2018年12月27日木曜日

負の方程式 

負の方程式 宮部みゆき
 ソロモンの偽証6より
 私立探偵・杉村三郎は、精華学園の校舎を使って行われた「体験キャンプ」の真相を突き止めて欲しいと依頼を受けた。
 キャンプの夜、火野岳志教諭が、災害時に誰かが犠牲にならないと誰もが助からないとなった時に誰が犠牲になるか相談しろという課題を出した。と生徒九人に迫ったというものだった。生徒の一人が逃げ出し家に電話を入れ、公になった。火野教諭は否認し、九人は先生が嘘をついていると言う。
 学校側は火野教諭に謝罪を求め、三ヶ月の停職を受け入れるようにいうが教授は拒否する。
 杉村は生徒の親に頼まれた。学校側の弁護士として現れたのは、藤野涼子だった。
 子供を連れて火野教諭と再婚し、暴力を受けている瑛子と育司を助けるために生徒が起こした捏造事件だった。火野教諭のあからさまな生徒蔑視が要因になっていた。
 藤野弁護士は子供たちに、目的が正しくても手段に不正があれば全てが不正になる。本当に悪い事をこつこつ集めて立証して正面から戦う。嘘に頼っては駄目だと言った。
 
藤野弁護士はソロモンの偽証の検事役、弁護人だった神原和彦と結婚していた。あれから二十年が過ぎた。
 

2018年12月26日水曜日

ビブリア古書堂の事件手帳

ビブリア古書堂の事件手帳 三上延
 〜扉子と不思議な客人たち〜
 プロローグ 2018年 秋
 五浦大輔と篠川栞子は結婚しビブリア古書堂で働いている。六才になる娘・扉子がいる。今、大輔は栞子の母・智恵子の仕事を手伝い海外にいる。大輔はどこかに置きわすれた本を探して欲しいと栞子に連絡してきた。
 栞子は扉子にせがまれ本によって生まれた人との話をしている。
 北原白秋 与田準一編「からたちの花 北原白秋童謡集」 平尾由紀子は父・和晴の異母弟・坂口昌志の家を訪れることになった。坂口は五才の時に母親と平尾家を離れ、銀行強盗をし逮捕され、出所後由紀子が幼いころ平尾の家にいた。小学4年生の時、親戚の葬儀の後、平尾家に泊まった坂口が由紀子の部屋にいる所を見られ、坂口とは絶遠になった。和晴が倒れ、見舞いの品が届いた。和晴は由紀子に坂口に出産祝いと北原白秋の「からたちの花」を届けることを頼んだ。栞子から本を受け取り坂口家で叔父の妻・しのぶに本を渡す。からたちの花を読み、二人が違った詞を覚えていることを知った由紀子は、幼いころ歌を歌ってくれたのは父ではなく叔父だったことに気がつく。叔父は感謝している和晴から一字を貰って息子に直晴とつけたことを話す。
 俺と母さんの思い出の本 入籍して二ヶ月、告白して付き合い始めて五ヶ月のころ。
 母・智恵子の知り合い・磯原さんから、三十一才で二ヶ月前に亡くなった息子・秀実の本を探して欲しいと依頼を受ける。余り連絡のない息子が俺と母さんの思い出の本を見付けた。プレゼントすると言ったのが最後の言葉になっていた。その本を探して欲しいという。磯原末喜から息子の自慢と愚痴を聞き、息子のマンションに行く。秀実はイラストレーターだった。本棚の一画に空いている場所があった。秀実の友人だという男・岩本の家に行き、本を探す。古本屋の蓮杖が栞子さんから盗品が売られたと連絡が来たと秀実のところから持ち出された本を持ってやって来る。見付けた本を持って、秀実の妻・きららと共に磯原家に行く。「ファイナルファンタジーⅤ」に登場する曲をピアノ向けにアレンジした楽譜集だった。きららは秀実が、母さんにはやりたくもないことをやらされたけれどすごく役に立っている。絵画教室はイラスト、語学やピアノは交流にと言っていたことを話す。末喜はピアノを弾く。きららはうれしそうにピアノの方に行く。
 佐々木丸美「雪の断章」 栞子の妹・文香の友達・小菅奈緒には先生と呼ぶ、ホームレスの志田がいた。志田は突然、奈緒の前からいなくなった。志田から奈緒に渡すように頼まれたと言って紺野祐太が「雪の断章」を持ってくる。奈緒は祐太と志田を探すため古本屋廻りをする。志田の行き先を知っている人を探した。祐太は奈緒が受験勉強をそっちのけで志田を探していると噂を流せば志田は奈緒に会いに来ると言う。本当に志田から連絡が来た。奈緒は文香と一緒に会う。話をした。そして奈緒は気がついた祐太が嘘を付いていることを。祐太は白状する。ホームレスの志田の家を荒らしていたこと。志田と面識は無かったこと。はじめて会ったのは尋ねてきた志田の妻が倒れ救急車を呼んだ時だったこと。ホームレスの所に来る女の子を見て、仲よくなりたくて勉強を始めたことを話した。
奈緒は自分のことを話してくれてありがとうと言い、自分のことを聞いて欲しいと言った。
 内田百けん「王様の背中」 舞砂道具店の店主だった吉原喜市の息子・吉原孝二は屋号だけで店舗もない古美術と古書を扱う舞砂道具店を継いだ。先月亡くなった山田要助の家を訪れた。大方の古書は無くなり、少し残っていた古書を息子がビブリオ書店に持って行った後だった。要助は帰り際ぬかるみに転び汚したコートの代わりに、古風なトンビコートを借りた。ビブリオ書店の前で留守番の文香に山田さんの息子さんと間違えられ声をかけられた。山田が預けた本があった。中に内田百けんの「王様の背中」の特製本がアル子とが分かった。孝二は山田の息子と勘違いされているのをいいことに、やはり売るのはやめる。持ち帰ると言う。その本を読んでいた扉子は続きが知りたいと言う。背中のかゆい王様がどうなるか。どうにもならないよ。怪しんだ文香が読み終える。本当にどうにもならなかった。孝二は子供が勝手に査定前の古書をいじくるような店に蔵書を売りたくないと言い残し古書を風呂敷に包んで持ち帰る。孝二は稀覯本を手に入れた。扉子が追いかけてくる。孝二が乗ろうとしている電車から栞子と大輔が降りてきた。文香と話した大輔が電車に飛び乗る。孝二はコートを着替え、王様の背中だけをバッグに入れ、とんびコートと古書、風呂敷を座席に残し車両を変わった。大輔が忘れ物だとみんなに声を掛ける。コートと古書の他に王様の背中の版画を一枚持っている。全部揃って価値がある。版画を落としそうになる。思わず孝二は立ち上がっていた。大輔は吉原さん、コートと同じ匂いがしていると言われる。駅前のコーヒーショップで話す。大輔は王様の背中をチェックして版画を挟む。店で落とした版画を扉子と文香は届けようとした。大輔も電車に乗って追いかけた。電車内の孝二の態度と、本当の山田さんの息子さんから電話があったため、孝二が舞砂道具店の吉原だと分かってしまったのだった。山田さんの奥さんがビブリオ書店ではなく吉岡に本を売ろうと考えたからだった。大輔は警察沙汰にしないでおこうと言うが孝二は警察に行く。舞砂道具店を畳む決心をする。
 エピローグ 倉庫になっている大輔の実家で本を見付けた。大輔がビブリア古書堂で働き始めてからの出来事を、仕事のこと、栞子のことを詳しく綴っていた。人目に晒せない多くの秘密が詰まった本だった。ビブリオ古書堂の事件手帖
 


2018年12月25日火曜日

曙光を旅する

曙光を旅する 葉室麟

2018年12月4日火曜日

古事記異聞 オロチの郷、奥出雲

古事記異聞 オロチの郷、奥出雲 高田崇史
 橘樹雅は一日延ばし奥出雲に行く。民宿の主人・磯山源太は、雅が大学院で出雲の研究をしていると聞いて車で案内してくれる。四、五年前にも大学の先生を案内したと言う。
 源太は、川の渓流の岩場で死んでいる斎木裕子を見付けていた。斎木裕子を殺したと石宮久美が自首してきたが、久美が押して裕子が倒れ、久美が逃げた後、誰かが裕子の頭を岩に打ち付け殺してから下に落としたことが判った。久美は裕子が四柱推命で八方塞がりの年であるにも関わらず凶方へ旅行した。本人に厄が降りかかるのは仕方がないが廻りの人にも迷惑が掛かることそ許せなかった。と言った。裕子が八方塞がりなのに五黄刹の南へ行き暗剣殺で帰ってきた。その悪気を尊敬する葛城先生に付着させようとした、その上金神七刹だった。裕子の廻りで七人死ぬ。犯人・三隅誠一は自供し供述書にサインし、逃走し、自殺した。快方の向かっていた葛城の容態が急変し死亡した。七人亡くなった。
 雅は奥出雲で櫛が何なのか知った。朝廷の人々にとって素戔鳴尊が金神・冷酷無惨な戦いの神・悪神と考えられていたことが判った。

2018年12月3日月曜日

ひなた屋おふく 泣く女

ひなた屋おふく 泣く女 坂岡真
 半年前から井之蛙亭三九はひなた屋に通うようになった。女将はふく。娘・せん15才。元はすみ屋と言い、ふくの祖母・ときがやっていた。常連客は川獺先生・馬医者・桂甚斎、蔭間の京次、畳問屋備後屋の隠居・儀右衛門、霜枯れの紋蔵・岡っ引き、
 十四で売られ二十七で岡場所を年季明けで出、三味線指南で食いつないでいるというはつという女が来る。与平にこの店を聞いたと言う。与平は二年前に亡くなった。はつは蕗味噌を食べながら、十五で産んだ赤ん坊を本妙寺の山門傍の石地蔵の足下に捨てた。一緒に死のうと戻ってみると赤ん坊はいなかった。年季が明けてから毎月晦日に石地蔵に供物を捧げていると泣きながら話した。
 ふくは儀右衛門を迎えに来る清吉がはつの子供ではないかと思った。清吉は儀右衛門が拾って育てた。畳屋の手代・清吉が恋をした。太物問屋のお嬢様。相思相愛になるが親・大和屋惣兵衛が許さなかった。儀右衛門が親代わり、大名の紹介もするがそれでも許さない。元同心・加藤鉄之進が惣兵衛の義賊と言われた念仏鳥だという過去を暴く。惣兵衛は店を畳んだ。娘の結婚を認めた。
 敵持ちの浪人、敵は辻斬りに殺された。妹の敵だった。藩、妻や子を捨てて敵討ちにでていた。やくざの縄張り争いのため親分の為に人を殺した男が島から帰ってくる。弟の面倒をみてもらった為に服従する。弟が観音様を描いた杉戸が千代田のお城に使われた。弟は死ぬ。
敵対する親分の用心棒は辻斬りだった。・・・・
 
 
 

2018年11月28日水曜日

自然農法で楽しむ野菜づくり

自然農法で楽しむ野菜づくり 竹内孝功・川口由一・徳野雅仁・木嶋利男 ○
 自然農法4人の匠が長年の知識とノウハウを公開
これで失敗しない家庭菜園Q&A 藤田智
ぐうたら農法 病虫害がなくなる土の育て方 西村和雄
野菜が甘く育つ土づくり 野菜だより
野菜の作業便利帳 川崎重治
 よくある失敗100カ条
これならできる!自然菜園 竹内孝功 ○

2018年11月21日水曜日

蘭方医・宇津木新吾⑧ 毒死 

蘭方医・宇津木新吾⑧ 毒死 小杉健治
 松前藩の抱医師宇津木新吾は路上の急病人を助け、上屋敷への到着が遅れ、腹に傷を負った藩士が死亡した。責任を問われ上屋敷での医療行為を禁じられる。藩士の傷の理由を探ぐる。路上の急病人は作られた者だった。一緒に探っていた藩士は殺された。足軽が毒殺され新吾の目は下屋敷に向く。全て仕込みだった。新吾は殿様への毒殺を注意するが、殿様の近くに行けなくなった。家老・宇部治兵衛は毒殺は大丈夫だと言いきる。新吾に殿の甥・孝太郎君を藩主にしようと次席家老が画策していると言うが証しがない。騒ぎ立て公儀隠密・間宮林蔵が当家に介入してくる口実が出来る。新吾の動きが公儀の手先と考えられても仕方がないという。休養を命じられる。
 殿様を毒をもられた。新吾は押しかける。解毒剤を飲んだ元気そうな藩主に会う。相手に実行させ敵をあぶり出す作戦だった。
 

2018年11月18日日曜日

おとなりの晴明さん〈三〉 

おとなりの晴明さん〈三〉 仲町六絵
 〜陰陽師は夏の星を祝う〜
 消えた祇園会 桃花は隣の晴明さんと祇園祭の宵々山に行く。安倍晴明・閻魔大王に仕える冥府の官吏。閻魔庁第三位の晴明は今春から長期休暇を得て、現世にきている。
 晴明の持っている推古鈴に誘われ稚児が現れる。稚児は立烏帽子の付喪神だった。
 レストランで永見篁と会う。閻魔庁第十六位の冥官・小野篁。永見篁の名で市立図書館を営む。
 翌日、稚児の要望に応え、稚児と一緒に奈良へ行く。桃花は奈良で一人の陰陽師・楠葉志乃夫とゆかりと猫の墨香に会う。稚児は無くなった南都祇園会をみんなに見せたいと言った。
 シノブは実際に見たものを眠っている人間に見せる術を使って、南都祇園会の再現を見、奈良の観光客の夢の中に見せた。
 河童の川下り競争 桃花は一人日帰り旅行に行くことになった。亀岡の出雲大神宮で御朱印を受け、嵐山に帰ってくることになった。
 桃花は晴明に保津川で行なわれる保津川の河童と滋賀県の安曇川の河童の川下り競争の見張り役を頼まれた。
 狸が化けたり、大津絵の鬼に化けたり、ふな鮨の匂いを使ったり卑怯な手を使って競争する。大津の志古淵の神が窘め真剣になった。結果は同着、フクロウになった桃花は見届けた。出雲大神宮の御朱印と真名井の水をお土産に京都駅に着いた。
 台北で夜のお茶会を 桃花は家族三人で台湾旅行に行った。晴明から推古鈴をネックレスにして貰った。禍々しい存在が近付いてきたら鳴る鈴。
 ホテルの風呂場で七才ぐらいの少女が近付いて来た時に鈴がなる。夢の中で晴明と話す。桃花を山へ連れていこうとする少女が、赤いリボンを付けたヒトガタを持って行くように仕向けた。夜、モシナを騙して悪かったと思っている桃花に、料理店の店主の母親に化けた観音菩薩から、赤いヒトガタを抱いて喜んでいたことを聞いた。
 夏の星を祝う ゴミを飲み込みフクロウの母親が死んだ。フクロウの子が怪我を負い、生きられないから巣から落とした我が子が人に拾われ動物園で生きていることを知り、成仏出来ないで彷徨っていた。草木有情庁の大羽根に協力して桃花がフクロウになり母親を息子に会わせた。
大文字山で星を見た。
 富子姫の送り火 雨が続き送り火に火が付けられるか危うくなってきた。
 日野富子の悪いことばかりを聞く桃花は、本当のところはどうなのか調べることにした。
 篁の図書館に行く。日野富子も現れた。送り火を始めたのは富子だった。大雨の後だったが、山は踏み固められたようになっていた。送り火は行なわれた。
 桃花に冥府の官吏は世間の汚い部分を見せてしまう。人間の記憶を改竄することが出来る
と言う篁に桃花はこのままで良いという。晴明さんといると面白いと答えた。
 
桃花は赤ちゃんの時、晴明神社で人の想いの集合体・泡魂を見て泣いた。晴明が手で庇を作り泣き止ませた。結果晴明と桃花の間に縁が生じた。
 

2018年11月16日金曜日

剣客旗本春秋譚② 武士にあらず

剣客旗本春秋譚② 武士にあらず 鳥羽亮
 暮れ六つに両替屋に五人の賊が押し入り、一人が殺され千三百両が盗まれた。侍の関与を疑い御徒目付の糸川たちが動く。御目付大草に頼まれ、青井市之介も手伝う。
 岡っ引きが殺される。呉服屋に賊が入った。同じ手口の賊だった。岡っ引きの調べを辿る。武士の二人ずれから、御家人と潰れた剣術道場が浮かび上がる。剣術道場を建てるための資金稼ぎだった。最後に残った元道場主を市之介が倒して終わった。

2018年11月15日木曜日

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末④ 

草紙屋薬楽堂ふしぎ始末④ 月下狐の舞 平谷美樹
 千両万両 冥途の道行き 女戯作者鉢野金魚は自分の書いている戯作と同じ触れ込みで売り出している千両万両に腹を立てていた。千両万両が脅迫され相談される。金魚が調べると、脅迫者は千両万両の書いている筋を考えだした御家人だった。書き損じ紙を捨て紙拾いの仕事で拾った紙を読み、自分の方が上手く書けると文章にして売り込んだのが千両万両だった。二人は一組で本を出すことにした。
 戯作修業 加賀屋河童騒動 短右衛門の娘・けいの友達のさきの家・加賀屋に河童が現れたと言う。姿を見た者はいない。足跡が残っているだけ。店の小僧さんが順番に寝ずの番をしている。金魚は犯人が判り、誤魔化せるように、小僧さんに証文を書かせ寝ていた振りをさせる。小僧さんはさきが好きでお嬢さんを守りたかっただけ。金魚と真葛は板橋から神奈川に移住する河童が途中で池を借りたという証文を書かせことを納めた。
 月下狐の舞 つゆの出立 金魚の話の挿し絵を描きたいと葛飾応為が現れた。香雅堂の秀造の恋人・つゆが秀造との中を引き裂かれ縁談を押し付けられたため狐憑きになって座敷牢に押し込められているらしい。金魚と応為・栄は越後屋に乗り込む。又蔵に忍び込んでもらいつゆと話を付ける。真葛に修法師になってもらい狐を追い出す芝居をする。父親を恨んでいることにし、修法師がつゆを連れていくことにする。本当に二年ほど真葛が仙台につれていった。
 春吉殺し 薬楽堂天手古舞 薬楽堂は素人戯作試合の作品募集をしている。百三十作があつまり、六作が残った。五人は薬楽堂に関係する人だった。残りの色川春風に会いに行く。
吉五郎はいない弟・春吉を作り出していた。春吉を死んだことにして吉五郎が弟のために文をかいたことにした。船野親玉を名乗った真葛は妹・萩尼を介して本を出すことになった。
 

2018年11月14日水曜日

忘却探偵シリーズ11

忘却探偵シリーズ11 掟上今日子の乗車券 西尾維新
 親切守が置手紙探偵事務所に勤めて半年が経った。突然、旅に出ることになった。ボディガード兼荷物持だ。
 今日子さんin寝台特急「ひらめき」 寝台特急の中で殺人が行われ、警察に連絡した車掌は探偵が乗っていると言われ今日子さんは調べを要請される。三段寝台の一番下でうつ伏せで亡くなっていた。次の駅に着くまで五十五分の間に第一発見者が犯人だと見破った。朝起こして下さいと頼まれた第一発見者、みんなが寝静まってから殺したのではなく、他の人が殺された人と話したと思っているのは、殺した人だったということ。
 山麓オーベルジュ「ゆきどけ」 宿泊先の食事で相席になった裁判官の話から、殺人の動機を考える。兄が大好きな妹を殺した事件。すべり止めの大学受験日に替え玉受験をし妹を殺したが、何故大好きな妹を殺したのか動機がわからないままになっている。妹を殺した理由は替え玉受験を隠すため。また本命の大学に落ちても妹の殺人事件があったからと言い訳ができるから。
 高速艇「スピードウェーブ」 処刑島へ向かう高速艇の中で副船長が船長を後ろから殴り、副船長は文鎮で頭を殴り自殺しようとした。スピードが落ちないことに不審を感じた今日子さんが高速艇を止め、救命処置を施し蘇生が成功した。救助がくる三十分の間に殺人未遂事件を解決した。副船長は乗客を殺すつもりだった。今日子さんが止めなければ高速艇は島にぶつかっていた。その場合、今日子さんが狙われていたのかもしれない。
 水上飛行機「ウォータージェット」今日子さんが乗りたくて行ってみると「本日運休」だった。副社長が社長が水上飛行機で服毒し墜落したからと言う。今日子さんは水上飛行機を操縦した。社長は犯人が絶対いないという状況を作り、自殺した。
 観光バス「ハイスピードロード」 一階は男子、二階が女子という夜行バスに乗っている。守がC席で寝ている時、隣のA席の客が殺された。今日子さんが心肺蘇生をして殺人未遂事件だ。A席は窓側、B席には荷物があり、C席を通らなければ A席には行けない。守が犯人だと思われたが、後ろの席の人が犯人だった。元々はリクライニングになっていた。殺してから背もたれは立てられた。今日子さんが説得して警察が到着すると犯人は自首した。
 掟上今日子の五線譜 守は事務所に来ていた隠舘厄介氏からの手紙を見て警察の留置場に行く。コントラバスの中に死体を隠した殺人事件の話を聞き、何故コントラバスの中に死体が隠されたかと言う質問を受ける。コントラバスに保険がかかっていたから。保険金目当てに人が死にコントラバスに入れられた。合格し今日子さんに渡す手紙を受けっ取った。手紙が入った小瓶。小瓶の中の手紙は五線譜の暗号だった。
 

2018年11月12日月曜日

新・秋山久蔵御用控二 騙り屋

新・秋山久蔵御用控二 騙り屋 藤井邦夫
 騙り屋 隠居し、孫・平次が遊びに来るのを楽しみにしている弥平次は、呉服屋の隠居が孫が賭場の借金を取り立てられていると聞き、二十両を用立てたという話を聞き、騙りではないかと疑う。幸吉たちが調べると元締めは住職と判った。旅姿で逃げ出したところを捕まえた。
 不義密通 什器屋「恵比寿屋」が殺された。殺したのは夏川真之助・御公儀賄頭結城主水の家来だった。結城主水の妻・珠代は娘時代の仲良し・神崎和馬の妻・百合江に大切にしていた翡翠の帯留を送る。それ以後姿が見えなくなった。夏川は百合江の命のために恵比寿屋殺しを引き受けた。百合江は座敷牢にいた。恵比寿屋は結城主水の賂の強要を訴えたため殺された。夏川は浪人になり遠島となったが自死・餓死した。珠代は仏門に入った。結城は切腹した。
 猿芝居 太一は数奇屋橋御門前で妙だと思う男を見た。男は仏具商の番頭だった。男の店の主人・正次郎が何者かに襲われ怪我をする。本家の主・正次郎の兄が病気で、息子の行状が悪く、主の弟・正次郎を本家の主にという話があるらしい。本家の息子が叔父を襲ったかと思われたが、正次郎が知りあいに浪人に襲うように頼んでいた。甥が疑われればいいと思って。正次郎の店は闕所、頼まれた浪人は江戸所払い、亡くなった妻の遺品を故郷の駿河の寺に納めに行く。
 閉じ籠り 若い侍が医者の所に立て籠った。医者を人質にして女に別の医者に手紙を届けさせる。鳥兜か石見銀山を買って旗本に届けさせた。若い侍は主に薬を買って来るように言いつけられるが手に入らず最後の足掻きだったようだ。届けた女を炭小屋に閉じこめ、旗本は若い侍を放逐したと言い命を狙う。侍を襲いにきた者を捕まえ、秋山久蔵は土屋家へ乗り込む。談判している間に女を助け出す。土屋は評定所での詮議中に毒で死んだ。土屋が誰に毒を盛る企てだったか判らないままになった。四千石は取り潰された。

2018年11月11日日曜日

栄次郎江戸暦20 辻斬りの始末

栄次郎江戸暦20 辻斬りの始末 小杉健治
 田宮流抜刀術の達人で三味線の名手・矢内栄次郎は足元に倒れた男に留めを刺そうとしているのに遭遇した。このところ続いている辻斬りだと思い、後からきた男・西京屋長四郎に後を頼み辻斬りを追った。辻斬りを取り逃がし現場に帰ると、倒れた男は死んでいた。男は元岡っ引きの作次だった。栄次郎は辻斬りの顔を見たことで南町与力の崎田孫兵衛から辻斬りの手助けを頼まれる。以前の辻斬り四件を聞き、次の辻斬り現場を予想する。
 御徒目付の栄次郎の兄・栄之進から三百石の旗本・増村伊右衛門の屋敷に奉公していた女中・いくが三ヶ月前から行方不明になっているという相談される。いくの実家からの問い合わせに対し中間と駆け落ちしたという返事だが、実家の方は納得がいかなかった。栄之進は調べる術もなく伊右衛門が栄次郎の師匠・杵屋吉右衛門と親しいようなので探れないかという話だった。栄之進は増村家に西京屋を紹介してもらい、新八を西京屋の番頭として送り込む。新八は増村家にいくはいない。庭に埋められている気配もないという。
 予想した現場に辻斬りが現れる。船を使っているため逃がしてしまったが、明くる日、第一現場を訪れた栄次郎は昨日の船を見付ける。書院番頭・大城清十郎の下屋敷、三男・松三郎がいた。また、辻斬りと思われた作次の一件は辻斬りではないということを考えた。
 栄之進の縁談が持ち込まれた。大城清十郎の娘だった。栄次郎の実父が誰か分かっているものがあり、栄之進に大身旗本からの縁談が持ち込まれる。栄之進は気が進まないが、栄次郎が清十郎に今の内に松三郎の話が出来ると言われ大城家を助けるために娘に会い清十郎に会う。
 栄次郎は松三郎に会う。父親と芸者の間に生まれた自分は疎まれた。僻みで清三郎を松三郎と言い、大城家を潰すつもりで辻斬りをしていた。松三郎は自分のしたことを反省していた。松三郎に付いていた千吉が辻斬りは自分だと書き残し自死した。松三郎は出家することになった。大城清十郎は隠居し、長男に家督を譲った。辻斬りの犠牲者の家族に詫びをする。いくは松三郎に屋敷にくるように言われ、増村伊右衛門は上司の息子を拒むために駆け落ちしたことにしていくを隠していた。松三郎が出家することで、いくは現れた。
 栄次郎は作次の事件を調べる。三年前に線香問屋へ三人の押し込みが入り、主人と番頭を殺し土蔵から一千両を盗んだ事件があった。犯人と思われた二人には夜、長屋で小火騒ぎがありその場にいたことが分かって疑いが晴れていた。栄次郎は二人を調べた。作次を襲った浪人が殺された。
 栄次郎は西京屋夫婦と食事をする。西京屋は三年前の押し込みを自供した。長四郎は二人と同じ長屋に住んでいた長吉だった。内儀は線香問屋の女中だった。内儀にはお腹に子供がいた。内儀は押込みのことは知らないことにした。証拠はない。長四郎は自訴した。
 栄之進は大城美津との縁談を承知したと母が栄次郎に伝えた。松三郎が良い妹だと言った美津だった。
 正月に市村座で羽三郎が越後獅子を踊る。地方を吉右衛門が立三味線を吉栄・栄次郎がすることになった。事件を調べながら練習をしていると、秋が弾き終わった後もまだ音がしているようで声をかけられなかった。と言うようになった。栄次郎は聞く者を脅えさせているのかと悩む。
 
 
 

2018年11月10日土曜日

ぐうたら農法 

ぐうたら農法 西村和雄
 草と土壌生物が野菜をつくる。
 手間のかからない畑のつくり方
ぐうたら農法 西村和雄
 病虫害がなくなる土の育て方
 手間なしで効果大
野菜の自然栽培入門 徳野雅仁
 あらゆる生物との共生
 西野さんより徹底している。
草引きのことばかり考えなくてもいいんだ。と思えるだけでやる気がでる。
 
野菜の植えつけと種まきの裏ワザ 木嶋利男
 伝承農法を活かす
葉菜2 塚田元尚編
 家庭菜園レベルアップ教室
はじめての野菜づくり教室
 知っておきたい基礎知識の学べます
のらしごと 
 畑を借りて農作業を楽しむ週末田舎暮らし
家庭菜園・農園道具の便利帳
 

