鎌倉文庫と名付ける。みんなは、名誉会員になった。利平は八ミリカメラで撮りたがった。圭と扉子が交替で撮った。


 

2024年7月6日土曜日

鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿② 由比ヶ浜協奏曲

 鎌倉署・小笠原亜澄の事件簿② 由比ヶ浜協奏曲 鳴神響一

 七月下旬の土曜日、鎌倉海浜芸術ホールで、新日本管弦楽団の演奏会中に、第一バイオリンのコンサートマスター・三浦の頭上に鉄球が落下し死亡する事件が起こった。超小型ロボットアームが取り付けられスマホで捜査されたものだった。

 鎌倉署刑事課強行犯係の巡査部長・小笠原亜澄と神奈川県警捜査一課・吉川元哉巡査長は組み、鑑取りに回った。

 指揮者・里見は、36年前、チェコ響のバイオリンで駄目だしされ解任され失業し一年も経たないうちに病没した三浦倫安の12才の遺児のために多額の経済援助をした。遺児は楽団のコンマスになった。今回亡くなった三浦倫人だった。
 里見は、難聴だった。12年隠していた。
 里見が、楽団の事務局長の石川が、楽団の経費の着服をしていることを知った。石川に自首を進めた。
 三浦は、四か月前、父親の解任のきっかけが里見だという話を知り、敬愛が憎しみに変わったと、ピアノの椎名は言った。

 石川は、ライトの台にアームを取り付けケトルベルを付けたことを認めた。経費の着服を知られた里見を殺すために。スイッチを入れて亡くなったのは三浦だったので驚いた。三浦は殺していないと言う。石川は逮捕された。
 アラームが解除されたことに不信をもっている小笠原は、三浦を殺した犯人と思っている人に罠を仕掛けた。同じように上から物を落とした。ケトルベルとそっくりな素材が柔らかいもので出来ていた。椎名は自分がやったと自供した。石川が仕掛けるのを見た。敬愛する里見を憎むようになった三浦を殺そうと思ったと言った。それを聞いた里見の娘は、里見の難聴のことを暴露しようとした三浦を殺したのだと言った。里見の推薦で賞がとれる寸前だったから。

 

2024年7月1日月曜日

女系図でみる日本争乱史

女系図でみる日本争乱史 大塚ひかり

 みんな身内の争いだった。母親は誰か。に注目した女系図。丹念に読み解けば日本史のややこしい部分がクリアに見える。

 何故、中大兄皇子は長い間天皇に即位しなかったか。

 応仁の乱の本当の原因は何か。

 慶喜は何故戦わず降伏したか。彼は公家だった。 

2024年6月25日火曜日

吉屋信子全集9 女人平家(全)

 吉屋信子全集9 女人平家(全) 吉屋信子

滋子・(時子異母妹)後白河上皇 憲仁親王
郁子・(時子異母妹・宗盛の室)
 
昌子、盛子、徳子、寛子、典子、佑子(冷泉家)、

大江広元、三善康信
藤原信隆、信清、殖子、

 

2024年6月10日月曜日

浮世絵宗次日月抄上 蒼瞳の騎士

 浮世絵宗次日月抄上 蒼瞳の騎士 門田泰明

 命を賭した決闘で鉄砲玉を打ち込まれた宗次は、西洋人女性医師・アリシアに救われた。
その間に「井華塾」が爆発炎上、妻・美雪や菊乃らが犠牲になった。悲嘆する宗次が塾跡へ行く途中、覆面侍に襲われる。アリシアはサーベルで次々と刺客を倒す。

 宗次が襲った者の正体を探る中、アリシアが拉致された。宗次は東海道を下る。

 美雪の父・西條山城守と大目付彦坂壱岐守は、井華塾を爆破した者を見たと言う者に会いに行く。彼は殺されていた。二人は銃で狙われる。壱岐守は撃たれ、山城守は対戦するが巨漢の男に逃げられる。

2024年6月8日土曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎 妖刀

風烈廻り与力・青柳剣一郎 妖刀 小杉健治 

 腕の立つ武士ばかりを狙う辻斬りが出た。亡骸の状態から妖刀雲斬丸だと考えられた。ある旗本からから盗まれ密かに探索を命じられていた。

 盗んだ者、盗ませた者、使っている者、順に判って来た時、盗ませた商家の主がと店者が殺される。
 辻斬りに息子を殺された安本が、復讐しようとしている。安本は青柳の若い頃の道場仲間だった。安本は刀を持つ御家人を殺した。剣一郎は、辻斬りに殺されたように見せ、殺したのは父親安本だ。犯人を殺してしまえば判らないと考えたと思った。盗み出した者を調べ聞き出す。安本にぶつける。安本は、青柳が見逃してくれるものと思い込んでいた。それによって、清廉潔白の青柳に染みを付けられると思っていた。剣一郎は見逃さなかった。剣一郎は刀を抜かなかったが、安本も剣一郎を斬れなかった。安本家は廃絶になる。
 養子になった善一郎は、言い様がないほどの悪だった。そんな息子に安本家を渡せないと考えた行いだった。