2018年11月3日土曜日

新・酔いどれ小藤次⑪ 椿落つ 

新・酔いどれ小藤次⑪ 椿落つ 佐伯泰英
  小藤次は久慈屋昌右衛門との伊勢の道中で知り合った三吉と再会する。三吉の父親が殺された。犯人は三吉を我が物にしようとする「強葉木谷の精霊」一味だった。
森藩の殿様の参勤交代の行列に付いて江戸入りした、森藩御用達の小坂屋の娘・采女が家臣・国兼鶴之丞と逃げた。鶴之丞が遺体で見付かった。采女は橘寿太郎と一緒にいた。小藤次の差配で下屋敷の高堂用人に頼み、下屋敷で弔いを済ます。川崎宿で采女は橘に斬られ、橘は森藩士・池端恭之助が倒した。采女の亡骸は千石船で森藩の親元に送られた。問題なく片付けるために老中・青山の力を借りる。采女に付いていた女中は長崎屋で働くことになった。
 三吉が強葉木谷の卑弥呼に勾引かされた。卑弥呼は赤目親子に誘いの手紙を出してきた。強葉谷に近付く者を何人も斬り、金を貸し人を攫って行く卑弥呼一味の退治を老中にも頼まれる。駿太郎と一緒に卑弥呼を倒した。
 三吉は畳屋・備前屋で働くことになった。
 将軍・家斉から、赤目一家に城に来いとお呼びがかかる。


 

2018年11月1日木曜日

岡山県の歴史散歩 編集委員会編

2018年10月29日月曜日

自分サイズに作る着物と帯

らくらく15分着付 石田節子
自分サイズに作る着物と帯 林良江・一戸都
 着付が簡単 今ある着物と帯を切らずにリメイク

2018年10月26日金曜日

古事記異聞 鬼棲む国、出雲

古事記異聞 鬼棲む国、出雲 高田崇史
 橘樹雅は日枝山王大学の大学院に進んだ。民俗学研究室。水野文比古教授はネパールやインドへいってしまった。准教授の御子神伶二が研究室を任されている。研究室には波木祥子がいる。
 雅は研究テーマを出雲にしたため出雲に出掛けた。
 出雲で殺人事件に出会す。雅が行く予定にしていた東出雲町・黄泉比良坂で揖夜神社の巫女が絞殺された後、目に簪を刺され、髪を切られ櫛が置かれているという事件が起っていた。二日目、揖夜神社に行く途中、川の草むらに青白い小さな円球がいくつも見えた。そこで死んでいる女を見付けた。女の側に櫛が落ちていた。刑事は水野文比古教授を知っていた。御子神から櫛のレクチャーを受け、波木から青白い円球が害の無いものだと教えられる。後日、犯人が自殺したことを警察から聞かされる。
 御子神に何も見ていないと指摘され、何故、風土記の編纂にこれほど時間が費やされたのか。にも関わらず内容が薄っぺらなのかを調べるため、奥出雲に行くことにした。

2018年10月25日木曜日

みとや・お瑛仕入帖

みとや・お瑛仕入帖 はしからはしまで 梶よう子
 水晶のひかり 菅谷道之進と花の祝言が近付いたある日、瑛の兄・みとやの主・長太郎が、ふぐの毒で死んだ。長太郎の友達・呉服屋の寛平が買い、花川戸の料理屋で調理したものだったが摘み食いして毒にあたった。長太郎は自分で釣ってきて調理して食べたことにして死んで行った。
 長太郎が亡くなってから瑛は、長太郎が自分のために特別誂えした黒漆の桜の花に水晶をあしらった板紅を見付けた。瑛は紅を付けて祝言に出た。
 引き出しの中身 長太郎が亡くなってふた月。道之進は花と二階屋に住み手習い塾をしている。直之は元の長屋で一人暮らしをしている。
 直之は長太郎が頼んでいた森山孝盛に烏帽子親で元服の儀を行った。直孝となった。
 瑛は長太郎の仕入れ帖を見ながら仕入れ先を回る。指物師の親方・徳右衛門のところに行く。目が悪くなり仕事を辞め、弟子もいなくなっていた。徳右衛門を父のように思っている弟子・六助が徳右衛門の所に帰れるように道を付けた。
 茄子の木 船頭・辰吉の幼馴染みが喧嘩で腕と胸の骨を折られた。鳶頭の才蔵のところの鳶だった。家族のために医者の費用だけでも出してもらいたいと考えていたが上手くいかなかった。才蔵の母親・とみは他所の家を俳諧していた。泥棒として人相書きがでていた。瑛がとみに懐炉を渡す。とみは才蔵にお腹を冷やさないようにと笑顔で渡す。とみは息子のために懐炉を探していたのだった。才蔵はとみをしっかり見張ることを約束し、怪我人の医者と薬代を出すことを約束した。
 木馬と牡丹 花の店・お菜の「はなまき」が再開した。道之進が店番をすることもある。花は自分の兄さんを探していた。名前が久作としか分からない。
 寛平が櫛を四十九枚仕入れてきた。久作から仕入れたという話から会いに行く。久作はなくなっていた。櫛を作ったのが久作だった。花の兄かどうかわからなかった。
 高崎で小間物屋を営む益次叔父と駒が訪れた。みとやにある「濱野屋」の看板を高崎で上げてくれと頼んだ。瑛はみとやを大きくしようと思う。益次は看板が似会う店になったら取りに来ると言った。
 三すくみ 金具の蒐集家の隠居・五郎兵衛を知った。船宿の主人、女中と思ったのは妾だった。五郎兵衛がみとやに妾を探しに来た。倒れた。梅若に知らせに行くが、内儀は冷たい。みとやから梅若に戻り、十日後に亡くなった。
 瑛の船に鮒だとかナメクジとか蝦蟇と蛇が入っていた。辰吉に問い質す。庄次という子供がやっていた。庄次の従兄との船勝負で辰吉が勝った。辰吉が使ったのが瑛の船で瑛が辰吉のいい人だと思い仇と思い悪さをしていた。
 百夜通い 長屋に住むちよと亀蔵の娘が、ちよが仕事に行っている間に死んだ。ちよは亀蔵を追い出した。ちよは駆け落ちものだったが娘が出来て親がお手玉を送ってくれた。そのお手玉をみとやに持ってきた。実家に帰るつもりらしい。亀蔵にちよの家に通えと言った占師・きくを刺し、捕まった。お手玉の中から一両が出てきた。
 辰吉に縁談がある。どうしても告げたいことがあると、瑛に長太郎が好きだったと告白した。
 直孝が弟が出来ると伝えた。
 

 

2018年10月23日火曜日

花咲家の人々

花咲家の人々 村山早紀
 黄昏時に花束を 風早駅前商店街一番奥のお花屋さん千草苑、店の中にカフェ千草。花咲家の人々は魔法を使うと言われている。
 長女・茉莉亜。25才。カフェ千草の経営者、千草苑の中にあるFM風早のサテライトスタジオで木曜日夕方リクエスト番組のメインパーソナリティをしている。
 次女・りら子。15才。お母さんとの約束で泣かない子になった。
 長男・桂。小学五年生11才。
 父親・草太郎。風早植物園の広報部長。妻・優音を十年前に亡くす。
 祖父・木太郎。元プランツハンター、樹医。幼馴染み随筆家の磯貝唄子さんが初恋の人、親友の皓志と結婚する。五年前皓志は亡くなる。
 茉莉亜のラジオ番組のお相手・有城竹友・新人少年漫画家が、「ちょっと不思議な話し」で自分を守ってくれている白い猫の話をする。茉莉亜は草木の言葉を聞く耳を受け継いだ一族の話をする。茉莉亜は家出をした。空港で家に帰りなさいという金木犀の声を聞き家に帰ると母親のお葬式だった。
 唄子さんは皓志が幸せだったか不安だった。10月なのに桜が咲き、皓志が幸せをありがとうと言うのが見えた。唄子は木太郎に桜を咲かせてくれてありがとうと言った。
 夏の怪盗 三角屋という玩具屋の主は元怪盗だという。手に入れた物を持ち主に返している。後残り最後の絵。自分が盗品を買った物だった。薔薇のトゲの中で暮らしていた十六夜美世子イラストレーターは返ってきた自分の絵を受け取った。思いでの母の絵。十六夜先生は祖父に薔薇の剪定をお願いしてきた。
 草のたてがみ 草木と会話が出来るはずの花咲家の一員だが、桂には出来なかった。転校生の秋生は、自分は弱くて苛められっ子だったが、努力して強くなったという。流されている猫を助けるために川に入った二人は、中学生に助けられ、濡れているため近くの彼の家に行った。母親が家出をし彼は一人で住んでいた。彼が猫を預かった。三疋になった。夜、枕元のコスモスが、火事、燃えるよ、死んでしまうよと言う。桂は彼の家に走り、彼を助ける。観葉植物が見る間に成長し火を消す。消防自動車が来た時、草木は枯れて無惨な姿になっていた。秋生と三疋の猫を分け、彼は田舎の祖父の家に行った。片付けを手伝ったクラスメート三人も草木の話を受け入れた。花咲桂は生きている都市伝説だと。
 十年目のクリスマスローズ 十年前に亡くなったお母さんが造っていたロックガーデンが今年、見事に完成していた。お母さんが残したスケッチを参考に木太郎が世話、維持を続けていた。クリスマスの日、みんながそれぞれの優音に会っていた。

2018年10月21日日曜日

新.剣客太平記〈九〉 追憶

新.剣客太平記〈九〉 追憶 岡本さとる
 直心影流峽道場の弟子も三十人を超え、順調に剣客として名をなしている竜蔵は団野源之進から相談を受けた。竜蔵がかって手ほどきを受けた同流派の新田玄道の門弟が、道場荒らしまがいに暴れ心配しているという。
 玄道は竜蔵に道場を預かって欲しいと頼む。竜蔵は娘・夏を道場主にすればいいと思うが、玄道は難しいと言う。暴れ回る菅沼仁八郎は技量はあるが心根が曲がってしまった。仁八郎は新田道場をわが物にして江戸の中心に出て行くつもりだった。防具を付けず、仁八郎は玄道に挑み玄道は倒れ死んだ。竜蔵は一週間を過ごし、三田に帰る。
 夏は仁八郎を倒すために仁八郎が身を寄せている旗本屋敷へ行く。途中、石が何個も飛んでくる。浪人が三人で襲う。助けに来たのは仁八郎だった。仁八郎と真剣で決着を付けることになる。夏は石が当たり、浪人に腕を打たれていた。仁八郎は鎖帷子を着けていた。竜蔵が駆けつけた。堂々とした立ち合いなら黙って見ていたが、汚い真似は許せないと、仁八郎に雇われた浪人を連れてくる。竜蔵が立ち会い、仁八郎は死ぬ。
 夏は二年の廻国修業に出る。新田道場には程ヶ谷にいる中川裕一郎を師範に据えるつもりだ。
 玉かんの仁吉と言われた十手持が、自分の身代わりで女房を亡くし、朝から酒浸りの毎日を送っていた。網綱の半次や猿三が何を言っても無駄だった。仁吉は身の軽い少年・仲太郎と知り合う。仲太郎は角兵衛獅子の親方から栄五郎に助け出され一緒に長屋で住むようになった。栄五郎が亡くなり、仲太郎は一人で万屋をやり頑張っていた。仲太郎を庇護することで仁吉は立直った。小間物屋を開き、自分の代わりに仲太郎が狙われないように注意していたが、仲太郎が勾引かされる。仲太郎の身軽さを利用しようとする泥棒一味だった。泥棒一味を捕まえると、女房を斬った男につながった。男に仁吉殺しを頼んだ商家の主も捕まった。仁吉は仲太郎と親子として暮らすようだ。

2018年10月20日土曜日

柳橋ものがたり

柳橋ものがたり 船宿「篠屋」の綾 森真沙子
 慶応二年 1866年秋
十三夜 綾28才は口入れ屋「内田」で柳橋の船宿「篠屋」を紹介され、十三夜まで目見えで働くことになった。
 追ってに追われた男・梶原を同衾を装って助けた。梶原に短銃を預けられる。取りにきた梶原は、芸者・染香に金をつぎ込み、妻子と別れ、悪事に手を染めた与力を射殺した。綾は染香を諦め自殺場所を探しに旅に出ようとした梶原の目の前に与力が現れ、染香のために与力を殺したのだろうと考えた。
 ここには金銭には替え難いものがある。見届けたいことが山ほどあるように思いここで働くことにした。
 こんな所にも花びらが・・・ 白河藩から、篠屋の人気料理・きのこ尽くしを食べ、食あたりしたと言ってきた。きのこ中毒だという。篠屋の女将・簾は仙石医師に白河屋敷行きを頼んだ。綾は仙石医師の息子と白河屋敷に行く。綾はきのこ中毒と診断書を書かれる前に仙石医師・玄斎に四肢に紫斑があったので石見銀山中毒ではないかと問う。玄斎は自分で白河屋敷に行った。砒素中毒だった。食あたりの侍は国許からやってきた勘定方の不正を調べにきたものだった。勘定方五人で口裏を合わせ毒を飲ませていた。知らなかった向井が篠屋に苦情を言って来たのだった。女中・孝の息子・下っ引きの千吉が白河屋敷で調べてきた。板前の薪三郎は借りができたな。と綾を見た。
 満天丸 身体の細い、船頭には不向きに見える男・竜太が船頭見習いで篠屋にやってきた。泳ぎも出来ず、当たり屋をしたり、世間の評判も良くない。だが、弱いもの苛めは放ってはおけない。溺れている人を助けようとする。船頭・磯次は仕込む気になっている。
 秘めごと 篠屋の旦那・富五郎の妾の家で、綾は三遊亭円朝を紹介される。富五郎は円朝の贔屓だった。寄席の入場券を貰った。こっそり寄席に行った。綾との出会い現場をいい女に会った話として話されていた。綾は円朝を贔屓していた大店の娘に簪で狙われた。綾はいい女の一席を聞いたのだろう。娘は物狂いの診たてだった。
 雪女の話 ほとけと思われた侍の脈があった。一面の雪、寒い朝、侍が倒れていた。気がつき、仙石医院に移された。侍の命が狙われた。旗本の次男・小寺悌次郎、江戸を出るという。悌次郎は借金返済と報償金百両のために京へ行き、誰かを斬ることを強いられている。三年前にも借金のために人を斬っていた。綾はご無事でと願う。
 酒乱斎 綾は二階部屋から外を描く酒乱斎を泥棒の下見だと思った。本当の泥棒は酒乱斎の書いた絵の中にいた。芸妓の送り迎えをする箱屋の”安さん”だった。綾は酒乱斎に絵を描いてもらいその絵を貰った。綾は狂斎の絵だと思った。後の暁斎だ。
 
 

2018年10月19日金曜日

狂言でござる 

狂言でござる 南原清貴
 僕の「日本人の笑い」再発見
 ボケとツッコミには600年の歴史があった。

2018年10月15日月曜日

しゃばけシリーズ⑰ むすびつき

しゃばけシリーズ⑰ むすびつき 畠中恵
 昔あった人 広徳寺の寛朝から付喪神になった蒼玉を見せられる。貧乏神・金次は二百年以上前の戦乱の世に出合った若長の話をする。若長は若旦那・の前世だという。蒼玉は若長の元に辿り着いたのだ。金次は買い取り蒼玉は若旦那の元に落ちついた。
 ひと月半 若だんなが仁吉と佐助と一緒に箱根に湯治に行ってひと月半になる。自称、死神と言う者が三人集まる。白三郎と紅四郎と黒次郎。黒次郎は守狐だった。白三郎は長崎屋の近くの川で亡くなった船頭の幽霊だった。橋に捕らえられて、代わりが来まで成仏できなかった。白三郎は河童を代わりにしようとしていた。河童はいやがった。紅四郎たち死神は白三郎を強引に橋からはがし歩き始めた。白三郎は消えた。
 むすびつき 鈴の付喪神・鈴彦姫の鈴がある五坂神社には星ノ倉宮司という神社の道具や飾り物を作るのが上手い職人がいた。五十年前に亡くなり、材料の金が無くなり、五坂神社はお金に困り、鈴彦姫の鈴が売られようとしていた。若だんなは星ノ倉宮司の書き残した物を調べ、金を探し出す。鈴の脇の小さな鈴たちが金の塊だった。五坂神社は金細工等を造れるようになり鈴は売られることがなくなった。鈴彦姫は若だんなが星ノ倉宮司の生まれ変わりだと思っていたが、星ノ倉宮司は金のことが心配で今でも幽霊としてこの世にいたことで生まれ変わりでないことが判った。
 くわれる 若だんなの所に許嫁の於りんと一緒に、もみじと名乗る悪鬼が来た。三百年前に若さんは困ったことがあればおいでと言ってくれたと言う。もみじは一緒にきた青刃と無理矢理結婚させられると、親から逃げてきていた。若だんなの幼馴染み・安野屋で修行中の栄吉が、元兄弟子・雪屋が持ってきた味噌饅頭をヒントに作った味噌団子に嫉妬してもみじと於りんを誘拐した。二人を返して欲しければ団子を作るなと言ってくる。若だんなは広徳寺にいることを見抜き寺に行く。勾引かされたと思っていない二人がいた。
 こわいものなし おしろたちが住む一軒屋の近くの長屋に病気の笹女が住んでいた。笹女が飼っている猫・ダンゴは猫又だった。おしろを通して長崎屋の薬を渡していた。笹女の隣に住む夕助はダンゴと笹女の話を聞き、人が生まれ変われることを知った。生まれ変われるなら死ぬことが怖くないと言う。若だんなは転生の話を寛朝にして貰うために船で広徳寺に行った。船上で女の子を攫い売に行く男と会った。夕助は女の子を助ける。広徳寺に着くと、広徳寺の僧と神宮寺の僧と神職が揉めていた。夕助は巻き込まれ亡くなった。大物主・祭神が現れ、夕助の輪廻転生を約束する。蝶になり魚になり夕助は早く生まれ変わる。若だんなは九官鳥になった夕助を笹女の所に預けた。

2018年10月14日日曜日

新・酔いどれ小藤次〈十二〉 夏の雪

新・酔いどれ小藤次〈十二〉 夏の雪 佐伯泰英
 十一が読めていない。
 小藤次と駿太郎親子は、白書院下段の間で十一代将軍・家斉と世子・家慶と御目見得した。帝鑑の間には幕閣要人が、反対側には大名が控えていた。二人は広縁で真剣で来島水軍流正剣十手、序の舞を披露した。五升の酒を飲み干し、小藤次が作った久慈行灯を並べ、紙束を斬り分け雪のように見せた。小姓たちも加わり色紙を斬り分け花火に見せた。
 大名から望外川荘に四斗樽の酒が次々と届く。
 駿太郎の乳母・さとの父親・俊吉は花火作り名人だった。右手が不自由になり仕事を辞め、病に臥せっていた。息子・華吉は花火職人だが半人前だった。俊吉のいた緒方屋は今年でお終いかとも言われている。不景気な上に職人がいない。小藤次は俊吉の最期のため、緒方屋に花火を頼み、俊吉が職人を教えることを許してもらう。俊吉は最後の気力で息子と職人たちに自分の技を気持ちを教え込む。
 大名から届けられた酒樽を三河蔦屋に引き取ってもらい四十両で打ち上げ花火を頼んだ。
 市川團十郎を強請る、南町奉行所の悪清水と呼ばれ奉行も手を焼いている非常取締掛与力を倒した。
 川開きの日、鍵屋玉屋が終わった後、水戸家石揚場から緒方屋の乱れ打ちが上がり、華吉の上げる尺玉が上がった。俊吉は満足げに微笑みながら亡くなった。大名には酒樽の行き場が手紙で知らされ、家斉も花火見物をしたようだ。
 駿太郎の実父の墓に参り、老中・青山忠裕の誘いもあり父母の故郷・丹波篠山へ行こうと言う話になる。

2018年10月10日水曜日

桜風堂ものがたり 星をつなぐ手

桜風堂ものがたり 星をつなぐ手 村山早紀
 山間の小さな書店・桜風堂書店店員の月原一整が、いろんな人の好意で、店長の夢・サイン会をすることを叶える。
 出演者 月原一整 桜風堂書店店員。胡蝶亭
     宇佐美苑絵 銀河堂書店児童書担当。絵が得意。一整を慕う。
     三神渚砂 銀河堂書店文芸担当。苑絵の幼馴染み。星のカケス
     柳田六朗太 銀河堂店長。一整を気遣う。
     金田丈 銀河堂書店オーナー。風早の偉人
     桜風堂店主 明治から続く店を一整に託す。
     透 桜風堂店主の孫。桜風堂でアルバイト
     藤森章太郎 音楽喫茶「風猫」の店主。元出版社の名編集長
     沢本来未 漫画家の道を断念。小野田文具店の二階で引きこもり。
     沢本毬乃 小野田文具店店主。染織家。来未の姉
     蓬野純也 売れっ子作家。一整の従兄弟。
     高岡源 「紺碧の疾風」の著者。五十を過ぎて売れっ子に。
     団重彦 デビュー作「四月の魚」。一整が見出しベストセラーに。
     柏葉鳴海 大女優、元スーパーアイドル
     福本薫 桜野町町会長
     大野悟 福和出版社営業
     夏野耕陽 渚砂の離別した父。出版社編集者

2018年10月9日火曜日

維新始末 

維新始末 上田秀人
 闕所物始末 裏調合 完 のようなもの
 薩摩藩が集めた浪士による江戸商人への金無心。取り締まれない町奉行所、火盗改。浅草の顔役・古着屋天満屋孝吉は毅然とした態度で接していた。二十年前、闕所奉行をしていて知り合った旗本・榊扇太郎が、用心棒代わりを務めたが、榊は足止めされ天満屋に駆けつけるのが遅くなり、天満屋に押込んだ薩摩藩士・益満休之助率いる浪士に殺された。
 新政府軍が上野を攻撃した日、榊は益満を倒した。

剣客船頭(二十)男泣き川

剣客船頭(二十)男泣き川  稲葉稔
 音松は沢村伝次郎が定町回りの同心だった時小者をしていた。今は万と油屋を営んでいるが、時折伝次郎の探索の共をしている。音松は下崎勘兵衛が敵の益川左馬之助に斬られ死ぬところに出会した。為に知り合いの定町廻り同心・中村直吉郎を助けて、益川を探すことにした。下崎の父親が益川に斬られたのは十年前、益川が冬という女と一緒にいることが分かった。音松は冬の似顔絵を持って探していた。益川に近付いた音松は斬られた。
 音松の死を看取った伝次郎は益川を探す。冬は千草の近くに店を出し、命を狙われた女・ことだった。ことが冬だった。益川は道場破りをし、二十両を稼ぎ、益川は冬に店を持たせて別れ、今は冬の妹・光と一緒にいた。益川は道場破りをした道場の門弟にも追われていた。
 逃げる益川と光、追う伝次郎、自分たちが討とうとする道場の門弟。光を囮にして益川は反対に逃げる。光を追う道場の門弟、伝次郎が益川を討つ寸前、中村に止められ益川は捕まる。ことを狙ったのは冬だった。ことには冬が捕まったことを話していない。
 中村は伝次郎に形が変わるが奉行所に帰ってこないかという。もったいない。伝次郎は船頭が気に入っているという。音松にすまないと泣く伝次郎。

2018年10月8日月曜日

隅田川御用帳(十八) 秋の蟬

隅田川御用帳(十八) 秋の蟬 完 藤原緋沙子
 ほととぎす 十四郎は橋から身投げをしようとしていた女・加奈を助けた。万引きを疑われ家に帰れないと言った。加奈は八百石の旗本の姫様だったが、浪人・島田禎治郎と一緒になり、勘当されていた。禎治郎の母親は旗本の娘と一緒になれば良い生活が出来ると考えたが、勘当され当てが外れたため、加奈に辛く当たった。禎治郎に、木綿問屋丹波屋の婿の話が持ち上がり、加奈を離縁するために小間物屋を買収し万引き事件をでっちあげた。行く所が無いという加奈を橘屋が預かり、禎治郎から離縁状を預かる。登勢は加奈の実家・斎藤家と掛け合い加奈の勘当を解いてもらい、一日親元で挨拶するが、加奈は万寿院の元で修行する道を選んだ。
 秋の蟬 登勢は十年前に橘屋に世話になり離婚が成立した紀州屋が、離婚した元妻・きよと息子・吉次郎を探して欲しいと言ってきた。十年前とは、登勢が橘屋に嫁ぐ前だった。主・徳兵衛は六年前に亡くなった。紀州屋の離婚は姑が後妻のきよを気に入らなかった。姑は去年亡くなった。先妻の息子も亡くなり、跡取りがいなくなった。また、紀州屋喜兵衛が襲われ怪我をした。跡取りを考えてきよと吉次郎を探す気になったと言う。
 橘屋はみんなできよを探した。そんな時、紀州屋に賊が入るという投げ込みがあった。二度目の投げ込みには、押し入る日が書いてあった。投げ込んだのはきよだと分かった。きよは拾った財布を自分の物にしようと思った所に岡っ引き・力蔵が現れ、七両を力蔵が取り、きよに一両を渡した。きよは財布に入れ、草むらに放置したが、それ以後力蔵は付きまとうようになった。
 隠居の世話をするようになり隠れ暮らしていたが、力蔵に見付かった。紀州屋の間取りを書くように言われ、間違っていたら息子を殺すと言われた。出鱈目を書いて渡したと言う。そして知らせていた。十四郎に話した。紀州屋に押し入った猫目の宇兵衛一味が捕まった。
嘗役の力蔵は十手を預けていた同心に捕まった。一両入った財布は持ち主に返っていたことが分かりきよの言った通だった。喜兵衛を襲ったのは、落とした根付けから、養子話があった親戚の息子だとわかった。力蔵や宇兵衛とも繋がっていた。
 きよは恩人の隠居の世話を続ける。吉次郎は喜兵衛に会った。喜兵衛は吉次郎の手形を押した紙を大切にしていた。
 登勢は離縁が成立した後の女の生活も支援しなければと思った。そのために料亭三ツ屋を作っていた。離縁した女が働いていた。
 十四郎は楽翁の側近、藩士になった。
 

2018年10月7日日曜日

新・古着屋総兵衛 第十六巻

新・古着屋総兵衛 第十六巻 敦盛おくり 佐伯泰英
 文化三年 1806年
 七度目の古着大市が近付く。
 関東取締出役・通称八州廻りが新しく出来、快く思わない者の企みに巻き込まれる。
 商家に関東取締出役を名乗り、費用の寄付を言い寄る族が現れた。古着大市に目を付けた武士が大黒屋にも訪れた。始めは、支配・勘定奉行綾沼越後守惟親を疑ったが、八州廻りに回られては迷惑に思う者が、評判を落とすためにやっていることが判った。
 直参旗本七千五百石御書院番頭・松平摂津守公長の入れ知恵で関八州に知行地を持つ旗本が十家ほどが、知行地で賭場を開き上がりを収入にしていた。賭場を潰されることを恐れ、偽の関東出役を江戸で暗躍させ評判を落とし、組織を廃絶させようとした。目付が動いた時、各家の用人が自裁して内所が判らなくなっていた。賭場はなくなるだろう。
 古着市の最中、昼間に潜り込み隠れていた摂津守が夜出没。総兵衛の前に現れる。異変を察した大黒屋の世話になっている築後平十郎もやってくる。総兵衛がする神君の命により幕府を護る大黒屋の話、敦盛を謡い舞い終わった時、摂津守は倒れた。影が現れ三人が運ばれて行った。
 古着大市の見せ物は、おこも上がりの中吉の昔馴染みの曲芸の親子だった。
 イマサカ号と大黒丸でバタヴィアに仕入れにいっていた。新しい船を造る計画があった。船体の骨格がほぼ完成している建造途中の船を買い取り完成させることにした。想定より大きい、船内の設計を変える金銭的な話し合いがあった。信一郎は十人を建造に携わらせてもらう。
 信一郎の妻・りんが懐妊した。
 イマサカ号と大黒丸の帰りを待って、総兵衛と桜子の祝言をすることになるだろう。
 

2018年10月6日土曜日

江戸の御庭番〈2〉 源氏天一坊

江戸の御庭番〈2〉 源氏天一坊 藤井邦夫
 妖刀・村正で乱心した家来・黒木清十郎が、主・側衆の一人阿部左京大夫を殺して逃げていた。御庭之者・倉沢喬四郎は、吉宗から黒木がどこで村正を手に入れたかを調べ村正を持参せよと命令される。
 黒木は村正を手に入れ仕官しようとする浪人に村正を奪われた。喬四郎は浪人から村正を手に入れ吉宗に渡す。この頃浪人の悪事が増えていた。上様お声がかりで新しい大名か旗本家を立てる話があり、金を払えば浪人に仕官の口が貰えると噂があった。喬四郎が噂の出所、お金を集めているものを調べると、吉宗の天一坊が出てきた。
 吉宗は天一坊を認めず、喬四郎に斬ることを命じる。喬四郎は担がれてる天一坊を逃がし、担いでいる者を斬った。一連の騒ぎは騙りとされ、贋ご落胤一味は死罪になった。

2018年10月5日金曜日

おれは一万石⑥ 一揆の声

おれは一万石⑥ 一揆の声 千野隆司
 天明七年 1787年
 今年も冷夏で凶作だった。六割の出来だった。高岡藩の五公五民になった。少し取れ高の高かった五村に百五十俵の貸し米を求めた。貸し米を中止して欲しかった。嘆願書には四公六民に戻して欲しいとも書いた。五村を合わせて総右衛門が嘆願書を持って代官所・大河原の所へ行った。嘆願書を受け取り高岡陣屋に取り次いで欲しかった。受け取ってもらえないことで百姓が門前で石を投げた。総右衛門は牢に入れられ、嘆願書は陣屋へ送られた。中老の河島は強訴と言えない思い、江戸に伝えるようにと考えたが、国家老の児島は江戸に連絡しなかった。百姓たちは一揆の用意をする。江戸から来た相馬屋楽太郎と連れてきた三人が百姓たちを煽っていた。
 河島は児島が江戸に連絡をしていないことを知った。百姓のなだめ役に児島は須賀を選んだ。
 事情を知った世子・正紀は総右衛門を牢から出し、食事も同じものを出すように指示する。
 正紀は相馬屋を調べ、風邪と称し部屋に閉じこもり、実は高岡村に走る。
 百姓が一揆で村にいない間に楽太郎たちは村の蔵から米や麦を奪う。娘や子供も連れ江戸へ行く。百姓を脅して協力させる。境川の船に積み込んでいる所に正紀は行き着くが、子供を盾にされ百石船は外海に逃げた。正紀は須賀と楽太郎の繋がりを知っていた。高岡で須賀の動きを見ることにした。正紀は百五十俵の貸し米を取りやめにし、名主総右衛門を重追放にする。総右衛門の次男が取手にいる。総右衛門と宇左衛門を含め相談した。正紀の印籠の家紋を見、相談したのが誰か分かったようだ。一揆は中止された。
 須賀が動くのを待ち、船の場所を探し、娘たちと米を取り返した。須賀は自死した。児島は江戸で連絡を怠ったため叱責され三月の蟄居になった。幕閣からは処罰が甘いと言われた。死罪にすることが藩や領民のためになるとは思えなかった。
 府中藩でも一揆が起った。藩は討伐隊を出した。武力で解決を見たが、百姓たちは納得しておらず、火種は各地に残っているらしい。

2018年10月4日木曜日

私にも絵が描けた!

私にも絵が描けた!  木内みどり
 コーチはTwitter.

2018年10月3日水曜日

新・まほろし銀次捕物帳②

新・まほろし銀次捕物帳② 鬼の隠れ蓑 鳥羽亮
 商家の娘が勾引かされる。二件目のようだが、一件目の商家から訴えがあったわけではなかった。一件目の事件を知らされていた峰助親分が殺された。一件目の店・呉服屋富永屋は一千両出したが、未だ娘は帰ってなかった。五百両の追加が来ていた。
 銀次は向井藤三郎に助けられていた。向井は道場主で銀次が使うまほろしという特殊な武器の稽古に道場を借りた。二件目の料理屋松島屋も娘・春が勾引かされたことを認めた。
 料理屋大黒屋の離れに住む、闇の甚蔵が指図していることが分かった。牢人は笠原源之助と 赤尾だった。娘の監禁場所を突き止め、娘を救い出して甚蔵を捕らえる。

2018年10月2日火曜日

京都寺町三条のホームズ 

京都寺町三条のホームズ 567896.5 望月麻衣
 通しで読みました。
四 八坂さんから清水寺 祖母・椿と逢う 誠司の離婚理由 ビスクドール
  2月14日 バレンタイン 吉田山荘 探偵・小松
  利休の祖父・斉藤右近 お宝拝見 楽焼き茶碗八椀・目利きテスト
五 3月25、26日 城崎旅行 佐織の恋人・米山
  4月1日 ホームズ会
  4月 土曜日 サッカー応援
  4月 円生 志野茶碗盗む  10日 互いに告白
六 「暁」事件 探偵小松
  5月3日 葵の18才の誕生パーティ前、元彼現れる
       ワンピース 靴 葵の花のペンダント
六.五 葵の18才の誕生日パーティ 椿から訪問着プレゼント
七 5月半ば 清貴海外から帰国 
   ミュシャのリトグラフとブレスレットウォッチの土産
  7月 鷹峯斎藤家でプレお茶会 大徳寺
  8月 琵琶湖花火大会
  10月 円生白磁の香合をもって蔵へ
  12月 円生 葵の前に現れる。清貴より別れ宣言
  2月 店長と吉田神社節分祭
  2月15日 蔵で円生、清貴、葵三人で会う。白磁の香炉
       別れ撤回
  3月 円生・菅原真也から蔵へ絵が届く
八 葵 大学1年生 清貴 大学院卒業
  4月〜6月 清貴 八幡市の松花堂庭園・美術館勤務
     葵 偶然 清貴の講演会に行く
  5月3日 レストランで食事 葵19才の誕生日 紬の着物
  8月〜10月 「UEDコンサルタント」で社長秘書
  11月 メトロポリタン美術館のキュレーター トーマス・ホプキンスのアシスタント
  12月16日 清貴 葵の家に来る
    25日 葵の家の近くの教会に 自転車のリメイク、葵の花の指輪 
  1月5日 新年会 円生・柳原先生の弟子のお披露目会
九 1月   円生 蔵へ骨董市の茶碗を持って 藤原雄
       清貴 幸谷酒造勤務
       出町桝形商店街 和歌に合わせたフラワーアレンジメント
       店長来店 清貴も来る
  2月   円生 幸谷酒造へ
    14日 葵 車の免許を取得 嵯峨野でーと
  3月  東京で予備校講師 大学臨時講師
      枚方パーク 清貴 秋人一日マネージャー


  

2018年9月27日木曜日

恋道行〈二〉 

恋道行〈二〉  岡本さとる
 寛政五年 1793年
 千七とゆきは幽鬼の政五郎の手の者から逃げている。森岡久蔵からむささびの万蔵の隠し金の場所を聞いていると思っている政五郎はゆきをさがしていた。千七の知り合い米蔵のところでも、ゆきの生まれ故郷・足柄でも政五郎の手下はやられていた。
 足柄で千七とゆきは、千七に小太刀を教えてくれた山下官兵衛と兄貴分・金次と合流した。良いことがあると教えられた瀬戸明神社の琵琶島へ行くつもりだ。
 政五郎も別口から仕入れた情報で隠し金が瀬戸明神の琵琶島の瀬戸弁財天にあると分かった。政五郎を出し抜こうと思っている、同心・桑野伝八は、利用しようとおもっている与力・松村十蔵に伝える。松村十蔵は、隠密裏に盗賊一味の行方をさぐるために領内での探索、見廻り御免の書状を手に入れ現地に赴く。
 むささび万蔵も自分たちの隠し金が狙われていることを察知し瀬戸明神へ行く。万蔵と政五郎が戦っている間に千七たちは盗まれたと申告されている三千両を残し舟に積み込む。十蔵たちは盗人たちが共倒れするのを待っていた。
 官兵衛は十蔵が、旧主・小堀和泉守に罠を仕掛けた望月磯之助と分かり、殺した。政五郎も毒婦・辰も死んだ。勘兵衛は三艘が浦で会う約束をして千七とゆきを逃がす。
勘兵衛と金次はどうなったのか?

2018年9月26日水曜日

九頭竜覚山 浮世綴〈二〉

九頭竜覚山 浮世綴〈二〉 蓬莱橋雨景 荒崎一海
 三月末、覚山は松江城主・松平出羽守治郷47才に呼ばれた。山形屋の事件に付いて話す。羽州屋儀兵衛と長谷堂元右衛門は死罪、家財は闕所、山形屋の地所、店はそのまま、百五十坪は殺された五郎兵衛の姉に、冬木町の二百坪は残された羽州屋と長谷堂の者に渡された。
 四月、治郷は国許に帰るが覚山は江戸にとどまる許可を貰う。
 祝言を控えた両替屋達磨屋の娘・ふじが蓬莱橋から身投げした。同じ日に、ひでという女が妾宅で殺された。同じ日、質屋が襲われ奉公人含めて七人が皆殺しにされた。
 覚山はふじの身投げの理由にこだわり同心・柴田喜平次に頼みご用聞き・弥助と手先の三吉に調べてもらう。船頭の松吉が二日前に寺の賽銭泥棒の汚名を着せられ切腹した浪人親子の話を持ってくる。切腹の理由を作った金次を調べてる。金次が殺された。金次はひでのところに行っていたことが分かった。覚山はひで殺しを調べられないために惨い質屋の殺戮があったと考えた。
 達磨屋が盗賊に襲われ逃げるために付け火した。裏長屋んも共に燃え、長屋の住人と店の者五十三名が亡くなった。盗賊は達磨屋の法被を着て大八車に金を積んで逃げた。船頭を探し盗賊の隠れ家を見付けて捕まえた。熊三郎は畿内と東海道、中山道を荒らし回った盗賊だった。妾のひでと間男・金次を殺し、質屋に押し入り、両替商に押し入った。
 覚山が拘ったふじの身投げの原因は、人目ぼれした片思いの浪人の息子の切腹だった。覚山の拘りから盗賊の捕獲に繋がった。

2018年9月25日火曜日

帳尻屋仕置【七】 激突

帳尻屋仕置【七】 激突 坂岡真
 天明七年 1787年
 口入れ屋の忠兵衛は北町奉行の内与力・長岡玄蕃に頼まれ、行方不明になっている妻の弟で闕所物奉行の綾部紀一郎を探す。紀一郎は、闕所になった札差大黒屋の店を淀屋が買い取ったことで、不正が行われたことを突き止めた。上役に知らせ殺された。
 淀屋は幕閣に金をばらまき力を付ける。勘定奉行・小田切備前守高利も一派になる。曲淵甲斐守は町奉行の座から追い落とされた。
 江戸の裏を牛耳っていた八品商の元締めの所から裏切り者が出、淀屋に付く者が現れる。忠兵衛は元締めと手を組み淀屋の土台の十万両を盗もうとする。火盗改めも味方につけていた。一度は失敗するが、昔の仲間を集めて十万両を盗む。
 正体の分からなかった淀屋だったが、忠兵衛の昔の弟分・忠兵衛が捕まる元を作った仙次だった。自分のために死んだと思っていた忠兵衛が命大事で奉行所の手先になっているのを許せなかったため、憎し忠兵衛になっていた。
 長岡玄蕃に忠兵衛の父親が小田切だということを教えられる。
 忠兵衛は仙次と小田切を殺す。元締めが死ぬ。十万両を預かる。曲淵に届ける。

2018年9月24日月曜日

拵屋銀次郎半畳記 俠客〈四〉

拵屋銀次郎半畳記 俠客〈四〉 門田泰明
 黒猫の道案内で、和泉長門守は血みどろの現場に行き、銀次郎を助け出す。銀次郎が戦い、倒した相手は滑川七四郎と思われたが、死んだのは影武者だったようだ。
 稲妻の異名で恐れられ、幕府中枢を牛耳る元老中首座・東近江国湖東藩十二万石藩主・大津河安芸守忠助55才は、五才と幼いためお側用人間部越前守詮房がべったり控えている家継を将軍と認められない。大阪に大阪幕府を作る計画だ。資金も着実に溜まり大阪に送っていた。
 旗本・御家人、全国の松平報徳会の面々が大阪に集結していた。
 傷の癒えた銀次郎・永久不滅感状を戴いている桜伊銀次郎も大阪へ行く。途中、短筒で松平報徳会の要人暗殺を企てる七人に出会い、箱根関所手前でぶつかる。短筒を持った者を含め六人を倒し間道をすすむ。目付手形を持っているが三度笠を被り間道へ行く。旅の女一座・幡随院一座と共に舟で湖を渡り、三島に行く。

2018年9月23日日曜日

京都寺町三条のホームズ・5

京都寺町三条のホームズ・5 望月麻衣
  〜シャーロキアンの宴と春の嵐〜
 桜色の恋文 柳原の八十才の誕生日パーティの真贋判定ゲームで優勝し葵が貰った「月見屋」の宿泊券を使って宮下香織と城崎に行くことになった。清貴と秋人と清貴の父・武史と五人で行く。月見屋で行儀見習いと社会見学を兼ねたアルバイトをしている香織の姉・佐織と会う。佐織には画家を目指す想い人がいることを知る。彼が送ってきた掛け軸に込められたメッセージを読み解く。国を離れ愛しい人を想う。会いたい。
 葵は春休みに思い出をいっぱい作って、三年になったら清貴に告白しようと思っている。振られればバイトを辞め、受験勉強に専念すると決心している。
 清貴は十八才未満と付き合ってはいけないと思っている。
 シャーロキアンの宴 間宮邸・ビクトリア朝英国様式の御屋敷で、三十人位ホームズ会の221会記念会が行われた。指原教授がアメリカで落札した茶封筒が無くなった。ホームズ・清貴は間宮邸の執事・西澤が持っていることを指摘する。幹事の間宮・マダムが西澤に願ったことだと告白した。そしてホームズは寸劇だったと言った。茶封筒の中はドイルの原稿だった。清貴はホームズを愛する者が作った、二次創作原稿だと言った。
 紫の雲路 葵の学校の先輩が出場する京都サンガF.Cの試合観戦に行く。葵が学校からの応援で新三年生女子がサンガチアガールになることを聞いた清貴も行く。先輩・一条選手の調子が悪く心配していた。清貴は、一条選手が年上の早川先生に告白していることを暴き、早川先生に答えることを強いる。早川先生は一条との付き合いにOKを出す。一条選手は調子良くなる。試合後、キャプテンに大事な人のためにもプライベートを試合にもち込むな。試合に尊さを感じろと言われた。
 茜色の空に 清貴の父・伊集院武史は編集者と名乗る女性に騙され、家頭家のお宝・青磁を狙われた。清貴は気がつき、ナンバー式デジタルロックと監視カメラ付きの鉄壁で護られた部屋の中で待つ。入ってきたのは円生だった。青磁を盗まれることは阻止したが、店にあった二番目のお宝・志野の茶碗を持っていかれる。円生の誘いに乗り紫野の茶碗を追いかける。爆弾を仕掛けられた箱を開ける十六文字を考える。茶碗をとり出せた。
 あまりに心配した葵と、死ぬかもしれないと思った清貴はお互いに告白する。

2018年9月22日土曜日

空也十番勝負 青春篇⑤

空也十番勝負 青春篇⑤ 異郷のぞみし 佐伯泰英
 坂崎空也は対馬の北端に立ち、眉月の先祖がやってきたという高麗を見ていた。
対馬藩与頭・唐舟志十右衛門と知り合う。佐須奈関所道場で世話になるが、朝鮮からの使いに会いに行く唐船志からの誘いを断り、唐船志が留守の間に関所を出た。途中で公儀隠密と思える、鵜飼寅吉と会う。対馬藩の追ってから逃れ、トラ吉の対馬藩の阿片密売の証拠を手に入れる助けをする。朝鮮の李老師の弟子・林大圭を破り、朝鮮の剣術家にも追われる。長崎に行く寅吉の同道し、舟で壱岐島に送って貰った。
 壱岐の猿岩で高麗人・季遜督から高麗剣法を習う。修行の後、平戸に行く。
九代藩主松浦清に目通りし、平戸藩講武演技場で練習し、夜は南蛮平戸流の無言の練習をする。南蛮平戸流の練習場に、季智幹老師が現れ、空也が倒す。
 

2018年9月21日金曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊷

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊷ 夢の浮橋 小杉健治
 鋳掛け屋の初藏は掏摸が商人から財布を擦るのを見た。掏摸が捨てた財布の中の富くじを拾った。初藏が胸苦しく困っている時に背中を擦っていた野菜の棒手振り長吉は、鋳掛け屋が落とした富くじを拾った。
 商人の財布を擦った掏摸が殺された。初藏は脅され抽選会場の前で棒手振り探しをやらされた。長吉に渡され当選番号を見に行った六郎が殺された。当たったのは掏摸に財布を擦られた商人だった。初藏は当たりくじ番号が決まっていたことを知った。友達を殺された長吉は初藏を探し出す。二人で関係者を探り出し当選金の半金を強請る。
 青柳剣一郎は奉行から陰富を調べるように言われる。陰富は好きな番号札を買える。あたり番号を十枚分買った者が三人いた。三人は富くじで不正をしている者の関係者だった。剣一郎は陰富を調べる前に富くじの不正を知った。
 剣一郎の娘・るりの嫁ぎ先の御徒目付・高岡弥之助はある旗本を調べるよう言われた。弥之助が調べると陰富と関係していた。弥之助は確かな証拠が見付からなかったことにした。旗本は体調不良で家督を18才の息子に譲り隠居した。16才の娘は嫁ぎ先が決まっており、潰すことは忍びなかった。
 陰富をしていた修験者は真面目に修行に出発した。
 富くじの不正を知られた仲間は脅した金を受け取りに来た初藏と長吉を殺そうとする。剣一郎が現れ、寺社奉行の物頭・檜山哲三郎に不正が露見していることを伝える。檜山は捕まり自分の独断で有力檀家と示し合わせたことを自白し、奉行を護った。
 剣一郎は、初藏と長吉が調べていることは知っていたが、強請は知らなかったということにした。
 

2018年9月20日木曜日

京都寺町三条のホームズ・6

京都寺町三条のホームズ・6 望月麻衣
  〜新緑のサスペンス〜
 家頭清貴と真城葵が周りの人々公認で付き合い始めて一週間、新学期が始まり葵の高校三年生の生活が始まった。
 京都の名の通った鑑定士や収集家から仏教関係の美術品が盗まれる事件が頻発しているという知らせが入る。相笠くりす事件で知り合った探偵の小松が、清貴・ホームズに行方不明の娘を探して欲しいと「蔵」にやってくる。
 小松の離婚して母親・雅子と一緒にいる娘・優子に関係していると思われることを調べてゆく。優等生の高校生の大麻事件、メンタル・サポート・セミナー、仏教関係の美術品の盗難、政治家の隠し子、優子の母親・雅子をモデルにした薬師如来の掛け軸に伴う優子の出生の秘密。
 政治家の隠し子と頭の良い高校生のグループ・韋駄天が始めた「儲かる宗教」、手に入れた薬師如来の掛け軸を通して関係してきた、大麻愛好会・暁によって形が変わった。掛け軸の薬師如来そっくりの優子を生き神にし、セミナーと大麻を使って教団を始める。首謀者は、暁のリーダー・薬師如来の絵を描いた國代豊。清貴によって明される。
 警察に逮捕される。政治家は妻と息子に離縁され二人は渡米する。清貴は裏で糸を引いていたのは政治家の息子・渡米した雨宮史郎ではないかと思っている。
 國代は絵を描くにあたり雅子に薬を飲ませていた。十八年前の犯罪行為だった。雅子は優子の父親が小松なのか國代なのか分からないと言う。小松は二人の近くに引っ越し、復縁はしていないが一緒に食事をしている。鑑定はしないと言う。
 五月三日 葵の誕生日パーティを家頭家で行うことになった。葵が「蔵」で清貴に贈られた服を二階で着ている時に、埼玉から大学視察にきていた葵の元彼・克実が「蔵」に来る。祇園祭の時に彼氏役を頼まれ、巻き込んでしまってすみません、という克実に、清貴は、一途で包容力があり、縁を大切にし、先入観なく価値の分かる彼女を手放してくれてありがとうと礼を言う。今日は葵の誕生日、あなた方に会うと辛い記憶を呼び起こす。葵に会うなら別の日に連絡の上来て欲しいと追い返す。葵がお世話になりました。
 雰囲気が変わった清貴に葵は何があったのかと尋ねる。元彼を追い返したことを伝える。
 ここでは誰がパーティに来るか知らない葵だが、6.5では、人数分のマフィンを焼いていた。
 

2018年9月19日水曜日

京都寺町三条のホームズ・9

京都寺町三条のホームズ・9 望月麻衣
  〜恋と花と想いの裏側〜
 一月 円生が「蔵」に骨董市で買った茶碗を持って現れる。清貴はいないので葵が鑑定する。葵は藤原雄の備前焼と言いきる。円生は葵をするめみたいやと言って帰る。
 花と酒と恋の鞘当て 清貴は伏見の酒蔵「幸谷酒造」へ勤めている。「こんた」というBARも経営している。父親・高雄と三十才の康太と二十五才の瑞希親子でやっている。
 清水焼の八十万ほどする徳利がある。高雄は先代から譲りうけたものだから私も瑞希の婿に譲ろうと思っていると言う。徳利が無くなった。相談された清貴は返ってくると思うから待ってよと言う。
 京都府立大学の大学院の秋人の弟・梶原春彦が、香織のサークルの先輩・目黒さんと付き合っている。目黒先輩は、中学からの仲良し大久保先輩との仲がおかしくなって心配していた。春彦が大久保と友達関係だった。目黒は大久保に許可を貰って春彦と付き合い始めた形なのだが、やっぱり好きだったのかと心配していた。
 所属するフラワーアレジメントの催しで「花と和歌と抹茶のお店」をした。夕方、店じまいの頃、清貴は休憩時間を利用してバイクで駆けつけた。葵の作品・
 〜思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを〜
を見にきた。可愛すぎと喜ぶ。大久保先輩の作品を見て、清貴と葵は大久保が好きなのは目黒先輩だと分かった。言えない思いだった。
 高雄の手に徳利が返った。誰かが盗んだと思われていた従業員はうやむやにすることに反対した。清貴は瑞希が犯人だと明す。二人が血の繋がらない兄妹で愛し合う兄妹だと言う。瑞希は五年前に振られ、康太は言ってはいけない思いだと秘めていた。父親はいつ言い出すかと嗾けていた。二人の思いは通じた。
 答え合わせ 円生が酒蔵に来る。柳原の酒を買いに来たのだが、清貴には答え合わせだと言う。円生は清貴にあんたは手に入れたら途端に醒めるんや。それが怖いから彼女に手が出せないんや。清貴も目をそらしていることだった。
 金の器と想いの裏側 十三才の誕生日、清貴は百十万円をオーナーに預かり、上田さんに付き添ってもらい美術品を買ってくるように言われる。始めてパリに行った時にときめいた絵が百五十万円で売っていた。上田の友人・風見に清貴のダヴィンチに対する見解を披露し、百万円で買う。部屋に持って返った清貴は、ときめきが消えていた。自分の部屋に置かず、展示室に展示している。清貴は手に入れた途端その品物への情熱を失ってしまう。円生にはそれは物質に対してだけと言ったが、強い恋心を抱き一喜一憂するのは葵が始めてだ。自分は彼女を手に入れてしまうとどうなるのだろう。
 宮下香織の恋路 香織は清貴の同級生・現医学研究院生の小日向圭吾に付き合いを申し込まれるが、香織は清貴の父親・武史が気にかかる。自分としっかり向き合おうと思う。
 復讐のショータイム 二月十四日清貴の誕生日、葵は東京から駆けつけた清貴を自分の運転で迎えに行き、トロッコ電車と川下りのデートを企画した。予備校の講師をした清貴は生徒が信者のようになってしまうと言われた。
 清貴は枚方パークで開かれるレンジャー物のイベントの日の秋人の一日マネージャーを頼まれた。最近になって替わったプロデューサーに秋人は何か不穏のものを感じていた。
シナリオを変えられ、クイズを解くと、観客に清水プロデューサーの非人道的な行動を暴くようになっていた。清貴は観客に不快の思いをさせないためスタッフを使い、出来上がる文章を変える。葵と香織に観覧車に乗ってもらい協力してもらう。清貴は内々で清水プロデューサーの不正や悪事を表沙汰にする。復讐しようとした岡崎は後に告訴する。
 五人のレンジャーやマネージャー、葵、香織も一緒にコンタに行く。
 エピローグ 円生が蔵に来る。葵に柳原もあの茶碗を藤原雄だと言ったことを伝える。
葵は円生に好きなことを仕事にすればどうですかと言う。
今年の葵の誕生日に、清貴と旅行に行くことになった。

2018年9月18日火曜日

神の時空 前紀 女神の功罪

神の時空 前紀 女神の功罪 高田崇史
 八年前のバス事故は高村篁が、磯笛たちを使って起こさせたものだった。
 事故の二年前から、國學院大学教授・潮田の研究室の重鎮が、二人、変わった死に方をしていた。磯笛たち・狐によってかみ殺されていたのだが、野犬に襲われたことになっている。
 加藤範夫が親しくしていた、潮田教授の研究室の第三に人物・永田遼子が自殺する。磯笛たちに殺されているが、ビルからの飛び降りと判断された。遼子は、天皇家の血筋に女系が入っているという説に辿り着いた。そして殺された。潮田教授は現代確立されていることに異議を唱えていた。
 高村は異議を表に出すよりも、このまま黙って続けることで天皇制の存続が消えることを良しとし、異議を唱える者を消していった。
 バス旅行は磯笛が範夫を利用し、研究者たちを旅行に集め事故を起こしたものだった。
 

2018年9月17日月曜日

神の時空⑧ 京の天命

神の時空⑧ 京の天命 高田崇史
 松島では塩竈神社が、京都 天の橋立では籠神社が、厳島神社が、東京では神田明神が、大分では宇佐神宮が、地震や火事、竜巻によって壊されて行く。
 彩音は、知ってる女子を手配する。松島は、象潟京。京に頼むために六道佐助が行く。天橋立は樒祈美子と加藤裕香、厳島神社は観音崎栞、熱田神宮は涙川紗也、神田明神は彩音と巳雨、宇佐神宮には加地の横にいる伶子が巳雨の念だけ連れて行く。それぞれが祈り、神を鎮める。
 巳雨の後ろに市杵嶋姫命と素戔鳴尊を見た高村は立ち去る。磯笛の左目から茶枳尼天が磯笛の魂を持って出て行くのが見えた。朧も死んだ。後に道返玉が残っていた。
 摩季の初七日が近付く、集まった六個の玉で了は摩季を蘇らそうとした。足りない、陽一の力を借りた。陽一はヌリカベで無くなった。彩音たちにも身体が見えなくなった。摩季は蘇った。
 摩季は陽一の妹だった。ヌリカベになってから以前の記憶が無かった。陽一は一連の事件を思い出していた。摩季を蘇らせるために協力した。
 辻曲兄妹の両親を亡くした八年前のバス事故は乗客全員が亡くなっていた。
 日本秘史探訪ツアー参加者
   潮田誠・國學院大学教授
   福来俊夫夫婦歴史作家・東京 陽一の両親
   辻曲敬二郎夫婦・東京 
   象潟隆司・松島 象潟京の父
   加藤範夫・國學院大学学生 裕香の兄
   樒常雄・奈良 樒祈美子の父
 陽一は、事故のことを詳しく了に話そうとしていた矢先に殺された。

2018年9月16日日曜日

神の時空⑦ 五色不動の猛火

神の時空⑦ 五色不動の猛火 高田崇史
 都内で放火殺人が起る。被害者は碑文谷女子大付属高校の関わりのある者だった。辻曲彩音は放火場所が江戸五色不動尊だと気付く。次の狙われ場所を華岡歳太警部補に連絡する。華岡警部補と久野剛史巡査は彩音たちの後を付ける。
 五色不動や六地蔵は江戸の罪人や罪を犯していないのに処刑された者、人間扱いをされなかった人々の魂を封印する役目を担っている。現在では彼らを鎮魂せず、地下に封じ込まれている。
 放火し、生贄を供え、彼らの霊魂を地上に解き放つ目的だった。高村篁一派の行為かと思ったが、磯笛が犯人を捕まえてくる。闇藤・左・藤守と名乗る男を魔界の手先と言う。
 高村が願うのは、怨霊を認め共に暮らす国。怨霊を認めないのは、怨霊を作り出した恨みの発祥を暴く者が出る。自分たちの犯した罪を隠したくて怨霊を隠す。
 陽一がどこかへ行って姿を見せない。

2018年9月15日土曜日

百万石の留守居役〈十一〉 騒動 

百万石の留守居役〈十一〉 騒動 上田秀人 
 藩主・綱紀の使者として赴いた越前松平家で刀を振るうことになった数馬は追われていた。国家老次席・結城外記の屋敷に匿われていた。
 仮祝言を済ませた琴は女行列を仕立て、女忍びの軒猿たちと数馬奪回に来る。数馬は琴と同じ駕籠にのり京を目指すが、藩主・松平左近衛権少将綱昌本人に追いつかれる。藩主を人質に結城外記の屋敷に籠った。
 数馬を斬ろうとした福井藩組頭・本多大全は、越前大野藩津田修理亮の家来・郷田一閃の腕を借りたいために、松平若狭守を福井藩主にすればいいと考え、加賀一行と綱昌を始末することにした。綱昌は命を護ってもらうために今回の騒動の責は全て越前松平家にあるという詫び状を書く約束をする。攻め入った大全側は破れ、大全の藩主への謀反を公にし、綱昌は詫び状を書いた。郷田は主人・津田を逃がすため、逃げるため城内から出てきた大全を門外で斬る。
 詫び状を貰った数馬たち加賀の者は結城外記に送られて九頭竜の渡しに行った。渡しを越え行列を整える。
 数馬の岳父・琴の父・本多政長に、綱紀を憎む将軍綱吉から江戸への召喚の命が来ていた。