2024年6月6日木曜日

あきない世傳金と銀特別巻下 幾世の鈴

あきない世傳金と銀特別巻下 幾世の鈴 高田郁

暖簾 明和九年 1772年 
 桔梗屋の番頭から五鈴屋高島店の支配人になり、今は五鈴屋八代目徳兵衛となって十八年になる周助。九代目を考える時期になった。 周助は、元桔梗屋の旦さん95才を看ている。
 六代目の智蔵の息子が、紙屋伊吹屋の息子・貫太として生きていることが判った。紙屋三つ峰で手代をしている。五鈴屋縁の者だけが持つ小風呂敷を持つ貫太だか、伊吹屋を継ぐ、自分の父親は伊吹屋文伍だという貫太。周助は、九代目は賢輔にと思うが、賢輔は、幸と一緒になると言ってきた。周助は、九代目に譲ったあと、桔梗屋の暖簾を揚げ、太物商いをしようと思っている。

 菊日和 行人坂の大火で、「菊栄」も五鈴屋江戸店も、惣次こと保晴の井筒屋も蔵だけを残して被災した。菊栄も井筒屋も再建した。蔵の中の物を売って売り上げた。菊栄は、惣次から助言を受けている。今の惣次には情があった。菊栄はまた新しい物を考え出す。五鈴屋も協力し、売り出す。
 五鈴屋の再建をせず、御救小屋の施しをする五鈴屋に、隣の商家から値引きされた土地を提供された。店は大きく再建された。
 幸と賢輔は大阪へ旅立った。菊栄の実家・大阪の紅屋が潰れた。

 行合の空 播磨の国、赤穂郡の東端、揖西との堺に、結と忠兵衛と、桂・姉・十、と茜・妹・七が、旅籠「千種屋」を営んでいた。忠兵衛が重追放になって十年。子宝に恵まれたため生き抜いた。忠兵衛は病気から立ち直った時、執着を手放していた。結は、姉・幸にそっくりな桂を見ながら姉への嫉妬や憎しみに捕らわれ続ける。
 桂は泊まり客にお守りを作る。桔梗屋の白地に藍の浴衣地の話が聞こえてくる。結は唯一の財産・型染の枠を持ち出し見せる。仲買人は一笑に。やってきた忠兵衛は、貶めた限りは制裁をと昔の顔を覗かせる。商いの息の根を止めることなぞ、案外、造作ないことだと言った。
 茜と桂が麻疹に掛かった。生き長らえるのは難しいと言われる桂。桂と茜を、自分に照らし合わせて考える。桂は助かった。結は姉さん幸せでと願う。

 幾世の鈴 天明五年 1785年
 三兄弟に嫁いだことを意に介さず幸を慈しむ賢輔。九代目徳兵衛。 開店から百年。
 御上からの御用金の話は無くなった。しかし、賢輔は、尼崎藩に五百両を貸し付けることにした。手代や番頭が集まった時、何故出すのかという話になった。一人が、色々な縁が結ばれ商いは成り立つ。人さんに手貸せる時は貸して、借りる時は借りる。「万里一空」と言った。
 背負い売りをしている者が、伊勢に行く賢輔と幸に、播磨で手に入れた泊まり客のために作られたお守りを出した。良く守ってくれると噂で泊まり客が絶えないと言う。ひとつ鈴がついた可愛いお守りだった。
 伊勢での旅で、賢輔は百年後の店のために百年の店の来し方を書き残そうと話す。
「商い世傳」
 

2024年6月4日火曜日

神田職人えにし譚 相槌

 神田職人えにし譚 相槌 知野みさき

 雪の果て 仕立屋の参太郎の妹の守り袋を作った。妹・朔が無くした守り袋を一緒に探した。岡っ引きに拾われ朔の手元に戻った。咲は、昔妹・雪のお守りのことを思い出した。咲は熱を出し倒れた。やってきた修次に寝床に運ばれたようだが咲の記憶にはない。修次を父親と勘違いし、夢の中で父親の亡くなってからのことを話す。
 咲の熱のために雪の祝言は日延べになった。雪は大工・小太郎と一緒になる。祝言は、小太郎の兄・源太郎と一緒にする。源太郎は大工。祝言と同時に独立する。

  友誼 咲はしろとましろを友達と紹介する。しろとましろは、人と人の縁を結ぶのが仕事か。知り合った駕籠かき、典馬を紹介して欲しいと歳永が亥太郎を連れてくる。亥太郎は、典馬の父親・典正の友達だった。昔の恩を返すという。典馬は、新しい仕事を始めるので借りることにした。
 咲は昔馴染み、素と駿と合った。素とは、話があった。駿は、気楽な生活をしていて、人の噂話をし廻っていた。

 相槌 咲は典馬を通じて壱と出合う。壱は寺子屋の師匠、吉原の師匠もしている。咲は、修次と一緒に吉原の秋海の小物を作ることになっていた。壱は、読み書きは勿論、算盤、詩歌、将棋、囲碁、算術、本草学を教える。
 咲は修業先の親方の頼みで仕事場に通い、「小鍛冶」の童子の能装束の縫箔をすることになった。意匠も自分で考える。しろとましろは、小鍛冶の話を修次にする。意匠も咲のですることになり最後までやり遂げた。啓吾の嫁・千紗は、咲の駕籠かきやら錺師やらとの付き合いをみだりがましい仲と吹聴する駿に、下品な世間話は、店やおかみさんの評判を貶めやしませんかと言ったと伝えた。
 壱と一緒に吉原へ行った咲は、秋海に会った。秋海のはなしを聞き、秋海の簪を頼んでいる杏輔にはなす。秋海には身請けの話があった。杏輔は身請けすることにした。簪の注文を櫛に変え、秋海堂のまま櫛と櫛入れを作ることになった。二人でどんどん話が進む。杏輔は、秋海を身請けし、祝言を挙げた。

2024年6月2日日曜日

新・秋山久蔵御用控〈十八〉 流人船

 新・秋山久蔵御用控〈十八〉 流人船 藤井邦夫 
 
 真似事 常磐津の師匠が殺された。出入りの小間物屋・巳之吉が疑われる。巳之吉が姿を消し疑いが濃くなるが、巳之吉は浪人に監禁されていた。犯人は小間物屋の主・吉五郎だった。吉五郎は小間物の行商をしていた頃、殺人犯にされかけ死罪になるところ秋山に助けられたことがあった。

 流人船 十年前、博打打ちの貸元や用心棒を斬ったため遠島になった高岡又四郎が、島で死んだことが伝えられた。秋山は、妻・そのの不穏な動きを見張る。水野が欲しがる「五石散」を手に入れたそのは、水野に逢う。十年前、貸元を殺すよう金を出したのは水野だった。そのは水野に突きつける。現れた秋山に捕まる。水野は切腹、そのは高岡が死んだ島に流される。

 由松命 女郎を経て、隠居の妾の後、自由になり料理屋の仲居をしているすみが殺された。すみの左腕に「由松命」と彫られた古い入れ墨があった。由松はすみの由松を探す。子供の頃年季奉公に出され小女として扱き使われていた頃、腹を空かせたすみに、近くの豆腐屋の小僧が、自分で握った塩結びを分けてくれた。小僧さんとは会えなくなったが、由松命と彫り、いつも一緒だと励ましていたと聞いた。由松は豆腐屋を逃げていた。由松命は由松自信だった。
 すみは、盗賊の万蔵から逃げた長吉が、昔の馴染すみの所に逃げ、追ってきた万蔵に殺されていた。秋山は夜桜の万蔵を捕まえた。
 由松はすみの遺体を引き取り、秋山のつてで墓を建てた。

 茶番劇 呉服屋の主人から若旦那を殺されたくなければ百両用意せよと書かれた手紙を見せられた。百両を持ち渡しにいく喜多八を憑ける。喜多八が殺されそうになる。最期に行き着いたのは、若旦那の遊び仲間のところだった。そこに若旦那が来る。
 呉服屋の主人は・重過料の刑。若旦那と仲間は遠島、犯人に仕立てられそうになり、命を取り止めた喜多八は放免された。

2024年5月31日金曜日

警察小説傑作選 相克

警察小説傑作選 相克 西上心太編

区立花園公園 大沢在昌
 鮫島33才、本庁公安外事二課から半年前に転任。公安部長にタテついてネタを握って渡さなかった。懲罰人事。警部のまま新宿にきた。 藤野組と繋がっている大森をつけている鮫島。嫌った大森は、鮫島を狙う。その前に入り込み鮫島を助ける死体といわれている課長。課長と鮫島は、移動がない。