2018年9月14日金曜日

上江師 律の似面絵帖④ 巡る桜

上江師 律の似面絵帖④ 巡る桜 知野みさき
 葉茶屋・青陽堂は、売った商品に古茶がまじっていたことで得意先が離れる騒ぎが起こる。律が玄昭堂の番頭と会っていた源之助の似顔絵を書いたことで犯人が判り、豊吉が白状した。青陽堂を追い落とすために日本橋の葉茶屋・玄昭堂の番頭が、青陽堂のなかなか番頭になれず不満を持っていた手代・源之介を使い古葉を入れたことが分かった。涼太は、源之助と源之助が犯人と気がついていたのに黙っていたらお金をやると言われ黙っていた手代・豊吉の二人を親の看病を理由に店を辞めさせた。
 得意先が減って焦っている青陽堂の若旦那・涼太に正式の縁談が来る。元々涼太に好意を持っている綾乃の親・料亭・尾上と、茶道具屋・堺屋との話だった。堺屋には玄昭堂の店主の弟が婿いりしていた。涼太はどちらも断るというが、店が大変な時、尾上との縁組みは店のためとまわりは勧める。
 年の暮れ、一緒になろうと互いの気持ちを確かめ合った律と涼太だったが、律は涼太はお店のために綾乃と一緒になるかもしれないと思う。裏の長屋の佐久は染め物師基次郎との縁談を勧める。花見で基次郎の兄・糸屋井口屋の壮一郎のいる席で縁談をはっきり断る。
 律に着物の絵付けの仕事がくる。桜の意匠で。期限を切られた。律は青陽堂のことや涼太の縁談のことで巾着絵も捗らない。高城屋の貴のことを調べ、意匠を決める。基次郎の所に行きにくいため、元紺屋の泰造に染料を頼む。泰造が律の所で蒸し仕事をし、律は父・伊三郎を思い出す。律は左袖に染料の入った小皿を滑り落としてしまった。できる限りの染み抜きをし、期限までに納めた。
 律は、火盗改の小倉祐介に頼まれ、水戸弁天と呼ばれる女盗人・巾の似面絵を書何枚も書いていた。巾一味が料亭・小倉に押し入った。三千両近くを盗まれた。女中たちの証言で一味の男たちの似面絵も描く。青陽堂の丁稚・六太の母親が亡くなった。気落ちし途方にくれ歩いていた六太は似面絵で見た巾を見付け番屋に届けようとして、捕らえられ、六太は行方不明になっていた。涼太が女に化けた仲間を見付け隠れ家を突き止めた。火盗改が捕まえた。
 六太が見付かると律は納めた左袖が気になる。仕立てにまわっている左袖を回収し、片袖の染をやりなおした。期限に間に合わせてもらうため夜なべを強いることになる仕立屋に仕立て代を払う。これで良いという安堵が強かった。
 盗んだことを認めない巾一味から金の隠し場所を聞き出せない。長持ちに入れられ運ばれた六太が記憶を辿り千両箱を見付けた。
 六太は今井の所に昔の女・春と子供を探しに来ている古屋が、聞いていた父親と同じ所に傷があるため自分の父親ではないかと思っていた。死ぬ前に母親に会って欲しかったが、生憎古屋は留守だったため会うことが出来なかった。話を聞いた古屋は六太の父親を知っていた。置き去りにした自分と違って、六太の父親・奥村秀五郎は女と子供を連れて帰る段取りを付けていたが、乱暴されそうになった娘を助けた時の傷が元で亡くなった。同じような所に傷があったため知り合ったのだと言った。古屋の記憶で律は奥村秀五郎の似面絵を書いて六太に渡した。春は死んでいた。六太と手紙を書く約束をして飛騨に帰った。
 最後の花見と言って涼太が律を飛鳥山に誘った。律は綾乃に青陽堂は玄昭堂と縁を結ぶことにしたと聞かされたため、別れ話だろうと思っていた。飛鳥山で貴と千恵に会った。ふたりは桜の着物をきていた。千恵の着物と並ぶと腕の差が見えた。雪永が父・伊三郎の着物だと教えてくれた。話の中で綾乃の言葉が嘘だったと分かった。涼太は二件の話を断り、みんなの前で律と一緒になるつもりだと話していたことが判った。

2018年9月13日木曜日

京都三条のホームズ・4

京都三条のホームズ・4 望月麻衣
   〜ミステリアスなお茶会〜
 年の初めに 一月三日 「蔵」の仕事始めは着物で出勤。ホームズさんと葵は矢田地蔵尊にお詣り。葵は喫茶店で初コーヒー。フレッシュがわからない。
 ビスクドールの涙 埼玉から来るテニス部の友達・真琴を案内するために、清貴から八坂神社から清水寺へのコースのレクチャーを受ける。祇園の異国風カフェを紹介され、一階のショコラトリーで清貴の祖母・椿に会う。
 オーナー・誠司は「全てを手に入れたお前には、多くの業が渦巻いている。お前自身は先祖の強い守護の下、障りがないが因果は配偶者にいくであろう」と祈祷師に言われた。実際に椿は病が絶えず、武史を産んだあと大病を患い、誠司は自分が疫病神に違いないと別れを決意し五年で離婚していた。椿は再婚して五十年になる。
 椿の家を訪れた二人は、ビスクドールに起っている怪奇な話を聞く。人形が泣いたり、移動したりするという。清貴は五十年ぶりに誠司が誕生日に胡蝶蘭を贈ってきたこと、ビスクドールが誠司からのプレゼントだったことを聞き、再婚相手・義夫が、誠司の気持ちを受け取ってしまい、椿が誠司を思っていたと思ってしまったのかもしれないと言う。人形を見ながら泣いていた義夫の涙、移動は義夫がしていたこと。男の子の人形は「蔵」に引き取られ女の子と一緒に並べられた。
 バレンタインの夜会 吉田山荘の別邸「真古館」で開かれた作家「相笠くりす」の朗読会に行ったつもりの、清貴と葵だったが、殺されそうになったくりすが真相を知りたく、くりすの頼みを聞いた清貴の父・作家・伊集院武史の提案で開かれた、清貴を引っ張り出す催しだった。出席者はくりすの妹・香奈、くりすの友人二人、カメラマンと助手・HP作成者・小田、前の編集者、探偵・小松。一人一人話を聞き取り、ホームズは、真相を解く。くりすの作品が高校生の時に友人と三人で書いた小説が元になっていること。くりすが大作家になり二人に悪いと思いながらも、頼ってくる二人が負担になり小松に二人の素行調査をし、弱みを握ったこと。くりすが好きになった小田を友人が誘惑し交際をはじめたこと。編集者が失恋したくりすを自分が恋人役をしてたち直したが、編集者に恋人がいることが発覚し、くりすが荒れたこと。公式サイト用の写真を首吊りにし、写真撮影時に友人が突き落としたことを暴く。
 くりすは後に今回のことを作品にした。
 バレンタインは清貴の誕生日だった。
 後継者の条件 誠司の彼女である滝山好江の息子・利休の祖父・斉藤右近が斎藤家の後継者を決める集まりを開いた。屋敷にある宝で斉藤家にとって一番の宝を見極めた者を後継者にするという。利休の父・長男・左京・個人投資家、次男・司・個人事業主、三男・和彦・会計士、それぞれが鑑定士を連れていた。司の鑑定士は田中博司と名乗る円生だった。葵は右近の鑑定士の試験を受けた。楽焼き八椀の陶工当てだった。葵は全てを言い当て合格した。
 三人は全ての宝の中から一つを選んだ。司は刀を当てたが、理由が違った。清貴は明智光秀から送られた刀が斎藤家の一番の宝だろうと言った。先祖は斉藤利三なのでしょうという。一番高い宝は何という質問に、名前はないが襖絵、俵屋宗達だろうと言う。
 右近は清貴の手を握り、利休を宜しくと言った。

2018年9月12日水曜日

京都寺町三条のホームズ・7

京都寺町三条のホームズ・7 望月麻衣
   〜贋作師と声なき依頼〜
 プロローグ 葵の誕生日パーティの翌々日、清貴はオーナーとオーナーの恋人・滝山好江と三人で買い付けに海外へ行った。秋人が来て、葵に清貴と好江が意味深な会話をしていたことを告げる。
 五月半ばに三人は帰ってきた。清貴は葵にミュシャの「黄道十二宮」のリトグラフとエーデルワイスの絵柄のブレスレットウォッチをお土産に買ってきた。一緒に時を刻んで思いでをつくって行こうというメッセージだった。
 葵が蔵に行くと好江と清貴が二人でいた。好江は蔵の改装案の図面を清貴に渡し、清貴が婚姻届のおまけが付いた結婚情報誌を好江に渡す。真っ赤になった好江が店を出て行くところに遭遇する。秋人から聞いていたこともあり、葵は清貴に好江さんと結婚するのかと聞く。不倫でもないけれどそんな状態で私と付き合っていたり、不誠実だと言う。
 清貴は好江さんは僕にとって母親のような存在だと言う。好江さんは再婚を考えていなかったが再婚をしたくなったと言ったのだった。が、後にオーナーは結婚する気はないと好江に言った。
 その心は 好江さんの息子・利休の父親・左京が東京を引き払い京都の父親の屋敷の離れに住むようになった。左京が、右近のお茶会を開くので、清貴と葵に来てくれと言う伝言を持ってくる。本当のお茶会を開くのに、左京のお茶会と司のお茶会のどちらにするか決めて欲しいということだった。
 葵はお茶会に着物で行くことにした。着物に慣れるために家で着物を着ることにした。お祖母ちゃんは嬉しそうだ。茶会に必要な小物を揃える。雰囲気の変わった葵を清貴は秘密基地に連れ込み、ーおいで、葵。殺し文句を言う。
 茶会の日、司の茶室は利休の一輪の朝顔を模したものだった。左京の茶室は和泉式部の朝顔の歌を自筆で書き、青竹を自分で加工した花器に朝顔を生けていた。清貴は左京の茶室を選ぶ。利休の茶室は秀吉のために作られた物で、左京の茶室は訪れる人のために左京さんが作った物だから。
 後継者を口にする司に左京は自分には荷が重い、自分はここで父親の介護をする。稼げないデイトレーダーでも生活できる。お互い都合よく暮らせる。司の顔も優しくなる。茶会をする。左京は、三十年後、好江が一人になっていたらまた一緒に暮らせたらいいなーと言う。
 気は遣うものではなく、配るものや。
 砂上の楼閣 円生が白磁の香合を持ってくる。ホームズは本物だと断定する。
一ヶ月後、円生が学校の校門前にホームズの口調で葵の前に現れる。割れた白磁を出す。葵はこれは前の白磁と別物だと言う。円生がどんどん変わって行く。あの我が強い男が手を出さんとよっぽど大事にしてるんやね。そんなあんたを穢したらあの男はどないな顔をするんやろ。そんな所に清貴が来る。葵は円生の清貴に対する憎悪に近い嫉妬を感じた。
 何もなかったことを良かったと言いながら、清貴は葵に別れの言葉を告げる。寝てへんし傷物になる前で丁度良かったと言う清貴に、どうしても別れるなら傷物にして下さい。という葵に、僕はほんまに好きやったと抱き締める清貴。本気で別れようとしていることが伝わった。
 言霊という呪 二ヶ月、香織にも別れを告げられたことは言わず、受験前だからバイトは休んでいるとだけ言い普通に生活している。
 店長・武史の誘いで吉田神社に行く。清貴が兵庫に行ったことを教えられた。そして家頭家の呪について話す。あなたに逢えなくなってとても寂しいと言う。
 望月のころ 二月、清貴の円生と決着をつけるという言葉を店長が知らせてくれる。二月十五日、葵は蔵へ行く。円生も来た。円生の白磁の香合と対になった白磁香炉を見付けてきた。香炉の持ち主・ユキさんが元気なことを伝えた。香炉を持ってユキさんを訪ねて下さいと伝える。ほんまうっとうしいと泣く円生。白磁の香炉をもって帰った。
 葵は、清貴くんーおいで。両手を広げる。
 エピローグ 三月、葵は蔵に行っている。菅原真也・円生から絵が送られてきた。
円生は柳原先生の弟子になった。

2018年9月11日火曜日

京都寺町三条のホームズ6.5

京都寺町三条のホームズ6.5 望月麻衣
   ホームズと歩く京都
 バースデーの夜に 書き下ろし番外編
 五月三日の夜、家頭邸で真城葵の十八才の誕生日のお祝い会が行われた。家頭家三人、好江・利休親子、香織・佐織姉妹、佐織の恋人・米山、上田、美恵子、柳原先生、小松さん親子三人、秋人の十五人が集まる。
 清貴にプレゼントされた、黒いワンピースにパンプス、葵の花をあしらったネックレスで出席。暗号文を解く宝探しゲームをする。ヨーロッパのお土産が並んでいた。葵への誕生日プレゼントはオーナーの離婚した奥さん・椿さんから人間国宝が誂えた訪問着だった。葵は人数分のマフィンを焼く。
 特別掌編 第一話 京都四条烏丸のワトソン 
 秋人からの相談。男性カメラマンからのベットへのお誘いを不快にさせないで断る方法。
 第二話 平和な午後
 はじめて葵が作ったお弁当を清貴は、ほんまに嬉しくて、神聖な気持ちで食べたいために吉田神社の東屋で食べる。
 第三話 下鴨神社御手洗祭
 学校帰りの制服のまま、御手洗祭に参加した葵に「来年この祭に参加する時はハーフパンツをはいてきて下さい」というホームズ。
 第四話 愛しき旋律 〜家頭父子の夜〜
 女性と何もしないでただ寝るだけなら一人で寝たいです。と言いきる清貴。幼いころと同じように、父親のチェロ演奏を聴きながら寝息をたてる清貴。無防備な寝顔を見ながら、無防備な寝顔を見せられる女性に、早く出会えるといいな。たとえ添い寝するだけでも幸せだと思えるような相手に。と考える父親・武史
 第五話 宮下香織の懸念
 隙のない雰囲気、絵に描いたような完璧さが胡散臭く思える。葵には言えへんけどと考える香織。裏がある気がする。
 随分警戒されていると言うホームズ。
 人の心が読める人、人を操れる人。こんな男は利用価値のある女性を選ぶ気がする。
 可愛いスカートの葵を見て、可愛い、はしったらあかんと言うホームズを見てちょっと安心。これからは警戒されないかなと言うホームズ。やっぱりこの人は怖いと思う香織。
 
 

2018年9月10日月曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊶

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊶ 幻夜行 小杉健治
 商いをやめ誰もいない旅籠に、娘が入り、忽然と姿を消した。三年前、若旦那・好太郎が恋仲の女中・ふみを殺し逐電したとおもわれた旅籠・成田屋だった。病んだ父親・好兵衛は娘・こうと向島の寮で療養中だった。
 成田屋に娘を案内した大工が普請場の屋根から転落、行脚僧、易者、関わった者が不審な死を遂げる。風烈廻り与力・青柳剣一郎も怨霊騒ぎの探索に関わる。剣一郎が成田屋で会った人足が溺死する。
 成田屋の床下に埋められていた好太郎の骨を見付ける。最初に亡くなった大工の後ろ姿が好太郎にそっくりだったと聞き込む。
 成田屋は繁昌していた。五年前、内儀が急死、同じころ好兵衛が病に倒れる。好兵衛の異母弟・光右衛門が好太郎の後見をし、店を続けた。そして三年前の事件が起った。
 母親の死、好兵衛の病気、ふみの死、好太郎の失踪が、叔父・光右衛門が成田屋を乗っ取るために起こしたことだと気付いたこうが成田屋の番頭だった・新助と一緒に幽霊騒ぎを起こした。好兵衛に世話になった小猿小僧も手伝っていた。
 大工は好太郎が逃げたように装っていた。幽霊が現れ後ろめたさで動揺し屋根から落ちた。好兵衛夫婦は光右衛門に砒素を飲まされ続けた。好太郎とふみは殺された。こうは復讐しようとしている。
 こうたちを殺そうとした光右衛門が雇った浪人を押さえ、光右衛門を捕まえた。復讐を考えるよりも成田屋の再興を考えるよう諭す。
 幽霊騒ぎが起こり好太郎が死んでいることに気がついた、易者や行脚僧を殺していた。
 人足の死は、暴力亭主に困った女房と長屋の住民が手を組み幽霊騒ぎを利用した。思ったよりも恐怖心が大きく思わない行動に出て死んだ。剣一郎の裁量で始末を付ける。

2018年9月9日日曜日

カラス学のすすめ

カラス学のすすめ 杉田昭栄

2018年9月8日土曜日

神の時空⑥ 伏見稲荷の豪雷 

神の時空⑥ 伏見稲荷の豪雷 高田崇史
 広島から京都まで帰った辻曲彩音と福来陽一は、東京から来ていた巳雨とグリ、貴船、三輪と行動を共にした傀儡師・佐助と落ち合い、佐助の家に泊めてもらった。伏見稲荷で何かが起っている。
 三輪の鎮女池で死んだと思われた磯笛だったが、十種の宝の「死人も返生」らせると言われる「道反玉」を持っている。茶枳尼天に左目を渡すことでこの世に帰ってきた。
 伏見稲荷に、四人が殺されぶら下がっているのが見付かった。稲荷の赤い鳥居が壊れて行く。
 彩音は伏見稲荷のことを知らない。例によって陽一が、加地のところに伏見稲荷の事を聞きに行く。元々一帯は藤森神社の土地だった。藤森神社の祭神は蘇我氏、紀氏、賀茂氏の神々。怨霊が封じられた神社だった。稲荷は農耕の神様ではなく、鋳成りであり産鉄の神様だったことを教えられる。後に現在の伏見稲荷大社の主祭神・宇迦之御魂大神がやってきた。
 鳥居が壊され、お社が壊れて行く。狐憑きの家系・樒祈美子は心配して稲荷大社に行く。祈美子は人の心が読めた。
 四人の殺害事件のため地震と雨の中、瀬口警部補と加藤裕香巡査が来ていた。
 四人を殺し、稲荷大社を壊しているのは、高村皇の命を受けた磯笛たちだった。磯笛の手下の妖狐に加え、茶枳尼天と契約しているため稲荷の狐も手助けする。何も知らないで神社に詣り、華美な社を建てることだけに執着する人々が許せないようだ。彩音は、稲荷神・宇迦之御魂神を解き放つつもりで二ノ峰・中社にいる磯笛にあなたも何も知らないと言う。巳雨が、本来の神様に、何も知らなくて御免なさいを言い、鎮まって貰った。祈った長者社のお爺さん狐が巳雨に十種の神宝の一つ、八握剣のブローチを貸してくれる。
 元々、大勢の神様が祀られ神仏集合だった。明治になり仏教関係は希釈され神号も稲荷大明神に統一された。
 広島の観音崎栞が、彩音の忘れ物だと思ってブローチを届けてくれることになった。たぶん栞の祖母・夕の物だと思う・十種の神宝の一つ、辺津鏡。彩音は借りておくことにした。

2018年9月7日金曜日

神の時空④ 三輪の山祇

神の時空④ 三輪の山祇 高田崇史
 貴船の神様を鎮めて東京に帰ろうとした辻曲彩音は、奈良の不穏な空気を感じ、巳雨と奈良の大神神社へ向かう。
 福来陽一は貴船の新鮮な水を持って東京に帰る。三輪山の事を知らない彩音のために、陽一と辻曲了は火地晋のいる喫茶店に行き、三輪山と大神神社に付いて、アマテル・大物主神・饒速日命が同じ神であること、三輪山の磐に閉じこめ、三ツ鳥居が封印していることを教えてもらう。饒速日命に鎮まって貰うには山頂の高宮神社で直接訴えることだと教えられる。彩音に伝えるよう急ぐ。
 三輪山の石、等なんでも持ち帰り禁止になっている。つい最近まで禁足地だった三輪山。禁足地とは入ってはいけない地ではなく、外出禁止の場所だった。高校生が二人、三輪山の頂上まで登り、石を三つ持って帰った。石を持って帰った一人が殺され、石を貰った一人も殺された。
 横須賀に住む、陽一の元彼女・波川紗也が操られるように奈良に来ていた。高村篁の中間・磯笛等は紗也を生贄にしようとしていた。石を持ち帰った高校生・田村暁は石を元の場所に置いて来ようとしていた。
 高校生殺人事件の捜査のために来ている警察官の中に、停職になっている警部補・忘澤がいた。高校生が殺される所を見たと言う。
 忘澤と彩音と暁は山頂に石を置きに行く。霧に囲まれ何も見えない山を登る。
 麓にいる紗也と巳雨の前に磯笛が現れ、紗也を殺そうとする。人目には見えない陽一が現れ、磯笛を落ちると助からないと言われる鎮女池に投げ込んだ。紗也は見えないが陽一が助けてくれたと思った。
 山頂の高宮神社でしめ縄を直し、饒速日命に誤り、本当のことを伝えて行くと言う。石があったと思われる配置を考え石を奥く、嵐が止み、霧がはれる。
 紗也を殺そうとヌリカベが近付く。陽一も遠い。忘澤が捕まえ紐で縛る。ぼーと見える。停職になった理由だった、他の人には見えない者が見える。誰かがいたとかいなかったとか。上司に話しが通じない。
 蛇遣いのおじさんのポケットからグリが貰って来た。十種の神宝の一つ「蛇比礼」だった。
 辻曲兄妹は、十種の宝を集め、死んだ摩季を生き返らせようとしていた。

2018年9月6日木曜日

聡四郎巡検譚 二 検断

聡四郎巡検譚 二 検断 上田秀人
 目付 野辺三十郎は、目付けの仕事範囲に入る道中奉行副役という新しい役職が気に入らない。駿府町奉行・遠藤讃岐守へ、同じ考えになると思い、水城聡四郎を亡き者にするよう頼む書状を徒目付・小高佐武郎に託す。遠藤は水城を殺すことは上様の怒りを買う。野辺の捨て駒にされると言い、小高に江戸へ帰り側用人加納近江守に伝えるように言う。
小高は加納に伝え、家族を護ってもらう。
 野辺は何か手柄を挙げようと思っている所に、挙動不審者を見付ける。吉宗が将軍になったことに納得いかない尾張の者は吉宗の暗殺を企てる。見張りが緩い城中に入り込む。
野辺は見付けていた。
 聡四郎と大宮玄馬は伊賀を通る。伊賀忍たちとの今までのことを考え用心する。伊賀忍の頭領・百地丹波介が現れ、伊賀は水城様を狙いませんと言う。江戸で水城家を護る伊賀の抜け忍・袖の妹・
菜が現れ気を付けるように言う。伊賀忍の隠居三人が襲ってくる。伊賀の郷が潰れる。伊賀の郷を潰さぬ為に最後の三人が来たと言う。一人が死に後二人に聡四郎は話しをしたいから京で話そうということになった。

2018年9月5日水曜日

わが家は祇園の拝み屋さん7

わが家は祇園の拝み屋さん7 望月麻衣
   つながる想いと蛍火の誓い
 満月の朝、五人とコウメでカメラ通話アプリを使い、祈祷リレーをする。上賀茂神社・銀閣寺・八坂神社・松尾大社・金閣寺。一回目の結界の補強は成功した。
 小春は三善朔也のファンの子に嫌がらせを受ける。嫌がらせをしていた先輩は、小春の煮え切らない態度に腹を立てていた。小春は自分の迷いに気がつく。心に決めた人がいることに覚悟を決めた。
 二度目の新月での結界補強の前夜、澪人に対する嫉妬から審神社頭・谷口の黒い呪いが和人を経由して澪人に魔が乗り移った。一人で払おうとする澪人を小春は抱き締め「身固め」をする。結界補強の時間を逃した。
 二人のことを聞いた宗次朗は杏奈と二人で五ケ所を回り、杏奈、想い人と京都で開運デート!とネットで話題になり、お参りする人が多くなった。
 宗次朗が「主上の印」を持っているため主上の印がいる三角形の結界も補強された。
 
 小春の前世は、斎王の玉椿。澪人は玉椿が斎王の時は、世話役。龍王からの言伝が外れ斎王を辞めさせられてから玉椿を妻とした。笑顔を見たい為、喜ばす事だけを考えたが、玉椿から笑顔が消え二年で死んだ左近衛大将。左近衛大将は玉椿が龍王が好きだったことを知り、自分との結婚が嫌だったことを知る。結婚し、玉椿に力が無くなったことも玉椿にはショックだったことを知る。無理やり結婚したことを悔いた。
 玉椿は左近衛大将が亡くなって、自分は左近衛大将が好きだったことに気がつく。冷たく接していたことを申し訳なく思う。仏門に帰依しようとしたが、子供をいることが分かり、子供を育てることを寄り処に生活するようになる。子供の生まれ変わりが和人だった。和人は左近衛大将とそっくりだった。
 左近衛大将は玉椿が愛した龍王の顔に憧れ、澪人は龍王の雰囲気に似ている。澪人は小春の告白に顔が変われば・・・の言葉を発する。昔、自分は玉椿を不幸にした。
 小春は、澪人を好きになっても、昔、優しく接してくれる人をはあんなに邪険にあしらった。断られても当たり前という思いがあった。左近衛大将が亡くなってからの玉椿の話しをする。そして誤る。
 二人は告白し合い付き合うことにする。

エピローグ
 若宮は、コウメが背負う管を開ける。中から晴明が現れる。自分が張った結界が持たなくなる千年先を見据えて仕掛けた。
 コウメはご褒美に尻尾が三本になった。

2018年9月4日火曜日

わが家は祇園の拝み屋さん5

わが家は祇園の拝み屋さん5 望月麻衣
   桜月夜と梅花の夢
 桜井小春は、力を無くした。賀茂澪人への告白を拒否され失恋し、特殊な力が無くなったと思っていた。拝み屋を嫌う三善朔也が小春の力を封じていた。管狐だったコウメを滅しようとしたのも朔也だった。小春の封印を解いた。小春は朔也に誤る女性が側にいることを伝え、母親の自殺に対する誤解を解く。生活のどん底に突き落とさている自分たち姉弟を残し自殺したと思われていた母親だったが、子供を助けようとしてトラックに撥ねられたことを知った。朔也の母親に対する憎しみが変化し、母親は消えた。生活をどん底にしたのが拝み屋だった。自分たちの力が知られないように隠して生活していたため、澪人にも分からなかった。朔也は生い立ちを話し、拝み屋にもいろんな人がいることに気がついた。
 女優を目指している澪人の姉・モデルの賀茂杏奈が映画主人公役の抜擢を受ける。監督推薦だった。喜んだのもつかの間、杏奈の監督愛人の風評が流れる。枕営業をしたと言われる。杏奈は東京から逃げさくら庵にいる。小春の父の弟・宗次朗に対処を他人に任せ自分は雲隠れでいいのか。と言われ東京に帰り、記者会見を開く、何も無いという証拠はあるのかと言う質問に、素の杏奈は「私は男性経験の無い小娘です。病院にでも行く。不倫にも枕営業にも興味がない」と言い放つ。監督の奥様も証明される。心配して東京に行っていた宗次朗は帰ってくる。
 澪人が小春に恋愛感情はないと言い放つのを聞いて、澪人の兄・和人は小春に近付く。兄と仲良くしている小春に、澪人は誰と付き合おうと何も言う資格はないが、兄だけはやめてくれと言う。
 澪人は前世の自分と小春の関係を知っている。小春もどんどん知ってきていた。

2018年9月3日月曜日

「ハムごころ」がわかる本 

「ハムごころ」がわかる本 福島正則
ハムスター 長く、楽しく飼うための本
ハムスター  飼育の前に絶対知らなければならない情報をピックアップ
はじめてのハムスター 飼い方・育て方
ハムスターの本を4冊読んだ。
要が8月17日から一ヶ月ブルネイに行った。その間、ハムスターを預かったため。
幸せなハムスターの育て方  今泉忠明

2018年9月2日日曜日

剣客相談人16 風の剣士

剣客相談人16 風の剣士 森詠
 殿こと大館文史郎は那須川藩の国許の那須山麓の庄屋宅に行った。庄屋の娘・如月からの手紙を貰い、如月と娘・弥生に会いに行く。
 弥生の弟・駒之介を通し、家老の不正を暴き、隠居させ、家老の息子・道介の将来を考え江戸で武芸・学問を学ぶ事とした。駒之介は郷士の父親を見習い庄屋の道を進むことにした。
 文史郎は道介と共に子供にしか見えないと言われる風の剣士を見、「江戸に帰るが良い。おぬしがやるべきことは江戸にある。それを忘れるな。」という助言を貰った。
 おとうさまと呼ぶようになった弥生が泣いたが、文史郎は堪え旅立った。

2018年8月31日金曜日

神の時空 厳島の烈風

神の時空 厳島の烈風 高田崇史
 華岡歳太・警視庁捜査一課警部補はまた辻曲家に行く。どこかおかしい兄妹だち。
 広島の宮島で何かが起きていることを知った辻曲彩音は、また、磯笛たちが何か事を起こしているのではないかと考え、ヌリカベの福来陽一と広島に行く。
 観音崎栞22才、実家は宮島で旅館を経営していた。しかし、栞は何も知らないで宮島に遊びに来る観光客が嫌いだった。
 殺人が三件、首つりが一件、鳥居や社殿が壊されてゆく。
彩音に高村皇が声を掛けてきた。何故、この国を破壊しようとするのかと言う彩音の質問に、本来の厳島の姿だと言う。
 彩音は了と巳雨に火地晋の所に行き、厳島神社について話しを聞いてきてもらう。火地に厳島は全てが怨霊封じの結界を形作っていると言う話しを聞き、仕掛けを聞き、見事な封印だと納得する。彩音に連絡。
 彩音は栞を探し出し、六つの神社と大鳥居が壊されその後にもっと恐ろしいことが起る。食い止めるために協力して欲しいというが、栞に拒否される。不明門は山から下りてくる神の立ち入りを禁止している門、厳島神社のことは何でも知っていると思っている栞に、彩音は二重に本殿を封じ込めている話しをする。一緒に市杵嶋姫命を鎮魂して元の場所に納まって貰うよう協力を要請する。見ている間に厳島神社が壊されて行く。武彦がボートを出し、大鳥居の下に行く。彩音は御魂を斎戸に鎭むる祭を唱え、栞は巫女であったお祖母を思い浮かべながら祈る。栞は大鳥居の中央で本殿と対峙し、市杵嶋姫命に語りかけ気を失った。病院で気がついた。天気は回復していた。栞は元々島に住んでいた鬼や天狗の子孫。栞の祖母・夕が陽一に教えたこと。防ぐことが出来るのは自分たちの子孫しかいないと。
 殺人犯は巡査部長の松田と守島ゆかりだった。二人は高村の仲間だった。ミツは結界が壊れると騒ぐ為自殺に見せかけて殺した。孝さんはミツを手伝うと言っていたから。源蔵は松田とゆかりの打ち合わせ現場を見たから。観光客は長濱神社を壊していたゆかりを見たから。
 栞は何も知らなかった。もっと厳島のことを勉強しようと思った。栞は島へ帰って来ることにした。
 了と巳雨が京都に来ていた。伏見稲荷が危ない。

2018年8月30日木曜日

喜連川の風 明星の巻〔一〕

喜連川の風 明星の巻〔一〕 稲葉稔
 弘化二年 1845年
 天野一角43才は同心・小島久五郎の娘・雪乃31才と昨年再婚した。息子・清助15才は母と呼ばず拒否していた。
 江戸屋敷が火事になった。二年前に近習頭・町奉行から家老職に昇進した伊豆守が、天野一角に作事頭と江戸に行くように言う。一角は息子・清助を連れて行く許可を貰う。
 江戸で清助は、人を殺して逃げている助五郎に勾引かされる。助五郎は清助の刀が欲しかった。助五郎が相談した昔の仲間は一角の長屋に金銭を要求する投げ文を入れた。一角は、清助を助け出す。清助は捕まっている間母のことを考えた。
 留守居役・金崎忠蔵と添役・中原酉三郎に挨拶し普請の手伝いをする。中原は尊大で苦虫を噛みつぶしたような顔を清助に向けた。
 中原の懇意にしている職人が賂を使っていることが発覚。職人に過分の金を払い後で職人から戻させている。他家との会合と料理屋に行くが、相手がいないことがしばしばある。金崎は国許での吟味を口にするが、一角は4人しか知らないこと、ここで決着をつけようとする。優秀な子息の将来に影響する。金崎は心を入れ替え政務に励むこと、使った費えは月々藩費に足すこと、を言い渡した。
 清助は一角にお金を借りる。雪乃に簪のお土産を買った。家に帰りすぐ母上と呼びお土産を渡した。

2018年8月28日火曜日

地に滾る 

地に滾る あさのあつこ
 単行本を読む。
 雑誌NONを読んでいたため新しい場面は少しだった。
 天羽藩下屋敷の情報を得るために近付いた石田は、利用され殺された。左京が選んだ料理屋は天羽藩が使っている料理屋だった。石田は大切に思っている側室が側用人・四谷半兵衛にひどい目にあっていると吹き込まれ、四谷に刃を向けた。四谷たちは狙われたと言う事実が欲しかった。石田は殺された。四谷たちは藩改革に立ち上がった。
 伊吹籐士郎と柘植左京は、下屋敷に入り込み、反改革派に命を狙われたと言う四谷に「人の命を虫けらのように扱う者に清新な政などできるはずがない」と言い切る。
明後日、天羽に帰る殿に同行を命じられる。

2018年8月27日月曜日

警視庁特別取締官③

警視庁特別取締官③ デラシネの真実 六道慧
 かいぼり作業中の池で発見された道具箱に納められた白骨、ヤドリギ、テナガエビ。特別取締官の美咲と晴人は周辺地域の身寄り無き老人の相次ぐ失踪に気付く。
 戸籍の無い若者と老人との生活。亡くなった老人を亡くなったと届けられない若者の取った行動だった。
 ②から引き継いだ窃盗団・ルーフトッパー団の取り調べが行われ、昆虫・動物の密輸が浮かびあげる。捕まえていた犯人グループの一人・山根行雄を、囮のようにし、殺されてしまう。犯人を挙げる為の現場検証、生物博士の肩書きを持つ晴人の父・乙彦のお陰で動物ブローカーが出頭し、密輸相手が一緒に窃盗団を追いかけていた警察の課長・菅沼だった。窃盗団にも家宅捜査の日時を漏らしていた。山根行雄を殺したのも菅沼かと思われたが、逃がすつもりだったが山根は落ちたと言う。動物ブローカーは山根の父親だった。逮捕覚悟で現れたのだった。
 戸籍のない若者・土橋和真は戸籍取得できることになった。母は前夫のDVから逃れ、土橋と出会い和真が生まれ、三人で前夫から逃げ回り父がいなくなり母がいなくなった。和真は二人とも殺されたと思っていた。前夫は土橋殺人容疑で捕まった。監禁状態で母は生きていた。和真は死体損壊と遺棄の罪に問われるが、執行猶予されるだろう。

2018年8月26日日曜日

警視庁特別取締官② 

警視庁特別取締官② ブルーブラッド 六道慧
 特別取締班に制服警官が一人増えた。加藤蝶子54才 十年前に離婚が配属された。
 指定暴力団員の家宅捜査で有毒な絶滅危惧生物が多数発見された。特別取締官・星野美咲と生物学者・獣医・鷹木晴人は販売ルートを探る。家宅捜査を受けた社長・伊丹晋作は毒によって死んだ。三ヶ月前にも明石組の若頭・藤井典明も毒で死んでいた。犯人だと思われた小室慎吾が自死しようとした。
 藤井の遺品の指紋の付いていないハンカチの血液に注目する。カブトガニの血液、どうやっていつ付いたか。それによって犯人が判明する。犯人は伊丹の妻・友子だった。毒はフグ毒だった。友子は調理師であった藤井に近付きフグ料理をさせ、毒を手に入れた。夫を殺す前に試しを藤井で行った。伊丹の痩せ衰えを見ていられなかったから。すべてを片付けて自分も死のうと毒を冷蔵庫に保管していた。

2018年8月25日土曜日

おらんだ忍者医師了潤② 

おらんだ忍者医師了潤② 秘めおくべし 浮穴みみ
 伊賀忍者の末裔であり医者であり郷田久秀の抱え忍び・笹川了潤は久秀の命で松浦武四郎を見張っていた。手記を書いた物の中に「秘めおくもの」の表題を見た。
 松浦武四郎は手記を奪おうとする二人の侍に襲われるが、二人の侍は毒矢を使う正体不明の一団に襲われる。
 町奉行所同心が商家の蔵で死んでいた。了潤は窒息死と判断した。水の無い所で溺れ死んだ。
 了潤は蝦夷地を支配したいと考えている久秀の命令で蝦夷へ行く。アイヌの忍者集団「モモンガ」と松前藩の草の集団が争いながら公儀隠密の進入を阻止していた。アイヌの忍者集団は多国籍だった。頭はレナ。松前藩の草の集団は資金が必要ということでアヘンを作り、いろんな機械を作る。窒息死させる機械も。頭は蠣崎膳蔵。レナと膳蔵は協力して蝦夷地を北の理想郷にしようと密約していた。
 了潤たちが江戸へ帰った後、毒矢を射られたレナは姿を消した。忍者集団がいなくなった。膳蔵たちの芥子畑も無くなり、膳蔵は裏切り者として殺された。
 了潤は二人を繋いだのは松浦武四郎だったのではないかと思った。
 了潤は長崎へ行くことになった。

2018年8月24日金曜日

京都三条のホームズ3

京都三条のホームズ3 望月麻衣
 〜浮世に秘めた想い〜
 忍ぶ想い 家頭清貴・ホームズの父親・小説家・蔵の店長・武史に、友達・西田が見合い話を持ってくるが、亡くなった奥さんを愛しているからと断る。蔵のオーナー・家頭誠司は店に平兼盛のしのぶれど・・・人の問ふまでの和歌の書を掲げた。
 歌舞伎美人の恋慕 真城葵とホームズは知り合いになった歌舞伎役者・市片喜助の出演する顔見せを見に行く。夜の部では襲名披露が行なわれる。二人は喜助が元宝ジェンヌ・朝宮麗と付き合っているのを知っている。週刊誌ではグラビアアイドルと噂になっている。喜助は別の女性と婚約発表した。喜助がワイヤーアクション中に舞台へ落下した。楽屋でホームズは、事故と脅迫の犯人が喜助の師匠・藤三郎の妻・あやめだと見抜く。喜助とあやめの関係が暴れ、藤三郎は誤る喜助に歌舞伎界に身を捧げよと言い、あやめ行くぞの一言で控室を出る。
 二人は先斗町で食事をする。葵はホームズに勉強を見てもらっている。成績が下がりアルバイトを辞めるように言われた葵のために。
 聖夜と涙とアリバイ崩し 葵の定期試験の点数が上がり、順位も過去最高になった。アルバイト先・蔵のオーナーの孫・現役京大院生に勉強を見てもらったことを話す。お礼のためホームズを葵の家に呼ぶ。
 ホームズは西田が北山通りに出すカフェの客寄せパンダをすることになった。西田の店でホームズは元彼女・和泉と会う。ホームズが高校時代大事に扱った彼女だった。大学に入った途端合コンで知り合った大阪の男に靡く。婚約まで行ったが彼が浮気性のため破談んいした。見合相手と婚約したが、元彼女が現れ、婚約パーティの日に抜け出して来てくれたと和泉に告げた。和泉は本当かどうか暴いて欲しいという。
 上田の店は盛況だった。閉店後、和泉と婚約者・橘、葵とホームズが集まる。ホームズが仮説を並べる。が、橘は認めない、終わったことだと言う。葵は不誠実だ、大好きな人でも誤魔化されたら信じられない。何もかも嘘に感じる。そんな人と結婚生活は送れないと力説する。和泉も出会った時に惹かれたが、信用出来ない方と人生を共に出来ないと言った。橘は始めから彼女との関係を話す。ホームズと葵は席を外す。
 ホームズは葵にクリスマスプレゼントを渡す。京都植物園の年間パスポートと京都市美術館友の会のカードだった。
 祇園に響く鐘の音は 葵はホームズと新京極八社寺詣りをして家頭邸の大晦日パーティに行く。俳優として人気の出てきた梶原秋人も一緒に。ホームズの企画は暗号文を解いて宝探しゲームだった。見付かる間際に現れたのは円生だった。円生はホームズに真贋判定ゲームをさせる。終わると出て行く。二人は過剰反応する。
 三人は除夜の鐘を聞きながら八坂さんに行く。
 

2018年8月23日木曜日

わが家は祇園の拝み屋さん4

わが家は祇園の拝み屋さん4 望月麻衣
 椿の花が落ちるころ
 年末年始、小春の両親が京都へ来た。始めて正月を過ごし両親は二日に東京へ帰った。
 三日、小春の元に元管狐今は狐神になった白狐が来る。コウメと名付ける。
 吉乃の実家・賀茂家の新年会に行く。コウメも付いてくる。庭で吉乃の昔を見た。
 宴会場で三人は上座に着き紹介される。庭の椿を見、玉椿の夢を見る。前世を見る。
現世に現れた若宮は、前世を思い出す小春に、自分を見失わないで下さい。「今」が大事です。と言う。そして吉田山の大元宮に澪人と一緒に運んで欲しいと頼む。
 4組の三善朔也が小春に近付く。
 ネットで仕事を請け負い無料でお祓いをする祓い屋が跋扈する。
 「オカルト研究会」改め、「ミステリー研究会」が中庭の塔の奥に部室を移動した。
 澪人がまた一緒に住み始めた。
 澪人と小春は若宮を大元宮に連れて行く。若宮は天に登る。里帰りらしい。
 小春はバレンタインチョコを澪人に渡しながら告白するが、澪人は、「偽物」の気持ちだと否定した。小春は泣いた。
 小春は玉椿の夢を見た。玉椿は順調に斎王の仕事をこなしていたが、中秋の名月の日が土砂降りになり引退させられた。山荘に戻され、左近衛大将と結婚させられる。穢れた人思う玉椿は宮様に会えないと泣くばかりだった。左近衛大将は澪人の兄・和人だった。
 小春は人の心を読む力が無くなった?若宮やコウメの姿を見ることは出来ない?疎ましかった力だったがどう仕様もない喪失感が襲う。
 澪人の白昼夢、待ち望んだ喜びの日、彼女はただ泣き続けた。左近衛大将は澪人?

2018年8月22日水曜日

わが家は祇園の拝み屋さん3

わが家は祇園の拝み屋さん3 望月麻衣
 秘密の調べと狐の金平糖
 小春は祖母・吉乃のような拝み屋さんになりたいと決意表明をする。
 澪人は助かった命、「今までの自分が絶対にしないことをやってみよう」と思っていた。澪人は身体の芯が無くなったような気がしていた。澪人は宗次朗によって立直って行く。
 学校の文化祭で小春のクラスは甘味処いちのくみを出した。
 拝み屋になりたいという小春の気持ちを知った澪人は、祇園のさくら園に下宿し、小春の指南役になる。
 図書館で四十年以上前の吉乃の卒業記念作品の観覧車のオルゴールを見た。吉乃の初恋と失恋を知った。吉乃から祖父・茂のことを聞く。祖父は護りだった。茂の先祖に龍神の血が入っている。祖父の四十九日が過ぎ、護りが無くなり小春の力が表に出た。
 吉乃の昔からの友人・大谷の家の孫だけに見えるワンワンを調べに行った。白い狐だった。住人の幸せを願う守護している狐だった。インターネットで頼める祓い屋によって爆破されたと思ったが、若宮に助けられた。祇園の辰巳稲荷の狐の仲間に入れてもらった。
 小春は夢でりりゅうの夢をみる。宮様・りりゅう様は若宮の成長した姿だった。
 年末、澪人は家に帰った。
 

2018年8月20日月曜日

闇の用心棒⑧ 地獄の沙汰

闇の用心棒⑧ 地獄の沙汰 鳥羽亮
 深川の一膳飯屋「極楽屋」、刺客・安田平兵衛・片桐右京の元締めの店の常連客が襲われる。殺し屋が極楽屋を襲う。三年前に縄張りを奪うべく襲ってきた品川弥左衛門を始末した。弥左衛門の縄張りを継いだ団蔵が敵討ちと縄張りを奪う為だった。
 菊次郎を失ったが、殺し屋は壊滅させた。

2018年8月19日日曜日

「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす

「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす 佐光紀子

2018年8月18日土曜日

風の市兵衛①②③ 

風の市兵衛①②③ 
 雷神 帰り船 2014年4月参照
 テレビドラマ化によりもう一度

2018年8月15日水曜日

おとなりの晴明さん 第〈二〉集

おとなりの晴明さん 第〈二〉集 仲町六絵
 〜陰陽師は初夏に縁を導く〜
 知るも知らぬも逢坂の関 滋賀の幼馴染み・里奈から鼠に困っていると連絡が来る。桃花は晴明に相談する。晴明は瘴気を感じ、桃花が描いた桃の花の絵で呪符を作り、蝉丸神社に行く。フクロウに変身した桃花は破邪の呪符を神使いに渡す。琵琶と太鼓の精は元気の元の姿に戻り蝉丸の元へ帰った。琵琶と太鼓がかき鳴らしていたひっかいたように音は無くなった。
 手つくり市 月に一度の「平安京サル会議」に晴明に連れられて桃花も行く。からくさ図書館の篁と時子、一言主神が来る。
 百万遍の手つくり市の茜が出す「かんざし六花」に桃花と友達の絵はがきを置いてもらえることになった。片付け要員をする。桃花のホタルの絵ハガキが売れた。茜のヒマワリの簪を買った人から受け取った封筒の中身は何枚かの葉っぱだった。お代は青花紙のレシピ、ハガキノキの葉に書いてあった。からくさ図書館で百物語をする時の行灯を作るらしい。
 蛍ほろほろ 山縣有朋の別荘・無鄰庵に蛍を見に行く。草木有情丁の大羽根に合う。動物の魂の回収をしていた。
 とうふ小僧の初夏 とうふカフェでとうふ小僧と会う。元気が無い。とうふ小僧は豆腐の漢字を使うな、珈琲を出すと香りが沁みると言うが相手にしてもらえない。晴明は山野家の双子を呼ぶ。直史とまどか20才にとうふ小僧のことを「ふたごの京都妖怪日記」に書いてもらい元気にした。一冊本にして店に持って行く。珈琲のことはすぐに考えてくれるそうだ。
 恋と七夕 冥界の三位安倍晴明が二位の大師に頼まれ七夕の日に地主神社に行く。人から発散された想いが泡魂になる。淡魂を吸い込んだぐい飲みを鎮めるために哲学の道へ行く。晴明は今様の綾藺笠を謡い鎮めた。

2018年8月14日火曜日

長屋道場騒動記〈一〉

長屋道場騒動記〈一〉 迷い熊帰る 芝村凉也
  神田の老舗菓子店「恵比壽屋」の裏の道場に旅姿の浪人が現れた。浪人は十年前に武者修行に出た一人息子・間野生馬と名乗る。髭面の熊のような大男だった。道場は焼け出された長屋の住民の住み家になっていた。
 昔、恵比壽屋は夜烏の喜平次一味に襲われた。生馬の父・源心が喜平次一味を捕らえた。恵比壽屋は道場を建て恵比壽屋を護ってもらった。源心は三年前に亡くなった。
 生馬も恵比壽屋を見張る普請な者の存在に気付き、留守になることを言いふらし盗賊を待っていた。夜中に起きた恵比壽屋の娘・君が現れ、盗賊が店に押込んでから捕らえるつもりが、まだ戸が開けられた時に出て行かなければならなくなった。二人を捕まえ、一人は仲間に殺された。重要人物は逃げた。押し入ったのは二代目喜平次一味だった。
 道場の住人の子供二人が勾引かされ、君と生馬が呼び出される。生馬は怪我を負うが子供を助け、君も無事帰った。頭目の喜平次、浪人二人は生馬が斬り、二,三人は捕まり夜烏一味はほぼ壊滅した。が、喜平次の右腕・喜平次を崇めていた銀次の行方が判らなかった。
 恵比壽屋・与惣兵衛は道場を再開し、恵比壽屋を護ることを願った。生馬は道場に住む人たちを追い出さないよう願い、受けた。

2018年8月13日月曜日

口入れ屋用心棒㊶ 群青色の波

口入れ屋用心棒㊶ 群青色の波 鈴木英治
 湯瀬直之進は庄之助の影に呵まれ、精彩を欠く。倉田佐之助は直之進のために庄之助の正体を探る。本名・雪谷鈴太郎、妹・蔦代。御家人だったが島流しになったことが分かった。
 商家が強請りに合い、二千両取られていることが分かった。樺山は庄之助が仲間と強請っているのだと思った。強請に屈しなかった材木商は娘を誘拐され、一万両取られた。
 一万両を寺に運び込む所を、倉田は見た。

2018年8月12日日曜日

口入れ屋用心棒㊵ 赤銅色の士

口入れ屋用心棒㊵ 赤銅色の士 鈴木英治
 米田屋琢ノ介が木刀で襲われた。瓦版屋かわせみの若い者の強請を止めたいしゅがえしだと思った。
樺山富士太郎に繋ぎをとって、かわせみの若主人・庄之助を調べていると言っていた岡っ引き・金之丞がころされる。富士太郎は庄之助を調べる。
 琢ノ介のことでかわせみ屋に行った直之進は、庄之助と木刀で試合をし、完敗する。

2018年8月11日土曜日

蔦屋重三郎事件帖二 謎の殺し屋

蔦屋重三郎事件帖二 謎の殺し屋 鈴木英治
 老中・松平定信は贅沢を禁じた。公儀をおもしろおかしく批判する読物を禁じ始めた。
 蔦屋重三郎が襲われた。重三郎は平沢平格・朋誠堂喜三二・月成に用心棒をしてもらいながら襲撃者を探す。薬の匂いが頼りだった。洛東周五郎という浪人だった。妻の病気の薬代のために殺人を請け負っていた。でも殺したくなくて逃げた。絵の上手さを見込んで生活費を蔦屋が見ることになった。名前を東洲斎写楽と付けた。
 周五郎に殺しを頼んだのは、重三郎が厳しくなった取り締まりに手心を加えて貰おうと賄賂を贈った役人・桜井外記だった。周五郎は貰った金を返した。平格は髷を切った。命を狙わないことを約束させた。
 倉橋寿平・恋川春町が松平定信に屋敷に呼びつけられた。寿平は行かないと言っていた。寿平が亡くなったという知らせが来た。

2018年8月10日金曜日

京都寺町三条のホームズ

京都寺町三条のホームズ① 望月麻衣
 真城葵 17才 大宮市から京都に引っ越して七ヶ月「蔵」でアルバイトをすることになった。
 前の高校で付き合っていた恋人がすぐ葵の友達と付き合うようになっていた。埼玉までの交通費を貯める為にアルバイトを始めたが、行く気が無くなったころ就学旅行でみんなが京都に来た。私のことは気にせず仲良くしてね。と泣きそうになりながら言った時、家頭清貴が迎えに来てくれる。葵は救われる。
 家頭清貴 22才 京都大学大学院1回生。通称ホームズ。京都三条河原町にある骨董品の店「蔵」の店主の孫。
  
 ホームズと白隠禅師
 願わくば桜の下にて
 葵の頃に
 百万遍の願い
 鞍馬山荘遺品事件簿
 祭りのあとに

2018年8月9日木曜日

孤独なバッタがむれるとき

孤独なバッタがむれるとき 前野ウルド浩太郎
 サバクトビバッタの相変異と大発生
 孤独相 群生相 
 色 緑と黒、身体の大きさ、卵の個数と大きさ

2018年8月6日月曜日

わが家は祇園の拝み屋さん2

わが家は祇園の拝み屋さん2 涙と月と砂糖菓子 望月麻衣
 甘酸っぱい涼菓と、想いの裏側 櫻井小春は京都の高校に行くことを決め、両親に話しに東京に帰った。両親の声を聞き、話し出せない。友達の本当の声を聞いてしまいがっかりする。
 両親に目を合わせると人の心の声が分かるようになったことを話した。お祖母ちゃんも宗次朗も普通に接してくれるから京都の高校に行きたいと話す。
 弟・澪人に頼まれた杏から誘いがあり食事をする。小春は杏に何があったか話す。小春は杏の力・人を元気にさせる力を感じる。
 小春は父の少年時代に会う。
 宗次朗の作った涼菓を食べる。父は弟・宗次朗を理解したようだ。小春が京都の高校に行くことも了承された。
 塔の上の少女と栗茶巾 二学期から小春は高校に行き始めた。高校の元寮の塔に少女の幽霊が出る。噂は小春の同級生・水原愛衣が塔で自殺した母のことを知りたくて母の同級生・担任の早乙女典子に仕掛けたものだった。母のことを何も知らない愛衣が典子と澪人から妊娠、出産、自殺と聞かされる。小春は龍の若宮に頼み、愛衣が母・葉子の霊が見えるようにする。小春は葉子の言葉を愛衣と典子に伝える。
 涙と決意と砂糖菓子 十月 澪人から特別な力の仕組みを習う。澪人の家・賀茂家に行く。小春は澪人を好きになっていたが、澪人は小春が妹になってくれたら良いと言い。結婚は好みや感情は後回しだと言い切られた。
 澪人は陰陽師仲間と妖し退治に行くが、妖しではなく神の先槍だった。気付くのが遅く、他の人を守り、澪人が一身に受け、障りを受けた。誰にもどうしようもないようだ。小春は若宮に縋る。澪人は生まれた時、二十歳までに死ぬを言われた。だから人の為、賀茂家のために生きてきた。若宮は澪人自信の力が無くなってもいい自分は生きたいと言う言葉を引き出し、宗次朗の力を借りて神の怒りを鎮めた。二日眠り続け回復した。力を無くなっていない。小春と神泉苑に行く。澪人は生まれ変わり自分を大切にどう生きて行くか考える。小春はお祖母ちゃんのような拝み屋さんになろうと思った。

2018年8月5日日曜日

大江戸女医なぞとき譚 お悦さん 

大江戸女医なぞとき譚 お悦さん 和田はつ子
 妊婦と赤子を一流の医術で救う女医・悦。助産に限らず蔓延する流行病も治す。
 間違った腹帯の巻き方、麻疹に対する間違った考えを正そうとする。
 亡くなった父が医者だった佐伯賢作は、遠縁の典薬頭今大路親信に悦の清悦庵で働くよう紹介される。賢作は頭になるつもりでいた。
 蕎麦屋での突然の悦のお産を目にして、賢作は弟子入りを志願した。
 悦と今大路親信とは、昔、身分違いで結婚しなかった二人のようだ。
 サナダムシの駆除をする。
 同門の者・久里が殺され、賢作に嫌疑がかかる。殺したという同門の者・杉浦が切腹しかけた。悦は杉浦が刺す前に久里が死んでいたことを証明し、杉浦の命を救った。
 蜂蜜に含まれたトリカブトの毒を見抜き、酢で毒消しをする。
 仲が悪い海産物問屋中島屋の一人娘と向いの海産物問屋南海屋の惣領息子が恋仲で、近所のもう1軒の海産物問屋北斗屋の息子が仲良しを装って二人に阿芙蓉を飲ませて殺そうとしている陰謀を、賢作と悦は阻止する。中島屋の娘の所に南海屋の息子が養子に入り、次男が南海屋を継いだ。
 悦の患者で見せ物小屋に奇病を持った者がいた。相方・蝶が殺された。蝶は孤児を育てるため、強請をしていた。賢作は強請られていた人を廻る。蝶を殺した犯人・遊行好きなやぶ医者は毒を盛られて殺されていた。孤児たちの働き口を見付ける。
 悦が看ていた臨月の妊婦が産婆を替えて亡くなった。双子だった。悦と間違えてみ乃が勾引かされる。み乃と交換で悦が行く。大奥だった。双子の女児を出産後、出世を目論む付添人は殺し合いを始める。止めに入った悦も刺される。二人の女児と側室は祖母の元に行き、殺し合いを始めた医者は死んだ。将軍も承知で悦は部屋を与えられ三日三晩生死の境を彷徨った。親信と賢作が治療と看病をした。
 賢作は梅毒の患者を知る。梅毒の子への伝染を知る。
 梅毒持ちの坂本屋利兵衛が毒だ殺されそうになる。新しい定町回り・小沢輝助が、大番頭の多吉を捕まえる。輝助は利兵衛の息子だった。大店の娘だった希代に取り入り子供ができた。店を広げる為に借金をしたところで、利兵衛は蔵の宝を盗んで逃げた。両親は亡くなり、母子は復讐だけを糧にして生きてきた。利兵衛は未だ死んではいない。二人は爆発物を使う。母子は亡くなったが利兵衛は生きている。利兵衛は懺悔している。懺悔して命乞いをする。賢作に十七、八年前の医者の身重の新造を手込めにしたことを話した。賢作は父が母から死んでいる赤子をとり出したことを思い出した。母は自害した。父は大名の側室の堕胎を命じられ断ったために闇討ちされた。
 年の暮れ、利兵衛は死んだ。
 医者の兄から戻って来るように言われるが、賢作はみ乃にみ乃と一緒に生きて行きたいと思うと言う。正木敬斉医師よし娘婿にと言われたが断る。親信も将来、典薬頭を賢作に継いで貰おうと考えていることを悦に話す。