新宿心中 藤原審爾
  無理心中にしてほしいと一千万の小切手を受け取る。返したことですっきりし、生活も穏やかになる。見てきたことを繋ぎ合わせ、競り市の場所が判る

日曜日の釣りは、身元不明 小路幸也
 駐在日記

月の雫 大倉崇裕
 月の雫製造の酒蔵の社長が、蔵を買収される酒蔵の社長を殺した。小柄な警補・福家が社長を追いつめ逮捕に至る。

オブリカード 今野敏
 警視庁捜査一課の刑事だった相楽は、東京湾岸臨海署の強行犯係、「相楽班」。もう一つ、「安積班」があり、安積にだけは負けまいと思っていた。安積班の追っている事件と相楽班の追っている事件が交わり、安積は、自分たちの情報を余すところ無く指し出した。二つの事件が解決した。オブリガードな関係。



2024年5月29日水曜日

明日は結婚式

明日は結婚式 小路幸也 

 パン大好きな信用金庫勤めの伊東春香26才が、実家がパン屋さんのグラフィックデザイナーイラストレーターの細井真平31才と結婚することになった。

2024年5月26日日曜日

荻窪シェアハウス小助川

 荻窪シェアハウス小助川 小路幸也

 沢方佳人、高校三年生、将来何をするか決められなくて酒店でアルバイト中。中学一年生の時、父を亡くし、忙しい母に代わり家事全般を完璧にこなす。母が心配し、巣立つために、近くに出来たシェアハウスに四月から入る契約をする。

 シェアハウス小助川は、元医院。タカ先生57才は、父親と母親を一遍に亡くし、二年前に医院を閉めた。和洋折衷のこの建物が好きな相良奈津子は、会社に持ちかけタカ先生に持ちかけ医院をリノベーションし、シェアハウスにした。タカ先生は元々の渡り廊下で繋がる母屋に住む。

 三月、引っ越しをした。
 三浦亜由22才 大学を卒業し近所の幼稚園の先生になる。
 細川今日子18才 高校を卒業し、荻窪の本屋に就職
 柳田茉莉子40才 近くの歯科医院で歯科衛生士をしている。
 橋本恵美里18才 四月から大学生。
 大場大吉37才 レストランのウエイター
六人の生活が始まった。

 ゴミの中からマッチの軸が箱一個分見付かり、亜由は何しているという話になる。亜由は、家族を顧みない画家の父との関係から自分に自信を持てなくなっていた。先生と話し、ゆっくり生きていけばいいと言われる。
 恵美里の先生に対する態度から、佳人が発した質問から、先生が気が付いた。恵美里は、先生の二十年前に離婚した妻の再婚後に生まれた娘だった。相良奈津子は、元妻の妹だった。相良は二年前に離婚した夫の苗字だった。
 大吉は、六月が苦手だという。商社マンだった十四年前、仕事で失敗し、自殺未遂をしたのが六月だった。弟は、北海道に帰らない兄を心配して東京で一緒に暮した。弟と彼女が薬を使っているところを見た。警察が入り弟を北海道に帰したのが六月だったという。
 みんなでバーベキューをした。
 九月、火事発生。外の物置が火元だった。放火の疑いで捜査する。おまわりさんも、消防士さんも元患者だった。親切だった。
 放火犯が捕まった。アパート擬のシェアハウスなどに住んでる連中が赤の他人同士なのに仲良くしているのを憎たらしく思って燃やしてしまえと思ったらしい。
 佳人と大吉は先生と母屋に住んでいる。
 建て直すために二か月が必要らしい。
 佳人は、一年で実家に帰るつもりだ。一年でお金を貯めるという。大吉は、ウエイターでなく厨房に入る。いつか自分の店を持つと考えた。
 先生が犬小屋を造り、犬を飼い始めた。
 十二月、工事が終わり、みんなが帰って来た。
 先生は、母屋を改装し、シェアハウスの食堂兼、レストランにしようと思っていると発表する。薬膳料理だけでなく、心も身体も健康にいい料理を出す。こつこつ一人で改装するので何年掛かるかわからない。大吉と佳人に任せたいと言う。一年後、三人で始める予定になる。
 佳人はフランスに行くことになった。南フランスのレストランで、食材の野菜を作り牛や鶏を飼っている。日本の家庭料理ができ、農作業を進んでやりたがる下働きを希望していた。給料は出る。農家に住み込み、家賃も食費もいらない。
 フランスに到着。恵美里に彼女を作らないことを約束させられた。二日目に〈お土産リスト全員分〉が届いた。プリントアウトして壁に貼る。リストを見ながら買い物する日を楽しみに頑張ろう。
 