2018年8月3日金曜日

鎌倉河岸捕物控三十二の巻

鎌倉河岸捕物控三十二の巻 流れの勘蔵  佐伯泰英
 亮吉の怪我は治りつつあり、九代目宗五郎が江戸に着くまでに金座裏に帰ることが出来た。菊と一緒になることが決まった。
 板橋の十手持ち仁左親分が板橋で子供の勾引かしが、知らないうちに三軒金銭と引き換えに成功し、江戸に入ったことを知らせに来た。
 同心・寺坂毅一郎が、八州方の影同心から捕まった流れの勘蔵の娘・熊、その娘二人を中心に元子分が江戸に入ったと知らせてきたという情報をもたらした。
 誰かに見られてるような気がするという京屋の娘・香保に政次は弥一を付け、回りを調べる。熊の娘の影が見える。亮吉が舟で移動しる熊を見付け、宿にしている弁罪船をはる。香保を船に連れ去った時、流れの勘蔵一味を捕まえる。捕まえたのは八州隠密回りで、仁左も加わる。
 宗五郎等が帰って来た。宗五郎は長火鉢の前の席を政次に譲った。
 

2018年8月2日木曜日

あきない世傳金と銀〈五〉 転流篇

あきない世傳金と銀〈五〉 転流篇 高田郁
 桔梗屋を五鈴屋に取り入れる。卒中で倒れた桔梗屋は親旦那さんと呼ばれ桔梗屋の奥で養生している。手代と丁稚が店を行き来している。
 幸の母・房が亡くなり、妹・結が店に住むようになる。
 幸は流産する。
 智蔵が亀三に反物を送り、浄瑠璃の忠臣蔵の人形の衣装に仕立てられた。
 幸の思いつきで帯地を集め、着物に合わせて帯を売る。真澄屋が帯の真澄屋で引き札を出す。
 鈴の模様を刺繍した布を使い、裏表が使える帯を考案した。五鈴帯と名付ける。
 忠臣蔵を歌舞伎ですることになった。五鈴屋が衣装を頼まれる。お軽が「五鈴帯に表と裏があるように」という台詞を言う。
 佐七と賢吉を江戸の調査に出す。
 智蔵が幸に、江戸では女でも主になれる。江戸にでてみないかと言う。
 智蔵が倒れた。

2018年8月1日水曜日

孫連れ侍裏稼業③ 脱藩

孫連れ侍裏稼業③ 脱藩 鳥羽亮
 伊丹茂兵衛は、辻斬りに遭い殺された薬種問屋太田屋の息子から犯人を殺して欲しいと、口入れ屋福多屋の主人・富蔵を通して頼まれた。
 茂兵衛は、出羽国亀沢藩士だったが、息子夫婦を殺され、孫・松之助10と共に敵を追っていた。敵は元亀沢藩士、岸崎虎之助と小柴重四郎の二人だった。亀沢藩の目付けが茂兵衛に、二人の雲仙流の遣い手が脱藩し岸崎たちと合流するかも知れないと知らせてきた。雲仙流を江戸で広め、剣で身を立てたいと思ってのことだった。増沢剛蔵は自ら工夫した首薙ぎの太刀を遣う。
 斬り口から辻斬りの犯人が、増沢と笹野と判明した。亀沢藩では犯人が捕まる前に始末したいと考えた。亀沢藩の大目付は茂兵衛に協力を要請した。
 茂兵衛の仲間・柳村錬三郎と弥助、亀沢藩の目付けたちで増沢等を探す。岸崎たちと行動を共にしていた。増沢と笹野は斬った。敵の一人・小柴重四郎も斬られ松之助が敵を討った。小柴は国許の誰かに茂兵衛の息子夫婦を殺せば、ほとぼりが醒めれば徒士頭になれると言われていた。岸崎は逃げた。
 松之助は稽古をする。

2018年7月31日火曜日

青い翅

青い翅 吉永南央

2018年7月30日月曜日

日記堂ファンタジー

日記堂ファンタジー 堀川アサコ

2018年7月25日水曜日

口中医桂助事件帖⑮ 毒花伝

口中医桂助事件帖⑮ 毒花伝 和田はつ子
 藤屋桂助は虫歯になり歯無しになった人々が生きる希望を失うことに心を痛めていた。
 品川で見付かった遺体は、千住品三郎という、桂助が歯を抜いた患者だった。
 品川では同じ頃、破傷風で死んだ男が見付かり、その遺体を焼いた男も不審な死を遂げていた。続いて投げ込み寺で見付かった八つの普請な遺体も、全員歯がなかった。
 美鈴といっしょになり佳という娘を持った剛次も遺体の身元調べをしていた。花簪売りの娘・蝶を調べ出し、剛次は勾引かされる。蝶が出入した料理屋の主・新吉が河豚毒で死亡した。新吉はフグ毒の研究日誌を残した。口を封じられるついでに研究の犠牲になった。
 勾引かされた剛次は地下牢にいた。彩と名乗る志保に逃げ道を教わり、逃げる時志保を背負って逃げた。志保を背の温もりで剛次を思い出し、桂助を思い出し、自分が志保であることを思い出した。剛次が目を離した隙に志保はいなくなった。剛次は家に帰った。
 南町奉行所同心・友田達之助が書いた覚書を持って、元御側用人・岸田正二郎を頼る。
 長州藩の支藩が異国に毒薬を売ろうとした。旗本・千住家は朝廷の医者を育成する役職・博士の古い医書を伝えている家だった。古医書の中に毒花伝がありその中にフグ毒があった。千住家を知った長州藩から話しがあり、速効性と特異性は認められたが、解毒剤が必要だった。その為に長州藩中屋敷で生きる望を失っていた歯無しの人々が試しに使われた。千住市左衛門と市之介は岸田と桂助に話し、医書を焼き、切腹した。
 市之介から志保が襲われて斬り殺されようとしていたところを助け、記憶が無いので綾乃と呼び試しの手伝いをさせた。医術の知識と手伝う技があった。失った記憶の中で「いしゃ・は・くち」の口中医桂助さんという言葉がでたことを知らせる手紙が届いた。
 志保が姿を消したのは自らの意志だと思っていたが、違っていたことがわかり、桂助は志保を探そうと思った。

2018年7月24日火曜日

見届け人秋月伊織事件帖⑧ 青嵐

見届け人秋月伊織事件帖⑧ 青嵐  藤原緋沙子
  見返り川 倉島藩の国許の側室・亀殿から江戸で開かれる茶会のために茶入れ「あけぼの」を送られることになった。茶入れと百両を運ぶ役になった小島周次郎と向井助十郎だった。途中、薬入りの酒を飲まされ奪われた。向井は岸壁から飛び降り自殺をし、小島は国許に報告に帰り牢に入れられ、切腹を命じられる。小島は向井が江戸で生きていることを知らされ、事の次第を探る為牢破りをする。倉島藩士は小島を探す。見届け人に依頼する。
 茶入れは亀殿の元に返っていること、向井は百両を持って江戸にいることが分かり小島の濡れ衣を晴らす。亀の方は座敷牢に入れられ髪を下ろし仏門に入った。国を追われていた小島と妻は二人で国許に帰った。
 青嵐 大阪から江戸に来て何も出来ない巳之助と出会った秋月伊織は巳之助のことが気になっていた。大阪で押し込みをし人を殺した盗賊・梶原十兵衛が江戸にいるらしい。百両の賞金が掛けられていた。土屋弦之助は探している。梶原を見付け張り込んでいる時、巳之助が現れる。仕舞屋の賄い婦に話しを聞くが詳しいことは何も知らない。賄い婦は巳之助の母親だと分かる。伊織は巳之助に母親のことを知らせ、押し込みの見張りをすることになっている場所を聞き出し、芝居をさせる。盗賊が千両箱を盗み終わり、巳之助が殺される寸前に出て行き捕まえた。
 伊織は実家に戻ることになった。家禄一千石目付け・秋月隼人正忠朗の弟だが、忠朗に子がないため養子になる。勘定奉行佐久間家の娘・奈緒との縁組も決まっている。

2018年7月23日月曜日

弥勒シリーズ⑧ 雲の果 

弥勒シリーズ⑧ 雲の果 あさのあつこ
 空き家と思われた仕舞屋が火事になり雨のため半焼になった焼け跡から刺し殺された女の遺体が発見された。何者か判らない女。調べて心の蔵の発作のような同じような死に方の事件が何件があることが分かった。
 遠野屋の大番頭・喜之助が亡くなった。残った物から喜之助の生国は分かる。羽馬藩。喜之助が残した帯の手掛かりと火事場に残った帯の残布が同じだったため、羽馬藩を調べる。
 羽馬藩は三十年前、山崩れで村が潰れた。城普請を言いつけれ、強盗団を作っていた。今ではそれぞれの生活をしていたが、盗賊団の頭が亡くなり、言い付かっていた養女・芳が順に病死に見える毒を使って殺していた。信次郎は遠野屋清之介の前で全て明らかにした。捕まえない。信次郎は明らかになればいいと思っている。芳は店を始末し作兵衛太にお金を残し、自分は焼け跡で切腹した。

2018年7月22日日曜日

三島屋変調百物語伍之続

三島屋変調百物語伍之続 あやかし草紙 宮部みゆき
 開けずの間 長姉の塩断ちが元で、家に行き逢い神を引き入れ、父母と五人の兄姉と義姉を亡くした末の弟の話。最期に母親が自分の命と引き換えに行き逢い神に出て行ってもらった。
 ちかと三島屋の次男・富次郎とで話しを聞き、富次郎は家から出て行く女の後ろ姿を描いた。
 だんまり姫 駿河の大名のお国様のしゃべらない姫様のおまる付き女中になったもんも声の女・せいの話。もんも声はあの世の者を呼んでしまう。現藩主の兄・一国は側室の子で父親は国家老だった。十才の時、国家老が藩が二つに割れることを苦にして孫に毒を盛る。悲しんだ側室は亡くなり、家老は切腹する。せいは亡くなった一国と話すようになった。一国を城から連れ出し解き放つ算段をする。大蜘蛛退治を演目にする人形芝居を呼び、武者人形の中に入れて城外に連れ出した。一国様は武者人形より大蜘蛛がいい我の入れ物と言った。諸国を巡り土地の禍を一身に集める形代になろう。恨みと悲しみを食らう。姫の声は戻った。
 富次郎は、右半分の大蜘蛛に乗った草笛をふいている男の子の背中を描き。遠景に海、雲の中に鷗を描いた。
 面の家 沢山の面が逃げ出さないように見張りをする娘・種のはなし。悪いことをしたものにしか見えない面。見える種は見張りを頼まれるが、面は種をお金で買収する。逃げるが知らないふりをしておけ。面たちは逃げた。火事があり、外に出れば番犬のような者はいっぱいる。面は見付かり封じられた。面が外に出ると禍が起ると言われている。種は面に齧られた足の指を針で浄められた。話しの後、三島屋の守り役・勝が種に古い柘植の櫛をやった。富次郎は櫛の絵を描いた。
 あやかし草紙 ちかを嫁に欲しいと言っていた越後屋の清太郎の縁談が決まった。
 瓢箪古堂の勘一の助言で、富太郎の描いた絵を入れる箱ができた。桐の箱で、厚手の美濃紙に貼り付けた絵を柵に挟んで縦にしまうようになっていた。聞き捨て筐。あやかし草紙と名付ける。
勘一は不思議話をする。貸本屋・井泉堂の持ち出し禁止の己の運命と寿命を知る本があった。瓢箪古堂の写本をしてくれる人が関係し、知ることになった。その人が亡くなり、勘一は井泉堂の主から、見せてあげると言われた。勘一は井泉堂には行っていないと言う。
 小さな婆さまが自分のことを話す。十五才で嫁いでから六度も嫁に行ったと言う。一人目は四年で死別。二人目はその弟、前夫への悋気で三年で実家に帰る。三人目は家作持ちの三男で五年で死別。四人目は風流人で二十四年で死別。五人目は四人目の夫の遺言で結婚。娘が身代狙いだと煩く、一年半で離婚。六度目は商家の番頭。七年と十ヶ月で死別。
婆さまは六人の顔がそっくりだったと言った。
 婆さまの長閑な笑顔と動じない物腰。同じよう人を知っている。
 ちかに川崎から手紙が届く。ちかが逃げ出した川崎、ちかの兄・喜一はちかの分の咎を背負って暮らし続けている。老いてゆく両親を助けながら逃げずに旅籠を続けていた。申し訳ないと思っていた。喜一が先月末に先夫との間に五つの子がいるえいを嫁に貰ったと書かれていた。えいのお腹に喜一の子がいると。
 ちかは黒白の部屋に籠り考えた。瓢箪古堂に行き、勘一に、井泉堂に行き、寿命を教える冊子の写本をしたでしょうと問い詰める。見届ける覚悟をしたので嫁に貰って下才と願った。祝言は一月二十日になった。
 金目の猫 百物語は富次郎が続けることにした。兄・伊一郎が三島屋にくる。伊一郎が不思議話をする。伊一郎が十才、富次郎が八才。三島屋がこの場所に店を構えて直ぐのころ。富次郎がお稲荷さんの木の上で子猫を見付けた。三島屋で飼えないので、近所の油屋で飼うことになった。まゆと名付けられ、三島屋にも来た。まゆが三島屋の二階の縫子の赤ちゃんの顔に上に乗りかっているのを見付けられ、大騒ぎになりまゆはいなくなった。
まゆの正体は三島屋の縫子・きんの生き霊だった。きんは縫子を続けたかったが辞めなくてはならなかった。代わりに行ったさとは三島屋の悪口を言いふらす。我慢できなかった。稲荷の木上で三島屋を見ていた。大騒ぎになった日、逃げるまゆは伊一郎の懐に飛び込み、いちの坊ちゃんごめんなさいね。猫がしゃべる。伊一郎はきんの長屋へ行き、きんのはなしを聞いて知った。きんは遠くへ行くところだった。
 祝言の日、小旦那・富次郎は、商人風の者に祝言は終わりましたかと声をかけられた。ご縁のあった者です。お幸せにとお伝え下さいと姿を消した。勝は小旦那を百物語の継ぎ手と認めたのでしょうと言った。
 

2018年7月20日金曜日

鬼役〈二十四〉 白刃

鬼役〈二十四〉 白刃 坂岡真
 十六夜の月 橘右近が亡くなり密命はどうなるか。密命が下されるが、目の前で相手が殺される。信用されていないのか。間に就く家の主人・土田伝右衛門が勾引かされた。後ろ手に縛られ吊るされた伝右衛門を助ける。彼らは軒猿、元は上杉に仕えた忍び。刺客にされそうになっている壷井師古を刺客にさせないようにする。
 町奉行所斬り 橘の意志を継黒幕から命を受け、報酬さえ貰えばどのような密命も果たすと言う丸田川春満を殺す。壷井は加賀前田藩の書き物奉行の配下になる。
 矢背蔵人介は矢部駿河守を刺客から守るが、矢部は鳥居の奸計に嵌り町奉行を罷める。
 遺志を継ぐ者 密命により成敗した。家慶のお墨付きを持つ如心尼からの密命と蔵人介の友の仇打ちが同じ人物だった。次ぎに密命が下された時受けられるかどうか判らない。

2018年7月19日木曜日

浪人奉行〈四の巻〉

浪人奉行〈四の巻〉 稲葉稔
 彦根藩井伊家浅尾波之助は、堅物だったが幸運がすり抜けてこぼれ落ちてしまい人が変わった。貧乏下士に嫌気がさし、脱藩した。
 品川の外れで、すみたい所の住人を殺し、人を殺してお金を得る。
 岩城升屋の主人・九右衛門は品川で商人が殺されたことを知り、大阪に行った店の者ではないかと心配する。定次に見に行ってもらい、八雲兼四郎に犯人退治を頼む。八雲と定次っと、橘官兵衛は品川に行く。
 判っていたよりも多くの人が殺されていた。波之助の仲間が増えていた。漁師たちも彼らを捕まえようとする。仲間を捕まえ、波之助は兼四郎が倒す。みんなに送られ江戸へ帰る。
 兼四郎は居酒屋いろは屋を開ける。

2018年7月18日水曜日

妾屋の四季 

妾屋の四季 外伝 上田秀人
 秋の章 妾屋山城屋の用心棒・山形将左は吉原の三浦屋に売られてくる娘たちの用心棒のため白河まで行く。江戸中の妾屋を支配下に置こうと考えた惣名主・西田屋を山城屋と三浦屋が手を組追い落としたために、西田屋の忘八による意趣返しを心配していた。襲ってきた忘八を、山形は、女で稼ぐ商売ゆえ、身体を張って女を守るという信念で阻止する。
 冬の章 妾屋を廃業した伏見屋の客だった会津屋から妾の斡旋を頼まれる。山城屋昼兵衛は、飛脚の和津に会津屋のことを調べを頼み、会津屋にいる、公家の姫様と会津藩の若殿との関係を知る。会津屋が若い男女の恋を陰ながら支えていた。山城屋に妾を派遣することにした。
 春の章 津軽藩の用人が、国許からくる国家老次席のために妾を手配するため山城屋を訪れる。前にきた同僚と同じ妾を頼まれる。自分の優位を誇示するためだった。昼兵衛は、津軽藩士に襲われるが、妾の手配を拒んだ。
 夏の章 妾屋の相模屋が用心棒を借りに来る。八重と所帯を持った大月新左衛門が、昼間は和津に代わり仮眠を取って見張る。昼兵衛も大月も和津も何者かが盗みに入ることは承知していた。川崎屋の姑と相模屋が、婿に妾を持たせ妾も一緒に婿の貯めたお金を盗み追い出すつもりだった。山城屋は妾屋は店とのつき合いではなく旦那個人との付き合いだという信念だった。盗人を捕まえ、相模屋と交え店を潰したくなければということで、騙した婿に百両、山城屋に五十両を要求する。

2018年7月17日火曜日

剣客船頭(十九) 永代橋の乱

剣客船頭(十九) 永代橋の乱 稲葉稔
 沢村伝次郎の女房・千草の店の常連客・畳職人 為七が殺された。
 為七の殺されたわけを調べる。
 畳替えに行っていた剣術道場に二人の侍がやってくることが判る。二人が犯人かと思っていたが、犯人は借金の取り立てを頼まれた浪人が、人を殺すと口にしたことを為七に聞かれたと思い殺していた。為七を殺す所を見られたと思った男はもう一人殺していた。同心広瀬の助をして捕まえる。
 剣術道場の二人は、関宿藩久世家の元家臣だった。息子が家老の息子に剣術試合で勝った。許嫁と二人でいる時に斬り付けられ殺された。許嫁が家老の息子のほうが切りかかったと訴えてもねじ曲げられ、両家とも家督は半減、許嫁はあらぬことを言われた。二人は出奔し、家老と息子を殺そうとしていた。家老と息子が駕籠で屋敷に帰るところを狙う。ふたりが飛び出し家来を引きつけている間に、剣術道場の道場主・甲兵衛が家老と息子を斬った。甲兵衛は抗わないで家来に斬られた。伝次郎は二人を逃がす。甲兵衛は久世家の剣術指南をしていた。家老は久世家に良くないものと見ていたのだろうと二人は思った。家族を逃した岩槻で百姓をするつもりだと江戸を離れた。

2018年7月16日月曜日

はむ・はたる

はむ・はたる 西條奈加
 勝平12才は孤児だった。下は三才十五人の孤児が集まり、掏摸やかっぱらいをして食いつないでいた。勝平は頭分だった。同心・高安に捕まり、お上の裁きを受け、長谷部の婆さまが身元引受人になって三町に分かれで暮らすようになった。長谷部家で稲荷寿司を作り稲荷を売に行く。
 六年間、旅をしていた長谷部の次男・柾25才が帰ってくる。自分が紹介したために道場主の後妻に入り、師範代と一緒に道場を食いつぶし、師範代と逃げている女・蘭を追いかけていた。世話になった道場主に申し訳がなく、敵を討ちたいと思っていた。
 事件に遭遇しながら十五人は助け合い、柾に助けられたり、教えられたりしながら生活していた。
 蘭と師範代・相良隼人を見付ける。蘭を囮に相良を呼び出す。勝平は仇討と言う人殺しを柾にさせたくなかった。高安を呼ぶ。相良と柾は果たし合いをし、柾が勝つ。蘭は勝平の首に腕を回し、刀を突きつける。柾は隙を見て、蘭を斬り、勝平を助ける。蘭は死ぬつもりだった。
 白州で勝平は柾は自分を助ける為に蘭を斬ったと言い、高安も道場主の縁者も無罪放免を願い出たが、柾は敵討ちだと言い張った。江戸払いになった。三年位だろうという話し。

2018年7月15日日曜日

おれは一万石⑤ 無節の欅

おれは一万石⑤ 無節の欅 千野隆司
 正紀と正広は菩提寺の本堂改築の資金二百両を調達でき、世子の座を降りなくてすんだ。また、浜松藩先々代藩主の娘・暉を正室にしている三河吉田藩七万石の当主・松平信明が加わることになった。
 材木の調達は入札により檀家でもある高浜屋に決まったが、小佐越屋と建部と正棠が良からぬことを考えていた。
 山野辺は、材木の崩れを引き起こした小佐越屋を調べていた。綱を切ったものは殺され、浄心寺の改築の宮大工の命も狙われた。犯人は寺男・塚原だった。塚原は浜松藩士の息子で建部や小佐越屋と綱がっていることが分かった。
 高浜河岸で材木を調達に行く高浜屋一行に、下妻藩士や塚原や建部の家来・大田黒が同伴する。正紀は東国三社参りの許可を貰い、影で付きそう。高浜河岸で材木の崩れをお越し、いかだの綱を切ろうとされたり阻止し命の危機に晒されながら捕まえる。
 建部と正棠の不正の利益を得ようとしたことと、正紀と正広を世子の座から引きずり降ろそうとしたことがはっきりした。松平信明が間に入った。建部は切腹、正棠は藩主のままだが、実務は正広が行うことになった。塚原も切腹した。
 小佐越屋は山野辺が捕まえ、死罪、店は闕所になった。
 正紀と京は二人で浄心寺に行き、水子供養をした。京は立直ったようだ。
 菩提寺・浄心寺の解体が始まった。

2018年7月14日土曜日

おれは一万石④ 麦の滴

おれは一万石④ 麦の滴 千野隆司
 正紀が婿に入った高岡藩も、正広が世子の下妻藩も本家は浜松藩井上家六万石だ。昨年、藩主・正定が亡くなり十才の正甫が後を継いだ。実権を握っているのは江戸家老・建部陣内だった。高岡藩は二代続いて尾張から養子が入り、浜松は嫌っていた。下妻藩では正広は正妻の嫡子だが、藩主・正棠は側室の子・次男・正建を世子にしたがっていた。建部と正棠は二人を廃嫡するために策を巡らす。
 凶作に喘いでいるこの時期に菩提寺の本堂の改築をすることになった。本家からの命令だった。正紀と正広が造営奉行を務めることになった。費用は千二百両。六百両を浜松が分家は二百両づつ、残りの二百両は他の檀家から集めることになった。二ヶ月で用意しなければならない。
 正紀は物品の値段を逐一調べている房太郎に出会った。房太郎から大麦の値段が上がることを知らされ、正広と一緒に三百二十石買う。値が上がり売るために舟で運んでいる時、覆面の侍に五十石分を転覆させられる。
 足りない分を銭貨の高騰に掛けることにした。十組問屋の行司と一緒に勘定奉行所に行き、久世広民に会い、民の暮らしのために銀相場を下げなければならないことを説く。銀相場を下げる触れが出る。銭を売り、二人は二百両を作った。
 正紀の妻・京は懐妊していたが流産した。
 正紀の親友・高積み見回り与力・山野辺蔵之助は材木問屋・高浜屋の番頭が倒れた材木の下敷きになって骨を折った事件を調べていた。材木に掛けられていたいた縄が切られていた。切った男の似顔絵を作り聞き込みをしていた。 

2018年7月13日金曜日

六花落々

六花落々(りっかふるふる) 西條奈加
 下総古河藩下士・小松尚七は二十七歳の時、藩の重臣・鷹見忠常の推挙で、藩医箕輪家の養子になり、箕輪良幹と名乗り世継ぎ・土居利位(としつら)25才の御学問相手になる。七人扶持
 長崎出島の通詞から幕府天文方役人になった佐野勘蔵の娘・多加音と妻帯。
 利位は大坂城代、京都所司代と役職が上がる。利位と忠常の名で雪の結晶の種類を絵に表した本を出す。尚七が主に研究し監修したものだった。身分が低く、名前を連ねることはなかった。
 飢饉のため民が貧困に喘いでいる時に何故こんな本を出すのか疑問に思った尚七だったが、本を送った他藩の殿様から寄付が寄せられた。
 忠常から民のことを知る、民から離れられない尚七を、殿様の近くに置きたかった、と言われた。京都所司代になった時、小松尚七の名に戻った。
 

2018年7月12日木曜日

カカノムモノ

カカノムモノ 浅葉なつ
 加加呑ム者 浪崎碧20才は人間の罪や穢れが身体のなかで大きくなった大禍津日神を銅鏡で吸収し銅鏡から吸い込む。大禍津日神を呑まないと魚になるといわれている。碧には右肩に斑がある。神との繋がりの証し。
 直毘の風 伊吹大雅20才は祭祀に従事する一族。気吹戸主神。大雅と碧は小学五年からの付き合い。大雅は碧への嫉妬でもう少しで大禍津日神が生まれそうなところまで行ったが自分でねじ伏せた。神直毘之神が現れて。
 一年前、桐島樹32才は碧を知った。桐島の中に大禍津日神を宿したが分離されることを拒否した。碧は先代の銅鏡を桐島に渡した。大禍津日神が暴走しないように。代わりに濁り人を呼び寄せる。碧にお前は人間だよと言った男。
 天底律 医者
 花ヲ喰ラウ 大禍津日神を宿すと思われた佐川優子に近付いた。優子より先に大禍津日神を宿した義姉に優子は刺された。死の直前に大禍津日神を銅鏡に吸い込んだ。きれいな甥っ子をどうするつもりだったか分からないが、碧は自分の言葉がきっかけで、優子が大禍津日神を宿したのではないかと考える。
 雨ノ楽園 高校生の碧、同級生が誰か友達の死を想像した。大禍津日神を宿した中原伸也。二人で葛藤をぶちまけた。伸也の蟠りは碧が呑み込んだ。伸也は忘れる。伸也は碧の葛藤は誰が受け止める?と考えた。
 碧は桐島にヒビが入った銅鏡を見せる。

2018年7月10日火曜日

浅草料理捕物帖〈五〉 明日の膳

浅草料理捕物帖〈五〉 明日の膳 小杉健治
 孝助は十一年前のなみ川
 料理番付作り、元板前染次が殺される。鶴の屋の道太郎
大喰競争鶴の屋  十字屋の十右衛門の還暦
 
 料理番付け表を作ろうとしていた元板前の染次が殺される。
 還暦の祝いを鶴の屋で開催しようとしていた十字屋の十右衛門が殺される。孝助が調べていると文蔵から別の事件の調べに移るように言われる。
 鶴の屋の隣に住んでいた十右衛門の妾から鶴の屋での開催を辞めようとしていると聞いた鶴の屋の道太郎は、十右衛門の妾と関係を持っていたことも知られてしまったので十右衛門を殺していた。
 犯人を知った孝助を、道太郎と十年前のことで繋がっていた文蔵と同心・丹羽溜一郎が襲う。三人は捕まる。丹羽はお役御免になる。
藩に復帰したと偽り、孝助から離れていた十郎太が、当時の藩の内情を話してくれる。十年間のなみ川のことが明白になる。
 十郎太の藩・伊予諸角家では、十年前、世継ぎを十四才の宗千代に決まろうとしていた。江戸家老・渡良瀬惣右衛門が反対した。渡良瀬は宗千代が殿の子でなく、青井彦四郎の子だと思った。追求された青井は留守居役・柴田金右衛門に相談し、渡良瀬と、十郎太の父親も殺された。その時、なみ川が使われ、河豚の毒が使われた。渡良瀬だけが死ぬと怪しまれるので別の客も殺され、なみ川は河豚を出していないので食中毒とされなみ川は潰された。
 最近になって殿が宗千代の出生を疑い遠ざけていた。青井は宗千代は殿の子供だと書き残し自害した。青井がいなくなったことで蟠りがなくなり世継ぎは宗千代に決まった。
 十郎太は父親の敵を討とうとしたが、柴田に頭を下げられ宗千代のためになされたことなので止めた。藩に帰参した。
 道太郎は鶴の屋を孝助に返した。孝助は妹・新を呼び寄せ女将にした。
 
 

2018年7月9日月曜日

御刀番・左京之介⑩ 小夜左文字

御刀番・左京之介⑩ 小夜左文字 藤井邦夫
 駿河国汐崎藩の藩主・家憲17才に縁談が持ち込まれた。信濃国松代藩真田家の十五才の三の姫・彩姫だった。
 左京之介は調べに行く。彩姫は馬に乗っていた。何者かに襲われ、近臣は怪我をする。京之介は彩を助け、聖林寺に匿う。京之介の妻・ゆりと楓に守られ台所仕事や縫い物をする。京之介は彩の手紙を持って真田家留守居役望月左兵衛に会う。
 真田家は正室の一の姫・琴と側室の二の姫・小夜のお家騒動が起っていた。信濃闇猿と甲斐闇猿の戦いがあった。琴は松平定信の次男を婿にする予定だった。沼津藩土方縫殿助の影目付けも動く。土方が付いた江戸家老・矢沢主膳が殺される。側用人・宗方外記に恩を売り近付く土方。土方の介入を嫌った目付け頭・相良が宗方を殺した。相良は信濃闇猿の頭・琴姫付きの老女・浪路を殺そうとするが失敗する。
 京之介は共倒れを狙いながら、琴姫に手を貸す。
 琴姫は汐崎藩の上屋敷に移り、身分を告げずに家憲に会う。
 京之介の向かってきた信濃闇猿と戦い浪路を倒した。
 家憲は屋敷に帰った彩に縁談の申し込みに行った。
 真田家のお家騒動に紛れて殺された御家人が奪われた小夜左文字を、京之介は御家人に返却するよう頼んだ。もし売る気持ちがあるなら汐崎藩が買い取るということも付け加えて。

2018年7月8日日曜日

切り絵図屋清七⑤ 雪晴れて

切り絵図屋清七⑤ 雪晴れて 藤原緋沙子
 絵双紙本屋「紀の字屋」を切り盛りする清七は元々は勘定組頭・長谷半左衛門の次男。正妻・多加の子供ではなかったため多加と長男・市之進に苛められ長谷家を出ていた。
 半左衛門は、勘定吟味役・佐治長門守の秘密裏の命を受け旅立つ前に、清七の次男の届けを出していた。
 清七は佐治に呼ばれ、半左衛門が襲われ生死が判らないことを告げられた。勘定奉行・谷田部貞勝の不正の証拠探しに行ったことを告げられ、父親探しに飛騨へ行くことになった。
 飛騨で清七も襲われる。父と一緒にいた桑井が見付かるが記憶を失っていた。不正を書き付けた書類を衿に隠し持っていた。父親が生きていることが判る。半左衛門は不正の証拠固めに伊豆にあると思われる谷田部の別荘に行ったようだ。
 清七も不正の塊のような谷田部の別荘で父を見付け、捕まっていた父を助け出し江戸へ帰る。証人は徒士目付けに託す。
 多加が亡くなっていた。死ぬ前には清七への態度を後悔し、市之進に兄妹手を取りあって長谷家を守るようにと市之進に言い残していた。
 

2018年7月7日土曜日

法医昆虫学捜査官

法医昆虫学捜査官 紅のアンデッド 川瀬七緒
 捜査分析支援センターに技術開発者とプロファイルと法医昆虫学の三人・還暦間近の波多野光晴、広澤晴美43才、赤堀涼子36才が配属された。
 死体無き殺人事件が起った。三人・遠山夫妻とその客の手の指が残された。
 虫の湧き具合から三人の指の裁断時間を割り出す。昆虫学者の赤堀が出した答えと解剖医の出した答えとでは十日も違った。また赤堀は一本だけ虫の量が少ないことに疑問をもっていた。
 広澤は過去にも殺人を犯している。同じような犯行現場があり未解決の事件があったはずだ都分析する。
 岩楯祐也と鰐川宗吾は二十三年前の事件、血まみれの現場に残された足の指、見付からない死体の事件のあった家・橋爪家に行く。同じような間取り同じような家だった。
 赤堀は虫の少ない一本の指の持ち主は偏った菜食主義かもしれない。栄養の偏りのために虫が余り寄り付かず繁殖も少ないのだと割り出した。この指は犯人だとも言う。
 一ヶ月以上経ち、毒虫・やけど虫が発生した。二十三年前の事件現場もおなじだった。何も調べないで駆除されていた。赤堀は発生源を調べて行くうちに床下の隠れ井戸に気がつき遺体が出た。遺体を調べるのはやけど虫を駆除してから。二十三年前の現場の家に行く。錯乱した今回の犯人がいた。
 菜食主義の料理教室を開いている宗方君江の息子・大和27才。被害者・遠山は動物に関係するものを全て寄せ付けない大和のことを思って治そうとしていた。ケーキに動物性の物が入っていたと言われた大和は反射的に遠山を殺してしまった。殺したことを相談された君江は現場に行き、血だらけの現場で三人の指を切り残した。井戸の存在を知っていた遠山の妻によって遺体をビニール袋に包まれ遺棄されたのだった。
 君江が何故そんな工作をしたか。二十三年前に橋爪家の奥さんを殺したのは君江だったから。橋爪と不倫の関係にあった君江は妻に離婚を迫り殺してしまった。反撃に遭って指を切り落とされていた。妻の足の指も切り落としていた。帰った橋爪は妻の遺体を古井戸に隠した。君江の息子・大和は橋爪の子供だった。大和は母親の用意するものしか食べられなかった。橋爪の家の床下から骨が見付かった。
 遠山の妻は夫の支配から逃げたかった。通報出来なかった。大和への感情移入。大和を見捨てることができなかった。

2018年7月6日金曜日

おいち不思議がたり④ 火花散る

おいち不思議がたり④ 火花散る あさのあつこ
 いちは身重の滝代を助け、長屋で赤子を産む。滝代は十助と名付け外出し斬られて死ぬ。十助の命を狙われていると思ったいちは、薪炭屋吾妻屋に預ける。
 滝代は大名の側室で懐妊し、命を狙われた。子供を守る為に逃げだしていた。誤魔化すために赤子を産んだ後晒を巻いて子供がお腹にいるように見せて殺されたが、追っては近付いてきた。吾妻屋に押し込み殺そうとするが、仙五郎や助っ人の石上喜之助と三原徳次郎らが阻止した。
 吾妻屋は店をたたみ田舎に越した。

2018年7月5日木曜日

幻想郵便局 

幻想郵便局 堀川アサコ
 就職浪人中のアズサはなりたいものがわからない。特技が探し物と書いて山の上の郵便局にアルバイトが決まった。登天郵便局の花畑にはこの世からあの世へ行く門があり、通る人の名前が届く。
 アズサは門を通ることができない島岡真梨子に出会う。他の人には見えないがいつでも好きな時に現れる。誰が犯人か真梨子は知らない。真梨子を殺し火を付けたのはアズサが通う食堂の主・エリさんが再婚を考える相手・村下だった。真梨子を殺した証拠は村下の娘が父親にプレゼントしたブレスレットだった。真梨子が死ぬ間際村下からもぎ取っていた。村下は妻も殺していた。
 アズサは郵便局で木簡に書いた起請文を探して欲しいと頼まれる。神様との契約書だという。廃虚のドライブインの壁の中から木簡を見付けた。
 郵便局を造る前にあった社を壊し狗山比売は隕石に化け落下し、博物館に閉じこめられていた。話し合うことをせず封印したままになっていた。狗山比売は弱った封印を抜け出し郵便局を潰した。
 真梨子は別の門を通ってこの世からいなくなったようだ。
 一年後、廃虚のドライブインが郵便局になっていた。

2018年7月4日水曜日

上野池之端 鱗や繁盛記

上野池之端 鱗や繁盛記 西條奈加
 末は十四才で池之端にある鱗やに奉公にきた。従姉の軽が嫁に行った後がまに入ったが、鱗やは料理屋と聞いていたが、連れ込み宿だった。軽もいつの間にか姿をしていた。
 養子に入った若旦那・八十八郎だけは熱心だった。主人・宗兵衛も内儀・日出も娘・鶴も使うだけで店にも出ない。
 末と甲は料亭桜楼へ女中見習いに行く。板長・軍平に昔の鱗やを思い出させ、料理を作らせる。義母・日出のお金を使う役者を利用し、鱗やの料理を広め、料理屋 鱗やを復活させる。
 鱗やは水戸に本家を持つ料理屋だった。江戸のどうしようもない若旦那・宗兵衛を預かった。宗兵衛は鱗やの娘・都与を好きになる。都与を嫁に乞うが都与は板前と結婚して江戸に店を持つ。宗兵衛は水戸の鱗やの主と都与の兄妹を殺し、火を付ける。犯人は判っていない。この時、一人助かったのが八十八郎、七才の竹之助だった。犯人の顔を覚えているが誰だか知らなかった。助けた者と菩提寺の住職は竹之助が生きていることが分かると命を狙われると思い、名前を変え、江戸の商家に養子に出した。
 宗兵衛は都与を諦めず、江戸に帰り、鱗やの主人に薬を飲ませ川に突き落とす。都与を手込めにするが、都与は自殺する。誰もいなくなった鱗やの主人に納まり、何もかもしっている女中を内儀に納めた。宗兵衛の妾は都与に似ている。軽も宗兵衛に言い寄られ逃げた為殺されそうになった。川で流されていたところを助けられていた。
 八十八郎は三年前、宗兵衛を見て思い出し、調べ、復讐しようとしていた。軍平と甲を一緒にさせ、店を建て直すことにしてみんなの働き口を決め、宗兵衛と日出と鶴を焼き殺そうとする。末が止める。が役人に捕まる。宗兵衛の旧悪が表に出、宗兵衛は斬首、二人は島流し、八十八郎も流罪になった。闕所になった。
 軍平と甲は芝居町の近所で料理屋を始める。四年目鱗やの名を使うことを許された。三年後、須江が女将になる。上野池之端の店が売りに出され須江は思い切って買う。
 あれから八年若旦那が赦免になって帰ってきた。

2018年7月3日火曜日

峠うどん物語上・下

峠うどん物語上・下 重松清
 峠のてっぺんにあった長寿庵が十四年前から峠うどんと名を変えた。峠うどんを経営する二人の孫・淑子が産まれた年。長寿庵の前に市営斎場が出来た。手打ちのうどんで繁昌していた店がお通夜や葬式に参列したひとのための店になった。中学生になった淑子は店を手伝うようになった。両親共に教師だ。
 かけ、のち月見 親戚の顔も知らない従兄が暴走族で事故で亡くなった同級生・大友がいた。どんな顔でお葬式に出るの?淑子の父親・和也の同級生のお葬式もあった。やたら騒ぐ父親。同級生はお葬式で大泣きしていた人をみて驚いた。黙って卵を入れたうどんを食べて帰る。みんなが帰ってからまいっちゃうね。たまんないよ。と言う父親。
 戦争で焼かれた町、水害に襲われた町、祖父は苦労して蕎麦打ちの修行した。母も苦労して大学を出た。母親の兄は定時制で勉強した。
 二丁目時代 母親の幼少期の想いで
 おくる言葉 三年生の十月からの臨時の先生へのおくる言葉を離任式で言うことになった二年生の淑子が、学校の良いことを月別に先生に教える。また見にきて下さいと。やんちゃな若いお坊さんがお世話になった先生の葬式でせっかく作った巻紙を読めずただ大声で泣いた。
 トクさんの花道 霊柩車の運転手・トクさんがテレビで静かな運転を披露した。
 メメモン 父親の教え子が夏休みの研究に斎場見学をした。研究課題は変わったが、彼女の祖母の亡くなった時、淑子の祖母・駒子はみんなで葬式の写真を選びなさいと諭され実行した。
 柿八年 大水害の時、修業中の祖父・修吉が柿の葉うどんを作って振る舞った。おいしいと言われたが今作ると不味かった。
 本年も又、喪中につき 近所の医院の先生、癌の奥さんを看取っている。息子は医療センターの先生で最後には入院した。先生は自分の患者さんが亡くなると喪中のハガキを出す。駒子は大きい病院で見てもらわないとという客を追い出す。
 わびすけ 修吉の幼馴染みのやくざの親分が引退した。修吉のうどんを食べにきた。約束だった。
 立春大吉 大友君が高校入試を前にうどんの修行をしたいと言い出した。駒子は首にした。逃げては駄目。柿の葉うどんを出し、大型バスを斎場に乗り入れるみやま亭のバスが、雪の日に斎場まできた。駒子は危ないとみやま亭に電話を入れる。バスは道路を塞ぎ動けなくなった。みやま亭の営業方針はマスコミに批判される。移動できなくなった人に小鉢うどんを出す。
 アメイジング・グレイス 試験の日、淑子は修吉にアメイジング・グレイスのCDを頼まれる。わびすけさんが亡くなった。修吉は葬式に行かず、予約席を作ってうどんを作る。試験の日、淑子の同級生が飛び降り自殺をした。小学校は違う学校で中学校も同じクラスになったことがない同級生。迷った末、お通夜に行く。おじいちゃんの作ったうどんを食べる。

2018年7月1日日曜日

イタコ千歳のあやかし事件帖2

イタコ千歳のあやかし事件帖2 魔所 堀川アサコ
 改題 これはこの世のことならず たましくる
津軽に暮らす千歳19才は目が見えない。十七才で林檎栽培試験所に勤める男と結婚した。半年で夫が死亡した。千歳は夫に会いたい一心で死者の霊魂と接するイタコになった。千歳は世話役の幸代と姪の小学生の安子と暮らす。
 魔所 誘拐された三男・恭三の恋人芳子を探しに行き、芳子は見付けたが同じ場所の長持ちの中の養女・多津の遺体を見付けた。恭三が用意された身代金を持ち逃げするため見付かった多津を口封じのため殺害したと白状した。長男・庄太郎は恭三の責任をとって芳子と一緒になるという。庄太郎は毒で芳子を殺そうとした。千歳が阻止し、庄太郎が多津を殺したことを暴く。庄太郎と多津は関係を持っていた。昔から、出来た兄は不祥の弟の尻拭いをしてきたことになっていた。本当の不祥の息子は誰だったのか。
 これはこの世のことならず 息子を亡くした母親は人形を置いて息子の結婚式をする。売れなかった画家が亡くなり、息子は父親の描いた選ばなかった未来という絵を探す。好きな人と結婚しなかった娘はいつまでも忘れられず、二人で貸本屋を営んでいるつもりになる。時々女将がいる時々開いている店。イタコに不思議なことが起る日といわれた夫婦はその日、十年前に二人の子供を「私が目を離した隙に死なせた」とどこかに行ってしまった娘に会った。
 白い虫 大柳家の女中シエ17才が、小学校の同級生の栄子と出会った。栄子に苛められていたシエは願いが叶うと言われた白い虫を飲まされた。シエは飲まれなくて誤魔化し捨てた。次の日、みんなの憧れ花枝が亡くなった。白い虫がはい出たのをシエは見たことを思い出した。花枝の亡くなった後、みんな花枝のことは忘れた。栄子は花枝にソックリだった。栄子が急病で亡くなった。シエは栄子が念じたのは花枝よりも完璧な淑女になってシエに見せつけることだったと理解した。願いが成就し虫に食い殺された。
 小学校の時、シエは勘七さんのお嫁さんになれるように唱えた。今、勘七と結婚を考えてる、本当にあの時白い虫を飲まなかったのだろうか。シエは不安になる。
 馬市にて オシラ様の馬の神様が消えたと連絡を受け千歳は農家・石村家を訪れた。馬市を訪れ、埋められた頭の骨を見付ける。石村の主人・臼作の浮気相手の頭であること、身体が畑にあること、亡くなったのは石村家の納屋で自殺であること。遺体を隠したのは臼作でありオシラ様の馬の神様と一緒に埋めたあげていること。を見抜いた。

2018年6月30日土曜日

桃之木坂互助会

桃之木坂互助会 川瀬七緒
 桃之木坂互助会の会員は六十才以上、桃之木坂に二十年以上住んでいること。桃之木坂互助会には特務隊があり十人程のメンバーがいる。町中で問題を起こしそうな人に嫌がらせをして町を追い出す隠れた部隊だった。部隊の隊長は熊谷光太郎、今回、保科菊美が新しくメンバーになった。
 特務隊の標的になったのは武藤遼31才だった。嫌がらせをしているのが町の年寄だと知っていた。互助会のメンバーが歩道橋から落ち、意識不明になる。菊美が武藤が押したというが菊美以外に見た者はいない。警察沙汰になるが嫌がらせをしていたことを調べられる。
 武藤にひどい目にあわせられていた城内響子は、頼んだ者を自殺まで追い込んでくれる商売をしている三矢沙月に武藤のことを頼む。沙月は武藤の部屋にスピーカーと隠しカメラを設置し、夜中に幽霊騒ぎを起こす。髪の毛を使ったり新聞を使ったり、武藤は追い込まれる。
 武藤を見張っている光太郎は沙月の存在を知る。沙月の存在が特務隊のメンバーに知られた時、武藤にも知られていた。追い込まれていた武藤だが誰が犯人かが分かった時、反撃に出た。沙月の部屋にお仕込み響子と沙月を襲う。沙月は光太郎にモールスで連絡する。危険を察知した特務隊は沙月の部屋に駆けつけ警察に知られると不味い機材を運び出したり二人を助けたり。互助会の大手柄になった。
 沙月は菊美が虚為性傷害の一つ代理ミュンヒハウゼン症候群の可能性が高いという。沙月は姉とどちらかを犠牲にして立ち上がれる関係だと言う。光太郎は沙月とメル友になった。
 

2018年6月29日金曜日

耳袋秘帖㉑蔵前姑獲鳥殺人事件

耳袋秘帖㉑蔵前姑獲鳥殺人事件 風野真知雄
 深夜突然炎上した榧の木。不思議な出来事が起こる。
札差が殺される。札差殺しは十年前の乗っ取りにまつわる殺しにあった。十年後に秘密を探り当てた潰された店の番頭の娘に復讐された。見ていた番頭が姑獲鳥(うぶめ)に殺されたと言った。

2018年6月28日木曜日

わが家は祇園の拝み屋さん① 

わが家は祇園の拝み屋さん① 望月麻衣
 櫻井小春は去年祖父が亡くなった父親の実家の京都へ来た。祖母・吉乃は祇園で和雑貨屋「さくら庵」を営んでいる。父の歳の離れた弟・宗次朗30才が店の中で和菓子屋を開いた。小春は中学三年の途中、目を合わすと心の声が聞こえるようになり学校に行けなくなり、両親とも話せなくなり閉じこもった。誰にも理由を言えないで、周りに知った人がいない京都に来た。下を向いて小さな声で話す。
 さくら庵を手伝いながら、吉乃の実家が賀茂家で吉乃自身が拝み屋さんだと知る。
 吉乃の弟の孫・賀茂澪人19才のモデルをしている姉・杏奈が京都に来る。手拭いの月の中の兎が消えた理由を知りたいという。四人には生兎が見え、小春の手の中に収まる。宗次朗は自己犠牲に疲れたのではないかと問う。杏奈が自分を偽らず自分を大切に自己主張して仕事をする決意をすると兎が手拭いに帰ってきた。
 妻を亡くした夫のために、夫が見ている妻の幽霊の除霊を頼まれる。頼んで来たのは妻の幽霊だった。吉乃は妻の言葉として自分の分まで今後の生活を楽しみ、二人で行くはずだった所へ行き、孫の成長を見、今度出会った時に話して欲しいと言っていたと話す。夫は前向きに生活するだろう。妻の幽霊は消えた。
 澪人が変な雨と言う中、小春は辰巳大明神で迷子になっている蛇に出会う。夢にまで見たために相談する。辰巳大明神で子猫に変態した蛇をたぶん住み家だと思う神泉苑に運ぶ。蛇は龍神・若宮だった。なんでも助けると言ってくれた若宮に、心の声を聞こえないようにしてと頼むが、それは本当に小春が願っていることかという質問に、この力の御陰で人を助けられたことを考え、頼みを止めた。
 みんなに人の心の声が聞こえることを言う決心をする。

 

2018年6月27日水曜日

流水浮木 最後の太刀

流水浮木 最後の太刀 青山文平
 山岡晋平は百人町大縄地に住む、鉄砲百人組の大久保伊賀同心、三十俵人二人扶持、大手三之門の門番をしている。さつきの新種を探し、さつきを育てることを副業にしている。娘・千瀬24才は御掃除之者、十俵一人扶持の宮地平太に嫁いだ。万年青栽培をしている。
 晋平の幼友達、一番の友達・河井佐吉が殺される。現場から逃げる男を見た晋平の御陰で犯人は直ぐに捕まった。護送中に足音もなく近付いた男に蓙を被せてあったにも関わらず一撃で心臓を刺されて殺された。晋平は佐吉が殺された理由と犯人を殺した犯人を捜す。佐吉は同心株を売っていた。そのお金が目的で殺された。犯人を殺したのは、伊賀忍の意識が高かった幼馴染みの息子・中森征士郎だった。征士郎は十一才まで晋平に忠也派一刀流の剣術を習い、その後忍びの技を習っていた。伊賀同心を殺したことが許せなかった。
 晋平の三人いた幼友達の一人、太一が殺される。太一は勘兵衛と隠れ御用をしていた。その途中、火付をする侍を見付け、見回った。二回阻止したが三回目に殺された。勘兵衛は侍が、岩垣藩の者ということを突止めた。上役に言う前に心臓の発作で亡くなった。話しを聞いていた晋平は岩垣藩の二人の侍を斬る。岩垣藩の殿様は奏者番になりたかった。国許にお金がないが、騙す形で金の工面をし、国許の侍が屋敷が無くなれば役職に就けないだろうと火付をしようとしていた。晋平は火付を止められればと思っていたが、二人は江戸憎しの心情だったため今止めただけでは駄目だと思い斬った。殿様は隠居させられた。
 調べの途中、婿の平太の家が隠密であったことを知る。隠密の家が旗本になった時に隠れ隠密になったと思わせながらその実、隠密でないという家だった。
 征士郎は軽業師になった。

2018年6月26日火曜日

神の時空③ 貴船の沢鬼 

神の時空③ 貴船の沢鬼 高田崇史
 高村篁は橋姫や貴船神社の怨霊を目覚めさせ京都に水害を起こそうとした。摩季を蘇らすために必要な清水を求め貴船を訪れた辻曲一家が阻止する。毒を入れられた川の水を巳雨の力で洗い流す。

 

2018年6月25日月曜日

涅槃の雪 

涅槃の雪 西條奈加
 高安門佑は北町奉行所吟味方与力33才。一平23才は十手を引き継いだばかりの岡っ引き。天保十一年三月二日、遠山左衛門尉景元が北町奉行所にきた。
 遠山は門佑を鷹門と呼び片腕にする。一日に一度市井のことを知らせる。もう一人東丈七大夫・七太郎親子も目をかけられる。
 岡場所を取締に出た、捕まえた者たちの刑の言い渡し時に、怪我をした卯乃を門佑が預かることになった。
 天保十二年四月 矢部定憲が南町奉行になった。姉が子が出来ず離縁し、高安の家に帰ってきた。
 奢侈禁止令がでて売れなくなった人形師が、鎌鼬となって武家や同心を傷つけた。見せしめのため市中引き回しの上、打ち首獄門になった。
 寄席取払申付がでて寄席の手入れに入った。女浄瑠璃・勢登菊を見付け逃がそうとしたが勢登菊も巻き込まれる。勢登菊の顔に傷が出来、手鎖の刑になった。二百十一ヶ所あった寄席が古いものから順に十五軒になった。勢登菊は顔の傷は自分で付けた。妾になるのが嫌でお付きの茂さんと別れるのが嫌だったからと言った。
 十二月 諸色高を低くするために株仲間解放令が出された。反対する遠山は御目見差控えになった。南町奉行・矢部は辞めさせられ鳥居耀蔵が奉行になった。高安家に山葵商の青田屋が手土産を持参し来る。株仲間が無くなり商売が上手くいっているらしい。手土産に金が入っているのをみた門佑は桐箱を投げつけ席を立つ。矢部は改易になり桑名に幽閉された。矢部は食を断ち飢え死にした。商人青田が三割の安物を混ぜたことで捕まり、品物を押収され江戸払いになった。
 芝居町が移されることになった。卯乃と芝居を見に行き、子供と出会う。江戸払いになった五代目市川海老蔵の息子を河原崎座の座元の養子にしていた。
高安家に鳥居がくる。自分の下で働けと言う。高安家は代々北町の与力と断る。
 人返し令がでる。卯乃に縁談があり門佑は驚く。断ったと聞き安堵する。門佑が鳥居の隠密だという噂が広まる。遠山は鳥居に引きずられるなと言う。
 卯乃がいなくなった。姉・園江は門佑の縁談が決まったと言う。相手は稲取の娘。門佑は姉を追い出す。
 天保十四年二月二十四日、遠山景元は大目付になった。一月後、人返し令が発布された。
 阿部遠江守正蔵 が北町に赴任する。門佑は高積廻方になる。上知令が発布される。園江が世話になっていた大叔父の隣の家に嫁いでいた。書院番与力だった。園江が子供を産んだ。子が授からないのは園江の所為だとばかりの前の婚家に子ができなかったのは前夫にあると証明してみせた。門佑は稲取の娘・千歳と結婚する。稲取の叔母に卯乃を忘れるように言われる。
 上知令には抵抗があった。鳥居も榊原も反対に回り水野忠邦は九月老中を罷免された。
 弘化二年三月 遠山は南町奉行に任じられた。東丈七大夫・七太郎親子は南町に移った。高安は代々北町与力と断った。吟味方与力になった。
 水野は出羽山形へ転封と隠居。鳥居耀蔵は讃岐丸亀藩京極家にお預け。
 二年後、御用で大阪へ行った帰り金比羅参りに行く。遠山に頼み鳥居52才に会えるようにしてもらった。鳥居は知識で生きている。鳥居に興味を持ったのは、食を断たれて亡くなった矢部よりも、先の飢饉で飢え死にした百姓の方がよほど無念だ。と卯乃と同じ言葉を吐いたからだった。
 門佑に子供が出来る。千歳は卯乃だった。
 二十三年幽閉される。明治元年東京に帰る。明治六年死亡78才