2024年5月23日木曜日

ひとりみの日本史

ひとりみの日本史 大塚ひかり

 ひとりみを肯定的に描く大古典
 太古の日本の家族観 夫婦は家族の最小単位ではなかった。
 竹取物語は結婚拒否の話だった。
 源氏物語 結婚が権力の道具だった時代の結婚拒否の思想
 仏教思想とひとりみ。源氏物語で理想とするのはひとりみ 

2024年5月21日火曜日

最愛

 最愛 小杉健治

 鶴見京介は、同期の的場から強盗殺人容疑の栗林の弁護に付いて相談を受ける。
栗林は、闇バイトで強盗に入ったことは認めたが、殺人は否認。バイト仲間のイチローが殺したと主張するが、その男の存在が証明できない。
 一方、鶴見は撲殺事件の容疑者の弁護を引き受ける。半グレだった被害者を調べると、被害者の店の社長・今川が半年前にひき逃げに会い亡くなっている。まだ犯人は見付かっていない。社長のひき逃げ、今回の撲殺事件調べていると、もう一人の社員も殺される。
 今川の恋人、今川の妻、今川の妻が、今回の容疑者の愛人だった。そして依頼人でもある。
 調べていくと的場の事件と繋がっていく。

 今川の愛人・ちずえは、今川のひき逃げの理由と犯人が分るUSBメモリーを警察に届けるようにと、渡されていた。ちずえは、犯人への復讐に使った。
 今川をひき殺した犯人は、最期に殺された社員、殺す段取りを整えたのは、撲殺された社員・高井。容疑者になったのは今川の妻の愛人。憎しみから容疑が強くなるように、犯人から渡されたハンマーを彼のマンションの近くに捨てた。撲殺したのは、高井が強盗殺人のために雇ったイチローだった。今川がちずえに渡したのは、この事実の証拠だった。今川が、高井の闇バイトを知り警察に連絡しようとしたことで殺されたのだった。ちずえは、イチローを雇い高井と須田を殺させた。
 ちずえは、イチローを殺して自死を考えていたが、鶴見のところで自白し警察へ自首した。

 強盗殺人もひき逃げも撲殺事件もナイフで刺された事件も解決した。

 ちずえは今川を愛した。今川の妻は、今川を愛した彼女を支えようと思った。
 

2024年5月19日日曜日

芋洗河岸3 未だ謎 完

 芋洗河岸3 未だ謎  佐伯泰英

 小此木善次郎が一口長屋に住み始めて二年が過ぎた。

 神田明神で一年前から続く賽銭泥棒の捕縛に乗り出し捕まえた。シング神具誂えの高砂屋一門だった。賽銭箱を二つ用意し、小銭の入った賽銭箱と釣り上げて交換していた。
 賽銭泥棒を捕まえた礼金は、高砂屋一門の代わりに神具誂えをする、高砂屋分家の指導料に使われることになった。
 越後屋の要請で、松平邸に行く。次弟の継右衛門との立ち合いで小此木が勝てば借財の一部四千両を返済、継右衛門が勝てば、八千三百両の借用書を廃棄するという。継右衛門は亡くなった。越後屋は四千両を持ち帰り、松平家の借金を帳消しにした。
 善次郎は継右衛門を斬ってしまったことに後悔した。

 長屋の一室に半二階を作った八五郎たちは、越後屋に報告する。越後屋はこんな危ない物は駄目ということで大工を入れ正式な半二階を造作した。善次郎の長屋は、増築された。一階は台所土間と二部屋になり、二階ができた。二階は周回廊下で囲まれた床の間付きの六畳間だった。

 二階で、中秋の名月と不忍池に反射した光で愛刀・國重の抜き身が、神秘の光に彩られていた。今後自分の成すべきことを考える。

 生後一月の犬を長屋で飼うことになった。息子・芳之助に、もみじを家で飼いたいならば道場の稽古に行くと条件を付けた。

 善次郎は愛刀を封印した。越後屋の共で真田家に行く。善次郎は竹棒で対する。越前屋嘉兵衛は家老は向後百年を熟慮し、あえて惨敗という結果で、奮起させようとしたのではないかと思った。