2018年6月24日日曜日

善人長屋シリーズ 大川契り

善人長屋シリーズ 大川契り 西條奈加
質屋・千鳥屋の娘・縫18才。父・儀右衛門、母、俊。
千鳥屋は質屋の傍ら盗品を扱う故買屋もしている。
儀右衛門が差配している千七長屋は善人長屋と呼ばれるが、住んでいるのは髪結床も小間物売りも下駄売りも裏稼業を持っている。
 泥付き大根 縫の兄・倫之助23才が、養子先・茶問屋玉木屋の義母・杉59才が三十三才の無宿人・石藏と一緒になりたいと言うと相談に来た。長屋の衆が調べる。石藏は良い男だが十年前に出合った盗人が付いていた。玉木屋に盗みに入るという。自分が居ては杉に迷惑がかかると思い逃げようとした石藏から聞き出した。長屋の錠前職人に絡繰り錠に変えさせ、盗み先を変更させる。御上の手入れが入る金貸しが五百両盗まれ手入れを免れる。杉は産まれて一ヶ月で長男を亡くしていた。石藏を息子のように思っていた。石藏は杉から餞別を貰い上方に旅立った。
 弥生鳶 財布を盗み必要な物だけ取り出し鳶と桜を書いた紙を財布に入れ戻すという掏摸が何十年ぶりかで現れる。長屋の小間物売りの安太郎は掏摸で二代目弥生鳶は安太郎ではないかと噂された。今の弥生鳶は戻さない。盗んで書いた物を残すだけ。弥生鳶の娘・勝が自分の父親は安太郎ではないかと安太郎の気を引くためにやっていた。安太郎は勝に
父親は勝が産まれる前に亡くなった。掏摸ではなく真面目な人だったと話す。
 兎にも角にも 長屋の本当の善人・加助が怪我をした梅蔵を長屋で面倒を見ている。歩けるようになった時、佐野屋の隠居が、黒檀の足に象牙の柄、象牙は兎の頭、目には珊瑚礁、兎の耳が持手になっている杖を貸していた。梅蔵が千鳥屋から物を盗んで逃げた。人目に付きやすい杖の御陰で梅蔵が見付かり盗んだ物を足り返せた。
子供質 縫が子供を預けられた。付添の女中が家に帰ると殺されると言った。子供は危ないことばかりする。煮豆売りの夫婦・竹に子守を頼む。竹は何をしても痛くないという子供に悲しい寂しい辛いも痛いということだと言う。探し出した子供の家・布団問屋利根屋に乗り込む。利根屋の主が痛みの感じない子なのだと言った。己の痛みは分からなくても他人の痛みは知ることが出来る。とっかかりは掴んでますよ。
 雁金貸し 縫の姉・佳代の亭主・漆喰職人の次吉が屋根から落ち半年働けないでいた。佳代はお金を三両借りたが、五両だと言われ困っている。佳代は俊と蟠りがあり、千鳥屋の仕事も嫌い家に近付かない。縫は十年会っていない。次吉の知らせで知った縫は、代筆業の梶新九郎に調べて貰う。証文の二度漉きの紙と糊のからくりを暴いた。武家が妾に金貸しをやらせていた。妾は若い男に貢ぐために証文に細工した。自殺した女がいた。一切合切を書いて納戸組の旦那に送った。唐吉と文吉兄妹は幽霊になった。佳代は借金から解放された。佳代は私はふた親に似ていない。それが佳代の蟠りだった。
 侘梅 唐吉が姫様を火事場で助け見初められ、半分脅され会っている。姫様には幼馴染みの婿養子が決まっていた。小さい頃に悪さをされた想いでしかない相手で嫌っていた。唐吉は姫に贈る為に若様が探している豊後梅の鉢を探し出し若様に贈る。
 鴛鴦の櫛 加助が連れてきた怪我人が亡くなった。駒吉は辞世の句を残した。兄だと名乗る男が現れる、辞世の句を渡すが、彼等は二年前に盗んで隠した一千五百両の隠し場所を知りたかった。縫と俊が捕まり、儀右衛門に隠し場所を探してくるように言う。捕らえられた俊は縫に連中に無体を働かれても命を絶つなと言った。昔の自分の話をする。水茶屋で働く人気者だった。真面目な侍に母親の形見の櫛を貰ったが、侍を歯牙にもかけない扱いをしたことで侍の仲間が俊を襲い、玩ばれた所へ侍が現れ、自藩の上役の息子を斬った。事件は世間に知られ俊は非難の的になった。という話しをした。
 大川契り 嵐で大川が氾濫しそうな時、寺に避難しても入れてもらえ無かった。羽振りが良かったころ貰った物を持って行っていた質屋の倅・儀一に一緒になってくれと言われた。悪党になることを決めたが泥の中からでも真っ直ぐ、真っ白い花を咲かすあんたがおれには入り用だと言われた。二人は一緒になったが、二年後に産まれた佳代に口さがない噂を流す者がいた。佳代の蟠りになったという話しをする。縫は盗人たちに私が探すと言い、詳しい話しを聞く。二千両を盗み逃げる途中武士の一団に会った。二手に分かれ隠し場所の絵図面に残した。追求が厳しく路銀だけ持って二年後の今年、落合江戸に戻ったがお金は無くなっていた。辞世の句を見て縫は考えた。鉄砲水で流された地蔵堂の後地で地蔵像と九百三十両の入った袋が見付かり村人はそのお金で地蔵堂を建てていた。地蔵堂の前で儀右衛門と出会う。
 

2018年6月23日土曜日

耳袋秘帖㉒小石川貧乏神殺人事件

耳袋秘帖㉒小石川貧乏神殺人事件 殺人事件シリーズ 風野真知雄
 南町奉行・根岸肥前守鎮衛は家来の宮尾玄四郎に小石川の貧乏神を調べるように言った。
 人相書きの男 南町奉行所同心・椀田豪蔵は、三百両と根付けを盗まれた能登屋に入った押し込みの人相書きの前で眉を描いたり含み綿を入れたりしてそっくりの顔を作っている男を見た。男が殺される。男・旗五郎は能登屋の主の昔馴染みで、川崎から日光へ行く前に会いに来たが、会えないまま日光からの帰りに会いに来て殺された。能登屋は昔、旗五郎から根付けを騙し取っていたため、根付けを盗まれたことにしていた。強盗は狂言だった。根岸は旗五郎は能登屋と間違えられて殺された言った。能登屋は店と財産を没収され江戸所払いとなった。
 ぶちまける理由 椀田は能登屋の後始末に来て、酒屋の前で荷物をぶちまける男を何回も見た。荷物を拾う手伝いをする酒屋の小僧が紙を手渡している。調べると新しく江戸にきた酒問屋が変わり酒の入手先、売れ状態を調べていた。能登屋の買い手が見付かった。同じ煙草屋で根岸は「一福屋」と付け看板を書いた。能登屋の骨董品で分割された煙管の一部に二十両を出して買った旗本がいた。
 亀の背番号 宮尾は池の亀に番号が付いているのに気がついた。湯屋の主が若い男に番号札を渡し、湯に来るとその番号に下駄を入れる。下駄箱の後ろから亀がでて池に滑り降りるようになっていた。女将さんの相手を探していた。目星を付けた男を追って行った時、女将さんが娘の交際相手に、説教していた。宮尾は亀の番号を消すように言った。
 金魚を産む女 小石川養生所見回り同心・番台安右衛門は女の着物の裾から金魚が落ちるのを見た。翌日、長屋の女将さんが人形を産んだと聞かされた。一晩でお腹が膨らんだ女が養生所で産まれたと言った途端腹がへっこんだ。産まれた赤ちゃんは消えた。猫が産んだ子猫の中に犬がいた。根岸は本当のことはひとつ、後はそれをごまかすためだという。殴る蹴るの主人の元で赤ちゃんは育てられないと思い、産んだ赤ちゃんを里子に出した。人形が産まれたことにした。
 天狗の医者 医者が天狗に攫われ品川沖の岩場で見付かった。天狗に薬の処方を授けられたと言う。根岸は薬を養生所に持ち込み検査する。興奮し元気が出たと錯覚するという。根岸は遠島にて島民のために治療をしやり直すように言う。
 夢に見た関羽 旗本・鈴木吉右衛門が四つに分解された煙管を集めるためにしたことだった。一つは鈴木が持っていた。能登屋を殺して入手するつもりが間違って旗五郎を殺した。結局、別名で購入。松平家を偽って質屋から受け出した。質屋は松平家から責められ一家心中。自分で作った貧乏神の祠を潰し後一つを引っ張り出そうとした。
 

2018年6月22日金曜日

沼里藩留守居役忠勤控③ 

沼里藩留守居役忠勤控③ 流転の虹  鈴木英治
 深貝文太郎は三千五百石の旗本・内藤甲斐守昌照の奥方から猫探しを頼まれ、直ぐに見付けた。奥方は文太郎の妻だった志津と懇意だった。大名小路で駕籠に乗った志津を見たと言う。そのことを文太郎に伝えたかったのだった。甲斐守から、文太郎の仕える水野家にお手伝い普請が命じられそうだという話しを聞く。
 水野家は千両用意し、老中・阿部大和守の所に持って行くが、お手伝い普請を命じられた。阿部大和守は水野家所有の仁王斬り則兼が欲しかったのだ。
 志津の幼馴染み・井村長輔が匿って欲しいと訪ねてくる。井村は阿部家の勝手掛だった。阿部家の金をちょろまかし裏帳簿を持って逃げ出していた。また阿部の側室に志津とそっくりな人がいることを教えてくれた。阿部の手の者が志津をさらおうとして失敗して志津が死ぬことになったのだと言う。
 文太郎の家の奉公人・玉枝が勾引かされた。文太郎は阿部家に忍び込み玉枝を探し出す。阿部大和守に、裏帳簿を久世越前守に届けられたくなければ水野家のお手伝い普請を引っ込めろと脅迫する。阿部が取り消してくれる。
 黒頭巾の者が現れる。阿部の手の者ではないという、志津そ殺した男だった。

2018年6月21日木曜日

風邪の市兵衛(弐) 修羅の契り

風の市兵衛(弐)㉒ 修羅の契り 辻堂魁
 唐木市兵衛は、信夫平八の子・小弥太と織江と暮らすために引っ越した。宰領屋矢藤太の紹介で千二百石の旗本・大久保東馬の渡用人として行くが、相談役・大木駒五郎に支配され、何も出来ないまま辞めさせられる。
 小弥太と織江が勾引かされる。平八を殺し屋として使っていた多見蔵だった。多見蔵は信夫平八と修羅の契りを結んだと言う。平八が斬られた仇を討たねばと思った。多見蔵は斬られた。
 小弥太と織江は二人の母親・由依の両親に育てられることになった。北最上の金木家に行った。
 市兵衛は青物役所に務めることになった。

2018年6月20日水曜日

神の時空② 倭の水霊

神の時空② 倭の水霊 高田崇史
 涙川紗也は自分のストーカーが殺されているのを見付ける。犯人とされ紗也に関わった人たちも殺されて行く。
 正体不明の高村篁は、部下、鳴石と蛇、綱手を使って、弟橘姫の子孫・涙川紗也を弟橘姫が眠る走水神社の前で生贄にし、弟橘姫の怨霊を起こさせようとしていた。大雨を降らせ、熱田神宮に眠る、日本武尊の怨霊を起こすと共に、草彅剣の怨霊も起こそうとした。
弟橘姫を目覚めさせ日本武尊にぶつけようとした。
 辻曲了と彩音は走水神社の裏の古い稲荷神社の拝殿前で殺されそうになっている紗也を助ける。紗也と共に魂鎮めの祝詞を挙げる。巳雨は火地から言われたマーガレットを祭壇に供える。紗也は鎮まり下さいと叫び、そのタイミングで揺れが収まる。紗也は、自分が弟橘姫の子孫であること。弟橘姫は自分から犠牲になったのではなく、日本武尊が自分が助かるために敵に差し出されたことを知らされる。
 紗也を誘拐して走水神社に連れて行く計画を紗也のストーカーだった憲は知ったため、殺された。事件の目撃者は仲間の刑事の姿を見たために殺された。運ばれる途中、事故に遭った。諸々のことから紗也を救ったのは福來陽一・ぬりかべだった。死ぬ前、紗也は陽一の恋人だった。陽一は紗也を見守っていたために今回助けることができた。紗也も陽一が守ってくれたのだと思った。紗也は引っ越しし、弟橘姫を祀る決心をした。
 綱手と蛇は警察に捕まった。蛇は刑事だった。鳴石は逃げた。鎌倉の事件を起こしそうな。摩季が元気に出てくる。鎌倉が①で倭の水霊が2弾になっているが、中身はこちらが①で鎌倉が②のようだ。
 

2018年6月19日火曜日

神の時空① 鎌倉の地龍

神の時空① 鎌倉の地龍 高田崇史
辻曲家 中伊豆の旧家、清和源氏の流れ、シャーマン的な能力。四人兄妹で中目黒の古い一軒屋に暮らす。
 了・長男、渋谷のカレーショップ「リグ・ヴェーダ」の経営者
 彩音・長女、神明大学文学部・神道学科大学院生
 摩季・次女、鎌倉・由比ヶ浜女学院一年生
 巳雨・三女、小学五年生。巳雨は雨を呼ぶようだ。
福來陽一 カレーショップの常連客 ぬりかべ、人には存在が見えない。
四宮雛子 熱海に住む四柱推命の大家
火地晋 「猫柳紅緋店」で原稿を書いている老歴史作家。幽霊、兄妹は表に現れない歴史を教えてもらう。
 
 何者か不明の高村篁が部下・磯笛を使って伊豆に眠る範頼、頼家の怨霊を目覚めさせ、鶴岡八幡に封じ込まれている頼朝の怨霊を鳥居を壊し結界を破って解き放とうとする。鳥居が燃え上がる中で、頼朝が乗り移った巳雨に陽一は、自分たちの聞いていた頼朝像が間違いであったこと、正しい頼朝像を語り継ぎ、範頼、頼家、実朝の無念を語り継ぐと訴え、頼朝の怨霊を鎮めた。巳雨が雨を呼び、火事も消された。
 磯笛の異常行動を目撃したため、摩季は心肺停止に追い込まれ、亡くなる。死反術で摩季を蘇らせるつもりの了は、司法解剖をするという病院から陽一・ぬりかべに背負わされて歩いているように見せて連れ帰る。
 警視庁捜査一課警部補・華岡歳太は辻曲兄妹が何か変だと思っている。

2018年6月18日月曜日

蘭方医・宇津木新吾⑦ 売笑

蘭方医・宇津木新吾⑦ 売笑 小杉健治
文政十二年 1829年
 宇津木新吾は町医者・順庵の離れで香保と所帯を持った。順庵屋敷の表に松江藩お抱えの看板が揚げられた。新吾は松江藩お抱えになった理由を知らなかったが、藩主・嘉明より、高野長英の推薦だったことを聞いた。
 藩主の勤番武士が三人梅毒になり、順番に殺されていく。三人は料理屋の仲居を手込めにし、自殺した仲居の亭主・純吉が復讐をしていた。純吉は小助と名乗り貸本屋として松江藩上屋敷に入り込んでいた。梅毒に罹り、寮で生活している吉原の花魁・手鞠が提げ重の女になり梅毒を伝染していた。新吾は小助も手鞠も裁きを受けるように説得する。
 新吾は五度も襲われる。松江藩の侍だ。最後に田淵が新吾を殺しに来る。新吾は田淵に本当に御役目なのか。組頭の保身に利用されただけになりますよ。組頭とつるんでいる丸川新太郎に何度か襲われ、刺客を送ってくると話した。

2018年6月17日日曜日

新・秋山久蔵御用控〈一〉 恋女房

新・秋山久蔵御用控〈一〉 恋女房 藤井邦夫
 十年が経った。秋山家は十五才の大助と十才の小春がいる。
 桜吹雪 秋山家に奉公して九年になるふみが笹舟に使いに出た帰り、派手な半纏の男から逃げているたまを助けた。たまは宇之吉という女衒と江戸に来たが、梅次が宇之吉を殺すのを見て逃げていた。ふみとたまは逃げるが見付かってしまう。ふみを心配する太市に助けられるが太市は背中を刺される。ふみはたまを逃がした。
 宇之吉の遺体が発見され、南町奉行所定町廻り同心・神崎和馬、幸吉たちは調べを始めた。宇之吉の女・しまはたまが宇之吉を殺したと言う。
 たまを見付け梅次を捕まえる。梅次にしまには浪人の情夫がいることを伝えると、しまに命令されたことを白状した。
 たまの借金をきれいにし、笹舟を糸と幸吉夫婦に譲り向島に隠居している弥平次とまき夫婦の隠居所の女中にした。
 太市の怪我の看病をしたふみと太市は一緒になることになった。
 隅田川 向島の隠居所で孫・平次と散歩していた弥平次は、悪旗本に子どもを勾引かされ、秋山久蔵の闇討ちを強要された橘左兵衛を見、不吉な感じがしたことを伝えた。橘左兵衛は秋山を狙うが阻止され被害者として放免された。幸吉たちは秋山に連絡し、橘を探し生活を調べる。流行り病で妻と娘を亡くした橘は、川魚漁師をしながら始末屋の人斬りになっていた。元締めと口利きを捕まえ、橘は秋山に殺された。妻たちの墓の横に埋められた。
 恋女房 二年前、神崎和馬31才は二才年上の二百石取り勘定吟味役の娘・小坂百合江と所帯をもった。見合い話が持ち上がった時、秘かに百合江を見て一目惚れで嫁にした。百合江は親の決めた許嫁がいたが、許嫁が旗本三百石の奥右筆の家の娘の婿養子になった。百合江は裏切られ屋敷に籠り、行き遅れになっていた。
 薬種問屋の主が殺され、主と会っていた男の人相書きが出来る。医者も殺された。秋山は目付けの榊原から、奥右筆組頭の不正を調べていた組頭が毒を盛られて危篤状態にあると聞いた。不正を調べられていた組頭・大岡主水に似顔絵を見せる。奥右筆・原左京亮が江戸を出ようとする。大岡主水の家来が原を殺そうとする。数馬は捕まえる。原は薬種問屋から毒を手に入れ、紹介してくれた医者共々口封じに殺していた。原は離縁され浪人として打ち首になった。原家は減知となった。大岡主水は切腹。
 原左京亮は百合江の元許嫁だった。百合江は数馬の持っていた似顔絵を見ていた。
 入墨者 商家の若旦那と娘が、二人の若侍と派手な半纏を着た男が強請られていた。大助がどうしようか迷っていると、手拭いで頬被りした人足が現れ、二人を逃がし、若侍を殴り蹴飛ばした。現れた同心と岡っ引きに、若侍は人足が店の若旦那を強請っていたので止めに入ったら暴れたと言った。同心は人足・佐吉を捕まえた。入墨があった。大助は強請っていたのは若侍だと言うが、信じてもらえない。二日のうちに強請られていた二人を探し出すことになった。大助は命を狙われながら二人を見つけ出す。証言をしてもらい、若侍を捕まえ、佐吉を助ける。若侍は旗本の倅だったが、勘当された。

2018年6月15日金曜日

素浪人稼業⑬ 隙間風

素浪人稼業⑬ 隙間風 藤井邦夫
浪人・矢吹平八郎
隙間風 掏摸と間違い因縁をつけられている弥平を助け、盗人・不動の政五郎と青鬼の万蔵の押し込みの邪魔をする手伝いを頼まれる。政五郎は神道無念流の達人だという。隙間風の弥平は、政五郎の小田原の絹物問屋への押し込みで孫を殺されていた。政五郎を獄門にすることが狙いだった。弥平は政五郎がどこをいつ狙うか調べている。
 平八郎は南町奉行所定町廻り同心・高村源吾と伊佐吉に、不動の政五郎のこと、盗人宿のこと、隙間風の弥平のことを伝える。
 狙いは茶道具屋「香風堂」。政五郎が押込みかけた時、吟味与力・結城半蔵まで出張る捕り方に囲まれた。政五郎は平八郎が倒した。政五郎は獄門台に晒された。弥平は江戸から追放された。
 便り屋 平八郎が便り屋をやっている時、女に町医者桂井順庵宛ての手紙を頼まれた。順庵の息子が勾引かされ、平八郎の持って行った手紙は脅し文だった。平八郎は調べ廻る。二百両を用意させ、北町奉行所定町廻り同心・黒木慎一郎等が交換場所に見張りに行った。誰も来なかった。持って行った金子は百両、家を出る前に百両を渡していた。息子は帰った。犯人に行き着いた平八郎だったが、浪人・相沢左門は勾引かしの犯人は自分だと言いながら心臓発作で亡くなった。妹・しまは順庵が診察しなかったために息子を亡くしていた。相沢の女房は順庵堂に奉公していた。しまは不忍池で入水自殺した。順庵の息子と名所巡りをし、名物を食べ、満足したのだろう。
 父の敵 病で先が短い三枝道悦に高木蔵人という二十五才の松江藩の家臣を探して欲しいと頼まれた。高木は賭場で二十両の借金をして逃げていた。借金の型にされている高木の女・せんを助け出し、高木を誘き寄せる。道悦のところに連れて行く。道悦は高木の父親の敵だった。そして本当の父親だった。高木は七年目に父親であることを知り、父親探しをしていた。三枝が気を失ない医者の手当てを受けている間にせんと一緒に江戸からいなくなった。
 亭主殺し 平八郎のところに良吉という子どもが、おっかちゃんが行けと言ったと言いながら来る。良吉の長屋に行くと父親が包丁で刺され倒れていた。医者を呼び手当てを受ける。意識不明だが死んではいない。母親・ゆきを探す。ゆきは夫を殺したと思い自殺を考えていた。挙動不審で平八郎の長屋にいたゆきを岡っ引き長次は尾行した。幡随院の伝七は手柄を挙げるため父親を殺そうとした。伝七に殺しを頼まれた浪人を捕まえる。長次と連絡が付く。父親も助かり自分が悪かったことを証言したため、事故として事件にしなかった。伝七は十手を取り上げられた。
 

2018年6月14日木曜日

カカノムモノ2 思い出を奪った男

カカノムモノ2 思い出を奪った男 浅葉なつ
 浪坂碧は大禍津日神(おおまがつひのかみ)にならない穢れを呑むようになった。一年前に知り合った霧島樹は、呑むこと以外は些事という碧に人間らしさを持てと言う。
 碧の鏡にひびが入り新しく作る事になった。対人は碧が兄さんと呼ぶ従兄の浪崎涼がするが、碧の所に本人が来るようにと手紙が来たので、樹は碧を引っ張り鏡師の日名暁渓を訪ねた。暁渓は五日間滞在し自分の穢れを呑むようにいう。五日目、暁渓は死ぬ。
 幼馴染みの泰三や息子、嫁、仲の良い孫娘・水琴との思い出まで呑み込むように言った理由が分からない。
 三人で暁渓の遺書を探しながら暁渓の気持ちを知る。暁渓は自分の人生の一部を碧に呑ませながら人間も悪くないだろうと「人」として留めたかったのだろうと思った。
 形見となった鏡は水琴に金継してもらうことにした。
樹は大禍津日神を宿した経験のある鏡人だ。樹の持っているのは暁渓の父親が作った鏡だった。樹のことは一巻に書いてあるのだろう。

2018年6月13日水曜日

透視探偵・咲人

透視探偵・咲人 神の掌・悪魔の指先 秋月達郎
 骨董屋「浪漫屋」店番・惟任雅美 店主・鈴鹿咲人・感応透視能力
 神農円香・刑事になって十年、特殊犯罪特別捜査官
 身体にコートだけを着た遺体が静岡県で見付かる。長野県にも、同じような事件があった。愛知犬山でも見付かる。廃虚でコートだけを身に付け殺されて見付かった。円香は咲人に手伝ってもらう。写真家・加藤和之の廃虚での写真集を見付ける。
 浪漫屋の店番をしている雅美はパソコンでチャットをしながら薄葉蜉蝣と名乗る者に誘導される。新幹線に乗り、奈良へと誘導される。気がついた円香たちは一時間遅れで追いかける。
 犯人は加藤の弟子の御木本浩輔だった。

2018年6月12日火曜日

徳川闘将伝〈2〉〈3〉

徳川闘将伝〈2〉奔れ!信康 〈3〉家康の名乗り 秋山達郎
〈1〉を読んでいない。
 家康が死んでいた。信康は荒木村重のもとにいた。織田家の一将として岡崎近く、大浜にいる者がいる。築山と亀姫は浜松にいる。徳姫は二俣城にいる。
 岡崎にいた一派が茶屋四郎次郎の引きで九鬼水軍の末端に入り込み一年が過ぎ、荒木の織田家裏切りが発覚する間際、毛利水軍が大坂に停泊し織田水軍もいる大阪湾で信康の脱出が実行された。堺から伊賀を越え、船で北条家に辿り着く。築山の武田の将との婚姻のための道中で亀姫を救い出し井伊谷に匿う。駿府城から徳姫を救い出し、北条を目指すし、信康と会う。
 信康は北条の一翼として北条と戦っていた。織田軍は武田を攻める。難を逃れた民百姓に施しをする。織田軍が諏訪を攻めている時、織田内部にいた岡崎衆が氾濫を起こした。豎子をして名を成さしむ。信康は駿府と甲斐を盗み取った。信康は駿府に入る。
 信長が光秀に討たれた。光秀は秀吉に攻められる。北条家に逃がしてくれた光秀に恩のある信康は身代わりをたて、逃げてきた光秀を助ける。天海を名乗る。
 信康は小牧長久手で秀吉と対戦し、秀吉に見えた時、父の名を継ぎ徳川家康と名乗りを挙げた。
 笹山は持舟城から高松山西來院で余生を送る・。
 

2018年6月10日日曜日

つまをめとらば

つまをめとらば 青山文平
ひともうらやむ 長倉庄平は御馬廻り組の番士。剣術も目録だが庄平の作る釣針や竿は引っ張りだこだ。長倉克巳は長倉本家の惣領で父親は家老だ。丹精な顔立ちで剣術の目録だ。庄平を気脈の通じた輩と思っている。庄平は同じ家格の堀越家の康江と祝言をあげる。克巳は西洋外科医で藩医となった浅沼一斎の美しい娘・世津と祝言を挙げることになった。
 克巳が相談に来る。世津が離縁して欲しいと言う。庄平は克巳に離縁状を書かせ、世津にわたすように言う。克巳は一人で帰った。世津が慶泉寺に入寺し、世津を追って克巳が押し入り立てこもっていた。庄平が行った時には世津は死んでいた。克巳は切腹し庄平が介錯した。庄平は三月後、致仕し、江戸へ出た。庄平が釣針、竿を作り康江が売る。康江は美しくなった。世津に見えることがある。
 つゆかせぎ 妻が亡くなり戯作を書いていたことを知った。十七年前、二千四百石の旗本大久保能登守の屋敷の手代をしていた私27才のもとに朋21才は嫁いできた。私は目立たないよう生活していた。私には俳諧があった。朋は私が手代を辞め俳諧師になると思っていた。朋は43才で戯作を始めた。そして朋は死んだ。
 大久保の知行地へ行く途中の旅籠でつゆかせぎと知り合った。男親は誰でもいい、子どもが欲しいという。私は狭い世界から詩材を採っていたことに気がついた。江戸に帰ったら、朋が書いた「七場所異聞」を読んでみようと思った。
 乳付 民恵の縁談が決まった。民恵の父はお目見以下の徒士目付、神尾家は家禄四百石の旗本で、両番家筋だった。民恵は漢詩を習い、神尾信明と縁が出来た。引け目を感じながら嫁に行く。
 二年半が経ち、天明八年 信明は本丸書院番三番組に初出仕。六日前に民恵が男子・新次郎を産んだ。民恵は発熱し危なかった。遠縁の瀬紀が乳をやっている。瀬紀と信明が話しているのを見る。旗本の奥様らしい瀬紀、自分だけが余計者のように思える。
 瀬紀の始めての子どもは小夜が乳付けした。瀬紀は小夜に悋気し、夫をとられるような気がした。三年で二人の子を残し婚家を出た。他家で三人目の子どもを産み乳が出た。小夜が子どもを産み亡くなった。小夜の子に乳付けした。と瀬紀は話した。乳付けの差配をするのは姑の隆子だった。隆子は乳が出なかった。一族の乳付の差配は本家神尾家の奥様の御役目、民恵が役を継ことになる。瀬紀は四人目の子は声を上げなかった。
 父が訪れ、信明の仕事の話と信明が話した民恵の漢詩についての話しをして行く。その夜、新次郎が民恵の乳を飲む。信明は民恵を二十六夜待ちに誘った。
 ひと夏 高林家次男・啓吾が新規召出になった。禄は百石だが当面は三十石。杉坂村支配所勤め。幕府ご領地六万石の真ん中に離島のようにある我が藩の飛び領が杉坂村だった。二年と持たないお役を五年続けた今の者は博打場を開設していた。啓吾は手習い塾の開設が決まっていた。
 千本素振り、手習い塾、集落で無視され畑を巡る。支配所で夕飯、千本素振りの毎日が続く。素振りは二千本になった。
 御領の陣屋の手付き・岡崎十蔵が手代を斬り逐電。杉坂村の干鰯屋に押し入り立てこもった。啓吾は捕まえた。子供たちはあの日のことを忘れない。二ヶ月経つと大人の賞賛の笑みは消えた。干鰯屋の喜介は婿に来いと言う。
逢対 竹内泰郎28才は旗本の末席だが親子二代の無役。屋敷で算学塾を開いている。近くの煮売り屋の娘・里24才と理ない仲になった。里は嫁よりも妾希望だった。
 泰郎と同じ小十人筋の幼馴染みの北島義人は十二年逢対を続けている。無役の者が出仕を求めて日参する。泰郎は義人の逢対に同道する。評判の若年寄長坂備後守秀俊の屋敷に行く。泰郎は屋敷に呼ばれ、泰郎の備前長船祐定と、真長と交換して欲しいと言われる。番入りは約束される。泰郎は義人の刀ということにした。泰郎は算学一本にした。
 里に妾暮らしより本妻暮らしがいいことを分からせようと思う。
 つまをめとらば 幼馴染みの山脇貞次郎56才が、深堀省吾56才の家作に住むようになった。世帯を持とうと思うと言っていたが一人で越してきた。一緒に住む家があれば二人で住む気になるかもしれんと思ったが、逆だった。爺二人の暮らしが居心地が良く女と暮らそうという気になれん。貞次郎はここを出て女と暮らす決心をした。爺二人で暮らす未練を断切る。省吾は戯作を書き続けることが出来ると思った。